田美院翔

俺の歌を聴きに来てくれてありがとう！最後までよろしくな！

ギルド員 ベアトリクス

―　王都ハイランド：ギルド・ストレンジ本部　―　

ギルド員 ベアトリクス

　……なるほど？話は分かりました。

　つまり、高位精霊を呼びだそうとしたものの…
　手違いでこことは異なる世界から
　彼彼女らを召喚してしまったと。


[報告を聞き、魔法陣を前にベアトリクスは頷いた。
その上には数人の人々が意識を失い倒れている。

不思議な恰好をしている以外は
一見我々と何ら変わりなく見えるが
纏っているマナが異質だとギルドの研究者…
ジークムントは語る。

曰く、この世界の存在ではないと。]

ギルド員 ベアトリクス

私も話には聞いたことがあります。

あなたも知っての通り、
一般的な召喚魔術はこの世界の空間の壁に穴をあけ、
外側に居る精霊や悪魔などの精神生命体に干渉する魔術ですが…

それとはまったく別に
世界同士を繋ぐ「門」が存在し、
術の影響でごく稀に開いてしまうことがあるのだと―――

そして、その門を通って
精神体ではなく肉体を持つ者が
"こちら側"に呼び出されてしまうことがあるのだと。

………そう、「門からの旅人」
伝承ではそう呼ばれていますね。

[ふむ、と首をひねり。]

ギルド員 ベアトリクス

今後のことはギルド長の判断を仰ぐとして―――
ひとまず彼らは大部屋に運びましょう。
旅人を無碍にすると災いが起こる、という話は
あなたも聞いたことくらいあるでしょう？
そうであるなら手厚く保護せねばなりません。

それと、このことはくれぐれも内密に。
悪用する輩が出ないとは限りませんからね。
当面は宿舎に滞在して頂くとして……

……ああ、そうなると、
専用の世話役をつけねばなりませんね………。
ギルド内に適任者は？至急呼び出しを。

[了解を告げ、ジークムントは駆けていく。]

ギルド員 ベアトリクス

[数人のギルド員の手を借り、
"旅人"たちはギルド奥にある大部屋に運ばれ、
ベッドの上で寝かされている。]


　……さて。


[ベアトリクスが治癒の魔法を唱えれば
淡い光が彼らの身体を包み込む。
もしも軽い怪我などをしていても治ることだろう。]


　ああ、あとはこれも必要かしら。


[もう一つ魔法を唱えれば
今度は青白い光が彼らを包み溶けていく。
いわゆる言語の翻訳魔法。
目覚めた時には我々と意思疎通ができるはずだ。*]

ギルド長 ミロスラフ

―　ギルド・ストレンジ：一室―


　……というわけで、

　君達には今日から
　「門からの旅人」の世話をお願いしたい。


[ジークムントによって
招集をかけられたギルド員たちは
ギルド長のいる別室に集められていた。

簡単に状況の説明をした後
ぐるりと彼らを見渡し、ギルド長は人の好い、
しかし有無を言わさない笑みを浮かべる。]

ギルド長 ミロスラフ

　
　ジークムントくんの計算によれば
　門を正規の手順で再び開くには
　月が一巡する程度の時間は必要だそうだ。

　その間彼らにはギルドの宿舎に滞在して貰う。
　必要なものがあれば与え、
　危険が及びそうなら守り、
　何かあれば適宜報告してほしい。

　基本はギルド内部で過ごして貰うことになるが
　もしも外に出たいと言うのであれば
　君たちが付き添ってくれたまえ。

　彼らは精霊王の加護を受けているというじゃないか。
　世話を放棄したり暴行を加えたりは
　くれぐれもご法度だ。いいね？

ギルド長 ミロスラフ

　……ああ、でも自由恋愛は禁止しないよ？
　
　少なくとも見た目は僕たち人間種と
　大して変わらないみたいじゃない。

　いずれは元の世界に帰ってしまう異邦人とのひと時の恋、
　なんて、ちょっとロマンチックだよねえ。


[冗談か本気か分からない調子で笑い、]


　まあそれはさておき。
　旅人はあっちでベアトリクスくんが看てくれているよ。
　
　それじゃ、よろしくね。


[そう言って大部屋の方を指し示した。**]

ギルド員 ベアトリクス

["旅人"たちが目覚めるまでの間、
身の回りの世話をしながら
ベアトリクスは待機している。

ここは異世界であること。

"門"と呼ばれるゲートが手違いで開いてしまい
帰るには少しの時間を要するであろうこと。

当面の間、あなたたちの身柄はギルドで保護すること。
専用の世話係を一人一人につける為、
何か必要な物があったり、宿舎の外に出る際は必ず彼らを頼ること。

"旅人"たちが目覚めればそういった内容を
簡単に説明することだろう。
（納得できるかどうかは別かもしれないが）
他にも質問があれば答えられる範囲で答える。]

ギルド員 ベアトリクス

[また世話係が部屋に到着したならば
遠隔で通信するための魔道具だと説明し、
二人に魔法石の指輪を渡して見送る。

旅人たちに宛がわれる部屋は
風呂やトイレがついた広めの個室である。
着替えや生活必需品に関しては
最低限のものはギルドから支給されるが、
足りない場合は各自で買い足してほしい（経費で落ちます）

ベッドは二人で寝ても余るくらいには広く、
また簡易ベッドも備え付けてある為
世話係が同じ部屋で生活することも出来るだろうが、
そのあたりは各々の裁量に任せる。

なお指輪はギルドの備品なので、
帰還前には返すように。**]

衣代和かほ

　
　平日なのに結構混みましたからね。
　はい、……はい、分かりました、お先に失礼します。

　お疲れさまでした。

[国道沿いのファミリーレストランは、深夜と呼べる時間になっても客が途切れることはなかった。
閉店を教える曲が鳴り止んでから会計する最後の客を見送り、さっさと担当場所の片付けを済ませてしまう。
しゃしゃり出すぎにならない程度に他も手伝い、皆が談笑する間に着替えると誰より先に店を出た。]

　……つかれた。

[ドアの外。夜の空気はぬるい。
浅く呼吸すると独特の匂いがする。
暖色の明かりから離れると顔の筋肉の力が抜けていく。]

　そっか、夏休み。

[今更のように思い出すと、小学生くらいの子供連れの家族が平日なのに席を埋めていたわけを察せた。]

佐次詩羽

（───あの時見上げた満月は、
　とても綺麗だったのを憶えているの……）

佐次詩羽

──？？？──

佐次詩羽

　……っ、え…ここ、……どこ…？

[なんだなんだ？
外国か、ここは。それか、ゲームの中で見るような光景だ。
でもCGを投影している雰囲気ではなさそう。
もっと立体的で、実際そこに在る、みたいで。
こちらの様子を見ている人>>9も日本人ではなさそう]

　（……、どうしよう…）
　（こわい…）

[近くに誰か、話す人がいるかな。
わたしと同じようにベッドに起き上がって周囲を探ってる風な人がいたら、勇気を出して声をかけてみようか]

佐次詩羽

[でも、こちらの様子を伺ってた人（変わった服を着てる！）が先に教えてくれたかな。
あ、言葉通じるんだ、と最初に少しだけ安心したりもして]

佐次詩羽

[ただ、説明された内容はチンプンカンプンで。
いえ、言葉は通じたけど状況が理解しがたいというか。
わたしがここで寝てる直前に何をしていたかといえば、]

　月が綺麗だなーと思って、空を見てて、
　そしたら、急に、足が、…ふわ、っと？

[別に車道に出たわけでもなく、猛スピードで突っ込んでくるトラックを見た覚えもない。
ただ、月に見惚れていた時、ふわっと一瞬足が浮いた気がしたかな]

　……それからよく、覚えてなくて。

[首を傾げた。
それがどうやら、この人がいう（ベアトリクスって名前は聞いたかも）
突如現れたゲートに足を踏み入れて、この世界へ運ばれてきた、という事らしい]

佐次詩羽

　
　じゃあ、死んでない…のね？生きてる、……
　あっ、そうだ

[スカートのポケットからはみ出ていたスマホを取り上げて操作する。
画面は表示された。日付と時間は、最後に確認した時からそれなりに経ってるけど、今のこの状況に合致してるとはいいがたい。
何より、]

　……圏外。

[スマホで連絡を取って、助けを呼ぶ手段はないわけだ]

佐次詩羽

[ただ、この状況を受け入れるには、あまりに突飛すぎて理解が追い付けなくて]

　あの、……お水、くれますか？
　のど、乾いて…

[一旦落ち着いて考えよう。完全に信用できるかわからないけど、
動物のカンというかなんとなく、ベアトリクスから敵意は感じない。
無事に返してくれること、世話をしてくれると言ってるから、
必要最小限は頼っていいかな、と思い立って水を要求する]

佐次詩羽

[おそらく手渡されたのは普通のコップだろう。
水をゆっくり飲みつつ、
のちに世話係という人がやってきて紹介されるかもだけど、
それまでは似たような境遇の人たちと話してみようか]

　わたしは、佐次詩羽（さじうたは）っていいます
　22歳で、会社員、です、、

　その、夜…外を歩いていたら、何か急に、こんなことになって…

[夜中に外を一人で歩いていた事情はまた別にあるのだけど、
今は言えない。だって、思い出すと悔しくて悲しくて]

佐次詩羽

　
　
　（…───泣きそうになるから。**）

　

衣代和かほ

[黒い空に星は見えない。
薄らと雲が漂っているからだが、雨の気配はなかった。
天気予報は外れたらしい。
自転車通勤を諦めたというのに。]

　まただ。

[ポケットの中のスマホが短く震える。
それを無視して、スピード超過の車に抜かされながら歩く。
寄り道するのは遠回りのコンビニ。
自分のもうひとつのバイト先は避け、別会社の店舗を選ぶ。

茶色いパックのカフェオレ。
砂糖がたっぷりかかったドーナツ。

レジのだるそうな店員に会釈だけして俯いて。
他の荷物も入ったトートバッグに突っ込み、眩い白い明かりから早足に逃げ出すと、スニーカーの底をじゃりじゃり言わせながら歩く。
国道から街灯もまばらな細い道へ入り、しばらくすると、住宅街の中の小さな公園に辿り着いた。]

衣代和かほ

　まだ寝てないかな。
　……待たなくて良いって言ってるのに。

[ベンチに座り、パックと袋を空にする。
それから漸くスマホを覗いた。
名字にさん付けで登録された父親から、『今日は閉店まで？』『気をつけて帰ってくるように』『雨が降ったら迎えに行くからね』と見慣れたメッセージが並んでいた。
既読をつけ、『大丈夫、バイト先の近所の先輩と途中まで一緒だから、心配しないでください』と打ち込む。]

　変なの。
　
[押し潰されたみたいな声になった。]

衣代和かほ

[母は今夜帰っていないのかもしれない。
職場の飲み会か、それ以外か。
華やかで美人で若々しい、そう称される明るく無邪気に笑う彼女は、きっと新たな恋の花でも咲かせようとしているのだ。

4度目の父は何も言わず家で待っている。
優しそうで穏やかに喋る先生と呼ばれる立場の彼は、血の繋がった反抗期の息子には放任主義のくせに、突如現れた娘には過保護で、あれこれと構おうとしてくる。
悪い人ではないんだろう。いい人、なんだろう。]

　一人暮らし、したいな。

[母は何も気にしない。
ただ、今の父が二十歳まではダメと許さなかった。

夕飯はバイトの先輩とまかないで済ませたことにする。
地を這うようなバイクの音が複数近づいてくると、面倒ごとに巻き込まれないうちに公園から逃げ出した。
もう少し遠回りして帰りたかった。
できるなら、ずっと。ため息が零れる。]

衣代和かほ

[季節にそぐわずよく羽織るパーカー。
同僚には暑くないのかと呆れられるが、低血圧の自分が深夜に歩き回るにはちょうどいい。
背中のフードに結んだ癖のついた灰白の髪を跳ねさせ、よどんだ空気をかき分けるように地面を踏む。
夜には無謀な自由と裏腹な重さが同居している。]

　つかれたね。

[つかれた。もう一度呟く。
必要なこと以外喋らない、口数が少ない。処世術を身につけたと思っても言われるが、独り言なら得意だった。
意識しなくても声になる無駄なもの。
誰かに話しかけるように、唇から落ちていく。

ひたすら歩いていたら、目の前に橋があった。
大きな川にかかる巨大なコンクリートの橋だ。
そこそこ海が近い土地だから、川は流れの速さが感じられないくらい水量が多く、水面は真っ黒に見えた。]

衣代和かほ

　だいぶ遠くまで来たみたい。

[引き返さずに先に進む。つかれてるけど。
真ん中まで来ると止まり、ほのかに冷たい欄干にもたれかかった。
自分の腕に顎を乗せるようにして夜空を眺め、それからじっと、底の見えるはずもない水面を眺める。
色素の薄い瞳が黒々とした色だけを映した。]

　……、

　……。
　

　……いいかな。

[バッグの底からキーホルダーのついたぬいぐるみを取り出すと、折れた長い耳を直してから語りかけた。
年季の入ったぬいぐるみは物言わない。]

衣代和かほ

　濡れるのは嫌かもね。
　
[でも残しても大事にされるとは思えない。
ごめんね、とスマホの代わりにポケットの中に移そうとしたとき、急に強い風が吹いた。
背中を押され、フードと髪が視界を遮り、手が揺れる。
あっと叫ぶ暇もなく――兎のぬいぐるみは欄干をこえ、風に浮くようにして飛んでいく。]

　……そんな、先に……って、

[バッグを置いて身を乗り出した瞬間だった。

兎が見えなくなった先に、見知らぬ“門”が現れる。]

衣代和かほ

　……。

　…………うまく消えれるかな。

[いつの間にか脱いでいたスニーカー。
靴下も更に脱ぐと、合わせて暗い水面へ投げ捨てる。
バッグも一緒にと勢いをつけたが思い留まり]

　不法投棄は少ない方がいいか。
　いや、わかんないけど、結局増えるかもだけど。

[欄干を裸足で乗り越える。
手すりが太いおかげでうまく上に立つことができた。
助走をする余裕はないが、果たして届くだろうか。
開ききっていない扉にぶつかって弾かれるかもしれない、幻を見ているのかもしれない――なんでもいい。]

衣代和かほ

[風が吹く。雲が薄れる。
初めて今日が満月だと知った。


そうして、門へ向かって飛び、落ちていった。*]

きぐるみ ピギー

―　ギルド「ストレンジ」　受付前　―

[それは偶々とも順当ともいえるものであった。
依頼を片付ければ報告をして、代金をもらう。ギルドという仲介業者を利用するものにとっては至極当然のこと。
スコップを腰から肩に下げる足音も匂いもないキグルミが現れることだって順当だ。

だが、偶々起きていた出来事については知らぬまま]

　依頼の達成してきた。手続きたのむわ。

[薬師からの素材納入。低い男声のキグルミは証明書をもってカウンターでごついおっさん受付へと渡し、手続きの間を待っているのであった*]

衣代和かほ

――どこか――


　……。

[まず思ったのは、あの世ってアニメで良くあるファンタジー世界みたいなことあるんだ、である。]

　……はい。

[服も身体も濡れていない。
怪我もしていない。
そのまま横たわってもう一度目を閉じたかったが、他の人の気配と声>>14に、こちらを見て何か説明しようとしている人>>9がいると気付いてしまった。
別に良い態度をして天国に行きたいわけではないが、無視するということはできず、ゆっくり起き上がった。

目の前も少し霞んでいる。
声もどこかぼんやり反響して聞こえる。
意識が半分覚醒しきっていないものの、月を見ていたらしい女性>>16と同じタイミングで説明をうけた。
はい、という返事はほぼ反射のようなもので。
その時の視線も上手く定まっていなかった。]

衣代和かほ

[門、か。>>9
そういえば門、見たっけ。変な年代物っぽいの。

いせかい、いせかい、異世界？
訳が分からない。何のことやら。
これは変な走馬灯かもしれない。
三途の川へ向かう前段階というやつだ。
その場合、そばの月を見ていたという女性も何らかの原因で――いや、勝手な想像はだめだ。

力の入らない手をそっと握ってみる。
最初はおそるおそる、徐々に眉を寄せながら力を込めていくと、手のひらに爪が食い込む。

痛い。

あれ、……これって、もしかして。
現実的な感覚に少しずつ血の気が引く音が大きくなる。]

衣代和かほ

　え、あ、……。

[混乱は表に出ない。
自己紹介が聞こえたら、自然とそちらを向いた。
叩き込んだ社交性は無意識に発動する。
ようやくしっかり見た女性>>19は、ふんわり柔らかそうな雰囲気の、少し年上っぽい人だった。

よく分からないが――説明は聞いたが頭が理解を拒んでいる――多分自分側の人間なのだろう。

もぞもぞとそちらを向き、猫背気味に会釈する。]


　私は、衣代和（いよりわ）かほ、です。19歳。

[ここまでの状況を解説まではできず。
一旦口を閉ざし、身体を縮こまらせた。]

衣代和かほ

[佐次詩羽と名乗った彼女が何か話しかけてきたなら、無視することはせず、言葉少なに返すだろう。
こちらからはまだその余裕はなかった。
近くに他に眠る人がいることにすら気が回っていなかった。

ドアの開く音がする。
自分の世話役という存在が到着したらしい。
もうよくわからなくて為すがまま。
ふらふら立ち上がり、その人がきちんと入室する前にドアのところで鉢合わせるように対面する。]

　……。

　…………ぁ、

[体格の良い大柄な男性だった。
自分の身体に影が落ちる。
心臓が嫌な音を立て、人の良さそうな笑みの浮かぶ顔まで見上げることはできず、遅れて煙草に似た匂いを感じた。
手が伸びてきて、そっと肩に、]

衣代和かほ

　す、すみません、……私は、世話役、いらない。
　ひとりでへいきだから。

[喉がカラカラに乾いたかのように。
声が上手く出なくて、後ずさる。
世話役予定の彼も戸惑ったのだろう、動きが止まったその隙に――閉められていないドアから駆け出した。

説明を理解しようとしていなかったから、ギルドとか、宿舎とか、単語だけで頭にあって、今は何も浮かばない。
パニックになっていると自覚できていない。

裸足で廊下を駆ける。
駆けているつもりが、足取りはふにゃふにゃで、実際はさほど進めてはおらず、宿舎を出ることも叶わない。
必死に進む先に、その人は、いた。

大きなぬいぐるみのようなその姿。>>29
目を見開き、眉を下げ、唇をゆがめて。
声もなくその後ろに回り込むと、背中に隠れて小さくぶるぶると震えていることだろう。*]

きぐるみ ピギー

　相変わらずここの列は不人気だな。いやいや、いつまでもこのままでいてくれよ。
　俺は待ち時間とかなくて重宝してるんだからよ。

[放っておけ。といわれても悪びれもなく世間話をしながら手続きが終わるまで強面のおっさんにちょかをかけるきぐるみ。]

　んで、今週も魔物の駆除とかあんの？

[道の安全を確保するための定期的狩り依頼なんかを聞いたりしていたところで、似つかわしくないよたよたとした力ない足取り音>>34が聞こえ、その後を追う音も遅れて聞こえてピクピクときぐるみの耳が揺れる。]

きぐるみ ピギー

　・・・・・・・・・・・・・・・

[なぜか安全地帯を確保するかのようにそいつに後ろに回り込まれて、受付のおっさんを見遣る。
ここはいつから託児所になったんだ？とでもいいたげなきぐるみの眼差しだが、知らんとばかりに肩を竦められて]

　おう、どうしたよ。お前んとこの子か？

[知らない顔でもない大柄な男>>33。視線を合わせるために首を傾けながら低い男声のきぐるみは聞いてみて、あまり言えない事情は口にしないで簡潔かつ短い情報のやり取り。捕まえてほしい。ってことのようで、この娘はそんなのを聞いて逃げようとしただろうか。]

きぐるみ ピギー

[ウサギのキグルミ頭にへと一瞬変わり見た目のずんぐりとした様子からは似つかわしくない俊敏さで首根っこを掴むように軽々と持ち上げて]

きぐるみ ピギー

[またブタのきぐるみ頭に戻る]

　んで、この子どうすんだよ。あと、お前怖がられてるんだから縮こまってろ。

[ぅっとショックな様子の大柄な同僚にいうと、逃亡劇はあっさりと終わりUターンすることとなるのであった*]

衣代和かほ

[衣代和かほの身長は158センチである。
遠目に見つけたぬいぐるみ――おそらく着ぐるみは170センチくらい、それくらいのサイズであれば中身は女性だろう、可愛らしい外見だし、という思考回路があった。
大昔の遊園地の思い出が作用したわけだ。

背中のもふもふした毛が少し触れるのを感じながら目を閉じていたら、低い男性の声が耳に届いた。
ばくばくと煩い心臓の音の中でも気付く。

着ぐるみ越しに、その声がする。>>36

裏切られた！！と目が口ほどに物を言う。
完全な言いがかりと誤解だが、パニックが更に重なって慌てて逃げだそうとしたところで首根っこを掴まれ、ぷらーんとぶら下がる。

本当にわけがわからない。もういやだ。
顔を上げたら、兎がいた。あれ、さっきまで違ったような。]

　……兎なのに、声、かわいくない。

[思わず声に出ていた。]

衣代和かほ

[と思ったらまたブタの顔をしている。
キーホルダーのぬいぐるみを川に落としたショックのせいでこんな走馬灯がプラスされている――わけではないことは、心の奥底ではきちんと理解し始めていた。

自分は変な世界に飛ばされてしまったのだ。
終わらせるつもりが、消えるつもりが、意識が続いたままおかしなことになっている。
急に自分がより情けなく弱く感じられた。
覆うための殻の作り方を忘れたかのように。

掴まれて揺れながら。時々ふわふわが触れる。
その感触は嫌ではなく少しだけ鼓動がゆっくりになった。]


　……すみませんでした。

[縮こまる男性に小さく謝罪する。
まだ震えは収まらないが、これ以上暴れる様子は見せず、一先ず逃走劇は終了となった。**]

戦士 ランディ

―　過去　―


　うおおっ！　お前ら！　幸せにやれよっ！


［王都ハイランドを囲む城壁にいくつかある城門のうちの一つの前で大柄の男が笑顔で大きく両手を振っていた。
遠ざかっていく馬車からは三人の男女が幌から顔を出して手を振り返してくれていた。
その姿も次第に遠ざかって見えなくなるまでさしたる時間もかからなかった。
馬車が見えなくなっても男は暫く手を振っていたが次第に振る手の勢いが弱まっていき、最後には力無く腕を降ろしてボロボロと涙を零し始めた］


　ううっ……ううっ……約束したじゃんかよお。
　世界一の冒険者になるってよお……。
　結婚して家庭を持つから引退するってなんなんだよお……。


［十代前半から活動を開始しはじめたパーティー『夜明けの風』はこの日完全に解散した。
辺境の田舎村からともに王都に出てきて冒険をしてきた幼馴染たちは今しがたその田舎村に向かって帰っていった］

戦士 ランディ

［男はおいおいと泣きながら肩を落として王都に入っていった。
大の大人がと言われるかもしれないが若かりし頃の夢をずっと追い続けてきた男にとってパーティー内の恋愛事情というものは完全に寝耳に水な出来事だった。

　パーティー解散の話を聞いたのは一月前の話だった。
五人パーティーの内、残りの四人が紆余曲折を経て恋愛結婚する流れとなったらしい。
言われてから思い返せば確かに数年前から神官戦士♂の付き合いが悪くなっていた。
いつまでも少年の心のまま一心不乱に戦士として駆け抜けていた男には解散話で聞いた恋愛結婚というものは理解できないことだった。
それもパーティー内での話だ。
男女の痴情の縺れで解体されたパーティーは腐るほどに存在しているということも知っていたというのに、いや、神官戦士♂はいい奴だ。
顔もいいし性格もいいしそれなりに鍛えていた。
奴がモテるのはわかる。わかるのだが理解できなかったのはその先だ］

戦士 ランディ

［『夜明けの風』は高難易度に認定されたダンジョンもクリアするパーティーだった。
これからも第一線で活躍し続けるはずだった。
それなのに、どうしてという気持ちが一か月を過ぎても止まらない。
最後まで手を振り返してくれていた神官戦士♂はどこかやつれて見えていたが嫁が三人もいるのだからそれはそうだろう。

　男が究極的に理解できなかったのはその点であり、きっとこの先も理解できないのだろう。
一体どれだけの修羅場があったのか。
その果てに訪れた結果に男は嘆き悲しむことしかできなかったが、神官戦士♂のこれからの苦労を考えれば何も言えなかった。
何も言えないままに泣き別れることになった］

戦士 ランディ

―　現在　―

［『夜明けの風』が解散してからは男は特にやることもなく過ごしていた。
高難易度ダンジョンともなればソロで挑むにも限界がある。
それでも浅層ならば単独で活動できるあたり戦士の中の戦士と謳われたものだがその名声と実力が災いし逆に新しいパーティーを探すことを困難にしていた。

　ダンジョンの浅層で活動し、時折新人の鍛錬に教官として顔を出す。
実に心躍ることがない生活が男の心を腐らせていく。
『夜明けの風』のパーティー資金も五等分されパーティーハウスはそのまま男が譲り受けたのだから特に何か必要なものがあるわけでもない。
既に満たされた状態で新しい冒険に心を震わせることがないのだからそれも当然の帰結だった。

　そんな暇と退屈を持て余していた日が過ぎる中でギルドから一つ提案を受けた］

戦士 ランディ

―　ギルド・ストレンジ：一室　―

［新人鍛錬の教官任務を終えてカウンターで終了報告をすると新しい任務があると呼ばれた部屋で>>6>>7>>8一しきりの説明を受けた］


　ほうほう……「門からの旅人」ですか。
　魔法のことはよくわかりませんが異邦人とはこれはまた。
　精霊王の加護を受けているなら妖精の類では？

　いずれにしてもこのランディ・"ザ・ウォリアー"にお任せを。
　しかしマスターも冗談がお好きですね。


［どん、と男は自身の胸を叩くと最後にそう付け加えて示された大部屋の方へと移動する］

戦士 ランディ

―　ギルド・ストレンジ：大部屋　―

［新人鍛錬の任務終わりのランディはフル装備状態だった。
全身鎧ではなく毛皮や竜鱗を使った可動域を阻害しない部分鎧を身に着け、両手持ちの大槌と大剣を背負い、腰には二本の手斧を佩いている。
身の丈も180cmを越えた筋骨隆々としたまさに戦士という姿だった。

　大部屋の方へと向かうとその前で>>37>>39面白い光景が見えた。
先に移動していたピギーが見た事がない服装の女を捕獲していた］


　おうおう、なんだ"着ぐるみ"。
　面白いことになってんじゃねえか。

　はっはっはっ、確かに、確かに。
　着ぐるみからおっさんの声が聞こえたら可愛くないわな。


［>>39ランディは一しきり笑うとしっしと手を振る］

戦士 ランディ

　あとそこで縮こまってたら邪魔だから仕事に戻んな。


［>>38何故か縮こまってた顔見知りの男が>>40謝罪を受けたところで退散するように勧めると、手に荷を抱えていれば鉄拳も出せまいと悠々と開いている大部屋の扉を覗き込み中を伺った。

　世話役とは聞いたが相手のことは聞いてはいない。
誰が自分の担当だろうかときょろきょろとしていた**］

高嶺聖子

[あたし、自分が可愛いって自覚がある。

小さいころから可愛い可愛いって言われて育ったし、
可愛いものもおしゃれするのも大好きだったから
大人になってもその評価は変わらなかった。

ツヤツヤの巻き髪。お洒落な服に可愛いネイル。
あたしのスタイルを際立たせる服。
あたしは可愛いあたしが大好き。

そんなだから年頃になって、
告白されたことは数えきれないほどある。
……けど、きまって断ってきた。]

高嶺聖子

[理由は簡単で、あたしには大抵他に意中の人がいて…
その人はきまってあたしのことは
いい友達としか見てくれなかったから。

中学の時も、高校の時も、大学生になっても。
決まってあたしとは違うタイプの…
ふわふわした清楚系だったり、儚い美人系だったり、
何ていうか守ってあげたい系？の彼女が居るの。

あたしのことは、男女意識せず付き合える〜とか、
女って気がしない、とかそんなんばっかり。
カワイイお嫁さんになりたいなんて夢も
似合わね〜って爆笑されてから口に出さなくなった。

だからこの年になっても交際経験の一つもない。
そういうこと…興味ないわけじゃないけど、
でも好きでもない人とするなんてありえないし。]

高嶺聖子

[あたしは可愛いあたしのことが好きだけど。

あたしが好きになる人はあたしのこと、
大して可愛いとも思ってくれないし、
別に好きじゃないんだよね。

ああ、世の中の不条理。]

高嶺聖子

―　現代・街中　―

もーー！マジでしつこい！！
そういうの興味ないったら！！

[あたしが勤めているアパレルショップは
繁華街のビルの一角にある。

遅番の仕事帰り、駅に向かう道で
あたしは迫りくるキャッチを躱すのに必死だった。
この時間帯多いんだよなあ…。

単純にナンパ、怪しい勧誘、他もろもろ。
スルーするのにも慣れたもんだけど、
今日は一人粘って来るのがいて。
かつかつヒールを鳴らして足早に歩くあたしに
ぴっちりくっついて並走して来る。

ああ〜〜もう歩きにくい！！]

高嶺聖子

[さすがにウザくなってきて、
きょろきょろと視線を走らせる。
よし、あの角を曲がったら撒こう。
3.2.1………ダッシュ！！

いきなり全力で走り出したあたしに
キャッチも一瞬驚いたのか、反応が遅れる。
そのまま走ってまた角を曲がり、暫く走って、走って。

いつの間にか周囲の気配がなくなっていることにも、
目の前に見慣れない門があることにも、

――あたしは気づかなくて。]

高嶺聖子

[ふ、と立ち眩みのような感覚に襲われる。*]


　

高嶺聖子

―　？？？　―

………へっ？？？？

[目を覚ました時、
あたしは知らないベッドの上に横たわっていた。

んっ？？なに？？？どこここ？？
状況がイマイチ飲み込めない。
急に貧血で倒れて病院に運ばれたとか…？
いやでもここ病院じゃないな？？
よくよく見たら部屋の内装も
映画のセットみたいなファンタジーな感じだ。]

え、っとぉ……？

[ポカーンとしているあたしに
側にいた不思議な恰好の女の人が声をかけてくる。>>9>>10
あれこれと説明してくれたけど……]

高嶺聖子

いや待って待って待ってわかんない。
なに言ってんの？？
異世界？？？ってなに？？？漫画の話？？

[ちょっと現実味がなさすぎて
説明の半分くらいは耳を通り抜けてしまう。

かろうじて理解出きたのは
異世界って言う単語と、暫く帰れないらしいってこと。
あと世話役？がどうとか……。]

高嶺聖子

[混乱しているあたしの耳に、他の人の声が届く。

恰好からしてたぶんあたしと同じ状況っぽい
女の子たちの姿に少しだけ安心した。
どうやらここに連れて来られたのは
あたしだけじゃないみたい。>>19>>32

あ、なんか名前と年齢言う流れっぽい？]

高嶺 聖子（たかみね　せいこ）です。
24歳アパレル勤務。

…だよねぇっ！？あたしも！！
夜街の中歩いてたらフワッ…って気が遠くなって、
気付いたらこんなとこに居てぇ！！
よかったーあたしだけじゃなくて。異世界とか意味わかんない……

[佐次、と名乗る女性に食い気味に同調する。
あ、話してたらちょっと落ち着いて来たかも。
もしかしたら全部夢見てるだけって可能性も全然あるしね。]

彫金師 スカリオーネ

─ 【Μοίρα】 ─

[王都ハイランドの片隅にその家はある。
家、と言おうか…──兼、店でもあるその小さな建物には
アンバーバーチのウォールサインが揺れる。
そこに書かれた【Μοίρα】の文字がこの店の名だ。
店の表には小さなショーウィンドウがあり
中にはシンプルながらも美しい宝飾具の数々が展示されている。

扉に掛かるのは【close】の看板、どうやらまだ開店時間ではないらしい。
その店の、さらに奥で金属を叩く音が定期的に響いていた。]


　……………。


[眼光鋭く、打ち付けるその金属を見つめる男が一人。
男の手元から打ち鳴らされる音以外は王都の賑やかな声も届かぬ程の静寂、

だった。]

彫金師 スカリオーネ

[不意に、開店前の扉が叩かれて静寂は打ち破られた。]

　………なんだ？
　店はまだ開けていないんだが。

[不機嫌なのか、はたまたそれが常なのか。
眉間に皺を刻んだ男──スカリオーネは扉を開ける。
痩せた頬、顔面を半分覆う火傷の跡がその威圧感を助長していた。

開けられた扉に佇んでいた使いの者は口早に招集を告げる。
曰く、ギルド長及びギルド員からの直々の選出により
“適任者”として招集せし、との事であった。
男は、次こそ不機嫌を露わにして眉根を動かした。]

　何が適任だ、そんなものお断わり───

[話し終えるよりも先に言葉は遮られてしまう、
「門からの旅人を無碍にすると災いが起こる」などと馬鹿げた伝承で。
反論しようとした口を黙らせたのはむしろ
「ギルドとの交易を続けたいのなら」という中継役の機転の利いた声だった。]

彫金師 スカリオーネ

　ふん、まあいい。
　仕方なく出向いてやるが、俺に出来るのは監視だけだ。
　解ったならあの女にそう伝えておけ。

[それだけを吐き捨てると、扉は強い音で閉められた。

再び、店の中には静寂が訪れる。
葉巻を一本取り出すと、慣れた手つきで口金を切り
ゆっくりとした動作でその切っ先に火を点した。]

　……………。

[ゆっくりと口に運び、その煙が店内を燻る。
身体に紫煙が纏う頃、一本を吸い終えて灰をたたんだ。
コート掛けに掛かった白いコートを掴み、腕を通す。]

　………行ってくる。

[そう一言添えて伸ばした手は、写真立てを優しく伏せた。]*

彫金師 スカリオーネ

─ ギルド・大部屋 ─

[初めに向かった一室ではギルド長からの軽い説明があった。
人の良さそうな笑みの裏には有無を言わせない圧がある。
理解はしたが納得はしていない、そんな表情を向けておいたが
説明が止まることはなかった。

指差されるままに向かった大部屋ではランディやピギーが話している。
ピギーは既に小さな異邦人を捕まえていたようだ。]

　賑やかな事だな。

[それが世間話の一端ではなく嫌味だというのは表情から知れたことだろう。
部屋に入る順番としてはランディのすぐ後だったか、
きょろきょろ見回す彼のすぐ横で、壁に背を預けて腕を組んだ。]

　俺の担当はどいつだ、早く名乗れ。

[眼鏡の奥の眼光は鋭く、異世界からの来訪者たちを見回した。]**

高嶺聖子

[なんとなしにスマホを触ってみるも
圏外の表示が出ている。

ここが違う世界だなんて
すぐには信じられないけど…
どうやら電波も通じない程遠い所に来てしまった…
というのは確かみたいだ。

そうこうしているうちに
部屋には人が出入りし始めて…
衣代和さんと名乗った子が出ていくのを見遣る。>>33
…顔色悪そうだけど大丈夫かな。

ちょっと心配にはなったけれど、
あたしもそこまで人を気にかけている余裕があるわけじゃない。
大柄の男の人>>47がこちらを覗き込み、
辺りをきょろきょろしている。

その後でこれまた目つきの悪い男の人がやって来て>>60
横柄な態度で腕を組んでいる…けど…。]

高嶺聖子

いや誰が誰の担当とか知らね〜！
そっちで把握しててよ〜それは！

[思わず突っ込んでしまった。

てゆかさっきから入って来るの男ばっかりだな！
世話係って何となく同性なのかなって思ってた。
人手の問題なのかもしれないけども…。女性の少ない職場？？

取りあえずまだ話しやすそうだったので、
先に入ってきた人の方に視線を向け。]

きぐるみ ピギー

　こーいうのもいるんだよ。勉強になったな。

[きぐるみらしい可愛げのない声でぷらぷら揺れる娘>>39へと答えながらも抵抗しないが、追いかけてた男には怯えたままなので自分が運んでいってしまう。―――そして]

　あぁん？風がなんか囀ってるな。

　そんなもん聞かずお前は案内してろ。

[夜明けのなんとか>>46の言葉に荷物を持ってるから一旦無視するようにいうが、いれて帰ろうとしてるやつに。お前の仕事だろが、と言う。俺は荷物の運搬係だ。―――としか今のところ思ってはいない]

きぐるみ ピギー

　静かさを求めるにはここが適してるわけねーだろ。

[嫌味としては受け取るが、当たり前だろ。煙草の香りがする男>>60へと答えながら、ほれっと大部屋の荷物係のベアトリクスへと渡して去るつもりでいた。]

高嶺聖子

[横でさっき説明してくれていたお姉さんが、
「ああ、そうですね。
　ランディ様は彼女をお願いします」
と口添えしてくれる。
…ということは、この人があたしの世話係らしい。]

（……へえ…〜…。）

[ランディ、と呼ばれた体育会系っぽい見た目の人。
逞しい男性が好みなあたしとしては
正直、ちょっとタイプだ。

……や、今そんなこと言ってる場合じゃないんだけど…]

……えー…こんにちは？
高嶺聖子です。


[取りあえず軽く頭を下げ、挨拶をしてみよう。**]

きぐるみ ピギー

―　ギルド・ストレンジ：一室―

　何がというわけよ。っていいてぇけどな。

[追加のような説明>>6を受けてきぐるみらしく可愛げのないことをいう
ようするに、ミスしたやつのでせいでおかしな事態が起きて被害者がでてきちゃったってやつだ。
自分はそれに呼ばれたわけではなかったが、脱走する荷物を前に事情が事情らしい。
あとはこれ以上広めたくないからソロなのでいいだとか、あの娘が自分には怯えた様子がなかったからだとか。そういう理由らしい]

　精霊王の加護なぁ……

[体よく責任を押し付けられた感もあるが、依頼は依頼だと割り切る度量さえあれば問題のないことだし、後は相手次第だ。

外で待たされてた大柄の男に、俺が変わりになったようだ。と伝えたりしながら大部屋へと再度戻ると、先にいってるやつらはどうだったか。]

彫金師 スカリオーネ

　
　なんだ、召集されている間に聞かされていなかったのか？

[思わず飛んできたのであろう声に視線だけを向ける。
確かにと頷いてしまうような見事なつっこみではあったが
こちら側にもきちんと情報が伝わっていない所を見ると
上はどうやら多少なりとも混乱を来しているらしい。
ぽつと落とした言葉は、半ば独り言のようなトーンだ。

もう一度戻って聞きに行く事もできるが、それは面倒だといわんがばかりに
その場から動くこともせず──何ならこちら側の非を詫びることもせず。
薄桃色の頭をした異邦人を横目に一瞥すると、
他の者たちに動きがないかと、ただ反応を見ている。

黙って待っていれば最後に残った者が“そう”だろう、と。]

きぐるみ ピギー

─ ギルド・大部屋 ─

　おい、さっきの。

[大部屋に戻らされた後は、流石に逃がすような迂闊な真似はしなかっただろう。
手荷物だったやつの前に進んで、軽く屈む]

　お前さんは被害者だ。我儘をいっても甘ったれたことをいっても刺繍で口を縫い付けろなんて言われることはねーが、こっちにも叶えられないこともある。

　ひとまずさっきのおっさんといるか、俺といるか。どっちがいい？

[多少なりとも自分で選択した結果だと思えば納得もしやすいだろうし、嫌がるやつを世話して見切れるとも思えない点でも相手次第。
それにしてもひでぇ二択だとは内心思うがきぐるみ頭では顔色はうかがえまい。

内心ではそんなことを思いながら淡々と問いかけるのであった**]

彫金師 スカリオーネ

[全く、本当に賑やかな場所だ。
今日にいたっては特にそうだろう。
慌ただしく行きかうギルド員も然り、集められた者たちも然り。
戻ってきたピギーに、男は呟く。]

　好きで来たわけじゃない。

[ギルドとの交易を人質に、多くの報酬を引き換えに。

ピギーが先程捕まえていた者の傍に行くのを片目で見送ると
溜息にも成らない息を吐き出した。]*

桐木虹介

――　現代・夜の公園　――


[ ―――　□□□□□って言えていたら、何か変わっていたのかな。



生温い風が僅かにふいて、俯いたままの額にかかる髪を揺らした。
掌の中には、コンビニのコーヒー。
最後に一口だけ飲むと、軋んだ音を立ててブランコから立ち上がる。


あの人に釣り合えるようにとブラックで飲むようになったけど
本当はカフェラテの方が好きだし、物分かりがいい方なんかじゃない。
背伸びして見栄を張って強がって、結局この有様だ。



水飲み場まで歩いて、温くなりきったそれを排水口へ流して捨てた。
あたりにコーヒーの香りが立ち込めて、少しだけ、涙が零れそうになる。]

桐木虹介

[ 感傷的な気分をふりはらうように、月明かりに白々と照らされたゴミ箱めがけて、投げ込もうとした紙コップは、角に当たって明後日の方向へと飛んでいった。肩をすくめてため息１つ。のそのそと寄って行っては拾い上げ、ゴミ箱に押し込むと、うんと両腕を長く伸ばして。 ]


さぁて、帰るかー



[ 誰が聞くわけでもないのに、わざとらしく明るい声を出して、見上げた空にぽっかり浮かぶ満月。]

桐木虹介

あれ、さっきより明るくなってない？


[ しばし月を眺めた後に、視線を園内に戻せば、出口にはアーチのような門がある。]


――　あんなんあったっけなぁ…


[入ってきたときは、足元ばかり見ていたからひょっとしたら気づかなかっただけかもしれない。まっすぐ家に帰るにしろ、コンビニに寄るにしろ、とにかくあそこは通らないと公園からは出られないのだ。]

桐木虹介

[何気なく一歩踏み出してアーチをくぐった途端、ものすごい勢いの風にのまれる。目を開けていられず、ぎゅっと閉じる。左腕で顔をかばいながら前に進もうとするが


―――　飛んできた何かが頭にぶつかって　その衝撃でひっくりかえると、そのまま意識を手放した。]

桐木虹介

―――　？？？　―――

[ 目を覚ました時、なぜかベッドの上だった。
見覚えのない天井、触り心地のちがうシーツ。
見回せば――まるでファンタジーの世界のような室内。


――あれ、スタジオツアー？？


前に友達と行った魔法学校をモチーフにしたエンターテイメント施設を一瞬思い出したけれど、じっと見守ってくれている女性が >>9いることに気づくと、ぎょっと息をのむ。]



あ、ども。こ、こんにちは…？


[おそるおそる言葉を発してから、言葉が通じない可能性にも気づいたけれど、なぜか言葉が通じるようだった。丁寧に説明を受けるが、その内容は　正直に言えばよくわからなかった。周りにいた女子たちも、同じような表情を浮かべている、ような気がする。>>16　>>54]

桐木虹介

[周囲をきょろきょろと見回すうちに、見慣れた服装の人たちは女性ばかりだということに気がついた。]


え、何、女の子ばっかり？　


[何かのイベントだろうか。自分は女子に間違われるような風貌でもないし、自分が此処にいるのは、きっと何かの間違いだろう。さっさと帰らせてもらうに限る。


思わず抑えた額、あの風の中で酷くぶつけたと思っていたが気のせいだったのだろうか。何かが当たったと思しきところに触れてもたんこぶも痛みも感じられない。とすれば、]


あー、わかった。夢だ！


[異世界転生もののラノベのコミカライズでも読みすぎたな。
もう一度寝て起きたら、きっと元通りになってるだろう。
シーツの奥に潜り込もうとして、周囲の視線に気づくと、肩をすくめた。]

桐木虹介

桐木　虹介（きりのき　こうすけ）
21歳、大学生。　


[どうやら自己紹介する流れのようだ。簡潔に名乗るうちに、やはりファンタジーな服装の男性たちが室内へと入ってくるのに息をのむ。きぐるみ？　剣士？、それに―――] *

戦士 ランディ

―　大部屋　―

［>>63ランディはピギーのことを"着ぐるみ"と呼ぶ。
ピギーはまあこんな感じだ。
割と最初の頃から変わっていない気はするし鉄拳を何度か受けたこともあるが大して効果もないので笑いながら受けている。
スコップを武器にする珍しいやつだがどうして着ぐるみを着ているのかは知らない。
売り言葉に買い言葉と平時と変わらぬ挨拶を終える。

　>>60大部屋を覗き込んでいると堂々と部屋の中に入り壁のシミになる男が一人］


　うわー、いつも通りだな、あんたも。
　相手の名前とかもう把握してんの？　俺はしてない。


［ギルマスにはここに行けと言われただけのはずなので相手のことは何も知らない。
見た感じピギーが連れ戻した子も含めれば女性が三人いるらしいが最後の一人は>>75未だ眠っているのだろうか。
"あんた"と呼んだ相手はスカリオーネと言うのは知っているがランディは大体"あんた"呼びである。
>>69理由も大体察せるが昔からあんまり変わっていない。
ランディたち五人が辺境の田舎村から出てきてパーティーを組み伸び悩んでいた頃にアドバイザーとして世話になった大先輩がいつも通りの様子なことを確認するとまた部屋の中へと視線を向けた］

戦士 ランディ

　ははっ、それはそうだな。
　でだ……ベアトリクスさんや。
　俺が担当する子は誰なんだい？


［>>62スカリオーネへの突っ込みに笑いながら大部屋で説明を行っていたであろう女史に尋ねると>>65丁度つっこみを入れた女性がそうらしい。
改めて視線を向けると――ランディは唐突によろめいた］


　ぐ……ぅっ……この激マブの子を、俺が担当？
　俺はこんな可愛い子、見たことないぞ。


［女性の担当が男でいいのだろうかという疑念が一瞬浮かぶがすさまじい風速で吹き飛ばされていく。
軽く頭を下げる動作だけでも髪の質がよく非常に魅力的なことがわかる］

戦士 ランディ

　あ、ああ……はじめまして、だ。
　俺はランディって言うんだ。
　タカミネセイコの世話を任された……のは今聞いたか。
　よろしくな、ところで異邦人って皆、君みたいにマブいの？


［笑みを浮かべて見せてから視線をベアトリクス女史へと向ける。
もう連れ出してもいいらしいと了解を得ると頷いて了解の意志を伝えた］


　もう部屋から出てもいいらしいからこれから宿舎まで案内する。
　でも同郷の人らと話すことがあるなら待ってるから
　終わったら教えてくれりゃあいいぞ。


［その間に>>10通信用の魔道具も受け取っておこう。
宿舎までも遠くはないし時間も余裕があるのでのんびりしたものだ**］

高嶺聖子

[だってさっき目覚めたばっかだし。とは思ったが、>>67
それ以上会話を続けるつもりもない様子にむう…と押し黙る。

ともあれ、お姉さん（彼女はベアトリクスというのだとこの時知った>>78）に紹介される形で世話係の男に頭を下げ――]

へ？

[彼が唐突によろめいた。]

（いや、マブて。）

[久々に聞いたな、その単語。
ってのはさておき、どうやら彼は
あたしに見惚れていたみたい。]

高嶺聖子

（……へえ〜。）

[あたしは可愛いって言われるの、慣れてるし。
むしろ異世界でも美的感覚って共通なんだ〜とか思ったりした。

それはそれとして勿論、
可愛いって言われるのは悪い気分じゃない。
それが好みの異性なら猶更だ。

どきまぎしてるのが窺える感じの反応に、
まじまじその顔を見上げる。
あんまり女子慣れしてないのかな。]

（…なんか、可愛いかも。）

[くすりと笑う。ますますタイプかも。
可愛く見える角度を意識して小さく首を傾げ、
上目づかいで微笑む。]

高嶺聖子

はじめまして、ランディさん。
あたしのことは気さくに聖子って呼んでね♡
え〜？そんな、照れちゃうなぁっ。

[まあでもここに飛ばされてる女子たちは
皆レベル高いなと思うけどね。

ってのはともかく、
あたしは別に媚び売ってるわけじゃなくて。
これからしばらくお世話になるなら、
好感を稼いでおくに越したことは無いからね。

まあ、せっかくなら親しくなれたら…
という下心もなきにしもあらずですが。]

高嶺聖子

んで、こちらこそよろしくお願いします。

マジな話、全然現実味ないし…
右も左も分かんないんで……ガチでランディさんだけが頼りというか……

[割と楽観的というか、メンタル強めの自覚はあるんだけど。
さすがにいきなりこんなことになって、
不安じゃないと言えばうそになる。

話があるなら、と言われ、
少し考えたあとに首を横に振った。]

ん、大丈夫…だと思う。
今は先にここの事、知りたいかな。
案内してもらっていい？

[同郷の人々とは暫く同じ宿舎に滞在することになるらしい。
これからも顔を合わせる機会はあるだろうし…。
今はそれより、ここがどういう場所なのかもっと知りたい、そんな気持ちだったから。**]

衣代和かほ

――大部屋の外――

[ぷらぷら裸足を揺らしながら。
下ろして！と要求するでもなくぶら下げられている様子は、まさしく荷物とも言えるかもしれない。

そうしている内に何人かに出会う。
ひとりはまたもや大柄の男性。>>46
その筋骨隆々とした逞しさは現実世界で今近くに縁がないもので、アスリートのようだが装備が全く違う。
分かりにくく固まりながら会話を聞いていた。

確かにな、と同意してもらえたけれど。
下手に頷いて放り投げられても嫌だと浮かび、首を縦に動かそうとしてから止まったせいでぎこちなくなった。]

　……世話係の人なんだ。

[大部屋のドアへ歩み寄る様子にぽつり。
自分を掴んでいる着ぐるみの人は言動から見て違うのだろう――部屋に戻されたらバイバイか。]

衣代和かほ

――→大部屋――

[次に出会ったのは煙草の匂いを漂わせる男性だった。>>60
揺れる具合でばっちり顔を見てしまった。
途端に小さく息を飲んで慌てて俯く。
火傷の痕のせいというよりは不機嫌そうな表情のせいだったが、誤解されかねないかもしれない。
彼も先ほどの男性と同じく部屋に入っていく。

自分の周りには女性が多かった気がするから、幾つか男女の組み合わせができあがりそうだ。
同性同士にしてくれたらいいのに、と心中で。
あの世か夢か、ちゃんと異世界かまだ信じられないが、職場の人数比は偏るものなのかもしれない。
それか、誰かの思惑でもあったりするのか。
なんて知らず聖子と名乗った彼女>>62と似た思考に行き着きながら、再び大部屋に戻されるのだ。
ぽいっと放り込まれるような形で。]

　ご迷惑おかけしました。

[ベアトリクス、という名だったはずの異世界で唯一見かけている女性に頭を下げて。
足早に戻った先は、先ほどよりずっと距離近く、聖子と詩羽のそばだったことだろう。
あと桐木虹介とさきほど名乗っていた彼は男性だが、この世界の人たちよりよほど安心感があった。]

衣代和かほ

[同じ立場らしい3人の傍は少し落ち着く。
ベアトリクスと会話していた詩羽や、現れたばかりの男性にずばりツッコミを入れる聖子に、すごいなと思いつつ。
より引っ付いてしまいそうだ。
しかもふたりともかわいい。美人。
聖子は髪の毛から爪の先まで磨かれている感じがした。
少し思考回路がズレていたら、虹介>>75と同じくイベントに紛れ込んだのかと誤解していそう。
ちなみに男女混合グループも良いものなので、その場合、脳内では虹介もキラキラグループの一員となる。]

　……。

[現実逃避の数分間を過ごしてしまった。
そうしている内に周りでは動きがあったようで、聖子は部分的に鎧を装備したあの男性と普通に会話している。

ひとりで構わないが、そうはいかない様子。
なら自分はどうなるのだろう。
さっき気を悪くさせてしまっただろうあの男性がもう一度来てくれるのか、――それとも、もしかしたら、いや、]

衣代和かほ

　……あっ！

[ドアから入ってきたのはさっきの姿。>>68
ふわふわの毛をしたぬいぐるみみたいな、今はブタの頭をしている、低い男性の声をした人だった。
いや、人なのかどうか確定はしていないけれど。

もう一度ここに来るとは思わなかった。
世話係とは関係なさそうな態度だったから。

前まで来る。小さく息を詰めた。
軽く屈んでくれるとよく作り物の顔が見える。
話しながらも表情が動かないから、やっぱりぬいぐるみが喋っているファンタジーではなさそうだった。
きっと中に低い声の持ち主はいるのだ。

被害者、という単語は意外なもので。
投げかけられた時に薄い色の瞳が丸くなる。
理性的な態度に内容。
身体の力は抜けないが、背筋が少しずつ伸びる。
選択肢を与えられていることが、襲いかかるように移り変わる状況の中で意思を呼び起こすようだった。]

衣代和かほ

　……。

　…………じゃあ、……きぐる、

[着ぐるみさん、と言いかけて。
それは外側の呼び方かもしれないと唇を止める。
黙り込んで数秒間のあと、]


　あなた、と……いる。

[問われた言葉の通りに、片方を選んだ。

ぬいぐるみの瞳は人間とは違う。
視線の向きは分からず、感情が読み取れないが、むしろこちらが視線から逃げることはしなくていい。
ちらりと光の分からない瞳を窺った。]

衣代和かほ

　さっきはすみません。
　……あまりお世話かけないように、するから。

[小さな声で。

彼ら、彼からすると自分も得体の知れない存在だろう。
面倒ごとに巻き込んでしまったという意識も湧いていた。**]

彫金師 スカリオーネ

[いつも通り、の“いつも”は随分昔から変わらない。
何の因果か、自身のPTの路銀を稼ぐ為にと
リーダーに半ば無理やり押し付けられたアドバイザーという仕事。
その時助言を与えていた田舎出身の青年がランディだった。

夜明けの風、なる彼らの名は時をかけて着実に有名になって行った。
それが自身の助言のおかげだったかどうかは知れない。
名をあげるもの達は成る可くして成る、そういうものだ。

どうやらそのPTも既に解散してしまったようだが。]

　いつも通りなら、もう店を開けている頃合いなんだがな。

[壁のシミはやれやれと言った風に目を伏せる。
アドバイザーの頃にはなかった小さな宝飾店を持ち、前線から退いた男を
ランディはどう思っているのだろうか。]

彫金師 スカリオーネ

　誤召喚など、そうそうある事じゃないからな。
　上も慌てているんだろう。
　俺も担当の名すらまだ───


[「知らん。」
その言葉は視界を掠めた深い空の色に掻き消された。]

彫金師 スカリオーネ

　………───ッ、



[男は動揺に目を丸くした。
一度、絶句にも近い音にもならぬ声を発したかと思えば
時が切り取りれてしまったかのように動きを止めた。

ある一点を、異邦の者を見ていたその瞳は
やがてゆっくりと伏せられ、何事も無かったかのようにただ一つ息を吐いた。]

彫金師 スカリオーネ

　おい、俺の担当はコイツか？

[男が「あの女」と呼ぶギルド員に横柄に声をかける。
その答えを聞いたならば、男はまだ名も知らぬ異邦人の前に歩み寄った。]

　俺が貴様の担当のようだ。
　残念だが楽しい宿泊は約束出来んぞ。

[愛想の欠けらも無い物言いで告げると
その深い空色の髪を一度見た瞳で、彼を見据えた。]*

彫金師 スカリオーネ

[あの小さい者はピギーが担当になるらしい。
男の顔を見て怯えていたようだが、これといって気に留めてはいなかった。
何故なら怯えられない事の方が少ないからだ。
火傷にしろ、表情にしろ、態度にしろ。
担当が自身でなくて良かったなとは口には出さなかった。
声をかけたところでまた怯えさせるだけだろう。

自分自身の担当もわかった。
となればまだ一人残った、どこか泣きそうな顔をしたあの女の担当はまだ見当たらないようだ。]

　そこの女。
　そのうち貴様の担当も来る。

[異世界に突然飛ばされ、己だけが一人になってしまったら心細かろう
──という気遣いかどうかは定かでないが、
男はそれだけを投げた。]**

高嶺聖子

[ところで、何だかんだしている間に
一度出て行った衣代和さんが戻って来る。>>85
こっち側にくっついてるあたり、心細いんだろう。そりゃそうだ。
側にきた所で、だいじょぶそ？って声かけたりしつつ。

というか唯一の男の子（桐木くん>>76）も学生だし
もしかしてあたしってば
連れて来られた中で最年長じゃん！？
ここはしっかりしないと！頼れる大人のオンナとして！！

…という気持ちがあったりなかったりしてか、
そこまで取り乱さずには済んだ。

異世界…って正直よくわからんけど
見た感じ（大体は）あたしらとそんなに変わんない人間っぽいから
そこまで警戒せずに済んでるってのもあるかも。
名前は外国の人っぽいし服もコスプレみたいな感じだけど
ちゃんと言葉も通じるし…（魔法のおかげだってことは知らない）
今んとこ悪意も感じないし。
マジでただ保護してくれるだけっぽいな。]

戦士 ランディ

［ランディは冒険者だ。
女性経験がないわけではないというのは夜の街に繰り出しては稼ぎを使っていたというのはここにはいない先輩に教えられた文化である。
夜の街のお姉さん方もお酒を注いでくれるお姉さんにも、そして『夜明けの風』のパーティーメンバーにも感じなかった動悸を>>81今ここで感じている。
女性に慣れていないわけではないのにまるで初心者の少年のように見上げられるとわかりやすくどぎまぎとしてしまう］


　ぐっ、マブすぎるっ。


［異邦人は可愛く見える仕草をマスターしているというのか。
浮かべる微笑みは自信に満ちているように見える。
まるで歴戦の戦士のような雰囲気がそこにあった］


　うん？　……うん？？


［>>82ランディは首を傾げるがすぐに傾きは戻る］

戦士 ランディ

　タカミネセイコが名前で相性がセイコではなく。
　もしや名前がセイコなのか？


［名前が後ろなのも珍しいが氏名があるのも珍しい。
いや都会で生まれ育ったなら持っているかもしれないが辺境の田舎村出身のランディの場合、その村の名前を使う場合もあるのだ。
氏名というのにも馴染みはなく、ほお、と感心したように声をあげる］


　それならセイコ、でいいか。
　いやいや、本当に、マブいから。


［照れている風には見えなくても胸の動悸は収まらない。
当然ながらピギーに荷物運びされた女性やもう一人の女性を見ても動悸は起こらないのだから聖子限定の症状らしい。

　ランディは自分の胸を押さえて深呼吸を数度すると立ち直る］

戦士 ランディ

　俺もダンジョンはいくつも踏破してきたけどさ。
　異世界から来たとかいうのは初めてで夢か幻かみたいな感じだわ。
　だってこんなにマブいし。
　セイコが実は妖精でしたって言われても納得するね。


［妖精ならマブいのも納得できる。だって妖精だもの。
腕を組み、うんうん、と頷く］


　おう、任せておきな。
　ここの事か……よし宿舎に移動しながら軽く話そうか。
　こっちだ、ついてきな。


［聖子に背を向けて歩き始め、大部屋を出る前に一度振り返る］

戦士 ランディ

　それじゃあお先！
　先輩もまたな！　今度酒でも飲もうぜ。


［>>90"いつも通り"最初は面倒くさそうに対応しているように見えるが、アドバイザーとしての仕事はちゃんとしてくれるし与えてくれる助言も的確なものだった。
店を開けている頃合いと言っていたがパーティーに添った的確なアドバイスというものは親身になり考えてくれないと出ないもので、わりと面倒見はいいのだろうと勝手ながらに思っている。
年齢もあるし一線を退くのもありだろう。
店を構えて第二の人生を営んでいるのだから冒険者として成功したとも言えようが、引退する際に葛藤などはなかったのかと今のランディは尋ねてみたいことが少しはあったのでそう声をかけてから大部屋を後にした］

戦士 ランディ

―　宿舎へ　―


　ここは冒険者ギルド・ストレンジの拠点だ。
　ストレンジは世界一大きいギルドなんだ。
　拠点は各地にあって王都ハイランドがこの建物だ。
　王都だからな、かなり大きいぞ。


［ギルドには受付もあれば備え付けの医務室やら食事処もある。
そちらも説明しながら宿舎へ続く廊下を歩いていく。
歩きながら窓から見える光景を見ては案内をしていく。
見える空は青空で広がる町並みは都会ならではのお洒落なものだ。
そしてその青空には使役された飛行生物や魔法使いが飛んでいたりもする。
ギルドの廊下を照らす灯りも魔道具のランタンで火が揺らぐものではなく直接光が生み出されているしランディにとっては見慣れた光景だった］

戦士 ランディ

　つか案内と言っても今のとこ普通のことしかないな。
　セイコが気になるところがあったら聞いてくれよ。

　んでぇ、えっと、この廊下の先が宿舎だな。
　大丈夫か、ついてこれてるか？
　その靴歩き難そうだけどさ。


［時折振り返りながら聖子の様子を確認し、案内するときは指さし確認していく。
見慣れない靴はとても歩き難そうに見えるしスカートも長く歩くには向いてなさそうだ。
それに聖子を直視していればまた動悸が始まってしまう。
初めての感覚には未だ慣れていない］

戦士 ランディ

　……っと、ここからが宿舎だな。
　で、セイコの部屋は……こっちだな。


［宿舎の廊下を歩き、聖子に割り振られた部屋の扉の前で立ち止まる。
懐から預かっていた鍵を鍵穴に差し込むと魔力を流して解錠の言葉を唱えた。
すると鍵を回してもいないのにガチャリと音を立てて鍵が開いたので鍵を抜きながら扉を開き、どうぞと勧める**］

佐次詩羽

──どこかの広い部屋──

佐次詩羽

[中でもセイコさんが良く話を聞いてくれるお姉さんタイプのようで、
勝手に無意識に信頼を寄せたりして。
だってホラ、この後で部屋にやってきた世話役？の人に
威勢よく突っ込んだりもしてくれたから>>62
（ちなみにわたしもそう思った）

あと、直接聞いてはないけど、
同じタイミングで同じ事を思っていたみたい。
つまり、こっちは女三人もいるのに、
なんで世話役ってみんな男なの、って]

（正直、男に傷つけられたばかりの自分にとって、
　見知らぬ男が世話役とか聞くだけで恐怖なんだけど）

[カホさんは世話役が来ると同時に部屋を飛び出してしまったけど、
しばらくしてから、頭が何故かブタの人型（着ぐるみっぽい）と一緒に戻ってきた。
今はわたしとセイコさんの側にいる]

佐次詩羽

　

　大丈夫？

[急に飛び出して心配したけど無事に戻って良かった。
今の状況がどこまで良いかわからないけど、
五体満足なら良いということで。

カホさんに声をかけながら、
わたしの視線はブタさんに注がれる。

以前流行ったアニメ映画にこんな登場キャラいなかったっけ。
目の前で起きてる事が目まぐるしくて、これまで生きてきた世界との共通点を見出しては安心を稼ごうとした]

佐次詩羽

[ここへ来た人はブタさんも含めて4名。
カホさんが選ばなかった人がわたしの世話役かと思ったら、
そうではないらしい]

　……。

[一人、また一人と部屋を出ていく。
同じ世界から来た同胞たちが去っていくのを心細い気持ちで見送っていたら、最後にセイコさんから突っ込み受けてたあの人が、こちらを振り返った>>94]

……はい。

[向けられた言葉に短く返事をする。
まだ世話役を宛がわれないわたしがここに取り残されることを気遣ってくれたのかな。
不器用でぶっきらぼうな態度だけど、そこに気遣いが伺えて
わたしは口元を少しだけ緩めた]

佐次詩羽

　いってらっしゃい

[戻ってこないかもしれないけど、そういって見送る。
未だ姿を見せぬわたしの世話役は、もしかしたら女性かもしれない]

　（女の人がいいな…できれば、優しい……）

[などと願いを込めつつ、わたしは再びベッドに伏して身を丸めた。*]

高嶺聖子

あははっ、いい反応。

[もちろん、あたしは彼の実際の女性遍歴など知る由もない。
経験だけで言えばあたしの方が全然うぶなことも。>>96

ただ目の前の彼の反応だけを見て、
女慣れしてないのかなと呑気に考えていたわけだが。
首を傾げられ、こちらも釣られて首を傾げる。]

え？面白いこと言うね。
そうそう、タカミネが名字で、セイコが名前。
ランディさん…には名字、ないの？

[現代っ子のあたしには姓がない、という発想がなく。
そっか、ここって日本じゃないんだなァ…と実感してしまう。]

高嶺聖子

ん。オッケー。

[名前呼びを了承して、向き直る彼を見る。]

それね〜〜！！
あたしも正直まだこれ夢の中なんじゃない？って疑ってるから。
唐突に異世界って言われても…って感じだし…。
……ホントに帰れるんだよねこれ？？

よ、妖精って。さすがにオーバーじゃん？
確かにあたしはカワイイけどさあ……

[可愛いと言う評には慣れているけども。
こうも繰り返されると本当に少し照れてくる。
20代も半ばに差し掛かろうという身としては
さすがにちょっと妖精名乗るのは図々しい気がするし！]

高嶺聖子

[ともあれ、案内してくれると言う話になったので。
一足先に大部屋から立ち去ろうか。

不安そうな他の子たちの様子も
気にかかんないわけじゃないけど
後で集まって情報共有なりすればいい。

ランディと連れ立って出ていく前
さっきの眼鏡の人が佐次さんに声をかけているのを見る。>>94
心細そうなのを気遣っ…てるのかな、もしかして。
イヤミな感じだったけど案外いい人なのかも。ツンデレ？

なんて思いながら彼と共に部屋を出て。]

高嶺聖子

―　宿舎へ　―

ってゆーか質問なんですけど、
そもそもギルドって何？何してるとこなの？
ランディさんはここで働いてるんだよね？

[説明を聞きながら、あたしはそう口を挟んだ。
ここが王都ハイランドって国だってことは分かったし、
この組織はギルド・ストレンジっていうらしい。
宿舎の中も、窓から見える風景や道行く人々も
やっぱりあたしの知っている現代日本とは似ても似つかない。
絶対物語の中でしか見ないような生き物が
フツーに空飛んでたりして…

異世界ってガチなんだ、って認識せざるを得なかった。

夢にしてはやけにリアルな感覚。
五感で感じる馴染みのないなにもかも。
じわじわとこれは現実なんだ、って実感がわいてきて。
今更、足元から言いようのない不安が押し寄せてくる。]

高嶺聖子

……全然ふつーじゃないんですけど……。
それもこれも見たことないものばっかだし…
外なんか竜っぽいのが空飛んでるし…

[聞きたいこと、ありすぎて
最早何から聞けばいいのかわかんなかったけど。
取りあえずは案内されるまま、黙ってついていく。

彼はある程度こちらに歩みを
合わせてくれているように感じたけど、
それでも元々の歩幅が全然違う。
少し小走りになって、もつれる。]

高嶺聖子

…だいじょぶ、……きゃっ。

[あたしに宛がわれた部屋の前。
立ち止まって中へと促す彼に追いつこうとして、
その場で勢いあまって転んでしまった。]

（………あ、やば。）

[どうしよ。なんか、足に力入んない…かも。

大丈夫って言いたいけど。
こうして見知らぬ場所を目の当たりにして、
思ったより動揺してるのかもしれない。]

高嶺聖子

う、……ごめ、ちょっと…ひっぱってくれる？


[幸い、部屋は目の前だ。
困ったような顔でランディを見上げ、
手を貸してくれないかと頼む。**]

桐木虹介

[ ぽいっと放り込まれるように、>>85もう一人、小柄な女の子がこの部屋へとやってきた。随分と小さい。ベアトリクスと言っていた、最初から室内にいたこちらの女性に丁寧に頭を下げる様子は、人柄の良さを感じさせる。


ともあれ、さっきベアトリクスが言っていたことが本当なのであれば、ここは「異世界」だ。

世話役という人がいるのだとしても、ここに放り込まれた俺たちはなんかあったら助け合えたらいいなって。
ほら、俺は唯一の男だし。ここにいる人たちに害意は感じないけれど、――　ちゃんとしっかりしないと。

いや、俺よりも年上の社会人っぽいお姉さんもいるけどさ。　>>95

何かあった時の為に彼女たちの連絡先を聞こうかと、スマホを探してポケットを漁る。指に触れた馴染んだ感覚にほっと一息。画面を覗き込めば…　圏外。


まぁそうだよな、「異世界」だもんな。と、ようやく状況が現実味を帯びてきたところで、不機嫌そうに壁にもたれていた壮年の男性がこちらへむかって歩み寄ってくるのが見えた。>>93]

桐木虹介

[その顔を見上げて、思わず、息をのんだ。


眉間に寄った皺のあと、痩せた頬、そして、顔面を半分覆う火傷の跡　―――。


視線は不躾にならなかっただろうか。慌てて一度、目を逸らす。


此方を見据える眼鏡の奥の目が宿すものは何だろうか。
その白いコートから、仄かに燻された草の香がして、思わず目を細めた。]



桐木虹介、です。
よろしく、おねがいします



[よくわからないまま、ぺこりとお辞儀をして、名を名乗れば、彼も名前を教えてくれるだろうか。]*

佐次詩羽

──つまり男に裏切られたって話だよ──

佐次詩羽

　

　いいよ、それなら寂しくないね

[って、わたしも安易に乗ってしまった。
好きな相手から一緒に住みたいって言われて、
こっちも嬉しくないわけないし。
なお、卒業と同時にカレの実家からの仕送りが途絶えて家賃折半のアテにされたとか、その時は思いもよらなかったけど…！

両親から猛反対にあったけれども、
もう子供扱いしないで！って突っぱねて、
無理やり家を出てきちゃった]

佐次詩羽

[で、一緒に住み始めたらお互いに見えなかった部分が見えてくる。
カレはわたしの家事の出来なさに相当失望したみたいだ。
かろうじて部屋の掃除と洗濯は出来たけど、
料理や後片付けは実家で母任せだったし、お風呂やトイレの掃除もしたことがない。
おまけに入社早々残業続きで帰宅は深夜、
休日となると疲れ切って寝てばかりだったから、
カレとは常に口論は絶えなかった]

　わたし、家事が出来るって一度も言ってこなかったでしょ

[家庭的な顔をしてるとか大きなお世話だ。
日曜日の夜はいつも泣いていた気がする。
で、泣き腫らした目のまま、月曜日から社畜生活を始める。その繰り返し]

佐次詩羽

[それでも多忙ながらわたしは真面目に働いて、
仕事も要領も覚えて来た。
そんなある日、夕方以降の仕事がキャンセルになって、
定時に上がれる事になった]

　こんなの、……はじめてっ

[今朝はまた「遅くなる」って言って家を出て来たから、
願ってもない境遇にわたしのテンションは上がった。
「早く帰れる」ってすぐに連絡しても良かったけど、
サプライズにしようと思って伝えない事にした。
代わりに帰りに美味しいって評判のケーキ屋さんで
ケーキを買って（いつも帰宅が遅くて買った事がなかったからやっと！）]

　そういえば、
　今日って付き合い始めてちょうど一年じゃない？

[記念日に評判のケーキ。
まだ宵の口の空には、綺麗な満月が顔を出したばかりだ。
空も道も、いつもより明るくて嬉しくて、鼻歌うたいながら帰ったのに、]

佐次詩羽

[帰宅したらすぐに迎えに来てくれると思ったのに
すぐにカレの姿は見えなかった。なんとなく気配のする寝室の方に向かって扉を開けたら]

　……はっ？

[ベッドの中に裸の男女。男はカレで女は見たことがない。
頭ん中真っ白になって、

その後はよく覚えてないや。
手にしたケーキの箱をアイツの頭に思いっきり投げつけて、
そのまま家を飛び出した]

佐次詩羽

[本当は出ていくのはアイツらのハズだったのに。
でも、服を着るのを待つとか冗談じゃないし、
追い出した後で寝乱れたベッドを目の当たりにするのも頭にくるし。

そして、万が一探しに来られてもイヤだったから、
がむしゃらに歩いて少しでも遠くへと離れていこうとした。

カバンも置いてきてしまった。
あるのはポケットの中にあるスマホだけ。
実家に電話をして、今から向かうと伝える。
ただ、母親はすぐに帰ってこいと言ってくれたけど、
途中で代わった父親が電話越しに大声で怒鳴って
「これだから反対したんだ」と頭ごなしに叱られた。
途中で通話を切って、
実家に行くにしても、もう少し後でいいかと考え直す。

実家からのコールが絶えないので電源を切った。
食欲はなかった。
今日は平日で明日も仕事があるけど、出社するか悩んだ]

佐次詩羽

[当てもなく彷徨い歩いて、痛み始めた足に気付いて立ち止まる。
東の方に見え始めていた満月は、いつのまにか空高く昇っていた。
今日の満月は、やたらと明るくて眩しい。
ネットで調べたら「スーパームーン」だって知る事が出来たかもしれないけど]

……綺麗な月だなぁ

[かつて二人で満月を見上げて語り合った夜もあったかな。
やたらと眩しい月は、見つめていると目が痛んでくる。
その視界が急にぼやけて]

　……っ、う

[色々思いが駆け巡って、瞬きをする。
その拍子に目から涙が溢れそうになったけど]

　（───あっ）

[涙が頬を伝う前に、わたしの姿はこの世界から消えた。
>>12に続く*]

きぐるみ ピギー

　みたいだな。俺もさっき知った。

[そもそもなスカリオーネ>>69やら話しの聞かないやつらがなんで集まったのかも今知ったし、それに深くかかわるかどうかは先程の手荷物次第。というわけだ。

視線のない視線は門からの旅人を軽く見てもいたがなんの感想も述べることなく先程荷物とかしていた娘へと語りかけていた]

きぐるみ ピギー

[言いかけた言葉が何か>>88は容易に想像がつく。
自らの選択することに姿勢を正そうとする姿を見ながら、選んだ結果を聞き届ける]

　はいよ。

　俺はピギーだ。次からはそう呼べ。んで、俺はなんて呼べばいい。

[名前らしきものを告げ、相手にも名前を聞くのではなく呼びかたを聞いた。]

　さっきのを謝る相手は俺じゃねぇけどな。

　ところでな。どこまで知ってるかとか俺は全く知らないなかで先に一つ聞くが、なんで裸足なんだ？

[謝られても>>89素っ気ない態度で返しつつ、それよりもと、他の奴は違うようだけど、そういう風習か？と聞くのであった。*]

戦士 ランディ

―　宿舎への道中　―

［>>108反応と言われてもランディ自身にもわからない反応なので文字通り反応に困っていた。
首を傾げると髪もそれに合わせて流れていくのだからなるほど、マブい］


　名字、というのはないな。
　ただ、"ザ・ウォリアー"とは呼ばれてはいるぞ。
　これは二つ名ってやつだな。

　お？
　帰れる……んじゃあないか？
　俺は魔法のことはよくわからんがさっきの女史も言ってただろ。
　技術者がそう言ってるなら一月後には帰れるさ。
　安心しな、うちのやつらは腕はいいからよ。


［聖子が可愛いのは確かにそうだ。
可愛いし綺麗だし美人だ。
妖精と謳っても問題ないだろうし年齢はランディは耳にはしていなかった］

戦士 ランディ

　おん？　質問か、なんだ？
　……ふむ、ふむ。
　ストレンジは冒険者のギルドで、ギルドは組合だな。
　冒険者を束ねて支援したり、依頼の仲介をしたり、
　ダンジョンの産物を商人にぼったくられないように
　買い取ってくれるんだ、そこも手数料かかるけどな。


［ぼったくられるよりは全然マシだな話である。
>>111用は同業者の相互支援のための組織だろうか。
なかなかに説明は難しい］


　俺はその中で戦士をやってんだ。
　最前線で敵の注意をひきつけて倒す役割だな。
　……少し前までは『夜明けの風』ってパーティーで
　難関ダンジョンを攻略していたんだぞ。

戦士 ランディ

　おん？　ありゃあ運搬用の飛竜だな。
　他にも都市間連絡用の飛竜もいる魔導列車ってのもあるらしいぞ。
　俺は乗ったことないけどな。
　セイコの世界には竜はいないのか？
　そっかあ、ないものだらけか。
　俺にはセイコが着ている服は初めてみるけどなあ。


［ズカズカ進んで振り返るを繰り返していると>>112丁度足をもつれさせて>>113転げてしまうところだった］

戦士 ランディ

　うおっ、すまん！
　歩くのが早かったか！


［扉から離れて聖子に近づき床に膝をつく］


　怪我はしてないか？
　痛むなら言ってくれ、後から痛くなってもだぞ。
　よし、後は任せな。


［>>114屈んでも見上げられる程度には体格差がありランディは引っ張ってとは言われたが聖子の腰に手を触れると軽々と身体を抱え上げて最終的には横抱きにした。
片腕で抱えていると荷物みたいであるし運ばれ心地も悪かろう。
横抱きならば少なくともランディの膂力で支えていられる］

戦士 ランディ

セイコの部屋

戦士 ランディ

　うん、うん……一応後で回復薬を持ってくるわ。
　次からは歩く速さは気を付ける、ごめんな。


［怪我の確認が終わると立ち上がり今度は出入り口の扉へと向かう。
腰と背に負っていた武器を外すとラックにかけてからまた聖子の元へと戻る］

　大丈夫か？
　初めての場所で初めての経験で気疲れもするだろうからさ。
　今日はもうゆっくり休んでくれよ。
　欲しいものとかあったら持ってくるけど……。


［多分、あるものも違うのだろうなとランディは立ちながら話しかけている**］

護衛 オスヴァルト

あんたにもいつか現れるといいね。
息を吐くくらい当たり前に
その人のことしか考えられなくなるような…

護衛 オスヴァルト

なんで、俺が…？

[ すったもんだの末、引き受けたものの、
　何度も頭の中でぐるぐるする。

ギルドからの緊急の呼び出し。
本来ならば俺の恩人かつ
旅仲間のじーさんが受けるはずだった特命。
好奇心のかたまりの彼が、
次に“旅人”案件が発生した時は、
是非自分に！とギルド本部に
掛け合っていたらしい。

それがよりによって、じーさんが、
腰を痛めて身動きとれないって時に。]

護衛 オスヴァルト

「またの機会でいいじゃんか。
　それまでに元気になるだろ？」

[ 他に回すくらいなら、同PTの俺に、と、
　指名しやがった。
　ギルド的には問題ないらしい。マジか。]

世話役なんて柄じゃないんだが。

[ 面倒くせーって露骨に声に出して、抗ったが、
生い先短い年寄の言う事をきいてくれんのか、
と泣きつかれたら、どうしようもない。
長命種のくせによ。]

　はいはい、わかりました。
とりあえず本部に行けばいいんだよな。

衣代和かほ

[勝手に出て行って戻された自分に（状況は把握されていないかもしれないが）聖子>>95も詩羽>>105も心配の声をかけてくれる。
虹介>>115からは親しみやすそうな雰囲気とやる気のようなものが伝わり、自分は自分のことばかりだったなと思う。
かといってすぐさま変われるものでもなく。]

　大丈夫。
　…………ありがとう。

[今はぽつぽつとお礼をのべるくらいで。
ただ、彼女たちと彼の顔を少しだけちゃんと見た。
それぞれの顔立ちと雰囲気を覚えておく。
それから実際の身長より小さく見える理由である、猫背気味に丸まって膝を抱えたりしていたことだろう。

聖子が鎧の男性と部屋を出るとき>>110は、その背を睨むようにじっと瞳に映す。
珍しく視線を長く留めたのだが、なんというか、男性側の方がすでに敵わなそうな気がするのは何故だろう。
ふぅ、と息をついて遠のく足音を耳にしていた。

煙草の香りの男性が詩羽に声をかけたとき>>94には。
ほんの少し瞳を大きくし表情を動かさず思案した後、さっきは挨拶もしなかった相手にぺこりと会釈をしたのだった。]

護衛 オスヴァルト

[ 色々言伝を賜ったけれど、
話半分にきいて出て、本部へと向かった。
特命と言えば
　ギルド長のいる部屋に案内されただろう。
　そうして、“門からの旅人”の話をきく。

精霊王の加護を受けている…
　なるほど、それはじーさん、
　興味津々だろうな、と、一人納得しつつ、
　その後に続く「自由恋愛」という言葉に、眉をしかめる。
　なんとなく勝手に、子供を連想してたんだけど。自分がじーさんと初めて会った頃のような…。
　もしかして、もしかすると…。]

護衛 オスヴァルト

[ 旅人が待機してる、というか、看病されている
　大部屋を教えられて、そちらの方へいけば、
　ギルド仲間や旅人の姿はまだ会ったろうか？

　顔見知りがいれば、よぉ、なんて手を振ったり、
　見慣れぬ姿格好の人を見て瞬きしたり、しただろう。

　それから、おそらくは自分の担当>>107が突っ伏しているベッドの傍らに行き、膝をついた。それから半ば覆いかぶさるように、その後頭部をじっと見つめ。]

護衛 オスヴァルト

おい、あんたが俺の…、
いや、俺があんたの世話役だってな？

[ 小柄な寝姿が、少年なのか少女なのか判別つかないまま。彼女が、優しそうな女性の世話役を望んでいたことも知る由もなく。

　突然見知らぬ異界に喚ばれてしまった“旅人”に向けて。]

　…災難だったな。

[ にやり笑いかけたのだった。労いのつもりで*]

衣代和かほ

[着ぐるみ姿の誰かと向かい合うのは不思議な心地だ。
言い表しようのない感覚は、異世界なんてところに来たのとこれまでの経緯も相まって、ふわふわしている。]

　ピギー。ピギー……。

[普段なら敬称をつけるのに。
教えられたままに繰り返して呼んでいた。
着ぐるみの誰かはピギーになった。>>125]

　ぇ、私は、いよりわかほ。

[名前を聞かれたと思い反射的に返してから、この世界に名字の概念がない可能性が浮かぶ。
かほ、だろう。呼びやすいというなら。]

　……なんか、それっぽく楽に呼んでくれたら。
　
[押し黙った後だったけれど、適当に投げやりになったわけではないと伝わるかどうか。
後から、別にいよりわでもかほでも良かったじゃないかと過るが、訂正せずピギーに任せることにした。]

衣代和かほ

[続けて問われたのは予想していなかったこと。
まずそこなんだ、とつい声に出た。
素っ気ない態度には身体をこわばらせることはなく。]

　そういう気分だったから……、

[さすがにそれだけだとおかしいか。
無表情の中、頭で組み立てて。]

　門に入る前に、ちょうど脱いだところだったの。
　暑くて嫌になって川にでも入ろうと思ってて。

　で、そのまま、飛び込みました。

[すらすらと流れるように理由を述べた。
完全に嘘ではない。本当とも言えないけれど。

他にもっと無難な説明があったのに。*]

佐次詩羽

[どうも遅れてくるらしい世話役を、ベッドに伏して
待っているうちに、いつの間にかまどろんでいたようだ。
ほんの短いひと時だったかもしれないけど、
傍に近づく気配には気付けずに]

　……っ、ん…

[毛布を引っかぶった頭上から降る声に目を覚ます。
もぞり、と身動きして体を起こすと、
ぼんやりした眼差しを声をかけてきたらしい相手に向ける]

　……だれ？

[夢うつつだったせいか、異世界に居る事をすぐに思い出せなかった。あんたが俺の。俺があんたの。>>138]

佐次詩羽

　
　せわやく……、っ

[やっと思い出した。しかも期待していた女性ではなくて、
なんかコワモテの男だ。
笑いかけてくる顔がなんか赤い（こわい）]

　……、さいなん

[労ってくれてる？優しいのかな。
でも、この人が言う災難ってどこから？
この世界に飛ばされて来たこと？
いや、その前から災難は始まってる。じゃあ、ケーキをぶつけてきたあたり？それとも、あいつと同棲を始めた時から？そもそも、あいつと付き合い始めた頃から？]

佐次詩羽

　
　そうよっ、災難だらけなんだからっ
　どーしてっ

[ずっと堪えてきたものが一気にぶわっと膨れ上がり、
両手で顔を覆ってわっと伏せた。
急に泣き始めたから、目の前にいる男だけでなく、
ベアトリクスさんも驚かせてしまったかもしれないけど]

　一体、わたしが何をしたっていうのよぉっ

[心の中を感情の嵐が吹き荒れた。
お互いに名乗って話が出来るようになるのは、もう少し後かもしれない。*]

高嶺聖子

[一か月。
帰るにはそれだけの時間が必要らしい。
長いと取るか短いと取るかは人それぞれだろうけど
今のあたしにはなんだか途方もない話に思えていた。>>126]

（捜索願とか出されてそう……
　てか…そんだけ休んだら仕事クビになってんじゃない…？）

[別の不安の種が芽生えたものの、
ひとまずそれは考えても仕方ないので置いておいて。
この世界のことについてあれこれと尋ねてみる。]

組合…それならまだちょっと分かるかも。
冒険者が契約社員とかフリーランスで、
ギルドが派遣会社とか仲介業みたいな…？

[冒険者…ってのがどうやら彼ら世話役の職業で
ギルドの依頼を受けて仕事をしていると。
なるほどなるほど。うっすらとだけどイメージが掴めてきた。]

高嶺聖子

[ランディさんの職は戦士、らしい。

…っていうか、そっか。
ここ、戦いが身近にある世界だったりするんだ。

全然ピンと来ないんだけど…体張る仕事してるのは確かなんだろう。
てかさっきの二つ名の話とか、難関ダンジョンを攻略…とか。]

全然分かんないけど…
…ランディさんって、もしかしてけっこー
この世界ではスゴイ人？

[そんな人に世話して貰っちゃっていいのかな、と
思わなくもないが、心強さという意味ではこの上ない。
あたしがあれこれ言ったところで
どうこうできるわけでもないんだけど。]

高嶺聖子

いるわけないじゃん！
竜とか完全にファンタジーの世界だよ。
列車はまだ分かるけど。
あーそうだね、服も全然違うもんね。
構造どうなってるのその服<…？

[なんて話しながら歩いていたけれど。
途中で転んでしまった自分に
慌ててランディが駆け寄って来る。]

へーきへーき、
別にちょっと転んだだけだし…
…ひゃっ！？

高嶺聖子

[引っ張ってほしいと手を差し出したのだが、
ひょいっと軽々抱き上げられて驚いた。
最近ちょっと体重が…じゃなくてっ、
何もここまでして貰わなくてもいいのに！

所謂お姫様だっこの体勢に、
思わずぶわっと顔が赤くなる。]

……な、なっ、なに言ってんのっ！？

[だ、だってあたし男の人にこんなんされたの初めてだしっ。
ついつい心臓が早くなって――
独り言のように聞こえた言葉にさらに顔が熱くなって。
でも抵抗も出来ずにそのまま部屋まで抱えられる。]

高嶺聖子

―　個室　―

高嶺聖子

…………うん。ありがとね。

じゃあ、えっと…温かい飲み物とか、欲しいな。
お茶とか、ミルクとかでいいから…。

[こちらの食べ物事情もよくわからないけれど、
お茶類ならそこまで変なものは出ないだろう…と思う。]

……それと……その、

[少し言い辛そうに言葉を濁し。小さく呟いた。*]

きぐるみ ピギー

[この娘は"いよりわかほ"というらしい、それっぽく楽に>>139と付け加えられれば、拘りはないということなのだろうと受け取る]

　そりゃーなー。お互い知らないことしかないうえにこっちは世話役だからな。

[そこなんだ。>>140と言う言葉に答えながら川に飛び込んだというのを、ふんふんと

　川に飛び込んだ……なぁ。
　じゃあ他に荷物とかは？

[どの程度の具合できてるのかわからないが、ひとまず靴があったほうがいいだろう。
各々世話役が決まり、一組が外に出ていく中で、ベアトリクスへと靴用意してくれ。と伝える。そして魔法石の指輪>>10についての説明を受けた]

きぐるみ ピギー

　指輪？か…ほら。イヨリ

　身に着けとくかもっておけ、俺と通信できるんだってよ。

[ほれ、とイヨリへと渡したピギーは、いつの間にか狼の頭に変わり、自分の指輪をばくっと体内に取り込むように喰って閉まい]

　それでイヨリはここのことについてどれぐらいのことを聞いたんだ？

[と靴がくるまで待ちながら、何を知ってるのかというのを聞くのであった*]

彫金師 スカリオーネ

　構わんが奢らんぞ。

[後輩にあたるランディからの別れ際の言葉には、そう答えた。
その体躯を満足させる酒の量を奢らされたならたまったもんじゃあない。

いつか語ることもあるかも知れない。

一線を退いた理由を。
店を構えたわけを。

大部屋を抜けていくランディと、連れられて部屋を出る異邦の女。
その胸中─つんでれなる言葉─など知る由もなく
出ていく二人を見送った。]

彫金師 スカリオーネ

　キリノキコウスケ、か…、長いな。

　キリ。
　他の呼び方がいいなら教えろ。
　異世界の命名規則まで俺は知らん。

[逸らされた視線にも、ガラス板一枚挟んだ眼がまっすぐに見やる。
頭を下げる行動は異世界では挨拶のようなものか。
キリの声は緊張に近いものを滲ませているようにも聞こえた。
だからといって頭を下げる文化も習慣も優しい気遣いも男にはない。]

　スカリオーネだ。
　俺の名もまあ長い方だ、好きに呼べ。

　──行くぞ。

[傲慢に、横柄に、そして威圧的に述べると
白いコートと微かに漂う煙香を翻して歩き始めた。]

彫金師 スカリオーネ

[部屋を出る直前に話しかけた女は、ただ不安そうに「はい」と答えていた。
生憎とそれ以上の言葉を持たない男は頷くと部屋を出ようとする。

小さき者の視線にも気付き、頭を下げる姿が目の端に映った。
やはりこの異邦人たちは頭を下げるというコミュニケーションを持っているのだろう。
どうにもその姿は、自己肯定感が低そうだなという印象を植え付けた。

丁度すれ違いざまに、オスヴァルトが手を振ってきた。
男はそれに視線だけくれると、同じく「おう」と簡素に返す。
これで門からの旅人には其々“適任者”が宛がわれたという事となる。]

彫金師 スカリオーネ

[己が適任者だとはまったくもって思えない。
だが、この異邦人を世界に還す一月ほど後まで保護しなければならない義務が
今、男には課せられている。]

　保護はしてやる、それが任だからな。
　ただ俺は他の奴らのようにはしてやれん。
　楽しくもない一月になることは覚悟しておけ、運が悪かったな。

　あと、これを渡しておく。

[ついて来ているであろう後ろを突然振り返り、目の前に手を差し出す。
ころりと掌で揺れるのはギルドから支給された魔道具だ。
指輪の形をした、意思の通信が取れるもの。]

　……ふん、いっちょ前に良い魔石が組まれてやがる。
　これがあれば何かあっても連絡が取れる、付けていろ。

　これから部屋に案内するが、何か聞きたいことはあるか？

[半ば押し付けるようにキリに指輪を差し出すと視線をまたまっすぐに向けた。]*

護衛 オスヴァルト

本部にて

護衛 オスヴァルト

…あんたは悪くないよ。きっとね。
　　でも、生きてりゃそういう時もあるらしいよ。
　　しばらくはここでのんびり過ごしなよ。

[ 彼女の背中の方に手を伸ばして、ぽんぽんとあやすように撫でる。
　嫌がられなければ、しばらくはそのまま。]

護衛 オスヴァルト

　落ち着いたか？
[ 泣き止んだら、顔を洗ったり何か飲んだりとか
　あったかもしれないが、また自己紹介。]
　　改めて、俺があんたの世話役のオスヴァルトだ。
　　よろしくな。
　　あんたは…、なんて呼べば良い？

[ そうしてとりあえずは、彼女が帰還まで過ごす予定の宿舎へと。]

　あ、そうだ。忘れない内に…
　さっきベアトリクスさんから渡された、これ。

[ 魔法石の指輪を、彼女に渡した。]

　これをしてたら、離れていても、
　連絡が取れるらしい。
　…まぁ、なるべく様子見に来るようにするつもりだが。

[ 一旦引き受けたからには、世話役としての責務は果たしたい。それに…、じーさんから頼まれたこともある*]

衣代和かほ

[言われてから荷物について思い出す。>>150
自分自身のことではなく、荷物の荷物の話である。]

　あ、ちょっと待って。

[寝かされていたベッドに戻って探ると、門へ飛び込む前に不法投棄を思い留まったトートバッグがちゃんと置かれていた。
中身はといえばファミレスの衣装や財布にコンビニのゴミという、ここでは役に立たなそうなものばかりだが。
肩にかけてピギーの元に戻ってくる。
どうやらその間に靴を頼んでくれたらしい。
この世界は土足文化なのかどうか。
すでに室内であっても足の裏がチクチク痛かった。]

　ピギーは靴……？

[足元を見下ろす。
着ぐるみの足はどんな風になっているのだろう。]

衣代和かほ

[そしてともに指輪の説明を聞く。
ピギー越しに渡された指輪を手のひらに乗せ、魔法石とはなんぞやと眺める前に目を奪われるものが現れた。

狼になった！！>>151
しかも指輪、飲んだ！！]

　体内にあっても通信できるの……？

[いや、単に着ぐるみの中に仕舞っただけなのか。
オオカミの着ぐるみもしっかりしたもので、口を開ける仕草の時に白い牙も赤い舌も覗いた気がして、暫く固まった。
ごくりと唾を飲み込む。
じわじわ目を逸らすと、手の中に指輪を握り込んだ。

それにしても、イヨリという呼び方になったらしい。
初めての呼ばれ方は心を僅かにざわめかせた。
しかし特別な反応はすることなく会話は先に進み、]

　ベアトリクスという人に聞いたのが、全部。
　
　ここが私にとって異世界なこととか、ギルドで保護するとか、ひとりで外に出ないように、みたいなのとか、そういう感じ……？

衣代和かほ

　あ、

[大事だろうことがすっぽ抜けていた。]

　また門が開くには、少し時間がかかるんだって。

[具体的な時間はわからない。
迷惑をかける期間と思えば気になる。
しかし心はある程度正直なもので、あまり頓着する様子も悩む様子も声音に出ず、淡々と続けた。*]

佐次詩羽

[一度堰を切ったら止まらない。
ワンギャンとなりふり構わず泣いて（この場に同じ境遇の異界人が居ればもう少し堪えたかもしれないけど）世話役という名前に無意識に甘えてしまったのか、感情を爆発させてしまった。

顔を伏せているから知る由もないが、目の前の男はきっと困り果ててるだろう。
それでも何か気休めっぽい事を言ってくれるが>>157、
生憎聞こえてはいても気持ちの奥には届かない。
そうこうしているうちに、背中をさすられた。
余計なお世話だと突っぱねようとしたけど、
この人は悪くないと思い直して（あと背中を叩く加減がちょうどよくて）子供のように泣きわめいた]

佐次詩羽

　うっ…ぐ、…っずび…ひ、っく…

[ずっと泣き続けられるほど体力も気力もないので、
涙が枯れると同時に嗚咽も収まる。
頃合いを見計らってか、声がかかった>>158]

　お、…ス、…ばると？

[耳慣れない響き。でも覚える。
借りた布のようもので目元を拭い、呼吸を整える]

　わ、…わたしは、サジ…ウタハ…
　ウタで、いい

[元の世界では詩羽から『しいちゃん』とか『シウ』って呼ばれていたけど、教えなかった。特に後者は元彼（もう元です）の呼び方だから、ぜっっっ、たいに伝えない]

佐次詩羽

[自己紹介が済んだら、わたしも移動するようだ。
立ち上がる際に腰がカクっと抜けそうになったから、
手を借りて立ち直す。
で、預けた手の中に、何か渡された]

　指輪……？

[つまんで目の前にかざす。綺麗な色合いをした石がはまってる。
なるほど、この世界のガラケー（通話のみ）みたいなものかな]

　……わかった

[さっそく指にはめようとする。
自分の左手を見たら、薬指に元彼からもらった安物指輪
（それでももらった時は嬉しくてずっとはめてたんだ）
があるのに気づいて、むず、と抜き取るとオスヴァルトに押し付ける]

　これ、捨てておいて

[外したそこへ受け取った魔法指輪をはめるかというと、それは何だか違う気がしたので]

佐次詩羽

　……。

[右手の薬指にはめることにした。一旦部屋を案内してもらって、
それからしばらく過ごす事になる宿舎内を案内してもらったあと]

　お腹空いた

[と、オスヴァルトの服の裾を引っ張ったかもしれない。
何でもいい。なんか食べたい。何せこっちは、昼にコンビニ弁当を食べたきりなのだから。**]

きぐるみ ピギー

[荷物といって思い当たるものがあったらしい>>159イヨリ。
肩にバッグを下げて戻ってくる。]

　俺はこれが普通だ。靴も、指輪もな。

[キグルミの足は当然キグルミらしい足に決まっている。柔らかく足音を感じさせないものだ。
示した蹄型に指輪をはめるには相応以上の苦労が待っているだろう。
と、イヨリの問いに答えつつも靴が来るまで待つ間、世話される側はどういう知識>>160なんだろうと聞いてみて]

　……そうか。説明するのも仕事ってのがわかった。

[それぐらいでよく脱走しようと思ったとか思った以上にアグレッシブよな。などを思ったりしたが、それも致し方ないかとも思える。隣で泣いている子がいるがそっちが普通だろうしなぁ。

ただ思い出すように付け加えられた言葉>>161には一瞬俯くようにする仕草以外は感情の見えぬ頭しか見えなかっただろう]

きぐるみ ピギー

[オスヴァルトが去るならば、またな。と軽くいいつつ、靴を待っていたため自然と自分たちは大部屋最後の組となったか]

　俺達もこの後宿にいくんだが、その指輪…一旦試してみろ。

　飯でも服でも欲しいもの念じてみろ。イヨリの欲しいものが当たれば問題なく通信できるってわけだしな。

[試したことのないそれを練習させる時間を取ったりしつついくつかのサイズの靴がギルド員より届けば、合うサイズの靴をイヨリに履いて選ばせることとなるだろう*]

衣代和かほ

[ピギー>>166の着ぐるみは靴を履いてないタイプのようだ。
夢の国の歌って踊るキャラクターなどとは違うらしい――あ、テディベアの方と似ているかな、……ほんの少し、可愛げ以外。]

　指輪も、それが普通。

[そういうものなのか。
装飾品としての指輪はつけられないらしい。
今回は通信が問題なくできるなら良いのだろう。

大部屋には残っていたので、泣き声が届くようならちらりとそちらを窺ったり、ブタさん頭が俯いたら見えるふさふさ部分をぼんやり目で追ったり。
先に詩羽と世話係の男性が部屋を後にするなら、眉を下げ、ほんの少しだけ手を振る仕草をしたことだろう。
気づかれないかも、という前提の行為だった。]

衣代和かほ

　試してみるの？　わかった。
　声は出さなくてもいいのかな……念じる……。

[体温が移りぬるくなった指輪。
摘んでじぃっと見つめる。]

　欲しいものなんて、ないけど。

[現実的に考えると色々あるのだろうが、そんな風に問われる>>167とすぐさま思いつかないのが自分だった。
必要不可欠といえば食事だろうか。うーん。]

衣代和かほ

　あっ、ちが、今何か届いたなら、忘れて。
　間違ったの。

[首をぶんぶんと振った。
普通に喋るのと違って心に浮かんだものがすぐに伝わってしまいそうで、便利というよりは恐ろしさも感じてしまう。

改めて、気合を入れるように呼吸して。]

衣代和かほ

　……どう？

[無事届くものか確認してみる。

靴が届けば、サイズに合うものを選ばせてもらう。
普段と違う、地を踏む感覚。
スニーカーとは違う足音がするだろう。

デザインは別にピギーが指定したわけではないはずで。
こちらもこだわりや贅沢を言うつもりは一切ないため、小さく礼を述べ、借りることにするのだった。*]

戦士 ランディ

宿舎：セイコの部屋

戦士 ランディ

［>>146聖子の世界は竜がいないらしく物語上の存在らしい。
列車は魔導列車もあれば大型の魔物が牽引する列車もあるらしい。
伝わるということはこれはあるのだろう。
服もまた異なる構造というのは聖子もらしい。

　ちなみに素直な感想は聖子を赤くさせてしまうらしいということも覚えた。
赤くなった聖子も大変マブく、>>148怪我の確認の時でもその様子は可愛いくこれはまさしく妖精だった］


　いやいや、俺がセイコに合わせてれば転げなかっただろ。
　疲れてても、だぞ。
　うん、感謝されると嬉しいな！

　よし！　わかった早速買ってく……るう？


［早速要望通りに買い出しに行こうとすると呼び止められてすぐに動きだそうとした足を止めた］

戦士 ランディ

　よし、わかった。
　取り合えず部屋にいるのにずっとこのままも何だ。
　鎧脱ぐからまだ居るぞ。
　だから安心して休んでな。


［ぽんぽんと聖子の頭を撫でるとランディは着ている部分鎧を外し始める。
金属製の留め具を外して革のベルトを緩めてガチガチに固めていた防具を一つ一つ取り外してはこれもラックにかけていく。
防具を外していけば最後に残るは鎖帷子でそれを脱げば長袖の上着とズボンを履いた姿になった。

　>>147聖子を軽々持ち上げたのもすぐに理解できる使い込まれた肉体は内側から上着をズボンを押し上げていた］

戦士 ランディ

　はぁーあっちい……こりゃ風呂に入らんとな。
　セイコー、部屋の風呂後で借りていいか？

　汗くさいままってのもな。
　それで、そうだ。
　セイコのこともっと教えてくれよ。
　服の好みとかもな。


［暫く着込むこともないだろう鎧は後で整備に回すとして汗だくになった後というのは押し上げるのと同時に身体に衣類が張り付いているところからもわかるだろうし、ランディは頬をかきながら尋ねてから、また聖子の元に近づいた］

桐木虹介

長い、ですか？

[キリ、そう呼ばれて。
こんな時だというのに “キリちゃん”、そう呼ぶ誰かの事が過ぎる。チクリ胸が痛んで、変な顔をしてしまったかもしれない。

友達でもない、コーヒーショップのマスターでもない。
…常連のお客さんでもない、年上の人。これからしばらくの間世話になる人。

自分の姿を捉えたときの彼の表情の変化は、いったいなんだったのだろう>>92。まるで何もなかったかのように振舞う、少し険のある彼とどう距離を詰めていいのかわからずに。ほんの少し、迷った末に]


あー、それでもいいんですけど
コウスケとか、コウとかって呼んでもらってもいいですか？

キリノキっていのは、ファミリーネームなんで
なんかちょっと落ち着かないっていうか。

んで、俺の方はリオさんって呼んでいいですか？

[おそるおそる申し出てみる。]

桐木虹介

[断られなければそのままリオさん、と呼んだだろう。
SCAGLIONE。リオーネ。名前の中に隠れているライオンのように、堂々としている、そんな彼に尊敬の念を籠めて。

楽しい宿泊は期待できない>>93、とか、
運が悪かったとか >>155

そんな風に言って、少し突き放された感じはあるけれど、最初の印象ほど怖くはない。どうせいなければならないならば「異世界」を楽しんでみようとは思うけど、別に楽しむためにここに来たわけじゃないし。]

適任者ってどんな基準で選ばれてるんですかね？

[のそのそと身支度をするうちに、くるりと身を翻しさっさと先を歩く彼の背中に向かってぼそり問うた言葉は彼の耳に届くだろうか。]

桐木虹介

[目の前を行くリオさんのコートからまた僅かに煙の香りがする。

――　コーヒーの味がわからなくなるから1本だけな、と悪戯っ子のように笑って大事に煙草を吸う人の指先を思い出して俯いたとたん、振り返ったリオさんが掌を差し出した。>>155]


なんですか、これ

[指輪の形をしたそれを受けとって、ためつすがめつ眺めてみる。連絡が取れる、というけれど、何かしらの発信ボタンやなにかは見当たらない。組み込まれた石がスモーキークォーツのようにきらりとひかって、それはまるでリオさんの瞳の色のようだと、そんな風に思った。

思いのほか大きく重たいそれを、右手だと邪魔だろうな、程度の考えで左の人さし指にはめた。]


どうやって使うんですか？


[つけてみたのはいいものの、ボタンもないので使い方が全く分からない。手のひらをくるくると自分に向けたり、反対にしたり指輪を確認しながら首をかしげる。]

桐木虹介

[だいたい、言葉が今通じているという不思議さも、
魔法がかかっているということにも、気づいていない男が一人。


使い方を教えてもらえれば、暫く色々試してみようとするだろう。]*

きぐるみ ピギー

[逃げ出すアグレシッブさとは別に生気のないイヨリ>>168は淡々と納得している様子である]

　そうだ。声じゃなくて念じるだけだ。

[指輪をじっと見つめるイヨリを急かすことなく待っていて、時折こういう投げやりな部分が垣間見える娘だ。
気持ちを言葉にせねば何も届かずに念じることもしない。
ただ届いた念話を聞き届けて]

　忘れるかは俺が決めておく。
　嫌なら世話係へと命令するんだな。

[首をぶんぶんとふって忘れて>>170といわれたが、改めての通信のほうはよーく届いた]

　無事に念話は届いたぞ。

[どっちもな。とは言わずともイヨリ>>171には伝わっただろう。
靴を選ぶのを待ち終えたところで、おい。とギルド員へと呼びかけて耳打ちをする。]

きぐるみ ピギー

[「門の旅人」からの注文だ。経費で落ちるらしいからそれは気楽である。]

　んじゃ、いくぞイヨリ。
　帰るまで生活する場所に案内する。

[届いた要望から察するに、求めるものを得るために移動を促す。

先程脱走した受付前にいくと、ちょっと待っとけ。といって、受付の強面のおっさんから手続きが終わったので報酬をもらい終えるとギルドより外へと向かうのだが]

　（ひとまずここは馬鹿みたいに人が多い場所で、イヨリがいた場所は困りごとを金払って頼む仲介所だと思えばいい。）

[王都やギルドについて雑に念話で説明をして]

　堂々と歩け。

[俯き加減ではなくそうしろというようにいいながら、イヨリのペースで足音をたてずに歩いてギルド近くの宿舎へと向かった**]

彫金師 スカリオーネ

[キリ、ではお気に召さなかったらしい。
名を呼んだ時に少々複雑な表情が見て取れた。]

　解った、コウスケかコウだな。
　俺の事は好きに呼べと言っている。

[おそるおそる、といった風に聞いてくる声に
当たり前のように返答したその声は険のある言い方に聞こえてしまったかもしれない。
男の中では「そう言っただろう」という、ただそれだけの意なのだが。

その名の中に獅子を見出したコウとは違い
“キリノキコウスケ”の中に樹を見ることも虹を見ることもない。
漢字という概念がそもそも存在しないのだから仕方がない。
今こうして普通に話せているのも、すべては翻訳魔法のおかげだ。]

彫金師 スカリオーネ

　適任者か？　俺は知らん。
　さっき説明をしただろうベアトリクスが詳しいだろうな。

　まあ、ジジイの気まぐれの気もするが。

[ジジイと呼ぶのは笑顔で圧をかけてくるギルド長のことだ。
そもそも何か基準があって選ばれているのだとしたら
男自身が選出されることもないだろう。

やがて歩みを止めて指輪を渡せば、コウは使い方を訪ねてきた。
まさかと思うが、魔道具を使ったことがないのだろうか。
いや、そもそも異世界には魔道具が存在しないのかも知れない。]

彫金師 スカリオーネ

　これは触媒に魔石を嵌めてある。
　魔石の属性と加護により持ち主の意識の──…

　いや、解らんか。

　使い方はそう難しくない。
　“届けたい言葉”をただ念じればいい。

[指輪の構造をつい説明しようとして途中でやめた。
すぐに術構造や魔法構成を見てしまいたくなるのは
魔道具を作る彫金師の良くない所だとも言えよう。
簡単に説明をしながら同じ指に指輪を嵌める。]

彫金師 スカリオーネ

　とまあ、こんな感じだ。

　………ところで。

[説明を終えると、一歩コウへと近づく。
身長はややこちらの方が高いらしく、上からコウへと視線が落ちる。
その目は顔───ではなく、ポケットの方へと向けられ
指先がその中を指し示した。]

　コウが持っていたその板はなんだ。
　危険なものか？

[何か危険なものであるならば没収する必要があるが……]*

桐木虹介

ありがとうございます


[というのも変な話だなと少しだけ可笑しくなった。もしかしたら顔に笑みすら浮かんだかもしれない。

好きに呼べと言われたのだ、好きに呼んでもいいのだろう。>>182

この世界に召喚されてどのくらいの時間が経っただろうか、まだこちらの人との――主にリオさんとの距離感を少し掴みかねている。

けれども、この人の言葉は余白無く真っ直ぐに受け止めていいのだと、そんなふうに感じて]

桐木虹介

ジジイ…？


[続く答えには怪訝な顔をして首をかしげる。まだ会ったことのない人のなかに、年配の方がいるのかもしれない。

適任者についての独り言のような問いにも、きちんと返してくれるところが真面目な人なのだろうな、と思う。

きぐるみの中の人の実態はわからないけれど

――ひょっとしたら“魔法”の世界、ぬいぐるみ自体が本体の可能性もあるだろうけど、俺には知りえない話だ――


ランディさん・オスヴァルトさんに比べて、リオさんは少し年上に見える。彼が俺の世話役に選ばれたのはどうしてなのか――。

まぁ、召喚されてしまった他の人たちが女性だということを考えると、ひょっとしたらそれも関係あるのかな、なんて答えのでないことをぐるぐると。

…今は会話の糸口を探しているに過ぎない。
もっと聞きたくなったら、それこそ先程のベアトリクスさんに尋ねればいいことだ。]

桐木虹介

気まぐれで選ばれたんじゃ堪らないですよね…

[なんてことを話しつつ、指輪の使い方のレクチャーを受ける]


――　届けたい、言葉…？ >>184


[心をあけすけに晒してしまうものではないと聞いて、少し、いやだいぶ、ホッとする。]

桐木虹介

[スマホを使ってメッセージやスタンプを送ることはあっても、そんな風に丁寧に、言葉を扱うことはついぞなかった。そんな風に思っていた矢先、彼の指先がポケットにしまっていたスマホを指し示した。>>185

一瞬、考えが漏れるのかと思ってしまうほどのタイミングだった。]



ああ、スマホです。
電話したり、メッセージを文字で送ったり、写真撮ったりできるガジェットで―――


[ポケットから取り出して、彼に示そうとし―――　あ、と思った時にはもう遅かった。]

桐木虹介

[サーバーからタイムゾーンを取得できずにバグった時刻表示の下、待ち受けになっていた写真。

―― 瞬時に電源ボタンを押して表面を暗闇に戻したけれど、見えてしまったかもしれない。

こんなことなら、別れた時にさっさと消してしまっておけばよかった。

未練がましく残されたそれには、一目で自分よりも年上とわかる男性が、酷く優しい顔をして煙草をくゆらせている姿が映っている。]


―――　み、見ました？


[後から思えば、なんとでも言いつくろうことはできただろう。別に一緒に映っているわけでもない。手を繫いで胸をときめかせていたことがあるくらいの、淡い淡い恋だった。


けれども言い訳ができないくらい動揺をしてしまったら。問い詰められたら白状もしたかもしれないけれど

――あるいはリオさんは、気づかないふりをしてくれるかもしれないし。]*

衣代和かほ

　そんなの、できっこないのに。

[命令なんて無茶なことを言う。>>180
独り言と抗議の8対2くらいの声を小さく零して、仕方ない、少しでも早く忘れるように祈ることにした。
必要なとき以外は指輪を意識しない方が良さそうだ。
独り言をしやすい自覚はあった。]

　……。

[ブタさん頭がギルドの人に耳打ちするのをちらり。
まさかもう行動に移されているとは思わずに。
念で返事が来ると、困惑したように眉を下げた。]

衣代和かほ

――→宿舎――

[移動を促され、ピギーの後を着いていく。
スニーカーとも裸足とも違う、なめし革のブーツの底が床を踏む音をさせながら、いつもより早足で。
受付で何かを受け取っているときは距離をとり、ほんの少し眺めて、後はずっと俯いていた。

いよいよ外に出るらしい。
ここで目覚めてから初めての外の空気だ。]

　……わ、

[ふわっと風が吹いて髪とフードを乱す。
思わず顔を上げ、前を、頭上を仰いだ。
あの夜のよどみとは全く違う、風は初めての匂いがする。
眩しげに目を瞬かせて首を何度か振った。

そうしている内に頭に声が響いてくる。ピギーだ>>181。]

衣代和かほ

　……。

[馬鹿みたいに人が多いところ。
言い方的に、ピギーはずっとこういう場所に生まれ住んでいるわけではなさそうに感じた。
報酬の発生する仲介所ということは、さきほどピギーが受けとっていたのはお金なのかもしれない。
仕事後だとしたら、こんな荷物預かりを急に頼まれて、ゆっくり休む暇もなかったんだったりして。

元の世界の環境と比べるでもなく。
そうなんだ、と一言で全部受け入れるように呟いた。]

　……。

[堂々と歩けと言われても。
ただでさえ浮きやすい服装なのだ、悪目立ちしないためもあるかと、顔だけは上げるように心がけた。
猫背はもうデフォルトなので許して欲しい。
バイトの時限定でスイッチが入れられるもので。]

衣代和かほ

[いつもより早足で歩いて、ピギーと同じ速さ。
追いつく努力をした末だと思っているから、ピギーの方がその自分に合わせてくれていると気づけていない。

俯いて歩かないのは正解だった。
ピギーは不自然なほど足音がないのだ。
目を少しでも離したら見失ってしまいそうで恐ろしい。
そうしている内に宿舎は見えてきたか。]

　ピギーはここに、

　（……この宿舎に普段暮らしているの？　皆も？）

[全寮制みたいなものなのだろうか、ギルドって。
途中から慌てて指輪を握り問いかけた。**]

高嶺聖子

[もちろんあたしだって子供じゃない。
買い出しに行くには離れる必要があると言うのも分かる。

ただ、今一人きりで置いて行かれるのは心細くて…
ついつい呼び止めてしまった。]

……ごめんね。
もー少しだけ、落ち着くまででいいから……

[縋るように、彼の服の裾をきゅ、と握る。
そうしていると少し安心するような気が、して…]

高嶺聖子

[……ちょっと待って？？？]

えっ！？同室なの！？
き、聞いてないんだけど！！

[さらりと流しかけたが、衝撃の事実だ。

いや、世話役だから仕方ない…のか？
確かに側に居る必要があるのは分かるけど…。
でもでも、それなら余計同性にしてくれるべきだと思うの！
仮にも若い男女が同じ部屋で二人きりってどうなのかな！？
てか向こうはあたしと同じ部屋ってことに何にも思わないわけ！？
それはそれでちょっとムカつく！！

一瞬で色んな事が頭を巡り、
ぼぼ、と頭が沸騰しそうになったところを
ぽんぽんと撫でられ、抗議の言葉が引っ込んだ。]

高嶺聖子

……う、うん……

[な、なんだろ、弱ってるからなのかな。
大きな掌に安心して、胸がきゅっとなって
赤い顔のまま髪を指先で辿った。
どぎまぎしているあたしを他所に、
ランディが装備していた鎧を脱いでいく。]

（おお……いい体〜……）

[強い戦士というのは本当なのだろう、
がっちり鍛えられた肉体が服の上からでも分かる。
撫でまわしたい筋肉。
ついつい魅入ってしまったが
あまりじろじろ見るのもアレかと視線を外し。]

高嶺聖子

え、お、お風呂？
そりゃまーいいけどさ……。

[鎧、暑そうだしな。
汗だくのままにさせておくのも忍びない。]

うん…そりゃもちろん。
あ、てかあれだよね。
ここで暮らすなら着替えもいるよね。
サイズの問題もあるし服買いに行くなら連れてって。

[と話していたところでランディが距離を詰めて来て。
ひょいと手を取られてきょとんと瞬きをした。]

高嶺聖子

……魔道具？
へえ〜そんなのあるんだ。

[さっきから薄々感じていたが、
ここでは「魔法」ってのが当たり前に使われてるらしい。
この指輪は電話代わりになるみたい。面白〜。…って、*]

彫金師 スカリオーネ

　……？

[相手からは感謝の意が返され、途端に怪訝そうな顔をしてしまった。
なにか謝辞を述べられる事があっただろうか。
異邦人の考えは、今はまだよく解らない。

とはいえ、何やら表情は多少なりとも緩んだらしい。
それならいいかと、謝辞の意味を不躾に問うのはやめたおいた。]

彫金師 スカリオーネ

　ここのギルド長の事だ。
　たぬきジジイだよ、何を考えているのか解らん。
　ギルド長を務めているくらいだからな、相当強いとの噂だ。

　先代魔王と互角にやり合っただの
　この世の全ての魔法が使える大魔導師だの

　まあ眉唾モンだがな。

[実際のギルド長がどう言った人であるかなど知りもしない。
あの笑顔の下に何を飼ってるんだか、くらいの印象だ。]

　というわけで人選については何も知らん。
　本当に知りたいなら他を当たれ。
　さすがにジジイにはおいそれと会えんだろうが。

[口に出された疑問に淡々と答えていく。
真面目というか律儀というか、耳聰いというかなんというか、だ。]

彫金師 スカリオーネ

　ああ、そうだな。

[男は事実を口にする。
実際、世話役など面倒なことこの上ない。

命の危険を晒すような出来事は、そうそう起こらないとは踏んでいるが万一にそうなった時。
前線から退いた老兵が他者を守れるのか。
特に男は長〜中程度のミドルレンジ。
護衛なんてものは近距離に任せた方が適任だろうに。

何も無く日を過ごせたとて、ランディのように朗らかな訳でもない。
ピギーのように面白い変身能力もない。
オスヴァルトのように気さくに話せる性格でもない。
明らかな人選ミスと言えよう。]