1日目 / 25 【R18】異世界の門と恋の彼方

25 【R18】異世界の門と恋の彼方

衣代和かほ

――川辺――

[こちらの世界の仕事も多岐にわたるようだ。
でも人間に必要なものはそう変わらず、魔法があることによって簡単になっているものもあれば、そうでないものもある。
魔法は想像力が及ばないほどすごいけれど、1人が一気に何でもできるわけではないと分かってきていた。

ピギーは小石に座って休憩の構えの様子。>>191
なら仕方ないので、パシャパシャと洗濯物などに飛ばない程度に遊んで、小魚が逃げるのに気づくと止めてじぃっと眺めたり。

あれ大きくなったら食べられる川魚なのかな。
川魚の丸焼きは骨がなぁ、ムニエルとかいいかな、なんて。
儚げ詐欺みたいな呟きも後で届いたかもしれない。
料理本を眺めた成果というやつである。

時折、ピギーの方に瞳を向ける。
急にいなくなるわけないと知っているのに。
あまりに気配がないから、見てしまう。
風に揺れる耳がなんだか可愛らしくもあって、声との不釣りあいさが際立つのがおかしく、ほうっと息をついた。]