葬儀屋 ヌル

―されど陽は巡る―

起きてたの。

［いまにも死にそうな声が、足下から返ってきた。>>47
起き上がるほどの力はないようで、表情はよくわからない。］

よくわかったね。

［組織の名前は出さなかったのに、ヌルがヘルハンドだと当てて見せた。
わからないと思ってた。
同じようなことを、いろんな所でやっているとおもったのに。］

「おもしろいかとおもって」
「たのしかったか？」

つまらないよ。
暇つぶしにもならなかった。

［邪魔する人がいなければ、楽しめたのだろうか。］

石火硝煙 ヒート･H･フットマン

日が暮れたら帰りましょ

なんだ、アタリ、か。
こりゃたまげた…。


［ちっとも驚いてなんかいなさそうな声。
クツクツと喉奥で笑うと、一緒にゲホゲホと噎せる咳が出た。

ご名答。似たようなことをいろんな所でやったとも>>61。
だから、微細な連結が必要になる。少しずつ、やった手順が異なっている。
データを改竄して遊んだり(ハッキングはフィジシャンをつっついてさせたかも)、電脳化した幹部の頭にウイルスを仕込んだり。あとは何をしたっけな。

──ああ、そうそう。自分の部下のボディを回収したどっかの構成員と一時的に入れ替えるとんでもないギャンブルもしたような気がするな。

そういう、微細な違い。
でも、それとヌルの発した言葉が連結したのは、結構奇跡だったかも。
いや、偶然って言ってもいいかな。何せ、“賢い”頭も血が足りないんじゃあね。］
　

石火硝煙 ヒート･H･フットマン

　

［つまらない、と言われて>>61、フットマンは心底残念そうな顔をした。
なんだ、お気に召さなかったのか。暇つぶしにもならないなんて。

何が原因だろう。原因を取り除いてもう一回やろう。
くらくらする頭の中で、そんな言葉が巡回する。
巡回するばかりで、口には出なかったけれど。

フットマンは、自分の嗜好（思考）が普通じゃないってわからない。
だから、みんな楽しめるはずだって思ってる。好き嫌いなら仕方ない。遊び方はいろいろあるって、そう───。］