杓谷　薫

　
お互いの考えが覗けたなら、きっと嬉しくなって笑顔が増えると思う。
そんな関係性を結べたことに、どこか肉体よりも精神的な安堵を得て幸福度が増すことだろう。
それは、覗けない今でもそうなのだから。
　
　
「はい？　ええと、私は別に他に何かないですけど…。
　…何か、やりたい事とかありました？」
　
　
そのままチェックアウトしても構わない。
でも、もし何かあると言うのならリクエストには応えたいし、何か重要な話があると言うのなら聞きたいと思う。
つい、普段はというか今までは肉欲に流されがちだったけれど、今は心が満たされてるからか気持ちに余裕があった。
だから華蓮さんに向き直って…少しだけ真面目な顔つきになる。
そう言えばと思い当たることはあったのだ。
もう、私の中であんまり問題にしていなかったことなのだけど、まだ華蓮さんの中では大きな重石なのかもしれない。