エピローグ / 46 ― Blood on Letters ―

46 ― Blood on Letters ―

Am：朋義グリッサ

―深夜―

「あぁ、レイニール様……。」

[豪奢な家具の揃った部屋の中で、ダミアーノ・ビオンティは崇拝する吸血鬼の前で跪き、恍惚とした表情を浮かべていた。
崇拝対象である佳人は豪奢な椅子に腰かけて困ったように笑っているが、その様子は目に入っていないようだった。

美しい吸血鬼をこの屋敷に囲いたい、という彼の願望は数十年の時を経てようやく叶えられた。
まだ以前の旅暮らしが恋しいようだが、いずれ、この生活に慣れてくれる筈だ。

整った美貌に、尊い血筋。
愛する人を探して数百年もの間、旅を続けていたというその愛の深さ。
彼は男の理想だった。

──彼の願いは、男が叶えてみせよう。
従者でありながら主の傍を離れていた吸血鬼などでなく。]

(37) 蒼生 2025/07/12(Sat) 20:39:16

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