ダアト

［ジョンはハロッドと約束があるとのことだったから、
　軽く食べ歩きしませんか？と弟子を誘った。
　個人的な遠足の目的のひとつに、人間界の食事を
　存分に堪能することが挙げられる。
　秋の味覚、赤黄緑の入り混じった木々、
　澄んだ空気。良い季節だ。］


　　そうそう、これです。

　　私はこの時期の、アップルサイダードーナツと
　　ハードサイダーが好物なんですよ。
　　
［林檎の果汁を使ったドーナツと、地域によっては
　シードルとも呼ばれる林檎酒。
　近くの農場から出店している屋台を見つけ、
　いそいそと買い求めた。
　立ち飲み用に置いてあるテーブル代わりの
　樽の傍で、まだ温かいドーナツと
　よく冷えたハードサイダーに舌鼓を打つ。］

アデルファ

It’s　an apple

　　先生の好物、幾つか知ってるけど
　　こっち（人間界）の好物は初めて聞きました。
　
　　去年は俺、遠足に参加してねーから。
　　こういう話をする機会も…

［なかったような、あったような…？

　樽の上で頬杖をついた。>>10
　舌鼓を打つ先生の横顔の
　眼鏡の隙間を覗いて目尻の皺を探している。
　先生は笑う時だけ笑い皺ができるんだっけ。違った？

　自分の傍に置かれているのは
　小腹が空いた際にちょうど良い大きさの
　小さめアップルパイと林檎ジュース。
　少々甘々な組み合わせではあった。］

アデルファ

　　美味そうですね、それも。

［視線が物語っているのは
　ドーナツよりハードサイダーの方。>>10、>>11]

　　そ、そうだ。酒は飲めなかったけど。

［実は飲んだことがあるのだ。]

　　──林檎飴好きでした！

［孤児院の先生が呑んでいた酒をくすねたことも。
　一つの林檎飴を二人で分けたことも。

　遠い昔の話──。]

アイスポップ

　
［そうそう、他にも美味しそうなのも売ってた。
　アップルサイダードーナツ！>>10
　うま……これはかなりのヒット商品。優勝！
　優勝なんてなんぼあっても良いからな。

　まだ温かかったのをふーふーしてたら
　すっかり冷えてしまったが、猫舌なので良し。
　多めに買って冷凍して、これも自分土産だ。］