荼毘葬送 オクリビ

　その上で言いますが、私は貴方を殴ったりしません。
　だってそんなことしたら、今の貴方は
　間違いなく死んでしまうでしょう？


[この男も抵抗は流石にするだろうが、今のお互いの負傷度合いがまるで違いすぎている。
　「朝の王」に流させた血>>1:220>>1:244に見合うだけどころか、微かな損傷すらもオクリビの機体には生じていない。そんな機工が、機械化せざる手負いの生身をまともに殴打すればどうなるか（出力調整>>0:212は考えていなかった）凡そ予測できた。
　……そう淡々と思考して発したこの言葉に嫌味の意図は無かったが、フットマンが「嫌味」の色を引っ込めた>>1:221ようにオーネストも応えてくれるかは、さて。]


　ですから、頬を抓る程度にいたします。
　この程度ならイサ……前職の後輩たち相手に
　度々行ってきて、力加減が慣れていますので。


[そう前置きしてからオクリビはゆっくりとした動作で左腕を持ち上げ、黒手袋を嵌めた左手を“正直者”の頬に向け伸ばす。
　特に何もなければ、そのまま男の顔の皮膚を、ほんの少しだけ傷みを与える程度に軽くつねるだろう。]

荼毘葬送 オクリビ

[……なお、ここ>>25でオクリビに名前を呼ばれかけた
　「後輩」の少女火葬技師が、真新しい遺体並ぶ安置室で
　まるで機械めいた「幽霊」>>1:287>>1:288を目撃し
　ランタン片手に涙目でリリオの敷地内を駆け回っていたことは、
　「フアナ」だったこの女には、未だ伝わっていない。**]
　

“正直者” オーネスト

工場近くにて

[>>24下げた両腕を動かすことなく、こちらの動向を見守る相手の感情を読めることはない。…なにせ、"そういう機体”なのだと知らないものだから。無感情なのか、別の感情を抱いているのかは、感情があるのが当然に生きてきた人間には判断が付かない故に。

ただ。突然攻撃を食らうとか、突然殴られることはない。
>>25殴られたなら死ぬだろう。…否、相手の機体がどの程度攻撃力が出るかなども知らないが、そもそも"あの集団”の機体だ、聞かなくても察せられる。
だからこそそれを"嫌味”とは取らず、むしろ"相手の性能”をムダに察するに至るまで。なお、ボスには当然念のため報告予定だ。「穴掘り帝国」という謎の一団の中に、シンギュラリティの機体が混ざって居ることも、それが"鳥”を所持していることも。

そして、抓られる]

　いて、

[劣悪な環境で生きる不惑男性の、ハリも艶もない生身の肌が引っ張られた]