
32 天使と悪魔R〜パイも恋も焼けます〜
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ユスプラ-ユスティの苦悩編-B
充実した感覚に満ち溢れ、海を眺めながらひとり巻いた葉を吸う。甘ったるい香りが、今は地獄に落ちた人間どもの不快な性の臭いを消してくれればいい。確かに暴力的な快感で満たされたはずなのに、僕はプラムに知られることを、ひどく恐れている、そう自覚させられた気がした。
「……大切にしたいと、確かにそう思っているんだ」
肺に入れた煙が、少しだけ心をほぐした。
鳩色の空の東側に、少しの光が見え始めた頃、プラムと暮らすコテージに戻った。
「おかえりなさい、ユスティさん」
まだ寝ているだろうという予想とは裏腹に、プラムははっきりした声で僕を迎えた。
「コーヒーでもいれましょうか?それとも少し眠る?」
でもユスティさんは、どのみち食べてからですよね、と知った口で卵やウインナーを焼いていくプラムの背を、無言のまま抱きしめる。
「なんですか?ユスティさん、火傷してしまいますよ」
ふふ、と笑いながらこちらを向いたプラムに口付けた。"愛してる"そんな言葉は、この男の前では言えない。それは僕が永遠に理解し得ないはずのものだから。
「……どうして、」
「……?どうかしましたか?」
どうして、君は人間で、僕は悪魔なのだろう。
「いい香りがするな」
「そろそろウインナーも焼けてきましたからね」
ユスティさんはたくさん食べるから、十本も焼いているんですよ。
そう笑うプラムは、僕の香りには触れることはない。(終
(-350) iris_jnr 2024/12/31(Tue) 23:35:06

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