
26 ― 境界の先への手紙 ―
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まあこんな頃合いでの朝食だったから、“女将”が振舞うのも、実にこの王国らしい派手で華やかな料理だった。
真珠を思わせる輝きを纏う真球のパフと、薄紅の薔薇の花弁を模した薄切りのチーズを載せた、緑寄りの青に染められた米粒のリゾット。仕上げに散らされているのは細かい薬味の葉の他、金粉のような粒も。
味は流石に“派手”じゃなく、食物としてきちんと塩味や旨味のバランスを考えて作られているのが解る。多分、毎日食べても病気を引き起こすとかはないだろう。……味付け以外の原料に何を使っているかにもよるが。
そんなリゾットを俺や他の客らに振舞う妖精の“女将”は、長く白く伸ばした片方だけのつけまつげを何気なく瞬かせながら、今日も明るく愛想よく食事処を切り盛りしていたんだ。
そんな“女将”に対して、「あんなこと」を言おうと呼び止めることは、この時の俺にはできなかった。他の客の眼がある手前、な。
(80) 2024/09/22(Sun) 21:00:28

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