エピローグ / 46 ― Blood on Letters ―

46 ― Blood on Letters ―

C＃m：宵月ヴィブラト

「うん？　今回の会期はわりと長いし、
　どこかの日で来てくれたらいいよ。
　それともパパ、実は実家（うち）に帰ったっきり
　ずっとママと一緒に暮らす心算だった？」

[スピーカー越しのカレンの声はあくまで軽く、
　どこか期待を滲ませすらするような調子だったが。
　ヴィブラトは声を低め、淡々と言い切る。]

　いや、それは流石に考えていない。
　あのベネディクトの坊主を置き去りにはできないさ。
　俺が店からいなくなったショックで
　モーラ様に注ぎ込んで破産しないとも限らないしな。

「うん、だよね。ちょっとわかる」

　……、わかるのかカレン。
　それにもし、仮に、今の母さんが
　今の俺を受け入れてくれたとしても、……。

(103) sakanoka 2025/07/14(Mon) 19:45:29

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