26 ― 境界の先への手紙 ―
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リージョン・エンデ
呼びかけに対して、返事は無い。何の音も、建物の中からは耳に届いてこない。
――ああ、もう、あの人は。
俺がそう思いかけた時に、出入り口と思しき戸口の近くから、何かが倒れたような物音
>>299が壁越しに響いてきた。
「……まさか、」
ここでマスクもなしに声と吐息を漏らしたのは迂闊だったが、それを案じるよりも身体が動く方が先立った。
念の為にクロウには背後を頼んでから、その玄関扉を開く。
「コルデリア、さん?」
蓬儡の旦那からの手紙にあった通りの「少女」……というにはもう少し大人に見えるか。実際のところ、病身の所為もあってか年頃はいまいち掴めない。
だが今はそんなことよりも、目の前に、転んだと思しき姿勢で肩で息をしている人がいるってことが重要だった。
歩け……る訳がないだろう。だから、そう尋ねることはしなかった。
(302) sakanoka 2024/10/03(Thu) 00:08:38
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