杓谷　薫

　
記録媒体が華蓮さんの指先で壊されるのを見ていた。
私としては少し覚悟を決めてみなくてはと思っていたのだけど、そんなに変な性癖に目覚めてしまいそうな動画だったんだろうか。
まあ、今となっては確認する術はないしその必要もない。
唇を触れ合わせて、それを話した後も鼻先を触れ合わせて。
笑顔の華蓮さんを見つめて私も笑顔を浮かべる。
　
　
「私も。愛してますよ、華蓮さん。
　…これからずっと、愛し続けると誓います。」
　
　
だから安心して欲しい。
守る力には欠けるかもしれないけれど、寄り添って支えて共に歩く事を躊躇わないから。
もう一度キスをして、さらにもう一度。
優しく触れ合わせるキスから、つい舌先を伸ばして濃厚なキスまで。
丁寧に、歯列をなぞり唇を辿り舌先を絡め合わせ頬裏をなぞって。
ゆっくりとしっかりと口腔を味わった後に唇を離せば、二人の間に銀の糸。
それは一瞬で消えてしまうけれど。