【赤】 戦士 ランディ

［聖子の口からは『大丈夫』という声が聞こえてくるがその様子はいかにも大丈夫そうなものを感じさせない。
時々立ち止まるし腿を擦り寄せている――のはベッドの上で見たことがあるが、それとは異なる現象が起こっていることはだだ洩れに聞こえ始めた思考の声の方で理解した。
公衆の面前で漏らしてしまうなど確かに一大事だろう。

　冒険者のランディであればダンジョンの中で催した際はちょっと隅の方で簡易トイレを使ってとかもあるが街中であるし、何より聖子は冒険者ではないのだ。

　だから有無を言わさずに横抱きに抱き抱えた。
抵抗は微弱であったので聖子はすぐに腕の籠の中に収まってしまう。
なるべく揺らさないようにと歩を進めるがそれでも多少は揺れてしまうだろう］


　公園……茂み……いやいや。
　もう少しだぞー、がんばれ！


［近くの公園を通りがかれば身を隠すに丁度良い茂みもあったが首を横に振ってそのまま移動を続けよう。
公衆トイレというものはランディの記憶にはないので早く店に到着しなくてはという意識から歩は少しずつ早くなり揺れも大きくなっていた］