【叫】 五十嵐螢

　わー、待って！　待って！

［待ってどうしてもらうのかというプランなどないがそんな過去最高の硬い声で告げられては僕はあたふたと立ち上がろうとする。
凄まじいへっぴり腰になってしまうが割と歯を食いしばりながら耐える。
耐えながら後ろから身体を抱きしめる。

　何一つ取り繕うことなく話したのは詩ちゃんにどこからどこまでの記憶が残っているのがわからないからだ。
下手に嘘偽りを混ぜるよりはまだマシだろう。
それにあの反応が可愛かったとかそういう話も無いわけでつまり淡々と語るしかなく、寝起きの頭は昨夜の行為により一時的ハイを与えられていることもあり困難に対して軽薄になるという防衛反応を呈していた。
繋がる前は罪悪感や後ろめたさはあったが行為により流され幸せ脳状態になってしまっている今は詩ちゃんの反応に困惑するしかなかった］