被験者 天海 祈

[それから、少年はスタッフの一人に願い出る。

自分がマストに撮ってもらった写真を、写真館に寄贈してもらえないか、と。>>0:386
夢の力というやつか、ずっと懐に入れてあちこちに行っていた割には、それらはぴしっと綺麗なままのようだ。]

ごめんなさい、マストさん
でも……取り上げられたり検分されるくらいなら
ここで遊園地に来た人達に見てもらうほうが
写真も幸せだと思うんです

[厚意で渡されたことを知っているからこそ謝罪する。

何事も無く持って帰れる保証があるなら、大切に保管できるなら少年だってそうしただろう。
しかし外部の出入りも厳しくAIを利用して被験者管理を行う施設で、把握されていない私物、それも自国ではないどこかの写真などどうなるのか分からなかった。]

取材考証 マスト

［そして、イノリくんの番となって、報告を聞いて。>>270
　僕のお陰だという感謝の言葉に『どういたしまして』とはにかめば、イノリくんへと写真を手渡そうとして、止められて。>>271

　理由を聞けば、少し残念な気持ちが胸中に残りつつも、ローズさんの時と同じく仕方ないよと笑みを浮かべる。

　それに、その代わりと言って提案された言葉には確かにと頷けたから。

　もしもイノリくんがまた遊園地に来た時に、友達の手を引いて僕の撮った写真の所へと案内する。

　そんな未来が存在したらと思えば、幾分か胸に宿る残悔の念も晴れるというものだもんね。］
　

星月夜の魔法使い『ラピス』 ジュベナイル

写真館: お友達との幸せの写真
　　　　　　　>>>270>>271>>306>>-287

[それはある日のお客様ご案内のときでした。
過去に流れた彗星の写真が見たいということで、
たまたま一緒に訪れた写真館の一角で…

とある一枚の写真を前に魔法使いは一度立ち止まりました。
それは、魔法使いのことを魔法使いだと言ってくれて、…スタッフの仕事応援してると背中を押してくれた友人>>270と、また遊びに来るからと約束してくれた友人と…三人で撮った写真。
取ってくれたのは、その中の一人のお兄さん>>306
『こんなに幸せな表情を出来る子が人形な訳ない』
『イノリくんと遊んでくれてありがとう。』
そう言って、心から感謝してくれた優しいお兄さん。

三人の胸に光る秘宝石のネックレスを見て、
あのときの冒険は楽しかったなぁ。
お兄さんはそういえば、あのとき空を飛んできたっけ
みんなみんな冒険だらけの楽しい日だったなと
思い出して、一人笑います。
…そして、お客様に問われたら、星月夜の魔法使いはこう答えるのです]