エピローグ / 46 ― Blood on Letters ―

46 ― Blood on Letters ―

C♯m：宵月ヴィブラト

[　“亡霊”　がくちびるを寄せて語り掛けても、
　その吐息はガラス窓を曇らせない。
　月が照らし出すように淡く浮かぶその姿を前に、
　皺と節が目立ってきた老婦人の手が、ガラスに触れる。]

「わたしは、あの人に逢えるなんて信じてなかった。
　信じることなんて、できなかった。
　ただ、あの人のことを穏やかに
　思い出せるようになれれば、十分だった」
　

(117) sakanoka 2025/07/14(Mon) 19:56:51

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