15 Mystic Letters ― ヒトとアヤカシの手紙 ―
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平和な街に、不穏な噂が流れ出す。
人狼――まるで御伽噺のような話だ。
笑い話と馬鹿にする者。本気で怯える者。
反応は様々だが、皆が皆落ち着かぬ様子で過ごしていた。
この人狼署とて、その例外ではない。
1人目、 雛市(ヒナイチ) がやってきました。
雛市(ヒナイチ)は、村人 を希望しました（他の人には見えません）。
2人目、【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) がやってきました。
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)は、人狼 を希望しました（他の人には見えません）。
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
さっむいな今日も！
[閻魔参は、ボア付きのコートを羽織って外に出るや否や
息を白く零しながらぼやいた。]
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
[朝方の澄んだ大気にこだまするのは、冬を生きるヒヨドリの声。
晩秋を過ぎてなお、その鳥の鋭い鳴き声は寒気に響き渡る。
自転車の前輪が、地に還る途上の枯葉を踏む。
道中、閻魔参は振り返るでもなく視線を微かに横に遣った。
その目が掠め捉えたのは、鳥のこだまの中でそよぐ枯れ木の、
枝陰から文字通り顔を覗かせる
閻魔参は、乗っていた自転車を一度その場に止めた。]
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
（火急の用か？）
[閻魔参はくちびるを動かさず、白い息も零さずに木魂に問う。
人間の声ならぬそのアヤカシの答えを聞いた後、
閻魔参は安堵したように表情を緩めた。]
（それならいい。脅かすな。
これから仕事なんで、また後でな。
アイツの家には勝手に上がってていいぞ。
何か文句言われたら「裁判所命令」とか言っとけ）
[こうして閻魔参は再び、自転車のペダルをこぎ始めた。]
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
[一件の郵便局に辿り着き、自転車を所定の場所に停めてから。
勤務前に、古風な赤い丸形ポストに一通の手紙を託した。]
【秘】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) > 雛市(ヒナイチ)
[それは縦長の白二重封筒。冬牡丹の切手が貼られている。
丁寧に折り畳まれ収められているのは
縦書き用の無地の便箋。
文面は黒いインクで綴られている。]
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) から 雛市(ヒナイチ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) > 雛市(ヒナイチ)
雛市
十天堂のロールケーキが買えたので宅配便で其方に送った。
歳暮という訳じゃないが、受け取ってくれたら有難い。
それと今日、国外から来た人狼の道案内をしてやった。
行き先が丁度××町の方面だったから、
もし鉢合わせたならば温かく遇するように。
何かあれば俺の名でも出しておけば何とかなるだろう。
仲春の微かな陽気すらも未だ遠いが、良い歳末を。
〇〇月〇〇日
閻魔参
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) から 雛市(ヒナイチ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
（難儀なモンだな、当世の
[こうして閻魔参は今日も、“主に”人間相手の職場に就く。
電話に電子メール、通話アプリにソーシャルメディアと
通信手段が発展し多様化した現代にあってなお存続し、
書き手の言葉を――想いを届け続けている手紙。
その手紙を取り扱う郵便局に。]
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
＞あなたは人狼を希望しています。ただし、希望した通りの能力者になれるとは限りません。
役職指差し確認。
という訳で、村建て人です。よろしくお願いいたします。
この村の村建てを考えていた際にちょうど、雑談村で秘話通知についての話題が上がっていたので、前例がほとんどないなら（全くないわけではない）試験的にやってみたいと考えて通知オンを採用しました。
元々48h更新の手紙村の試験村という側面もあったので、ダブルで実験要素……参加者さん来てくださるかな……！！？ とドキドキしていたのですが、事前に3名様からCO（キャラ予約）いただけて嬉しかったりほっとしたり。
飛び入りの方にも来ていただけますように……！
3人目、【妖】 雉笛(キジブエ) がやってきました。
【妖】 雉笛(キジブエ)は、村人 を希望しました（他の人には見えません）。
【妖】 雉笛(キジブエ)
今日はハチミツホットクちょうだい！
ハットグじゃないよ、ホットクのほう！
[とある繁華街の路地に面した店頭で、黒いジャケットのフードを被った青年が声を上げる。
未だ覚束なさの残る手つきで財布を開け、何枚かの硬貨を店主に手渡す。硬貨と引き換えに青年が手にしたのは、紙袋に入れられた、蜂蜜とシナモン香るあつあつのホットク。]
【妖】 雉笛(キジブエ)
[国内外から人の集うこの繁華街においては、多少目立つ装いだったり、あるいはこの国のマジョリティの目に「美人」や「外国人」として映る程度なら、人目を惹くことは然程ない。
それでもこの時、この街を歩くこの青年に対し、見ず知らずの視線が幾らかは集まっていた。]
「ねえあの人、なんかさ、なんかヤバくない？
お忍び海外セレブとかだったりしないかな」
「いやナイっしょあんな堂々顔出してお忍びとか、
でもめっちゃイケメンだよね確かに」
[少しだけ遠くで噂する声を、黒いフードと長い銀髪に覆われた耳は聞き拾う。
それから声の主へ軽く振り返って、流し目で、にこりと笑って]
【妖】 雉笛(キジブエ)
ありがと、きれいなオネーサン。
[淀みなくさらっと告げた後、何事も無かったかのように正面へと向き直る。
それっきり「オネーサン」たちや他の群衆の反応にも構うことなく、無心の笑顔でホットクを頬張りながら道を行く。]
【妖】 雉笛(キジブエ)
[やがて、人気のなくなった裏路地に辿り着く。]
……うん、ボクは――
狩りはここの法律で禁止されてるらしいけれど、
狩りをしなくても食べ物には困らないし。
[「雉笛」を名乗る青年はそう小声を漏らす。
そのオレンジ色の虹彩の行き先は、雉笛の背丈よりも少しだけ上方の一点に固定されている。]
このハチミツホットク美味しかったし、
チーズハットグ、味噌ラーメン、ハムパテバインミー、
昆布おむすび、チャーシューまん、みんな美味しかった。
アンタもどう？ 人間のフリして食べ歩きとか。
【妖】 雉笛(キジブエ)
ああ、でも――。
弓も剣も取らず、誰に仕えることもなく、
一人でこの地をただ歩き回るだけの日々は
確かにちょっと退屈だった。
[ホットクの紙袋を空にした雉笛は、本当に人間の気配が途絶えたのを確かめてから、装いを元来のものに変える。
黒のフーディーは、金のブローチで留められた黒いマントに。
ウェストポーチは、剣を佩くベルトに。
ヒトに似た形の肉体の色彩は変わらぬまま、けれども鬼火めいた光の粒子を帯びる。]
あ、知らなかった？ ボクは妖精。
人間だった時もあるけど、今は妖精。
今は許しを貰って
【妖】 雉笛(キジブエ)は、 【妖】 妖精 雉笛(キジブエ) に肩書きを変更しました。
【独】 【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
/*
＞あなたは村人を希望しています。ただし、希望した通りの能力者になれるとは限りません。
こちらでも指差し確認だよ！
【独】 【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
/*
こちらでも！
一般参加枠のほうのさかのかです。よろしくお願いいたします。
キャラ予約、アヤカシ希望しているのボクだけでした ね ……！
今回の村設定でシーリーコートをやってみたかった（＆雉笛チップも以前からずっと一度使ってみたいと思っていた）のでアヤカシ希望で通したんですが、
狼NPCの人間orアヤカシは一応、事前の予約表の内容を見て少なめのほうにしよう、と考えていたので
結果的にダブルアヤカシになってしまった俺とボクです。
4人目、 学生 蛍籠(ホタルカゴ) がやってきました。
学生 蛍籠(ホタルカゴ)は、村人 を希望しました（他の人には見えません）。
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
「ほたるちゃん、変なの！」
[その時私は、初めて。
私が見えているこの子たちが、
お姉ちゃんには見えないんだって知った。]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
……嫌な夢、みちゃった。
[幼稚園の頃の、話。
双子の姉と、公園に出かけた時のこと。
私が見ている世界は、姉が見ている世界と違っていた。
ふわふわ、綺麗な白い綿毛のようなものが
あちらこちらにいて
夏なのに、まるで雪みたいで綺麗だなって思ったから
姉に、綺麗だねって話しかけた。
でも、姉にはそれは見えてなくて。
両親にもそれは見えてなくて。
私は、変な子。変わってる子。って
家族に言われてしまった。]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[それから数年たって
私は変じゃないよって、教えてくれたのは
お母さんのおかあさん。
私の、おばあちゃん。
見えないけれどあるものがある、
自分にも、もやもやしたものが見えるときがあるよ。と
頭を撫でてくれたしわくちゃの手を覚えている。
むかし、むかしのおはなし。]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
「遅刻するよー！」
[双子の姉が、階下から私に声をかける。]
はぁい。
[いつもみたいに、一拍置いてのんびりと返事を返す。
一拍、おくようになったのは。
自分が見えているものが本当に相手に見えてるのか
それを考えるためのルーティーン。
そう考える必要がない時も、こうするのが癖になった。
姉と一緒に、向かう市立の高校。
入学して1年。新入生気分はもうおしまい。
再来年には受験生で、進路も大方決まっているだなんて
信じられない！と姉が叫ぶのを横で私は、聞いている。]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[ ちりん。
鈴の音が近くで、鳴ってる。
可愛い黒猫が、私の脚に頭をすりつけて。
ぴょん！と飛んで塀に飛び乗っていった。
――二股の、しっぽが、ゆらり。]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)
「どうしたの？急に立ち止まって。」
……ううん、なんでも、ないわ。
[あの子は、姉には見えない子。
きょうもまた、言いたいことを飲み込んで。
私は学校に、向かう。**]
学生 蛍籠(ホタルカゴ)が略称を変更しました。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[学校は、今日もがやがや賑わっている。
下駄箱の側面には、うがい手洗いを推奨するポスターが
1か所画鋲を失ってはがれかけ。
置き傘が所狭しと銀の傘立てに突き刺さる。
1クラス30人、1学年6クラスある私の通う学校。
進学するコースが決まっていない1年次は
当然、姉とは別々のクラス。
またね、と手を振って友人の方に駆けてく姉を見ながら。
姉の脛にふわふわの生き物が額をこすりつけるのを見た。
あ、転んだ。]
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
>>14ほたるちゃんのルーティーンにぐっときてしまう。
双子のお姉さんにも見えないというのが切ない。おばあちゃんいてくれて良かった……
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
あとwikiのアヤカシの例の中に猫又を入れていたので
>>15本当に猫又っぽいひと（じゃない)が出てきて村建てはほくほくしています
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
―― 回想：ある季節の妖精界 ――
『 今の人間界はロクな場所じゃないよ。
どこもかしこもオレらが歩むには悪しき世、
「妖精」即ち絵空事、さもなくばモルモット。
オレらがありのまま歩める世界じゃないぞ！ 』
『 我らが知る義は今のヒトの世には有らず、
今やヒトは忘れたり、我らへの畏れの数々。
貴兄がヒトだった頃には確かにありし礼節、
それずら今のヒトの世には遥か過去の筈。 』
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
『 どうか雉笛の君よ、心したまえ。
人の世は遊覧するに留め、勇み足を抑え、
保ちなさい、武者修行などと意気込まぬ構え。 』
『 人の中にはわたくしたちを忘れずに在りながら、
臆せずに害意の矢を放つ者もいるのだから。 』
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
―― 現在：この冬の人間界 ――
……で、こうして許しを貰って、大分前から
人間界をあちらこちら巡ってたんだ。
この街に来たのは半年前？くらい。
[そう相手に話してから、本来の妖精の騎士――「雉笛の君」としての姿を、瞬く間に再び人間の姿かたちに戻す。]
今はまだこの街からは出て行かない心算。
だってこの街、楽しいし美味しいし…――
うん、アンタもそんな辛気臭い顔しないで
居るなら居るで目一杯楽しみなよ？
[雉笛はあくまでからからと笑いながら、視線の先の相手にひらりと手を振ってから歩き出す。]
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
じゃあまたね、幽霊サン。
……安心して。街中でゴミのポイ捨てとか
そういう畏れ知らずのマネはしないよ？
[自分のジーンズのポケットに、空にした紙袋を押し込みながら。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[授業は退屈。
先生の数式を聞くよりも、狐の窓で窓の外を見る方が好き。
窓の外には大樹の枝に留まる小鳥が二羽。
狐の窓を両手の指で作り
覗きこんで……。
なにも、かわらない。]
今日は、普通の子だったわ。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[指でつくった窓を覗きこめば、
違う世界やそこの住民が映ると、おばあちゅんは言っていた。
寂しいとき、退屈なとき。
指の合間から、私は違う世界を探してる。
時々、足が三つある烏だったり。
隣のクラスの子の額に角が見えたり。
別の世界は、一度だけしか見えたことがない。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[ひととちがう自分が嫌で。
ただ、その世界に逃げてしまおうか。
……そんな、弱い心をもった幼い日の私を
その世界の者たちは、歓迎はするけれど
もう少し大きくなってその心が変わらなければと、
仲間にいれてくれなかった。
10年たったよ。
わたし、おおきくなったよ。
まだ、だめなのかなあ。もう、だめなのかな。
この世界は、息が苦しくなるの。
おばあちゃんはもう、いないから。
胸に秘めた秘密は、重さを増していく。]
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
改めて読み直したら、企画ページにも書いてあった！
**だめよのやつ！
見逃してた！ほんとごめんなさあい！
5人目、【人】 妖具屋 深瀬賢 がやってきました。
【人】 妖具屋 深瀬賢は、おまかせ を希望しました（他の人には見えません）。
【削除】 【人】 妖具屋 深瀬賢
どうして俺は普通ではなかったんだろう。
普通なら、こんな惨めな想いをすることも、
家族が死んでしまうことも、
死を願われることもなかっただろう。
本当に、俺は俺が嫌いだ。
【人】 妖具屋 深瀬賢
どうして俺は普通ではなかったんだろう。
普通なら、こんな惨めな想いをすることも、
家族が死んでしまうことも、
死を願われることもなかっただろう。
本当に、俺は俺が嫌いだ。
【人】 妖具屋 深瀬賢
『
いいか、賢。 ㅤ
これからお前は多くの理不尽に出会うだろう。 ㅤ
たくさん傷つくことになるだろう。 ㅤ
そのことで道理を外れることになったとしても、 ㅤ
それは仕方のないことだと儂は思う。 ㅤ
ただ、一つだけ、 ㅤ
言葉だけは、使い方を間違うな。 ㅤ
言葉に傷つけられてきたお前のことだ。 ㅤ
その力はわかっているだろう？ ㅤ
でも、言葉には人を癒す力もある。 ㅤ
お前が儂と倅のことを信用するようになったようにな。ㅤ
お前の大事な物を守るために、 ㅤ
言葉を粗末に扱うんじゃないぞ。 ㅤ』
【人】 妖具屋 深瀬賢
― 早朝、自室。
[早朝の自室。
襖の隙間からこぼれた朝日で目が覚めた。
身体を起こせば、この季節特有の肌寒さに、思わず身体が震えた。]
……まだ、6時か、寝れるな
『二度寝はだめですよ主様っ！』
うるせぇ
[気が付けば、煩い奴が部屋の中に侵入していた。
何度も身体を揺らし大声を出す馬鹿に促され、少し早いが起きることになる。
既に、良い匂いがするってことは、雪の奴も俺が起きたことに気が付いているんだろう。]
【人】 妖具屋 深瀬賢
[制服に袖を通し、縁側を歩く。
空は雲一つない、とても澄んだ色をしていた。]
ああ、今日は
[あの懐かしい夢が、穢された。
そんな気がした。]
【人】 妖具屋 深瀬賢
― 昔々、妖具屋。
ここ最近できたと言われる、道具屋。
場所や店主の名前は全て秘密、何を売っているかも明確な答えは見つからない。
基本的に初見の客の注文は受け付けず、依頼された道具を作り、手紙で送りつけてくる。
そんな不思議な店の名前が、妖具屋。
少年、深瀬賢が細々と営む店だ。
妖具屋が売り出している商品は、客が望む効果を持つ道具達。
例えば、妖を滅する呪術を扱う一族に生まれたものの、呪力の制御に苦労していた少年には、呪力の制御を少し補助する帯を。
人に恋し、妖であることを隠しながら近づいたものの変化の術が不得意で長い時間愛しい人と過ごせない妖の女には、人に化けるのを手伝う赤いリボンを。
人とも妖ともとれぬ、半端な生まれによって友達を怪我させてしまったと悔やむ幼子には、妖としての力を一時的に封印できる髪飾りを。
僅かな希望をもって、願った客達の悩み事を解決するために、ほんの少しだけ力を貸すことができる道具。
それが彼が作ってきた、商品だった。
【人】 妖具屋 深瀬賢
[最初は気まぐれだ。
狐の霊であるコンと共に作り上げた道具、見たくないものを見えないようにするための眼鏡。
今ではもう、あまり効果はないのだが、俺はそういった物を作る能力があった。
その力を活かすことにしたのは、爺さんが死んでからだ。
爺さんは頑固おやじな部分もあったが、その性質は善性に酷く寄っていた。
困っている奴は助ける、裏切られたとしてもそれを仕方ないと許すような人だった。
とても似た親子で、うらやましかったのを覚えている。
だから、何か人の役に立つことをしようと、適当に選んだのが妖具屋だった。
あの人達の息子として、胸を張れるように。
ただ、大々的にやるつもりは全くなく、正直客が来るとも思っていなかった。
それでも客が来たというのは、何等かの思し召しだったのかもしれない。]
【人】 妖具屋 深瀬賢
[ただ、全てがうまくいったわけではなかった。
色々な問題が起きた結果、無制限に客を受け入れるのは危険ということに気が付いた。
それからは、受け入れる客に条件を加えることになった。
俺が、作ってもいいと思った相手。
客と文通のようなものをして、俺が認めたら本当の客として受け入れる。
妖具屋を手伝ってくれていた妖に提案されたそれは、俺の信条に会っていた。
それから妖具屋は一言さんお断りとなった。]
【人】 妖具屋 深瀬賢
― 朝食、食卓にて。
コン、今日は来てたか
『ん？あ、一通来てたよ！』
[手紙が訪れる。
その手紙に込められた想いは、どんなものか。
開けてみないとわからない。
が、まずは食事が優先だな。
仕事の話を食事中にしたからか、この料理を作った本人の顔にしわが若干よっているのが見えている。]
……うまい
6人目、【人】 女将 大祓(オオハラエ) がやってきました。
【人】 女将 大祓(オオハラエ)は、村人 を希望しました（他の人には見えません）。
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［都心部から離れ、喧噪とは一線を画した山間の先に佇む一軒の民家。
古馴染みの建築であれど、手入れの届いた外装の傍らには
木製の立て掛け看板が慎ましく置かれてある。
『民宿 ゆるり』
―――― 掘られた文字ごと罅割れ、年季が入っていた。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［民宿は周囲の自然と共に在り、四季折々の色合いを見せる。
春はそよ風と共に不如帰の声が耳を掠め、
夏は木々の隙間から零れ落ちる日の光の鋭さが
小川の底まで突き刺していく。
茹だる熱気が和らげば周囲の青さは暖色を帯びて、
遠くから地面を踏みしめる音に乾きが混じっていき、そして。］
おや、いらっしゃい。
今日もほんに寒いねぇ。
［袖から覗いた皺びれた手を擦り合わせながら、顔を出す老婦。
民宿ただ一人の女将は今日もまた目皺を深め笑みを零した。］
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
/*
大変遅くなってしまいすみません……！
どきどきそわそわですが楽しみたいと思います！
粗相がありましたらすみません。
村の設定が変更されました。
村の説明
参加制限
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
【飛び入り歓迎】を村名に入れようとしたら怒られた
48バイトまでですね……おぼえる……
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
[この街の一帯は、曜日を問わず、昼も夜も賑わいが絶えない。
日中には国内外からの観光客らが、グルメやショッピング、娯楽を求めてこの街を訪れる。
陽が落ちれば、星月も霞むほどにネオンが通りを輝かせ、仕事終わりの人々も集う夜の歓楽街となる。
そんな表通りの雑踏の喧騒も幾らか掻き消される、隙間一歩手前の裏路地は、日中にあってもほの暗い。
雉笛は、一件の建物の裏口扉から屋内に入り、近場のゴミ箱にポケットの中の紙袋を投げ入れた。
足音鳴らないスニーカーを履いた足が行く先は、このビル内の店舗――とある書店のバックヤード。]
お疲れ様です、ご主人！
……遅刻じゃないですよね？
[壁に掛かった時計の針を見やってから、うん、と雉笛は今一度頷く。]
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)
「雉笛くん、その時計、15分遅れてる」
え。
「だからスマホちゃんと持てって言ってるのに！
とにかく急いで。今レジの方の手が足りないんだ」
は、かしこま――…、今行きます！
[書店の主人の告げた事実に、雉笛は慌てて着替えを始める。
フーディーを脱いでロッカーに放り込んでから、店貸与の黒いエプロンをカットソーの上に羽織る。
胸側に垂れていた目立つ三つ編みも、背の方へと戻して。]
【妖】 妖精 雉笛(キジブエ)は、 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) に肩書きを変更しました。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[その書店の店構えは、昼も夜も騒がしいこの街の店としては幾らか地味な雰囲気。別の言い方をすれば「シックでおしゃれ」。
白壁に木目調を基調とした内装の、決して広くはない店舗。
黒地の看板に、『春鳥書店』の店名が白字で綴られている。
ビル一件全てを店舗とするような大型書店も近場にある中で、それでも春鳥書店には日々客が集う。
ある客曰く「品揃えに店主のこだわりを感じる」。
別の客曰く「落ち着いた雰囲気に癒される」。
また別の客曰く「ソファでちょっと休憩できる」。
中には「ここの通販で本を買ってから、実店舗にも行きたくなった」なんて客も。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[さてこの個人経営の書店だが、他の書店の例に洩れず、文房具のコーナーも併設されている。
その中には季節のポストカードや、個性的なレターセットも。
「どうして本じゃないモノも売ってるの？」
かつて雉笛が素朴にこんな疑問を零した時は、店主から世知辛い理由を聞かされたものだったが……。
一方でオンライン通販の際、店主が商品の他に手書きの手紙を添えて発送している様も近くで見てきたものだから。
自然、雉笛の関心は、本だけでなく「手紙」というモノへも向かっていた。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[雉笛が『春鳥書店』で働き始めたのは、この街に来てまだ日が浅い今年の夏のこと。その経緯については今は置いて――。
書店での仕事を通じて「手紙」に興味を抱いた雉笛は、ある秋の日に、半ば戯れに手紙を書いていた。
郵送料は（ついでにいえば文房具代も）きちんと自分の給金で払ったものの、ポストに入れたその手紙を郵便局がきちんと取り扱ったかは定かでない。
どこかで気のいいアヤカシの関与があったなら、気を利かせてどこかしらに届けに行くこともあったかもしれないが。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[この手紙が何時あなたの元に届くかは分からない。
明日のことかもしれないし、今年の秋から冬にかけての何時かだったかもしれない。
もしかしたら、届くこと自体、無いのかもしれない。
クリーム色の紙にオレンジや黄色の椛の模様をあしらった封筒。
リスの絵を用いた切手が貼られている。
しかし、宛名書きや差出人名は記されていない。
便箋には封筒と同様の椛の模様が印刷されている。
黒いインクで綴られているのは――人間界の何処でも使われていない不思議な文字。
けれども並の人より強い霊感のある者であれば、記された文章の内容は不思議と解るだろう。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
はじめまして こんにちは！
この手紙が読めるアナタなら、
ボクがアヤカシだって言っても
疑わないでくれると信じるよ。
ボクは妖精。遠い妖精界の騎士。
妖精の騎士としての名前は、雉笛の君。
今いる国では、
アナタの呼びやすい名前で呼んで欲しいと願う。
ボクは妖精であることをアヤカシには話せる。
けれども人間には話せない体たらく。
もしアナタがボクらを嫌わない人間なら
アナタとは隠し事なく共に居られるのかな？
もしも気が向いたら返事して。
人間の文字はだいたい読めるから安心して。
雉笛の君
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[便箋の他、生成りの紙の名刺も1枚同封されている。
名刺には『春鳥書店』という店名と現住所が日本語で印字されている。そして書店のサイトのURLに被る形で、手紙の文面と同じ不思議な文字で「ボクはここにいる」とも。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
なるほどこれが秘話の壁（通知メッセージを見ながら）
3つめは本当短い文章なんだけれどね……1発言は1発言だからね……
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
あ、あれ？？？？ 村建てメモのURLが前の手紙村のwikiになってるな！？？？
これ前もやらかしたミスだな……反省……。
情報欄の方は大丈夫。よし。
今すぐ直したいけれど、たった今雉笛くんで顔出ししてしまった所為でちょっと今すぐには出づらいな……もうちょっと……だけ……。
いやもう村建て透けてそうな気もするけれど……。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[期末考査が近くなれば、部活動はお休み。
私は部活に入っていないけれど、活発な双子の姉は
チアリーディング部に所属している。
普段であれば帰宅時間が重なることはないのだが
今日は珍しく、姉が教室に訪れて
一緒に帰ろう。と声をかけてきた。
帰り道。
電信柱の影のあなたは、みないふりして。
シャーペンの芯やマスキングテープが欲しい姉の訴えで
商店街の一角にある文具屋に足を運んだ。
姉は、ラメシールやらに興味を惹かれ
買い物したい物品のことを頭の隅に追いやっていそう。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[ふと、目をやったのは文具屋の隅の棚。
赤と白のセールの文字が躍るシールとともに
数十種類のレターセットが置いてあった。
ふと、その1つに指を伸ばす。
なんで手に取ったんだろう。
自分でも、わからないけれど。
その便箋が、封筒が。
ほしいな、って。思ったから。
私が先に買い物を済ませたころ、
必要物品以外しこたま買い込んだ姉がやってくる。]
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
＞入村人数に関わらず、12/9のAM10:00まではプロローグ期間を取ろうと考えています。
＞これ以降は最低人数が揃い次第、次更新時刻に開始を検討します
wikiのこれ、最短での開始が12/10であるようにも読めるな……。深瀬さんと大祓さんが>>A8に気づいていない可能性があるし、飛び入りさんをもう少し待ちたい気持ちもあるので、今日開始にはしない方がいいかもしれない。
元々、遅くとも12/11開始とは書いているので、大丈夫な筈。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 今年の夏の初めの記憶 ―
[長雨の合間の晴れの日、その黄昏時。
相当な湿度と中途半端な温度に、異邦の妖精の不快も募る。
表通りのそのビルの前を通りかかった丁度その時。]
「待ちなさい！」
「万引きだ！」
「捕まえろ！」
[怒号。足音。何かが崩れる物音。
自動ドアから飛び出る、何かを抱えた影一つ――。
現代の人間らしく考えるよりも前に、戦う者らしく身体が動く。
ヒトの姿をしていた雉笛は、けれども並の人間なら持ちえない俊敏さで、ビルから飛び出た人影に飛び掛かる。
石畳舗装の歩道上で、逃亡者は呆気なく――実に呆気なく、雉笛に取り押さえられた。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
逃げられないよ。
[抱えていた本を手放したまま動けない若者に対し、雉笛はそう笑い――『勇み足を抑えよ』と、人間界に行く前に言い含められていたことをふっと思い出す。]
（ ボクは今、人間の姿をしている？
……うん。人間の腕。大丈夫。大丈夫だ。 ）
[程なくして近づいてくる、店員たちの足音。野次馬のざわめき。パトカーのサイレンも。
こうして万引きの現行犯が警察に引き渡された後、被害に遭った店――『春鳥書店』の店主から感謝を告げられた。
これが、雉笛とかの店主との最初の邂逅だ。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[それから遠くないうちに、雉笛は気まぐれに、再び『春鳥書店』の前を通りかかった。
ふと店頭に目を遣れば、掲示されていたのはアルバイト募集の張り紙。この手の求人の広告はこれまでの周遊でも目にしてはいたが、何故かこの時は意識が強く惹きつけられた。
それがあの事件の影響だったのか、本当にただの気まぐれだったのか、当の妖精にもよく解っていない。]
「ああ、君、あの時の――！
あの時は本当に、ありがとうございました。
ちゃんとしたお礼もまだできていなかったから、
またお会いできて良かったです」
[再会した時の店主は本当に嬉しそうな顔をしていた、と雉笛は覚えている。
その印象に違わず、アルバイトの面接の方も順調に進んだと思われたが――]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「雉笛くん……失礼、雉笛さん、大丈夫？
もしかして、家に居づらいとか、あるかな？」
居づらいというか、（人間界に）……家は無いです。
たまに家に泊めてくれる人に出会ったり、
お金貰った時に民宿？に泊まったりはしたけれど。
ホームレス、っていうのかな、これ？
[住所は「なし」、携帯電話番号は空欄の履歴書を見せながらの問答。
柔らかい物腰ながらも硬い面持ちの店主に対し、雉笛は少しだけ言い淀みながらも、至って明るく答えていた。
店主は暫くの間だけ思案した後、雉笛の採用を決めた。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「それと、泊まるところが無くて本当に困った時は
ウチに駆け込んできていいからね」
「あ、ううん。私の家って意味だよ。
住み込み寮があったら本当は良かったけれど……。
今年も酷暑になるって話だから、無理はしないで」
[さて、これを雉笛が知ったのはもう少し後のことだが――。
『春鳥書店』は書店としての顔の他に、「居場所のない子」の逃げ込める場所という側面もあるとのこと。
照明や装飾を抑えめにした落ち着きある空間や、静かに寛げるソファの存在もそのためなのだとか。
過去にもそうした「居場所のない」若者をバイトとして雇用したことがある、とも。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「みんなをみんな面倒見切れるわけじゃ
流石にないんだけれどね。
今ならまだ余裕あるから、大丈夫。
あと、スマホは本当に持ってた方がいいからね……」
[こうして雉笛は、時にこの店主の自宅を頼りながら、この賑やかで雑多な繁華街に留まって暮らすようになる。
多少（？）の遅刻はあれど欠勤は無く、基本的な接客や書棚整理、取り扱う本の種類の把握もすぐに身に着けていった。
とりわけ力仕事に関してはどのスタッフよりも頼りになる、とは多くの店員からの評。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[秋の頃へと季節が移ろい、「手紙」を書き始めた頃。
雉笛の頭にふっと思い浮かんでいた、とある一人の顔。
その人に、今の己のことを報せようとして――]
う、……ううん？
何か違う、この字。
[この手紙を綴るのに、雉笛の君はひどく苦戦をした。
現代の人間の言葉は相手に合わせて自然と話せるし、読むことも、書くこともできる。できるのだが、それは必ずしも「ペンで上手に綴れる」ことを意味しない。
なまじ言語の理解ができるだけに、納得のいかない己の字に不快が募り――。
最終的にその手紙をポストに投函できたのは、季節が冬へと進んだつい最近のことだ。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
[この手紙が届くのは、冬が始まってからの何時かの日。
届くのは明日かもしれないし、今日よりも少しだけ前の日のことだったかもしれない。
銀鼠色の紙に、白い六花の雪の模様があしらわれた封筒。
赤い梅の絵が描かれた切手が貼られている。
黒いインクで宛先が記されているが、漢字も平仮名も郵便番号の数字も、全てぎこちない文字で綴られている。]
民宿 ゆ る り 様
[宛名書きには、そう綴られている。
封筒裏にやはりぎこちない文字で書かれているのは、『春鳥書店』の住所と「雉笛 りょうま」という氏名。
便箋に使われている紙は落ち着いた白色で、印刷されている六花の雪模様は封筒と同じ銀鼠色。
その本文は、封筒上の文字と同様、拙くたどたどしい文字の日本語で綴られている。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 女将 大祓(オオハラエ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
女将 さん
お久しぶりです。お元気ですか？
今年の春に お世話になった 雉笛です。
あの時は 外国からの旅人のぼくを
（名前だけは この国の人みたい だけれど）
泊めてくださって ありがとうございました。
あの後 ぼくは、夏から ××町の
春鳥書店で 働きはじめました。
お金が 溜まって まとまった休みも取れたら
また 女将さん の宿に 行こうと思います。
××町は 食べ物が美味しくて
いつも お祭りみたいで 楽しいところです。
店長 さんも 仕事では厳しいけれど親切です。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 女将 大祓(オオハラエ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
けれども 女将さんのいる 静かな 山間の
鳥の歌や やさしい風も 心地よかったです。
ぼくの 故郷では ないけれど
それでも 懐かしいと 今でも思います。
女将さんの あたたかさの お陰も あるのかな。
年の瀬の頃は皆、 特に 忙しくなると聞きます。
宿のお仕事も 大変かもしれないと 思います。
寒い日が まだまだ 続きますので
お体に お気をつけて お過ごしください。
雉笛 りょうま
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 女将 大祓(オオハラエ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[私や姉が小さいころ。両親は遊園地やプールなんかに
私たちを連れて遊びに行こうとしたことがある。
でも、両親や姉が行きたい場所はいつも
こわいこわいものが多いのを、知っていた。
足を引っ張ろうとする黒い影。迷子に誘う、怪しい手
そういったのが見えるからこそ、行きたがらない私は駄々をこねた。
最初はしょうがないなと中止にしていたけれど
何度も続けば、両親と姉は私を置いて3人で遊びに行くようになった。
そんな現状を見かねてか。1人家に残される私に同乗してか。
おばあちゃんは私を、こわいものがいない場所に
よく、連れて行ってくれた。
山間の民宿は。そんな場所の1つだったように思う。
確か季節は、春先で。
けきょけきょと鳴く鳥は何かと、おばあちゃんに尋ねたり
都会とは違い、地面を歩けば砂の擦れる音がした。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[その民宿は、女将の優しさが詰まったような
何処か安心する場所だったのを、覚えている。
女将は、どこかおばあちゃんの雰囲気に似ていた。
おばあちゃんが亡くなってからは、ご無沙汰しているけれど。
あのひとは、元気だろうか。
少しだけ、過去の思い出に触れたくて。
私はシャープペンシルを手に取った。]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
[確か民宿の住所はここだったような……
過去、祖母が予約していた民宿の住所を
雪の結晶の透かし模様の入った封筒にしたためる。
便箋も封筒も、全体的に淡い水色。
便箋の左端には、おおきいのとちいさいの、雪うさぎが2匹
ちょこんと座っている。
切手はちゃんと貼ったし、名前も書いた。
椎葉 蛍籠。
椎葉 曙と一緒に来客帳に記帳された名前に憶えがあるのなら
受け取ってもらえるだろうか。
――それとも、もし私が住所を間違っていたら
私が泊ったのは似たような別の民宿だったのかもしれない。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) から 【人】 女将 大祓(オオハラエ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
こんにちは、おひさしぶりです。
祖母と、其方に何度か宿泊させて頂いたことがあります。
自然が豊かで、とてもすてきな場所で、
2人で楽しく過ごさせていただいたことを覚えています。
春先や夏にお邪魔することが多かったので、
秋や冬はどんなものが見れるのでしょう。
まだ、山では不如帰は鳴いていますか？
民宿の看板は、昔のように木目が美しいままでしょうか。
少し前に祖母が亡くなり、
ふと其方の宿での思い出を思い返し、
筆を執らせて頂きました。
もしお時間がありましたら、
文字でのお話にお付き合いいただけたら、幸いです。
宿泊した宿を間違えていたら、ごめんなさい。
蛍籠
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) から 【人】 女将 大祓(オオハラエ) へ、秘密のやり取りが行われました。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
ほたるちゃんが 女将さんにお手紙書いてる！！！！
（はしゃいでいる人）
今までの通知なしの手紙村でも、表ログの内容から誰が誰に手紙を送った（らしい）か推測できることはありましたが、こうして通知メッセージではっきりと秘話の存在が分かるとまた違うというか、
「あの人宛てに見えるけれど実は違うんじゃ……」というもだもだが無くなりながら、けれど「何のお話してるんだろう？」のドキドキを得られるのが不思議と嬉しい、と率直に感じましたね。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
あ、あと
>>47
ほたるちゃんにすごくキュートさを感じてきゅんとしてる中の人です。
お姉ちゃんの対称性もいいなあ。
7人目、 【妖】作家 添木(ソエギ) がやってきました。
【妖】作家 添木(ソエギ)は、村人 を希望しました（他の人には見えません）。
【妖】作家 添木(ソエギ)
―朝・自宅―
……君とももうすぐお別れですね。
今までお疲れ様でした。
[洗面所を出てきた青年は眉尻を下げながら、玄関口の手前に置いた家電製品を労わるように撫でた。
引き取りの手続きを済ませたので、数日後にはこの家からいなくなってしまう。
モノを見送るのに慣れてきてしまっている己が、少しだけ哀しい。]
【妖】作家 添木(ソエギ)
[先生は物持ちがいいですね、と担当者は言う。
折角生み出されたのだから出来るだけ長く使ってやりたい。
たとえ、百年長らえる事が出来なくても。
最近はすぐに新しいモノが出回り、買ったモノはあっという間に型遅れ品になってしまう。
長く使おうにも修理する部品が無くなってしまえばそれも叶わない。]
【妖】作家 添木(ソエギ)
[添木 芳文は和風ファンタジー作家として三年前にデビューしてから、ジャンル内ではそこそこの知名度を得ている。
彼を評価する者曰く、情景描写がまるで見てきたかのようだと。]
（実際に見てきたのです。
──なんて、とても言えないですが。）
[参考文献を取り寄せたり、取材をしたり、専門家に教えを乞うたりもしているが、根本は実際にその時代を肌で感じてきたのだ。
それは決して、人には話せない事だけれど。]
【妖】作家 添木(ソエギ)
[添木の本性は付喪神である。
かつて手足を持たないモノが、歳月を経て人の身を得たもの。
人の姿を取れるようになってからは、ある時は貴人に仕える使用人、またある時には商人として、この世を渡り歩いてきた。
この作家としての生も、数多重ねたうちの一つ。
よき隣人として違和感を抱かれようになれば、変えなければならない仮初のもの。
かつてはアヤカシの数はもっと多かった。
夜も灯りが絶えなくなり、隠れ住む余地は少なくなり、人に上手く紛れなければ、この世界で生きていく事が難しくなった。
そうした状況でも異界に住もうと思わないのは、添木の本体が人の手で作られた故に、人の傍にありたいに思ってしまうのだ。
彼自身が駆除の対象となるような脅威を持っていないのは幸いだった。]
【妖】作家 添木(ソエギ)が略称を変更しました。
【妖】 【妖】作家 添木(ソエギ)は、 【妖】 作家 添木(ソエギ) に肩書きを変更しました。
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
添木さんだ！！ 飛び入りありがとうございます！！！
しかもアヤカシPC！！（今まで自分だけだったのではしゃいでいる顔）（いや人妖バランス考慮は不要にしていたのだけれど、つい）
人間界にいる理由が本当に付喪神らしくていいなあ……
>>57モノとのお別れにもすごくぐっとさせられてしまって もう……！
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 今年の冬の、つい最近のこと ―
[この町は、賑やかで、雑多で、華やかで――行き場のない人間が辿り着く街でもある。それはアヤカシも同様らしい。
元いた地域や異界を離れざるを得なかった妖しの者然り、この街で不慮の死を遂げた者の幽霊然り。
それ故にかこの街には、そうしたアヤカシたちが、文字通り人知れず集う場所が幾つかあった。
例えば、大都会のビルの谷間に今も残る小さな神社。
あるいはこんな、飲み屋が軒を連ねるうちの一件。]
今日はビールと焼き鳥ちょうだい！
[雉笛はヒトとしての見目も存在の年数も、居酒屋の出入りに支障が無かったため、この店にもしばしば足を運んでいた。
ちなみにこの飲み屋の主もアヤカシのひとりで、「昔は山で調子に乗っていた天狗」との話。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「しっかしあんたが本屋のバイトとかさ～。
その顔とその……愛嬌なら、
もっと別の職場の方が似合うじゃん」
何想像してるの。言わなくていいけど。
[その晩は、ヒトの姿を纏った文字通りの「蝶の霊」の客と、こうして他愛なく話していたのだが]
――…それで、ご主人、じゃなかった、
店長から最近言われるんだ。
家に泊まりに来てる時くらい、
「ご主人」でも「店長」でもなくて
名前で呼んでくれていいのに、って。
[雉笛がこの話をした時、蝶の霊は頬杖をつきながら、幾らかの間を置いて呟いた。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「あのさ、キジくん。
さっきあたし『愛嬌』って言ったけどさあ」
[それから、さらに話は続き――]
………………。
「――こういう手合いの『駆除』に躍起になってる
人間集団もいるからね。マジで。
っていうかキジくん、気づいてないと思うけど、
ここの
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
……そう。じゃあ、ボクは何をすればいい。
春鳥書店の仕事も何も、全部放り出して、
すぐさまにこの街を出ていけってこと？
[項垂れる異邦の妖精と、言い淀む蝶の霊。
このやり取りをカウンター越しに黙って聞いていた飲み屋の主は、その場で書いたと思しき一枚のメモ書きを雉笛に差し出した。
鉛筆の鈍色で記された文字に、妖精は目を見開いた。]
……うん。ボクは、まだ、
この街で暮らしていたい。それに――…
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[この出来事の後、雉笛は一通の手紙を書き始める。
かじかむ手でペンを執り、文章の記載にまた苦労をし――。
漸く手紙をポストに投函できたのは、今朝になってから。
用件の筆記に必死になりすぎたが故に、時候に纏わる挨拶をすっ飛ばしたことには気づいていない。
……さてこの手紙も果たして、郵便局が取り扱うか否か。
見る者が見たならば、一般の人間の常識を超えた助けの手を差し出すこともあるのかもしれない。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 妖具屋 深瀬賢
[銀鼠色の紙に、白い六花の雪の模様があしらわれた封筒。
フクロウの絵が描かれた切手が貼られている。
しかし宛先の住所は記載されておらず、差出人の名や住所も書かれていない。]
妖 具 屋 様
[封筒にはこの宛名だけが、黒いインクでぎこちなく綴られている。
便箋に使われている紙はは落ち着いた白色で、印刷されている六花の雪模様は封筒と同じ銀鼠色。
その本文は、宛名と同様、たどたどしく拙い文字の日本語で綴られている。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 妖具屋 深瀬賢 へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 妖具屋 深瀬賢
妖具屋 様
こんにちは、はじめまして。
わたしは、 雉笛の君 と申します。
単に 「雉笛」 と呼んで 構いません。
わたしは 妖精界から この国に来た妖精です。
この国の 人々や アヤカシにとっては
あまり 馴染みのない 種族だと 思います。
この度 ××町の 赤帯の女天狗 様から
ご紹介 いただきました。
わたしの依頼は あなたが 引き受けるに
値しない かもしれないことを 承知の上で
妖具屋 様に この手紙を お送りします。
さて、妖具屋様 に お願いしたい品ですが、
わたしの近くにいる人間を 魅了し
虜にする妖気を 抑える 物品を
お作り 願えませんでしょうか？
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 妖具屋 深瀬賢 へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 妖具屋 深瀬賢
今 わたしにとって 大切な人間に
妖気が 悪い影響を与えていると 思しいのです。
常日頃、仕事などで 顔を合わせている故でしょう。
誰かの 愛を受けること自体は 望ましい。
けれども その人は わたしの仕える主であり、
行き場なき 他の人間の子をも 救おうとする人。
あの人をわたしだけの 虜にして良いわけがない。
そして わたしが暮らす××町の 他の人間たちに
影響が出てしまうのも 望ましくありません。
××町で 平穏に 暮らし続けるためにも
お力添えをいただけたら 幸いです。
わたしについて更に ご存じになりたいことが
ございましたら ぜひお尋ねください。
それでは 何卒 よろしくお願いいたします。
雉笛の君
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 妖具屋 深瀬賢 へ、秘密のやり取りが行われました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 妖具屋 深瀬賢
追 伸
封筒に 名刺を 一枚 同封いたします。
もし お返事を いただけるようでしたら、
名刺に記載の 住所に 「雉笛」宛てで
お手紙を お送りください。
[同封されている生成りの紙の名刺は『春鳥書店』のもの。
店名の他、書店の現住所が記載されている。
住所の下には書店のサイトのURLも印字されているが、所々黒いインクの染みがついてしまっており、正しいアドレスを読み取ることはできないだろう。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) から 【人】 妖具屋 深瀬賢 へ、秘密のやり取りが行われました。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[こうやって、無自覚の事実を突きつけられた衝撃を経ていながら。
今日の陽が高く上る頃にはもう、通りすがりの人間に涼しい顔で「愛嬌」を振りまいてしまっている、そんな妖精だった。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 今宵の『春鳥書店』 ―
[ネオン賑わう街の店らしく、この書店の閉店時刻は幾らかだけ遅い。
仕事帰りにふらっと立ち寄る客。通りの煌びやかさを避けるかの如き客。客の顔ぶれはそれなりに様々だが――。
この書店を主に飾るのは文学。
古典から現代作品、国内文学から海外文学。他の書店ではあまり見かけない珍しいタイトルも。
作風はリアリズムも、ファンタジーも、或いはその両方を確かに伝えるものまで。
こうした文学の品揃えの共通点について、今日訪れたスーツの客のひとりから問われた時、レジカウンターの雉笛はこう答えていた。]
店長が売りたい、広めたいと思った本ですね。
あとは、読み手の心の支えとしての物語――
そうした役割を担える本も揃えています。
[ちなみにだが、文学以外の書籍も扱ったコーナーもある。
エッセイ、芸術、宗教、心理学、料理の本……等々。
これらの選出基準も、ここで雉笛が話した通りなのだとか。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[ところで書籍を売るための効果的な手段として、手書きポップが挙げられるのだが――。
書店でのおおよその業務をこなし、力仕事や外国語対応に至っては主力ともいえる雉笛が唯一明確に苦手としていたのが、この手書きポップ作成だった。]
（ 字、上手いなあ……皆……
人間の字、なんでこんな書けないんだろ。 ）
[どんな宣伝文句も、読みやすく整った字で書かれなければ意味がない。
業務の間、ちら、ちら、と――。
本の魅力を的確に届ける文字列に、妖精の目はつい泳いでいた。]
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
今すっごく魔術的リアリズムってワードが過っているのだけれど
添木さんの作風>>59をこの言葉で語っていいのか悩んでいる
書店員として作家先生とはお話したい したいのだけれど ！！
【妖】 作家 添木(ソエギ)
『浪の下にも都の候ぞ』
[祇園精舎の鐘の声より始まる物語。
“何処へ行くの？”と問う幼い帝に、彼を抱く二位の尼が“極楽浄土へ。”と答え、急流に身を投じるシーンだ。
それは幼いながら死を迎えなければならない帝を安心させ、また慰める為の言葉であったのだろう。
極楽浄土ではないが、人の手に及ばない領域にある故に、観測されていないだけで海にも異界は存在する。
古代には海の向こうには常世の国と呼ばれる理想郷があると信仰されていたし、浦島説話でも亀に連れられて向かった先の異界について記されている。
異界で三年過ごした後、元の世界に戻ってみれば数百年が経過していたというのが概ねの流れだ。
当初は亀と共に船で辿り着いた先であり、亀に乗って竜宮に辿り着くのは、近代の事ではあるが。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[添木の今書いている小説は『龍宮シリーズ』と呼ばれている。
短編を幾つか書いた後に、シリーズ化しようという話になったものだ。
海には異界に通じる門があり、その先には今も中世文化のままで人々が暮らす国が在る。
海神の許、行政機関としての龍宮があり、帝とその臣下が執務を執り行っている。
龍宮に住まう帝は平家の血筋を今に伝えていた。
そこに現代で育った主人公が入り込んでしまう、いう話だ。
船舶の技術が発達した後も、水難事故で亡くなる人も多い。
見つかっていない人々が暮らす場所があっても良いのではないか、というのが走りだ。
実際の異界について記したわけではないが、“海”から感想を貰った事もあった。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[手足を得る前から嗅いできた墨の匂い。
それが恋しくて、人のふりをして暮らす中で、幾度か書物に携わっている。
世界がアヤカシに対してもっと寛容であった頃には共著という形で人と本を出す事もあった。
勿論、当時とは名義を変えているが。
また何か書きたいと思ったら、いつの間にやら電子書籍という物が流行っていた。
今では電子書籍でしか読めない本もあるらしい。
少し寂しく思いつつも試しに電子の海に投げ込んでみたら、作家にならないかとの声が掛かった。
電子書籍かと思いきや、書籍も出ると聞いて、嬉しくてその話を受けた。
装丁は編集者に一任しているが、美しい絵が届いた時には思わず感謝のメールを送ってしまった。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
あぁ、そういえば便箋がもうすぐ切れそうですね。
また買いに行かなければ。
[パソコンの扱いにも随分と慣れたが、手紙が好きだ。
携帯電話でのやり取りが主流な中で、自分の手で文字を綴るのがいい。
作家になってからファンレターを受け取るようになり、有難いと筆跡を何度も辿り、執筆の合間にきちんと返事を出している。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[帰り道に食べるコンビニの肉まんは、背徳の味がする。
学生の買い食い事情。
冬になるとレパートリーで選ばれることが多くなる代表格。
なお、次点は80円セールのおでんとする。
夏になるとアイスクリームが圧倒的上位を占めるのだが、
通年、となると多分から揚げとかが一番になりそうだ。
何が言いたいかというと。
1日140円近くを消費していれば、あっという間にお小遣いは底をつくというわけだ。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
「ねぇほたるちゃん。おねがい！1000円でいいから！」
……私、先月貸した分、返してもらってないんだけど。
[とはいいながらも、
余裕のある財布から夏目漱石を取り出して姉に渡す。
部活動で遅くなれば当然帰宅までに腹が減る。
だから、帰宅部の私が余って、運動部の姉がかつかつなのは当然の結果なのかもしれない。
財布を覗き込む。
……姉に渡した分を差し引いても、まだ余裕、ありそう。]
……何か、暇を慰めるもの
買ってみようかしら。
[例えば、本、とか。]
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
おや、此処に泊まるために来たのかい。
遠路はるばる来てくれてありがとうねぇ。
道には迷わなかったかい？
ほら、人里からちょっとばかり離れているでしょう？
［戸口が開けば、凍えを拭うような暖かさが身を包む。
張り付いた表情が解けるのを覚えるも
穏やかな女将の視線にふいと背けてしまった。
靴棚の上の花瓶には、黄色いスイセンが生けられており
玄関を上がれば民家にしては広めの廊下を案内される。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
……ほうほう。
携帯で調べようにも、圏外だったと？
おやまぁ、不便でごめんなさいね。
私も娘から心配だからとこうして貰ったんですがね、
この山奥まで電波が繋がっていなくって。
［そう立ち止まっては、女将が割烹着の中から
取り出したのは赤のスマートフォン。
向けられた画面には同様に圏外の二文字が書かれていた。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
ふふ、……そうですねぇ。
だからこそ、此処に訪れたくなる。
そうおっしゃるお客さんは、確かにいますよ。
［眉を下げて此方へと微笑む眼差しは何処か優し気な、
温かみが込められているかのように覚える。
心の淵をなぞるようなその温度は然し踏み込むことはなく
程よい距離感の中で視線は逸れ、再び歩み始めた。］
……こんな山奥だから、お客さんもそうそう来ませんで。
今日は貴方様、お一人です。
どうぞ、ゆっくりしていって頂戴。
［奥の襖で仕切られた一角で、隣の女将は立ち止まる。
今日寝泊まりするであろう部屋が開かれると
畳の匂いがすんと鼻腔を潜り抜けていった。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［およそ十畳ばかりの和室と襖を隔てた先の広縁は
手荷物を置いても一人で寝泊まるには広く感じるもの。
広縁に備えられた椅子へと深く腰掛けたまま、
硝子窓の隔てた先の景色を眺める。
見上げれば聳え立つ山々の頂きは白さを塗しており
その先には蒼さを薄く溶かした空が橙に呑まれていた。
ふと、ノックの音が鳴り、其方へと顔を向ければ
正座をして襖を開ける女将の傍らに数冊の本が見える。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
お食事も、お風呂ももう少し待って頂戴ね。
外も寒いから、きっと中にいらっしゃるだろうと思って
ご本を持ってきましたよ。
［丁度良い気候なら、外の景色の散策を薦めるがとのこと。
机に置かれていた御着きの茶菓子の傍らに、
一つ一つ本を並べられていく。
小説に一昔前の雑誌、エッセイにと
――――其処で、はたりと女将の手が止まる。］
あらあら、ごっそり取ってきたものだから。
［苦笑混じりの言葉に、何かと目を見遣れば 最後の一冊
その本は刊行されている様相はなく
雑誌の大きさと等しくも分厚いものだった。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
お越しになった方との写真が詰まったアルバムなんです。
記念に、と よくお客様と撮って頂くのと一緒にだったり、
はたまた私の方からお誘いしたり、と。
ふふ、未だに携帯の操作は慣れませんが
カメラ機能というものはお手の物になりましたよ。
［アルバムに綴じるためには娘に頼らないとなりませんが。
そう呟き アルバムを女将は机から下ろそうとする。
その様へと呼び止めていたのは、無意識のことだった。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
……あら、ええ。構いませんとも。
ふふ、でも 私も映っているから何だか気恥ずかしいねぇ。
［口元を割烹着の袖口で隠しながら微笑む女将の隣に腰掛けて、頁を捲っていく。
片や男性との写真であったり、片や瓜二つの姉妹の映る家族との写真であったり。
様々な客層と一緒に穏やかに笑む女将、だが 一方で。
隙間を空けて映る女将ただ一人の写真をも、まばらに貼られていた。］
一人に見えるかい。
……そうだねぇ、写真は一人ですものね。
［女将は目を細めてその隙間を指の腹でなぞっていく。
何処か懐かしさと慈しみを混ぜ合わせ、その記憶を辿るかのように緩やかに。
まるで、其処に何かが〝在った〟かのように。］
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
自動放出についての言及は要らなかったな……。
突然死と違って、万が一放出されても入村〆切前にまた入り直せばいいだけなので。
（退出前ログはフィルタで抽出困難になるので、リンクURLは欲しくなってしまうけれど……！）
あのメモ>>A11から11日の開始時までもそんなに間が空いてなかった、というのもあり。
深瀬さんと大祓さんには特に反応を急かすような形になってしまったなと思うので、本当にごめんなさい……！
村の設定が変更されました。
定員: 7人 （ダミーキャラを含む）
最低開始人数: 7人
開始方法: 人狼BBS型（更新時間が来たら開始）
役職配分（自由設定時）
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
ダ込7名なので、進行は
1d>2d>3d>EP
07>06>04>02
4dが無くなるので、2dに予定していた狼発言を1dに足す形でずらしてしまおう。初日にめっちゃ喋る狼になるかもしれない。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>81これボクほたるちゃんの昔の写真見てる可能性あるな！！！？
や、流石にほたるちゃん本人の手紙に話出てこないと宛先と同一人物だとは気づかないとは思うんだけれど
ど どうなるか……どきどき
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
思わず真っ先に写真の件に反応してしまったのだけれど
添木先生の作品のお話とか、ほたるちゃんのお金の行き先とか見られて幸せなところです。
>>74肉まんはこわいね……
女将さんの一人に見える写真もね……もう……ね……ぐっときてしまって……！
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[書店のシャッターも閉まる夜遅く。
遅刻からの慌てぶりで、出勤時にタイムカードを押し忘れていた雉笛は、手書きで時刻を書き足すことになった。
時計の遅れの一件もあり、出勤時刻については本人（？）以外の証言がきちんと取れていたのだ。]
それでは、ボクもお先に失礼します。
お疲れ様です、――店長。
[「ご主人」と言い掛けた口を止め、「店長」に言い換える。
バックヤードで口にする分には、店主本人からももはや特に指摘されることはあまり無かったのだけれど]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「雉笛くん、今日もウチ来なくて大丈夫？」
あ、大丈夫です。泊まれる当てがあるので。
「そう、良かった。風邪引かないようにね」
[ここ数日の間に繰り返されている、退勤時の遣り取り。
雉笛はなんてことないけろっとした顔で、店主にぺくりと頭を下げてから、ビルを後にする。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
………、空いてる店、あるかな。
[華やかな夜の街といえど、ファミレス等では24時間営業を取りやめる店も出てきている。
入店の際に身分証明書の提示を求められる施設も少なくない。
そして、路上生活者に対しての町や行政の対応も厳しさを増している。その行政からの支援には――ヒトならぬこの妖精は、手を伸ばせていない。]
（ ボクも「みえない」アヤカシ、だったなら。 ）
[明るくも凍てつくような通りを、ヒトを装った妖精はひとり、歩く。]
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