【叫】 五十嵐螢

［こう、近づくのが危険なのだ。
見えそうなのが近づくと見たくなってしまう。
僅かでも角度がずれると見えてしまうのだから心を鋼にして耐えねばならない。
丸見えもエロティシズムがあるが、見えそうで見えないや、ちら見えも同じくらい危うい。

　その辺りは理解されなさそうなので僕は耐えることにして、詩ちゃんが上がってくるまでの間暫し待つことになった。
子細を語る日は来るのだろうか。
多分、次にそういうことする時にあるかもしれない。

　詩ちゃんがお風呂から上がると僕も入ってシャワーで汗水流して浴槽に使って軽く汗をかいてからまた身体を洗う。
くんかくんかと自分を匂うが同じシャンプーやボディーソープをしてるのにどうして匂いが違うのか不思議だ。

　お風呂を上がると身体の水滴を拭いてバスタオルは干し台にセット。
後は宿の人が片づけてくれるでしょう。
髪を乾かして普段よりも手指も動くようになっているので今日はしっかりとネクタイも結べる。
白いシャツに黒のズボン、ネクタイも黒系で符を入れたケースをおさめたホルダーを着けてからベストを羽織る］