エピローグ / 26 ― 境界の先への手紙 ―

26 ― 境界の先への手紙 ―

越境貿易商マーチェンド

　ところで俺は『ウィラード』のあの札束泥棒の話について、札束に爆弾を仕掛けるだとか無理だろ……と考えちまった訳なんだが、これはあくまで“能力”無き倫敦での物語だから、という前提の上だ。
　“能力”ある実際の根源倫敦（エレメンタルロンドン）であれば、これは、そもそも謎解きの醍醐味にすらなりゃしないだろう――「普通に」有り得るんだからな。

　ここで俺が立ち寄った店っていうのが、まさにその類の“能力”遣いの店だった――といっても爆弾を仕掛ける能力とは少し違う。
　無機物に幾らかの炎熱の力を籠める、固有の特性。その“能力”を利用した品を扱う店、ってことだ。

(176) sakanoka 2024/10/01(Tue) 18:48:24

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