ダアト

　　アデルファは、こっち（人間界）に居た頃は
　　何が好物でした？
　　お酒はその頃、飲めなかったでしょうけど。

［アデルファを教え始めた頃。
　最初こそ“週１で良ければ”と伝えたが、
　彼の素直で勤勉な気性もあり、
　共に過ごす時間が穏やかだったので、
　なんだかんだと週に数日は顔を合わせている。
　彼が興味を持つことがあれば、ちょっとした
　魔法の手解きも。
　そうして日々を過ごすうちに、彼の身の上話も
　それなりに知るところとなった。
　12歳までは人間界に居たこと。
　母君は人間で、父君はヴァンパイアであることも、
　その時に併せて聞いたのだったか。>>121］

アデルファ

　　美味そうですね、それも。

［視線が物語っているのは
　ドーナツよりハードサイダーの方。>>10、>>11]

　　そ、そうだ。酒は飲めなかったけど。

［実は飲んだことがあるのだ。]

　　──林檎飴好きでした！

［孤児院の先生が呑んでいた酒をくすねたことも。
　一つの林檎飴を二人で分けたことも。

　遠い昔の話──。]

アデルファ

回想：Étude

［その頃
　プラミアに話した身の上話は
　同様の内容を先生にも伝えていた。>>11

　薬学や魔術を教えてもらう時間が
　長くなるうちに、それ以上の内容も
　ポロリと零すこともあったかもしれない。>>12]


　　…エへへ、そうっすか？！
　
［筋がいいと言ってもらえば相好を崩したが
　続く質問にすぐ表情を引き締めた。>>13]