【叫】 五十嵐螢

翌朝

［五十嵐の家系はお酒に強い。
嫁いできた母も強いのだから当然僕もお酒には強くしこたま飲んだ翌朝も二日酔いなどに苛まれることもなくすっきり爽快な朝が約束されている。
心身ともに健常男児な僕は幸せな夢の世界で過ごしていた。
エプロン姿の詩ちゃんが朝ご飯を作ってくれている――すごく、いい］

　うにゅ……うた、ちゃん……。

［幼馴染の名前を呼びながら起きる素振りの欠片もなかったものだから、夢の世界は次の瞬間には大いに揺れた。
大地震か、逃げないと。
僕は夢の世界の詩ちゃんを抱きしめて逃げ出そうとして――］

　んがっ……ぁ、ぅ？

［夢の世界で抱きしめたことで余計にしっかり抱きしめたからか腕の中から逃さなかったためにガクガクと揺さぶられていた。
意識はまだ覚醒してはいない。
幸せそうに笑いながら現実の詩ちゃんも抱きしめなおす］