残鷺の君 ヘロー

　……………ズルいな、貴方（・・）は。
（ズルいことする心算じゃ、なかったんだろうが）


[ふと唇から零れた呼称をごまかすように、濃すぎる黒の瞼を降ろす。
　目を閉ざして心を“みえなく”したことでまたエナガから怒られるか窘められるか……とも思ったものの、そんな顛末になる気配は無く。
　妖精の手指の感触は、顎から、風船を持つ方の手首へと移っていった。]


「……良かった。良かったわ。
　それではヘロン、ちょっと署まで来てもらうわよ？
　あの拘置所みたいに、取り調べの合間の食事に
　ポール・パネのボル・デ・リまでは出せないけれど」


[こうして柄長の鳥の翼ある妖精は“犯人”の手を引き、その翼で宙を翔け、上空から正門へと滑空する。
　ヘロンにはなんとなくでも判っていた。おそらく、エナガにも。
　この門を潜り抜け目覚めた先は、現実の通り、互いに離れ離れであるのだと。]

星月夜の魔法使い『ラピス』 ジュベナイル

[…そんな彼女に根負けするかのように、ヘロンはついに彼女についていくことを認めました。現実の世界で、『話をしない』ことを諦めました>>225>>226>>227。エナガさんに『ズルい』と言って…そのズルさが、ヘロンの心を揺さぶったのです。

……二人は空中から滑空し、正門の方へと向かいます。

…………そんな中で、ラピスはどうしても、ヘロンに言いたいことがあって、声を大きく上げました]

取材考証 マスト

──　正門、記念撮影　──

［ローズさんとのやり取りを終えた後だろうか。
　僕は正門の様子を改めて眺めていた。

　正門前で、遊園地の思い出を振り返り、楽しむ様子の笑顔が眩しい親子の姿に。>>83
　背丈が高いけど愛嬌のある表情が印象的な赤髪の子と、紫紺の頭髪が瞳を隠すミステリアスな高校生のペア。>>131

　先ほどのレオーネさん>>213や、カップル……？（ぱっと見の年齢差は、そこそこありそうな気がするんだけど）>>232の他にも、空の上では僕以外にも飛ばされ（？）ている人が話を終えて正門に戻っている姿など。>>226

　きっとそれぞれに色々な想い出を抱えながらその正門を潜るのだろうな、とぼんやり見ていた。］