【念】 辺見　華蓮

　「ありがとう。絶対二人で…二人かはまあ、まだわかんないけど…幸せになろうね。」

薫さんのプロポーズに、あっさりと言葉が出てきた。
涙を目の端ににじませる薫さんを見ていると、私もちょっと涙ぐんでしまう気がする。
薫さんの目じりに浮かぶものを拭きとって、新しい生活に思いを馳せた。
色々なアイデアが次々にわいてくる気がする。

　「新しい部屋か。確かに二人なら収入も結構できそうだし、大きめの部屋でもいいかも。
　でもあの近くよね。どこかあったかな…
　入籍は…どっちでもいいのかな。でも、私はそれこそどっちでも…」

お返しに落ちるこめかみへのキス。
受けながら見上げる流れ星は瞬きより先に消えて、願い事をする間なんてないようなものだったけれど。

　「私も、愛してる。」

何度目にもなる言葉を口にするのは、それが確かなものだって形に表したいから。
その後も二人でずっと…いつも以上に幸せな一晩を過ごした。*