赤い悪魔 フィジシャン

[こうして「レイ・カノコ」の「肉体」は発掘される。

詳細については、データ発見から直ぐにオクリビへと伝達されただろう。
無論、検体の性別が異なる事もきちんと説明した。

もしかしたら発掘現場にも呼んだかもしれないが、ともかく検体は無事確保された。
15歳と言う、完全に時の止まった「女性」の「レイ・カノコ」の肉体をオクリビがどうするかは知らないが、自分の仕事は此処までと、一旦区切りをつけるとしよう。**]

荼毘葬送 オクリビ

[「入らなかったからこその今だから」。
　この言葉は、後に“とある”真相>>420>>421>>422に
　触れた時にもオクリビの思考上に過るのだが、
　それはまだ、この時の電脳の女の予測演算の外。]
　

荼毘葬送 オクリビ

報告/事実/再会/選択

[「現在抱えている作業の合間」>>-540にフィジシャンが果たした「人探し」の結果通知が、オクリビの元に届けられた>>422。
　女は「穴掘り帝国予定地」に固定端末を用意しておらず、頭部内の通信端末のアドレスも公開していなかった（ソルとの「戦い」の際には、女からの意図的な通信によって結果的に報せる形とはなった）。機密性の事情もあって、データはレポート用紙への文字印刷というアナログな形態での伝達となる。
　幸いこの「穴掘り帝国のオクリビちゃん」は買い物だの「亡霊」退治だのでしばしば目立つ動きを取っていたこともあり、伝令側にもオクリビの居場所の特定は容易だったらしい。

　なお此度の伝令も、最初に四つ折りの封書>>262を届けに来た「アリア」の構成員だった。
　そのひとが小さくガッツポーズを取っていたのは、以前よりもさらに迅速に伝達を成し遂げたからかもしれなかったが、それはオクリビの知るところでも探るところでもない。
　ただ、再度の伝令を務めたそのひとへの礼と労りの意味を込め、洋菓子店（パティスリー）で買ったフィナンシェを一つ手渡しておいた。]