26 ― 境界の先への手紙 ―
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[陽が落ちてゆく空は、青に紫、橙に桃色と、多彩な色彩を映していた。
望崋山に初めて訪れた者は、圧巻の光景に言葉を失ってしまう。
大きな池の前にある山は、それ程高いわけではないのだが、山の上半分程を白壁の建物が覆っているように見える。
赤い瓦葺屋根の大棟の両端には鴟尾があり、軒瓦には花を意匠とする美しい装飾が施されていた。
中腹にある大門の前で騎獣から降り、門番達に訪いを告げる。
彼らに荷物や騎獣を預け、男たちは大門を潜った。
外壁の脇に山の起伏に合わせて造られたなだらかな石段を上れば、折り返した先に更に門が待ち構えていた。
そこを潜れば、彫像や噴水などが配置された前庭の奥に、太い柱が等間隔に何本も並べられた朱い建物が見える。
赤い建物──迎賓館の石畳の前には、出迎えの者達が並んでいた。
ふと、思い出して男は弟子達の方を振り返る。]
大きく息を吸いなさい。
(+8) 2024/09/25(Wed) 20:55:22
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