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始業のチャイムが鳴り響く。
鐘の音に潜むように、微かに狼の遠吠えが聞こえた気がした。
どうやらこの中には、村人が1名、人狼が1名、C国狂人が7名、鵜の目が1名いるようだ。
田美院翔が「時間を進める」を選択しました。
/*
うわー、8時間近くかけて間に合わなかったのはショックだ……間に合わせたかった……
無事村開始&役職確認済み、よし
/*
心情やアドリブについては迷いましたが、線引きが難しい箇所も多く見受けられましたので「完全に映画のシーンとして放送されない部分のみ」囁き発言という形にしました。
プロローグで既に感動的な描写が多かったので、無闇に線引きして表に出なくなるのは避けたいなーというのもあり。
─回想/3年生の頃 春・四月/廊下─
[対照的に映し出される幸阪と美濃。>>0:250>>0:320
美濃が幸阪に話しかけるこのシーンで>>0:25相手の身を折るような息苦しさ>>128と息の止まる緊張感>>0:129を一瞬で払拭する箇所。
数拍遅れて反応した後の吐息交じりの声、丹田は心の中で「いい!」と強く頷いていた。緊張からの弛緩を体躯で表すのがこれほど上手な人物もお目に掛かれないと丹田は間近で感嘆する。勿論演技中なので一切表には出さないが。]
うん、そうだよ。
[自らの名を呼ぶ声に頷き>>320見守るような面持ち。
ここから先、あるシーンまで美濃の表情は一切映らないが根岸からは美濃こと丹田の表情は分かることだろう。
丹田の表情を映し出さないのは、この場面でクローズアップするのが幸阪の方なら僅かな動作や間・余白、様子全て文章で表せない部分含め全部カメラに収めた方が良いのでは?という判断から。
特にこのシーンは多くを語らない時の幸阪、後に心情を語るなら対比を映した方が良いのでは?と。>>0:326>>0:327
加えて美濃が幸阪の思いに気づけていない暗喩として丹田が監督と脚本家に提案したのだ。]
[シーンには映らないが幸阪が瞳をきょろきょろさせ、>>0:320状況を確認する様子にも
「集中してたかな?ごめんね」と若干申し訳なさそうに両手を軽く合わせて苦笑するアドリブも交え、落ち着きを待つ。]
悩み?どんな感じの悩みとか言葉に出来そう?
モチーフが決まらないとか
構造が思い浮かばないとか、
集中力が続かないとか。
[悩み中、の台詞に>>0:321
原作同様の台詞で言語化の促しを図ろうとする美濃。
けれど映画の美濃は理解している、
彼女が>>0:321悩み事や相談事を持ちかけるような後輩でないことを。
自分に打ち明けることはないであろうと思いながらも
他の部員たちへと同じ態度で接するのが美濃であると原作にもある。]
[本人からもう少ししたら行くという言葉に頷き>>0:321「お菓子、全部食べないでくださいよ」の
悪戯っぽい笑みにアハハと苦笑する。
ここでようやく、美濃の表情がシーンに映し出された。]
はいはい、
幸阪さんの分もちゃんと取っておくから。
残して欲しいものあったら先に言ってよ。
[「今日はいつものバームクーヘンと一口あられに
ちっちゃな桜どら焼きとか、チョコレート挟んだビスケットあるから」と菓子の名前を入れたのはアドリブだ。
原作で細やかに気を配ろうとする美濃が、>>0:251
集中するような幸阪の様子に>>0:124>>0:125>>0:126>>0:127
餌場ことお菓子コーナーに来ていない可能性、
菓子の内容を知らない可能性を思えば美濃は間違いなく伝えるだろうと丹田が判断してのこと。
それにどう反応するかでも、幸阪という人間について引き出せる一助になるのでは?と咄嗟に思い浮かんだのもあるけれど。]
[……このまま終わらせるのは勿体ない。
役者バカ丹田の興味と役者魂に火がついた。ハーツホリックプロダクションの役者>>0:8>>0:47]
アドリブし過ぎと言われたら(少なくとも)丹田は何も言い返せない、仰る通り>>0:301>>0:302>>0:304>>0:336
でもたまたま2人がアドリブ入れてただけのような?
けれど丹田・行平が根岸の演技やアドリブを見て
「演技が演技を呼ぶ。呼応する瞬間」>>0:297を感じたのと湧き上がる情熱に身を委ねる感覚は2人とも多分、同じもののような気がする。>>0:301
偶然にも根岸がハーツホリックプロダクション所属の
役者2人からアドリブを受けることになるとは
クランクインの丹田、想像だにするはずない。>>0:8。
[ここから美術部でのシーン終了まで、丹田は行動と台詞共に全てアドリブで仕掛け出す。]
松本先生とか、美術部のみんなとか
煮詰まったらいつでも声かけていいからね。
勿論、私も。
松本先生もああ見えて
結構親身に話聞いてくれるから。
[松本に親しみと敬意は抱いてるが、亜美歌ほどの親しみ様ではないという丹田の距離感も同時に表現した箇所。
苦手意識がこの時からあるにせよ、ないにせよ>>0:402
無意識で避けていた可能性があるならこの時から反応に違いが出るかもしれない。
退部届けを出すシーンに繋がる可能性含め。>>0:145
けれどこれは先輩女優の勝手なお節介。
やりづらそうであったり困惑するそぶりが見えればすぐさま自らやり直しを願い、このシーン含めたその後のアドリブも全て取りやめることだろう。
勿論本人からの要望と相談だあればまた別だけど。]
[しかし亜美歌の方を指差すと呆れ顔で]
……あれは参考にしちゃダメなパターンね。
存在が忘年会のカラオケ並みに騒がしい
悪い見本例だから。
[ヒソヒソ声で内緒話でもするように幸阪へ語る美濃。
悩み中の言葉を気にして>>0:321少しでも気を楽に出来たらという美濃の気遣い。
その後の幸阪と亜美歌、
互いに声を掛けられないシーン。
そのどちらとも密接に関わっているかもしれないのは、恐らく美濃。>>0:126>>0:403
この時の幸阪とその後の幸阪・亜美歌間の変化がシーンとなる可能性があるなら伏線と材料は1つでも多いとやりやすくなるかもの意図として。
けど幸阪を表現するのは根岸だ。
どう演じるも、アドリブごと綺麗さっぱりなしにするのも彼女の意思と表現を尊重したい。]
『飲み込む術を忘れた少女の言葉に
飲み込まれた何も知らない、知らなかった少女は、
言葉の濁流ごと自らの記憶も当時の感情も
頭の奥底に押し込められ曖昧なままとなる。
卒業後も公開と心残り、
何故思い出せないのだろうという
蟠りと原因不明の悲しみを胸に抱えながら。
忘れてはいけない、思い出してと心の奥底で
もう1人の自分が美濃の心を揺さぶる。
──どうして、夏服の制服を目にする度。
好きと嫌いの言葉を耳にする度
自分の足は立ち止まるのだろう。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
『飲み込む術を忘れた少女の言葉に
飲み込まれた何も知らない、知らなかった少女は、
言葉の濁流ごと自らの記憶も当時の感情も
頭の奥底に押し込められ曖昧なままとなる。
卒業後も後悔と心残り、
何故思い出せないのだろうという
蟠りと原因不明の悲しみを胸に抱えながら。
忘れてはいけない、思い出してと心の奥底で
もう1人の自分が美濃の心を揺さぶる。
──どうして、夏服の制服を目にする度。
好きと嫌いの言葉を耳にする度
自分の足は立ち止まるのだろう。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
『飲み込む術を忘れた少女の言葉に飲み込まれた少女。
“好きですよ”の言葉を最後に、飲み込まれた勢いで
その後の台詞も表情も記憶の奥底に封じられてしまった。
大学進学してからも、美濃は思い出せないでいる。
あの時自分は何て言ったんだろう。
幸阪さんは何て言ったんだっけ。
その部分だけ、記憶に靄がかかったように思い出せない。
思い出そうとすると靄がかかる、胸が悲痛を覚える。
でも奥底で忘れるな、
思い出せと訴えるもう1人の自分もいる。
バームクーヘンを見つけると無意識に手が伸びた。
何故だろう、特別好きでもないのに
今日も大学のカフェのテーブル上にあるのは
ブラックコーヒーと一切れのバームクーヘン。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋>>0:252>>0:253>>0:254]**
[9歳差が演じる17歳と
11〜12歳差が演じる18〜19歳。
(行平さん曰く違和感はなかったそうだけど>>0:336)
確か今回の出演は田美院先生作品の舞台を切っ掛けに本人から見出されたのだっけか。
>>0:52>>0:260
>>0:260>>0:262
なんて思っていたら本人から声が掛かる。>>0:333]
はい、なんでしょう?
[メイク直し中なので視線しか向けられないけど、
話を聞く姿勢を示し言葉を待つ。
演技と違い素は柔らかく見え、柔軟な印象。
心の中を覗けてたら微笑ましさのあまり「そんなに冷静にと構えなくてもいいんですよ」とむしろ弾むままの心を歓迎しただろうけど。
覗けないので現時点では残念ながら言えず。]
[劇団のSNSについても機械音痴の丹田だが、
マネージャーの操作でアップされた写真を目にしていたのを思い出す。>>0:334
満面の笑みによかったとこちらも嬉しくなったっけ。
極貧時代、自分にとって現場の弁当や差し入れが死活問題だったからこうして余裕が出来た今、
今度は自分が食についてサポート出来たらいいと差し入れやケータリングに力を入れている
だから、お腹いっぱい>>0:334という言葉に慈しむように笑う。]
……どういたしまして。
あの時嬉しそうなお顔だったから
お気に召したのであれば本当によかった。
[わんぱく過ぎるどころか
むしろ丹田にとって嬉しい一言。
幸阪と違う溌剌とした笑みは、
“こちらの表情を生かした演技も見てみたいと”心の中で役者魂に火がつきかけたけど、
このおどけ方も根岸なりの現場への溶け込み方だろうと思い特に指摘しなかった。]
─文化祭・体育館─
[舞台裏で、竹村茜は仲間たちと準備をしている。
これからステージに立つのだ。
緊張した面持ちでストレッチ。
仲間たちが音を合わせたりしている中、何人かの友人がやってきてはエールを送ってくれた。
機材をセットする。
目を閉じて深呼吸。
マイクスタンドの前に立ち、マイクが入っていることを確認する。
他にもステージを使うクラスや部活があるし、軽音部自体竹村茜のチームだけではないから与えられた時間は少ない。
幕が開く。
視線の先に、集まってくれた観客たちが映る。
その中に、誘った人はいただろうか。
知る先生はいただろうか。
捉えたのは例のあの子。心配そうにこちらを見ていて、一瞬眉を寄せた。
それでも唇を引き結んで声を出す。]
集まってくれてありがとうございます。
練習の成果、聴いていってください。
『白虹日を貫く』
[竹村茜のその言葉の直後、軽くカウントが入りイントロが始まる。
五分に満たないその曲を歌っている間、様々な生徒たちが映る。
単なる観客、噂していた生徒。
例のあの子、遠くの誰か、そして竹村茜自身。
文化祭の別の場所の風景も映りこむ。
そして歌を歌い終わった後。
盛大な拍手の中、少しホッとしたような竹村茜が映る。
もう、あの子は映り込まないまま。
仲間と共にある楽しそうな笑顔が映った。]*
─舞台裏/原作者に問う─
[原作者である田美院翔。
彼にこそこそとデータを送る。
こんなんどうでしょう。
撮影の待ち時間だとかにノートを開き、何やら書き込んで。
データを作り上げたのは帰宅後だったが、主な作業場は撮影現場だった。
そして、OKサインが出たので映画でも使われることになった。
本来、原作では文化祭のシーンは『歌声が響き渡る』程度で描写は終わっている。
それぞれ、その歌声を聴いた者の感じ方は別に書かれていたとしても、歌に関してはそれだけだ。
その為映画では主題歌を歌う予定もあったが、主題歌を歌う本人がそこで歌ってしまっては竹村茜ではなくNixになってしまう、と私の方から辞退させてもらったのだ。
その為、本来は名曲の何かをカバーして歌う予定だった。
いくつかピックアップされ、監督から指示された曲を練習もした。
けれど。私は竹村茜なら何を歌うだろうかと考えてみたのだ。
学生だから、歌いたい歌を思い切り歌えば良い。
下手でも良い、拙くて良い、それが自作でも誰かのカバーでも。
そして私なりの解釈で、竹村茜が歌いたい歌を考えてみたのだ。
そしてもし良ければそれを歌ってみたいと。
そしてその希望が通り、私は歌う。
竹村茜として、この歌を。]*
─白虹日を貫く─
世界を彩る様々な色
鮮やかで くすんで 澄んでいて 濁って
似た色でも少しずつ違う
私達も纏う様々な色
人は色を決めたがる
空は青 雲は白 草木は緑 血液は赤
虹の色ですら七色に決めてしまった
それなら世に溢れる色の名前は何?
今、白い虹が日を貫く
人に決められた色に逆らうように
これは世界に向けての反乱だ
果たしてそれは正義か悪か
今、君の色は何色だ?
私にはあなたの色が見えない
世界に奏でる様々な音
涼やかで 響いて くぐもって 篭って
似た音でも少しずつ違う
私達も鳴らす様々な音
人は音を決めたがる
波の音 笑い声 教会の鐘 下校のチャイム
その音を鳴らす場所すら決められてしまった
それなら世界に響くこの曲は何?
今、私の声で歌を歌う
誰かに私の音を決められないよう
これは世界に向けての反乱だ
果たしてそれは正義か悪か
今、私の声は届く?
私には自信のかけらもない
正義か悪か それですら
一つの色ではない 一つの音じゃない
それでも世界は私たちを決めたがる
正義の色も悪の色も
ねえ 私は今どんな色に見える?
私の色は私だけのもの
ねえ 私の声は君に届く?
私の音は私だけのもの!
今、白い虹が日を貫く
人に決められた色に逆らうように
これは世界に向けての反乱だ
果たしてそれは正義か悪か
今、君の色は何色だ?
私にはあなたの色が見えない
/*
舞台裏に突っ込んでしまったけど、ぶっちゃけ映画では歌詞より映像の方がメインで出てるはずだから良いかなと…(歌の詳細説明って感じで舞台裏扱いにした
― 花壇での撮影シーン ―
[>>0:363 飯島明良役の水戸との撮影シーンの一幕だ。
彼はこの繊細で複雑な役柄を、絶妙なバランスでもって
演じている。
少しでも加減を間違えると、嫌みなヤツになりかねない。
葛藤を滲ませながらも、学校という戦場を上手にこなそうする青年。
己のことを知り過ぎるとつまらなくなるし、
知らな過ぎても白けてしまう。]
( さすが元天才子役。 )
[いささか、斜に構えた感想を抱いてしまうくらいには
千木良は、嫉妬にも近い感覚をおぼえているのだろう。
今回の映画では数少ない同世代というのもあって、
気づかないうちに意識してしまったらしい。
ケンの演技に響いてはならないと、深呼吸して気持ちを整える。]
どんまい。
[NGへの謝罪はにこやかな笑顔で流した。
撮影にはつきものだ。一度や二度のNGなど誰も気にしない。
ただ、言葉が彼のコントロールから逸れるまでの演技は>>0:362
見とれるくらいのものだったので、
それが無いものになってしまうのは惜しいなと思えた。*]
[舞台・テレビ・銀幕と出身は違えどベテランの多い現場だ。
高校を舞台とした群像劇、と事務所から聞いてから
演技は素人同然の新人が売り込みかねて集まるんだろうと
そんな予想を立てていたため、若干面食らうことになった。
子役上がりで歴こそあるものの
モデルを主軸にしつつある千木良こそ
この中ではキャリア不足といえるだろう。]
根岸さんとか知らんかったけど、
めちゃくちゃうまいもんな。
[千木良は舞台経験はなく、舞台関係者にも詳しくなかった。
幸阪結月役の根岸に真宮寺亜美歌役の姫野のことも、
名前すら覚えがなく。
二人とも映画出演は初と聞いていたのに、
堂々とかつ自在に演じていて
自分が知ったつもりでいる世界の狭さをつきつけられる。]
あー、やっぱいいな。
[現場では松本志信役の行平同様、>>0:160
映画の主題歌を聴くこともよくあった。
彼と違い携帯ダウンロードでの鑑賞は音質も劣化していただろうが、
その程度で損なわれない芯の強さがこの曲にはあった。
元々ハードな曲を好む千木良は普段からNixの歌は聞いていた。
彼女が出演すると聞いた時はオーディションに受かった時よりも
驚き、かつ喜んだものだ。
『 隙を見てサインをもらう。 』は密かなミッション。
果たされる機会があったかどうか。]
[千木良は中学三年生だが、中高大と
エスカレーター式の学校に通っており、
この時期でも比較的のんびりしている。
だから彼女の口にしなかった気遣いは取り越し苦労。>>0:274
休憩中も教科書や単語帳を開く素振りも見せない様子から
あるいは伝わったかもしれない。
父親は会社経営をしており、裕福な家庭といって差し支えなかった。
恐らくこのままモデルをしながら大学まで進んで、
先がないと判断すれば就職か、親の後を継ぐという未来が
容易に想像できる。
『 ボンボンの割にはハングリーさがある。 』
とは事務所の社長の言で、誉め言葉ですね、嬉しいですと
含む『 賢しい 』のニュアンスは素知らぬ振りの笑顔を返した。]
……楽しいなあ。
[自身の役ほど不器用でも真っすぐでもない。
どんな場所でもこなしていける、そんな自信も持ち合わせていて。
だからこの場にしがみつく理由はない筈だ。
役者に監督や、スタッフ、原作者や経営陣と作り上げていく感覚、
現場の空気、誰かの思わず惹き込まれるような演技、
このシーンはどんな画になるんだろうという期待。
役を貰った当初よりずっと楽しんでいる自身を感じている。
自分より実力もネームバリューもずっと上の先輩から
評価されていることも現場にいれば肌で分かって。>>0:337>>0:338
そんな手応えが千木良を乗せて集中させていくことに
心底楽しいと思えていた。**]
/*
青春群像劇なのに村建て両方ともシリアス一直線してる汗
あと幾らか美味しい展開いただきすぎていいのかな、
ありがとうございますありがたすぎて頭が上がりません
―舞台裏/シーンカット後―
>>0:350
[本物に触れる。どこまでも演技を追求したい行平にとって、それがどんなに嬉しく素晴らしい事であるか。
まるで宝物を見つけた子供のように眼を輝かせていたか。
そんな様子を見て根岸がポカンとするのも当たり前であろう。
知らない人なら不審者、いや不審なおじさん扱いだったはずだ。
だが、二人は熱演を交わした後である。だから、そのポカンは一瞬であったと信じたい]
[彼女からお礼の言葉を聞いて漸くホッとする。>>0:351
そこからの表情の変化ーー
今度は行平が、彼女の勢いに驚く番だ。
嬉しそうに語る様は、結月ではなく根岸寧子のもの。
余りの褒めぶりにゆるゆる首を振る]
そんな、手綱を握るなんて。
いえ、私の方が歳上の役者ですからそうすべきなのかもですが、根岸さんの方が役者として先輩ですから。
[活躍舞台は違えど、デビューが遅い行平より、場数は彼女の方がこなしている。
しかし、謙虚な女優だ。あんな風に大胆なアドリブを仕込んだかと思いきや腰は低い。
行平は無意識に、役者・根岸寧子への好感と尊敬の念を強める]
ーーああ、そうですね。亜美歌と松本のシーン。>>0:352
監督的には気に入らないなどで削った訳ではなく、バランスを意識したとのことのようで。
松本の情熱はーー言わば、呼び水と言いますか、チャッカマン?
これは変ですか。
[火をつける役、という意味だが。おかしかったら笑われるかもしれない。おじさんとはそういうものだ]
結月や亜美歌の葛藤や気持ちを刺激するためのもので、主ではないですからね。
松本はあくまで生徒の引き立て役。でもだからこそ、やりがいもある。
[脇役であるのを行平はまるで恥じない。興奮も落ち着き、穏やかに語った]
しかしーーあなたの演技に、私も熱がこもってしまったな。
……本気で負けたくないと、思ってしまいましたよ。
[しみじみ語る。そして、彼女が一緒に怒られる事を笑いながら話すなら、目尻に皺を寄せながら頷いた事であろうーー]>>0:353
―舞台裏/根岸の奇行?を目撃―
[監督からアドリブシーンにokが出た。笑顔になったのは根岸だけではない。行平も表情を緩め息を吐いた。ーーが]
……
[揺れている。ツインテールがゆらゆらと(俳句)>>0:360
全力で手を振る根岸。手を振れば髪が揺れるのは当たり前だ。その先にいるのはケン・ドリック役の千木良ーー
成る程、嬉しさを伝えたい訳か……しかしこの揺れるツインテール、何かに似ていないか?
首を傾げる行平。
ーーそうだ。昔行平が実家で飼っていたプードルにそっくりである。はしゃぐ様子も愛らしさも]
……ぷっ
[小さく噴き出した。それはきっと夢中に手を振る根岸は気付かなかったであろう。
奇行も可愛ければ問題はないのである]**
ー夏/職員室にてー
[職員室に数名の教師が集まり、ざわざわとしている様子からシーンはスタート。
教頭がこほん、と咳払いをし、話し始める]
……今朝、匿名の手紙が私の所に届きました。
この学校で虐めが発生している、というものです。
誰が、誰に。クラスも書かれていません。
先生方は生徒の様子を注視して下さい。もし相談してくる生徒がいたら、話を聞いてあげるように。
そして、私に報告をお願いします。
[松本はこのシーンでモブである。よって、皆に混ざり難しい顔つきをしているだけだが、表情の演技を緩める事はない]
[予鈴が鳴った。教師たちは自身の机に戻りファイルなどを手にする。話をしている者もいるが、松本は誰とも話さず足早に教室を出ていく。
このシーンは勿論、後に続く。
原作では後半のエピソードに。
映画を観る観客は、学校内での事件、波乱の幕開けにワクワクするであろう]**
[苛めと言うものは、どこから始まるものなのか。
竹村茜の場合は、あの一件が深く関わっている。
竹村茜は差別主義者であり、差別という加害をする側だ。
だから、可哀想なあの子のために竹村茜を攻撃する事は、正義である。
加害者は報復を受けるべきなのである。
それは、それを成す彼ら彼女らにとっては、苛めだったのだろうか。]
[「─玉響に“なけ”─」一部抜粋]*
─文化祭後・下駄箱─
…わお。
[思わずといった風に声が出た。
それは下校の時のことだった。帰ろうとしたら靴がない。
靴なんてどこかに置き忘れるものでもないのに。]
くっだらない…。
[回想として現れるのは、今までの靴箱を開けたシーン。
ゴミが入っていた時もあった。
死んだ虫が入れられていた時もあった。
ラブレターらしきものを開いたら「ブス!」と書かれていたものもあった。
仏花が入れられていた時も。
そんな、様々な趣向を凝らした下駄箱珍事が連続して、パカ、パカ、パカ、と開けるシーンと共に映し出されていく。]
でも、紛失は痛いな…。
履ける状態で戻れば良いけど…。
[はあ…、と大きくため息が出る。
一先ずこのままでは帰れない。
上履きのまま帰っても良いが、探して見つかる範囲にあるならまだ可愛いものだ。
頭をガシガシとかくとふんすと鼻で息をだしてからくるりと場所を変える。
手近のゴミ箱から、一つ一つ確認していくのだ。]*
/*
茜ちゃんの文化祭軸を拾いたい気持ちが胸いっぱいなんだけど、そうするならまずビンタ軸を回収したい気持ちから叶えていかねばならない
うう 遅筆 茜ちゃんゆるして……
あと気が向いたら遊んで……
丹田さん行平さんのお返事もする……したい……
これは嬉しい悲鳴なので喜びの類です
今日は八月まで書く 決意
─回想・美術部部活動と亜美歌の心境─
[春に桜が一斉に開花するような>>0:265>>0:341ら、
松本は花々を通り抜ける風か育む大地みたいだ。]
……ふーん?
[気付きの宝庫と言った>>0:341
(じゃあティーチャーが気づいたことって何だろう)
押し付けられたもんで、自分を見失わずに済む
(見失いかけたことでもあんの?)]
『亜美歌は首を傾げつつも
松本の言葉が心に引っかかる。
まるで実体験のような現実味を帯びた説得力を感じ
そう思うに至った理由は何だろうと、疑問を持つ。
しかし、それを口には出さない。
繊細な部分であればと思えば言えなかった。
松本が過去、技術だけを押し付けられ
あるものを見失った時期があるということに
触れられてはいなかった。
後にこの言葉を痛いほど思い知るのだが
亜美歌はまだその痛みを知らない。』
[『─玉響に“なけ”─』一部抜粋]
[残念ながらこの“後”については>>0:111>>0:112
改変の影響で
バッサリカットされた箇所がある。>>0:267
明らかになるかはシーンを選ぶ誰かさん次第?]
[亜美歌はまだこの時
松本の大切にしたいと考えてるものを>>0:342
真の意味で気づいてないのかもしれない。
そんな彼が表面の姿だけでなく
自分の努力を見てくれていることを>>0:342>>0:343
無意識のうちに読み取ってるのかもしれない。
美濃のように優れた感性、技術はない。
幸阪のような集中力と気迫はないけれど
自分なりの表現、見つかっては逃げていく
糸口を掴みたくてあの部にいるのは確かだ。
例え集中力が切れて喋ってばっかり
お菓子貪ってばっかりな状態であったとしても。]
[今はまだ、化けるほどの才を見出せてはないけれど。
もし彼のいる芸術の高みへ行けるなら────]
『亜美歌の集中力が続かないのは
いくつか理由がある。
1つは単純にドローイングが苦手なこと。
ペインティングの方が好きなこと。
芸大受験のデッサンもモチーフ次第で
合否が決まりかねないほど得意苦手の差が激しい。
有機物はいけるが金属などの無機物は苦手。
2つはサイズが小さいと
窮屈に感じて描きづらいから。
小さなものを拡大して描くのは出来るが
大きなものを縮小して描くのは苦手。
一度F50キャンバスを手にして描いた時は
普段と違い生き生きとした表情を見せていた。』
─舞台裏・撮影終了後のお互いのプライベート─
あっ、そうだったんですか!?
確かに行平さんと言えば熱血刑事のような
刑事モノ役柄のイメージのような……。
でもこうして行平さんの松本信夫に対峙すると
役柄のイメージだけで決めつけちゃいけないなって
すごく実感します。
志願された行平さんと採用された映画関係者の方、
2つの奇跡が合わさって
“ティーチャー”が生まれたんですね。
[口調こそ映画と現実では変わるものの、
姫野が行平に現場と知名度の先輩だと
敬意を抱くのは変わらないようだ。
間近で演技に触れれば、なおさらのこと。既視感の空気は和やかに、緩やかに。まるでシーンの延長線みたいだ。]
なるほど……ご自身の経験と共通項が
行平さんも近しさを感じてらっしゃると。
[離婚の経緯が違うこと、
その経緯や彼の頭に浮かんだことまで>>0:163
想像出来るほど姫野は聡くないけれど。
でも、なんて言葉をかけたらいいんだろう。
打ち明けてくださったことは
自分が簡単に触れてよいものかと。
言葉に悩んでいたら笑みを浮かべたまま尋ねられたのは
自分が所属する劇団名の名前だった。>>0:345]
へ?ああ、やはり気になりますよね。
劇団浮かれロースカツ定食の由来は
座長の堤丈さんの思い出話なんです。>>0:84
元々上京時住み込みで働く予定だったお店が
火事で全焼し、知り合いもいない
右も左の分からない状態で食うや食わずの時、
トンカツ屋のご夫婦に拾われ
最初にいただいたのご飯が
ロースカツ定食なんだとか。
その時偉い人になると言った堤さんに
「偉い人はいいが、偉すぎてもいけない。
いつでもロースカツ定食が食える程度にしとけ、
浮かれて散財してもロースカツ定食程度なら
いくらでも後戻りできるから、と。」
その言葉が何となく心に残って
浮かれて散財とロースカツ定食を足し
“浮かれロースカツ定食”にしたそうなんですが
今思うと身の丈以上の
地位と金を使っちゃいけない、
地に足ついた感覚を忘れちゃダメだ。
かと言って金に追われて
食べるために生きるなという
大事な教えでもあったんじゃないかということで
『いつでもロースカツ定食が食える程度に』は
いつしか劇団のルールと標語になりました。
……すみません、
名前の割に面白みのない由来なんです。
[他所で浮かれロースカツ定食の由来を語る度、
何だか申し訳なくなる。
話を聞く価値とご期待に添えたらいいのだが。]
[でも、こうして話をした勢いでなら言えるかな?]
あの、離婚そのものは
全然恥ずかしくないと思います!
「大切な人を失いながらも生きる松本は」と
確か仰いましたよね?
敬意を詳しく存じあげないので
偉そうなことは言えませんが……
行平さんも、もしお相手が大切な人であったなら。
経緯がどうであれ「大切な人を失った」
逆に言えば大切な人に出会えたということなのでしょうか。
もしそうであれば、その事実を
恥ずかしいと称すのは……言葉の綾でしょうけど
全然恥ずかしいことでは、ないと思いますよ。
……すみません、見当はずれなお話でしたら
そのまま無視してください……。
[握手したままなのを忘れ、
つい真剣に語ってしまった姫野。
語り終えてから事実に気づいたが
男性らしく感じる手の感触と単にタイミングを逃す。
そのまま何事も無かった振りで
次にどう行動すべきか必死に脳内で計算する姫野だった。
姫野、亜美歌と違い体が先に動くが割と引っ込み思案の小心者タイプ。]
[余談、
クランクアップ後のインタビューを拝見して>>0:336
丹田さんに分かる!と共感し
Nixさん普通に役者さんと
張ってたような気がしつつ、>>0:337
平屋のシーン好きだったなーと感傷に浸り>>0:337
千木良さんそう言えば
原作と結構違う風だったなと思い出し
評価に成る程と納得し、耳を傾け
今後の大きな活躍が期待できる役者は誰だろうと
上がる名前を楽しみにしてたら……]
(えっっ??私?根岸さんじゃ??)
[何 で す っ て ?]
インタビューの媒体は紙か電波の情報か。
それとも他の共演者もその場にいる形なのか。
いずれにせよ目えかっ開いて「私!?」と言いたげに
インタビューの方へ何度も
交互に視線を映す挙動不審ぶりが
いつかどこかで目撃された可能性はなきにしもあらず?]
(もっと化ける、“映える”、はちきれそうな魅力、
ひっぱりだこ……ひえぇ……)
[あの行平さんがまさか自分を、という動揺へ追い打ちをかけるようにかつて子役姿を拝見していた水戸さんからも亜美歌が現実にいるようなと評されたことを知り>>0:390褒められ慣れてない姫野はマネージャーに落ち着けと頭を叩かれるほどうろたえかけたのは未来の話だ。**]
― 回想/1年前・春・四月/美術室 ―
[結月に声をかけた美術部員の顔は映らない。>>1
美濃伊緒だと分かるのは、結月>>0:320が彼女をそう呼び、
これまで彼女が幾度もシーンに登場してきたからだ。
知り合いも多く>>0:3、聞き役かつ受けてである女の子。>>0:12
人望ある彼女が相手の思いを引き出す場面は多くあるだろう。
今回のシーンも画面は美濃の話し相手である結月を映す。]
あー……すみません、大丈夫ですよ。
原因は分かってますから。任せてください。
[美濃は他の部員と同じように結月を扱う。>>2
結月もまた、そんな心優しい先輩に笑顔で答える。
画だけを見るならとても平和で、心温まる場面である。
だからこそ、薄膜を隔てた向こうの冷たさが際立つのかもしれない。]
[結月は決して美濃に悩みを打ち明けない。
見方を変えれば、彼女の優しさを踏みにじる行為かもしれない。
事実、その果てに結月は美濃の心に傷を残す。>>15
読者の中には"幸阪結月"という人間を嫌う者もいると言う。
ある者はその幼さに、ある者は好きな人を傷つけられたことに、
ある者は身勝手さに、あるいはただぼんやりと苦手に思う人もいる。
根岸はそれを悪いことだとは思わない。
むしろ田美院先生の描く人物の鮮やかさに感服する。
だから、根岸は"幸阪結月"を偽らない。
少しでも良く見せようとしない。好かれようとしない。
彼女なりの生き方の理解に努め、それを愛おしく思う。>>0:35
故に、結月は美濃>>2が差し伸べる手を迷いなく拒んだ。]
[話を断ち切るように結月が冗談めかした言葉>>0:321で
場を誤魔化すと、美濃の笑み>>3が映り雰囲気が変わる。]
欲しいもの……、ですか?
[台詞通り進行しようとして、丹田のアドリブに言葉が詰まりかける。
未遂で済んだはずだ。監督が撮影を止める様子もない。
意識の端で問題ないことだけ把握し、根岸はアドリブに応える。]
じゃあ……バウムクーヘン?
[ひょい、と美濃の向こうを覗き込むようにしながら返事をした。
通称餌場ことお菓子コーナーのある方向だ。
初めてそちらに興味を向けたようなきょとんとした顔をして、
大して欲しいとも思ってなさそうな不思議そうな声で。
あくまで表面上の関係を保つための提案だったことを暗に示せば、
丹田の意図を上手く汲めただろうか。]
[……悪くは、なかったと思う。
記憶がすべてあるのか若干の不安はあるが、
"幸阪結月"として偽りなくありのままで話せた。
舞台は撮り直しのない一発勝負だ。
端役だとしてもそれは変わらない。
だから、今の根岸の精いっぱいは出したつもりだ。
後の判断は監督に委ねられる。
弾む心臓を宥めるように胸に手を当てた。
それでも、もし丹田と目があったなら。
にっこりと笑って見せるだろう。]*
/*
根岸過剰評価されすぎじゃないですか???
だいじょうぶ???
本当に歴だけが長い新人だよ???
めっちゃアドリブ振られる(ありがとう)
インタビューで名前言ってもらえる(ありがとう)(たぶんト書きで全員の印象書いたから)(ありがとう)
でも新人なので……おてやわらかに……思ったより大したことない人になっちゃう……それもあり……(?)
─6月・体育祭・卒業式に居なかった理由─
[他の登場人物シーンが幾つ流れた頃だったか。
シーンは伸びをする亜美歌へと切り替わる。>>0:288]
私が卒業式に出られなかったんは────
[原作でも2度目の3年生になってからは
隠しもしなかった話。
聞かれたならいつでも誰が相手でも教えた、
留年に至った経緯と卒業式に
“出られなかった”理由とは。]
─回想・1度目の3年生 冬─
[今後のことを決めようとなった時、>>0:284
最初は通信制高校も魅力的に感じた。
今まで取った単位は無駄にならない、
取れなかった単位だけ取ればいい。
けれど単位制高校は最寄りでも大神高校より遠く、
自分でスケジュール管理が出来るか自信が無かった。
それに、美濃の入学が決まった美大に合格可能な>>0:3
偏差値に届く学校かと言われたら正直微妙なライン。
進学に特化する高校はどこも遠方で
通学が少ないとはいえ通うには躊躇する距離。
元先輩としての距離感の測り方、
新しいクラスや学年に馴染むか心配だったけど
亜美歌は留年しやり直そうと決意した、
その矢先だった。]
[突如学校からのn度目の呼び出し。
留年危機に陥ってから
何度も呼び出されたせいでもう慣れた。
何の用だろうと首を傾げる亜美歌の映像。
場面は学年主任へと変わり、亜美歌の目の前で
書類の数々を亜美歌に差し出す。
在学証明書、成績証明書、校長の転学照会書、
成績・単位修得証明書、そして退学届。]
えーっと、これは、一体どういう?
[事態が飲み込めず学年主任を見つめる亜美歌。
困惑する亜美歌を他所に、学年主任は淡々と
話を進め始めた。]
[学年主任がしてきた話は2つ。
1つは通信制高校への転入か、退学の勧め。
1つは亜美歌へ卒業式に来ないで欲しいという要望。]
……………………は?
[突然の話にどういうことだと
言わんばかりに睨みつける亜美歌。
そりゃそうだろう、留年しようと考えて居た矢先に
突如突きつけられた転入か退学の2択。
皆へ卒業おめでとうって言いたい、>>0:278>>0:285
定年退職で会える機会は最後になる菊ちゃんに>>0:285
ありがとうとごめんねを言いたい願いも否定され、
許されないとでも言うかのような
卒業式に来るなの要請。>>279]
[通信制高校転入か退学を勧めた理由を聞けば
あれだけ努力しても留年を回避出来ない様子であれば
この先留年しても単位が習得出来るかは分からない。
また、稀に留年を選択した生徒が
今まで何人かいたものの
ギクシャクした人間関係を改善できないまま、
もしくはプライドを捨てきれず結局は
転入・退学を選択した例が殆ど。
なら最初から転入か、退学を選択すれば
本人も周囲も時間と労力を無駄にせずに済むと。]
[学年主任の言葉にカチンと来る亜美歌。>>0:74]
(……意味わかんない。
どーせ留年してもすぐやめんならやめとけって?
決めつけんじゃねーよ。
アンタらの価値観で、
私の人生決めつけてんじゃねーよ。)
[ふざっけんな!そう思ったがまずは心の中で堪えた。
自分の努力を知らずに……いや、知った後も
頭と態度が悪いからだなと言い放ったのが
学年主任、目の前の人物だった。>>0:281最初から、目の前の人物に期待なぞしちゃいなかった。]
[話は卒業式について移る。
昔、留年した生徒が顔を出した際
せっかくの卒業式に水を差された気分だと
トラブルになった過去があるらしい。
話を聞くとトラブルは式終了後、留年した生徒を
在籍していたクラスに入れてのHRが原因らしい。
かといって在校生側として出席させたら
在校生も留年した生徒の扱いに戸惑い
式の空気が変になったことがあるとか、何とか。
この時卒業生と保護者から批判が集まったらしく]
[要するに自分を出席させることで
トラブルに繋がる懸念があるなら
最初から当事者を欠席させればいい。
それが学校側の意見だと学年主任は言う。
来るなということは登校禁止、>>0:279
校門にすら近づけない。]
……ふーん、それがアンタらの結論なんね……。
正直ガッカリした、失望したわ。
何?過去のトラブルで懸念があっから
私にゃじっとしてろって?
何だそれ、ふざけんなし。
それ結局私もあの子らも誰も見てねーじゃんかよ。
過去の幻影ばっか囚われて、卒業する連中のことも
進級する奴らのことだって何も見てねーじゃん。
[もし理由が
“今の卒業生の中に水を差されたと感じる人物がいる”
なら亜美歌も納得して引いたことだろう。
高校の卒業式は多くの人間にとって一生に一度、
その晴れ舞台の価値を理解してるからこそ
“水を差す”のであれば諦める気でいたから。
けれどこれはあんまりだ。
自分も生徒も誰のことすら見ちゃいない。]
私はね、卒業する奴らにただ一言
「おめでとう」って言えりゃよかったの。
菊ちゃんにありがとうと留年してごめんと、
最後のお別れさえ言えりゃそれでよかった。
それをアンタらはダメってゆーわけね。
2度と会えん誰かがいるかもしれんってのに。
あっそ。よーーーーーーーくわかったわ。
[亜美歌は在学証明書、成績証明書、校長の転学照会書、
成績・単位修得証明書、そして退学届を手に取ると
トントンと机の上で束ねて整える。
そして紙を横にし、束の上部を両手で掴むと
そのまま真っ二つに引き千切った。]
[ビリ、ビリッ、紙を引き千切る音。
それ以外の音は一切聞こえない。
静寂の中とびきりの笑顔で紙束を引き裂く亜美歌の姿が
舞い散る紙屑と共に映し出されていた。
やがて笑顔のまま紙屑全てを机にぽんと落とすと、
笑みに挑発の色が混ざる。]
お生憎様、私は留年してやり直すって
最初っから決めてっかんね。
どーせやめる?やってみにゃわかんないっしょ。
私の人生勝手にそっちが考えんなし、
決めつけんなし。
どーせなら1年後卒業証書叩きつけて
あんたらのむかっ鼻へし折ってやんよ
10年後ハーーーーーゲっっっっ
[前年度の卒業式、亜美歌はその場に居なかった。
何故なら亜美歌は当日、
学校から登校を禁じられていたのだから。>>0:279
式終わりに校外で会いに来てくれた生徒もいた。
少し離れたカフェで互いに話した、
式がどうだったかも教えて貰った。]
いやー、みんなの晴れ姿見たかったわー。
合唱とかやったっしょ?やらない感じ?
どんなんどんなん?へー、そっかー。
まっ、まずは卒業おめでとー!
次送別会っしょ?菊ちゃんの。
卒業生対象だから出られんけど
よかったらこれ持ってってくんない?
私から菊ちゃんへの手紙。会えんでごめんーって。
[やがて送別会に向かう
友人や来てくれた子らを見送って、
亜美歌は彼らが去った方向をじっと見つめた。
踵を返した、向かったのは駅だった。
1時間ほど走れば海辺に着いた。
日は沈んで夕焼け空だった。]
……ほんっと、ありえないっしょ……。
[海岸のテトラポットが波打ち際の波を消す。
カニが歩いた、波に海藻が打ち上げられた。
それには目もくれず、亜美歌は近くの石を海に投げる。]
たった一言、
「おめでとう」って言えりゃよかった。
みんなにさよならさえ言えりゃよかった。
晴れ姿見て、共におめでとうって
言えりゃよかった。
それだけで いいってのに
何でダメなんよーーっ!?!?
何で過去のトラブルどーこーとかで
学校寄ることすりゃ許されんのさ!?
一体私が何したって言うんよ!
留年だってしたくてしたわけじゃねーわ!
これでも自分なりに努力して足掻いたっつーの!!
あーもーほんとうざっけんなし!!
[溜まりに溜まった鬱憤で、海に向かって吠えた。]
留年決まってみんなと卒業出来んってなって
受験の話出るたび内心気まずくて、
それでも自分にゃ1年過ごした連中だから
ちゃんとお別れ言いたかったんよ……。
菊ちゃんだって、卒業式逃したら
2度と会えなくなるかもしんないじゃん……。
私だってやった!!一生懸命やったわ!!
いくら頑張っても出来ない惨めさなんか
私がよく知ってるっつーの!!
追い打ちなんて要らねーんだよ!!
[波の音に紛れてもよく通る亜美歌の叫び。]
卒業式のことも卒業するやつらが水差されるって
直接言ってんなら引っ込んだわ。
でも過去にいたが理由なら今の連中がどうなんかも
ちったぁ聞けっての10年後ハーーーゲっっっ!!
問題起きたら嫌だからって、私の思いも1年間も
過ごして来た思い出全て否定してくんじゃねーよ!
別れぐらい言いに行ったっていいだろーーっ!!?
別れぐらい、言わせろよ本当……。
伊緒っちに卒業おめでとうって
言いたかったわ……。
[どれだけ叫んでも、燻る思いは静まらない。>>0:21]
……私、ぜってーなんねーかんな。
例え出来てなくても本人が頑張ってんなら
私だけはそいつのこと絶対笑わねー。
過去や虚像ばっか見て本人のこと全く見ない
頭でっかちな大人になんか絶対なんねーから。
人の気持ち無視して、都合押し付けてくるよーな
頭でっかちな連中になんか絶対なんねー。
人の気持ち1ミリも考えてくんないような
大人になんか絶対絶対
ぜーーーったいなんねーーからーーー!!!
[普段声が大きめの亜美歌すら
滅多に出したことのない声量で叫ぶと]
……………あ…………。
[限界の糸が切れた、砂浜にしゃがみ込んだ。
そして顔を突っ伏し声を上げず
たった1人静かに泣いた。
もう、辺りは風と波の音しか聞こえなかった。]
[映画ではカットされてるが、
原作ではこんなシーンがある。
卒業式に出席出来なかった経緯を経て>>0:111
自分が教えられる方がしっくり来ない人間だと
亜美歌は涙に濡れた顔を上げ、無言で悟る。
そして脳内で思い出す。
『お前も来るか、こっちに。
そんで昇るか、上まで。
ーー亜美歌』
松本の言葉を。]
[亜美歌は唇に弧を描き、真っ直ぐ海を見据えて呟く。
「──うん、行く。絶対行く。
絶対昇ってテッペン取ってみせる。」>>0:267
最初に松本へ告げた台詞と全く同じだが
言葉の重み、決意と込められた覚悟が
桁違いに増した真の意味での決意。
『ーーあるさ、勿論。お前らは気付きの宝庫だ。
押し付けられたもんで、自分を見失わずに済む。』>>0:341
この言葉を脳裏に過ぎらせながら。
ティーチャー、と零す
亜美歌の声色は────>>0:343]
─体育祭─
[幸阪と亜美歌の視線が
すれ違うことはなかっただろう。>>0:403
一瞬で走り抜けた幸阪と、それ以前に
続きを語る際一度も人がいる
方向を一瞥すらしなかった亜美歌。
互いに声を掛けられていない同士、
美濃の記憶のことも
何とも思っていないといえば嘘になるけど
その通り、恨んでなんか全くいない。
ただ迷子じゃないか案じてるだけ。
美術室に幸阪の姿がしれっと混ざって
描いてた、なんてことがありそーで。>>0:404
例えやめたって、心の中で幸阪はまだ
美術部の一員扱いだってのはもしかしたら嫌がられるかもしれないが。]
( 絶対、ぜーったいこの高校で
1年過ごして卒業してやんの。
そんであの時信じてくれた菊ちゃんに
松ちゃん、菊ちゃんの目は正しかったよって
本人に絶対言ってやるんだ。
────卒業証書片手にね。)
[あの日書類を破り、啖呵を切ってから>>0:16
自らが心に掲げる誓いの1つ。
覚悟はあの日海辺でとっくに固めた。>>0:18
弱音を吐くのはあの日で絶対最後にしてやる、
そう決めたから。**]
─舞台裏/海/メイキング映像─
「はい、カット!」
お、お疲れ様でした……。
き、キツい……喉はちきれそうです……。
[乾燥しそうな海辺の風、
終始大声で叫ばなくてならない上に
有り難くも膨大な台詞量。]
うーーー、寒い…………。
[そこそこ風も強く冬場設定で厚く着込んでいるとはいえ
海風に当たれば体も冷える。休憩用のコートをお借りし映像をチェックしながらブルブルと震える姫野だった。**]
ー 舞台裏 続・共演者についてインタビュー ー
根岸さんは、なんて言えばいいのかな。
僕、あえてそれぞれの役には深く触れていないんですが、根岸さんへの印象を語ろうとすると、根岸さんの役にまで触れてしまう気がするんですよね。
うん。えっと。とても明るくて良い方です。根岸さんの周りは、いつも空気が暖かくて。
弛緩しているとかそういうことではなくて、優しい、心地いい緊張感っていうんでしょうか?
悪い空気にならなくて、緊張感や緊迫感に押し潰されそうになることもなくて。
落ち着いて現場に向き合える空気をいつも作り出してくださるというか。
演技についてですか?ネタバレしそうで、あんまり言えないんですけど、根岸さんの演技には、独特の重みを感じます。
身体の芯まで揺さぶられるような、そんな演技をする方だと思っていますね。
千木良、さんは。あ、違います。苦手とかではないです。
掛け合いのシーンがあって、ケンくんって呼ぶんですよ。歳も近いし、ちょっと役に引っ張られてしまって。飯島くんの呼び方が定着してしまったんですよね。
でも、役と役者は違うので。僕は一人の役者として彼を尊敬していますし、ちゃんと敬意を持った態度で接するべきだな、と。これは彼だけでなく、共演者の皆さんにも思っていることなんですが。
ただ、うっかりしてしまうこともあるので。歳が近いからこそ余計に気をつけないと、と思っているところです。
そんなわけで、本題とズレましたが、千木良さんについてですね。
先ほども少し言及しましたが、掛け合いのシーンがあるんですけど、本当に凄いですよ。迫力に呑まれそうでした。
ただ、その迫力は激しいものではなくて、どちらかというと静かなものだと、僕は思っています。
ただそこにいるだけで無視できない存在感があって、言葉を交わしたら気圧される力があって。
とにかく負けないように、色褪せないようにと必死で食らいついていきました。
Nixさんは、今回の映画の主題歌も歌われているんですよね。
僕はこの撮影をきっかけにNixさんの曲を聞き始めましたが、どれも歌詞の中に切実さや心に訴えかけるものがあって、今回の映画の主題歌も思春期の心にぐっとくるものがあって、撮影の休憩時間に何度も聞きました。
この曲を聞いていると、自分が大神高校の一員になったような、そんな気持ちになります。
Nixさんの演じる竹村さんは、ありきたりな言葉になってしまうけど、凄く好きだったな。
竹村さんの持つ芯を大切に演じていたという印象がありますね。
それから、現地の方から共演してくださった方々の演技も素敵で。
派手な強さはないけれど、その場で生きている説得力のある演技だと思いました。
理澄市に生きる人たちの生活を、息吹を、肌で感じました。
勉強しないと、ってご当地のものを色々教えていただいたりしましたね。
差し入れでいただいたおはなちゃんまんじゅう、映画でも登場するので、興味のある方は是非食べてみてください。美味しいですよ。
[その後もいくつかの質問、役者への印象やこぼれ話などの後にインタビューは終了する。
ああ、僕じゃ言葉足らずだな、なんて考えながら。
やっぱり是非映像で見ていただきたい。彼らの魅力はスクリーンの中、最大限に引き出されているはずなのだから。]**
─梅雨・放送準備室─
[>>0:391竹村が頬を緩ませれば、少年は安堵を見せる。
縮こまっていた背筋から僅かに力が抜けたのが、彼女の表情越しに僅かに映った。]
……っ、は、はい。
[しかしそれはすぐに終わる。
軽いスキンシップに硬直した少年は、首だけを何度か頷いてみせる。]
お、お疲れ様、でした……。
[>>0:392カメラはそのまま準備室を去っていく彼女の背中を追って。
後輩が海藤を揶揄う声と海藤の戸惑いの混じる声ががフェードアウトしていく。
少年は、竹村の自己嫌悪に気付く事はない。*]
せん、ぱい……?
[驚きに頭の回転が遅くなった根岸は咄嗟に小さな手の指を折る。
たし、かに、なが、いか……? 考えたこともなかった。
ほんの少し大げさでどこかコミカルな動き。
舞台の癖が抜けないことにしてください。
実は元から落ち着きがないとかそんなことは、あります。]
いや……あれ?
[理解した根岸はいやいやいやと首を横に振った。
二つの尻尾が揺れる揺れる。
過剰な謙遜に取れるかもしれないが、
根岸は己の未熟さを知っているのだ。大真面目である。]
そ、うですね。
生徒をメインに据える監督の意図も理解しています。
[大真面目であるが、やりすぎても困らせることは理解している。
だから話を自然と"松本志信"という役どころへ移した。
彼の話へ相槌を打つ。そこにカットされたシーンへの不満はない。
メインを引き立てる脇役の重要性を理解しているからだ。]
チャッカマン、いいですね。
生徒たちの心が燃えるのはきっと危うくて美しいです。
だって、「青春って、劇薬だ」……ですもんね?
[この映画のトレーラーに乗るフレーズを挙げ、根岸は笑う。
彼の言うチャッカマンにふと思うところがあって口を開こうとすると、
それより先に行平から予想だにしない言葉を貰った。>>*14]
[根岸は己の未熟さを知っている。
臆さないが、驕るつもりもない。
もし共演者たちの評価を聞けば地面にめり込みかねない。
しかし、嬉しくない訳じゃない。嬉しくない訳がないのだ。]
さっき、チャッカマンのお話をされましたけど……。
もし、わたしの演技が熱を持っていたのなら、
それはきっと丹田さんのおかげですよ。
もちろん最初から熱い気持ちで挑んでましたよ。
でも、少し前に撮影したシーンで
丹田さんから大量のアドリブを振られまして……ふふ。
和を乱すことはしませんし、作品が大切なのは第一として、
わたしもやってやろうって思ったんです。
……やってやれましたか? 言い方おかしいかな?
[とっておきの話のように打ち明けて、
一緒に怒られましょうなんて笑い合う。]
ー 舞台裏 インタビューこぼれ話 ー
好きなシーン、一推しなシーンは、言えないし選べないですね。
僕の言葉で注目して見てもらうのは嬉しいんですけど、やっぱり自然体で楽しんでほしいという気持ちもあるので。
好きな登場人物ですか?
原作小説で読んだときから、竹村さんが大好きです。
映画でも共演者の皆さんの演じる人物は皆、生き生きとしていて、好きなんですけど、やっぱり竹村さんが好きです。
僕に一番近しいというか、共感できる人で、原作を読んだときに彼女の姿勢に力をもらったのが大きいですね。
[はにかみ笑いながら、そんな風に自らの好きを語った。
ついで話は原作小説の方へ、竹村さんだけでなく、他の登場人物についてもいくらか話をした。
勿論、ネタバレや重要な箇所には触れないようにしたけれど、一人のファンとして、インタビューに答えられるだけのことを。]**
─舞台裏/梅雨・放送準備室 NGシーン─
[>>0:395アクシデントは、縁起経験の少ない共演者により大きな衝撃を与えたようだ。
竹村からNixの表情に変わる瞬間をカメラは捉えてしまっていた。
それでも続行しなければと思ったのは、舞台俳優としての反射的な行動。
けれど途切れさせるのなら、自分の方が進行への影響は少ないだろう。
イントネーションが変わったのは、そんな予測もあった為。]
あー、大丈夫です!
丈夫なんでー。
こっちこそほんますみません。
竹村さん、ええ感じやったのに、勿体ない事してしもて。
[Nixが次に切り替えやすくなるように、羽藤は笑顔を向けてみせる。
同じく画面外であるものの驚かせたであろう後輩役の新人俳優にもフォローを入れて。
散らばったCDケースを戻してくれたスタッフにありがとう、と声を掛ける。
そういった立ち回りは得意な方だと自負している。]
[リテイクでは羽藤は目測通りの立ち位置に後退り、Nixは見事に竹村を演じてみせた。
彼女の方はカメラと共にそのまま>>0:392廊下の撮りに。
羽藤達はフェードアウトする声を撮り終えた後、竹村側のカットがかかるまでは沈黙を保った。
先に後輩役を労うと、女子トイレの入り口手前へ向かい。]
Nixさん、お疲れ様でした。
何か飲みます?
[シーンを撮り終えた彼女が出てくれば、断りやすいようにごく軽い調子で声を掛ける。
>>280彼女が空き時間に他の役者達と話すタイプではないと見たから。*]
/*
いいなーインタビューシーン描きたいけどキャパシティ内の悔しい、やっぱ頑張っても今のスケジュールじゃ12時間超えちゃうか……
― メイキングカメラ ―
[地面が映っている。
鼓膜をくすぐるようなごそごそ音が響いた後、画面が上向いた。]
……よいしょ。
[映ったのは根岸だ。
素人でも扱えるサイズのカメラなのだろう。
小柄な根岸寧子の手には少々持て余すサイズであったが、
どうにか自分の方にレンズを向けることに成功し、息を吐く。]
幸阪結月役の根岸寧子です。
こん、かい、は出演者さんにインタビューをしていこうと思います。
[将来BD化された時の特典用メイキングの撮影である。
インタビュアーに根岸が抜擢されたのは、物怖じしない性格と
彼女が知名度の低い新人であることも関係しているかもしれない。
画面に映るのはインタビューされる側の人たちですからね。
けれど、根岸の経験になるのも事実だ。]
今日のお題ですが……
"自分の役と似ているところはありますか?"
だ、そうです。
では、早速行ってみましょー……どこから行こっかな。
[セット内ツアーも兼ねているため、根岸は周囲を映しながら歩く。
見えちゃダメなところは後でカットすればいいのだ。便利で助かる。
もし手が空いている様子であったなら、
小さな取材陣(1名のみ)に突撃されることだろう。]*
― 晩春/下駄箱付近 ―
[何かが破裂するような音が響いた。
今日も今日とて図書室での仕事を終えたのだろう。
幸阪結月は夕暮れの廊下を歩いていた。
小柄な彼女の横を女子生徒が走り抜けて行く。>>0:168
自然と視線は彼女が来た方へと向いた。]
……。
[その瞳の色は、図書室にいる時>>0:372とあまり変わらない。
一瞬驚きに目を瞠ったが、最後は微かな迷いだけを残す。
だって、外から見れば友人の喧嘩のようなのだ。
幸阪結月はどちらかに肩入れして怒るような正義感もなければ、
傷ついた顔をする彼女へすぐに駆け寄って気遣う優しさもない。
ただ、何も見なかったことにできるほど強くもなかった。>>0:149]
─舞台裏/梅雨・放送準備室 NGシーン─
[>>*45とんでもない、と首をふるふる横に振った。
自分はいつもほぼ1人でやるものだから、誰かと一緒になれないことをやると引っ張られる。
うまく演技ができていたのだとしたら、それは周りに影響されてより没頭できた証だろう。
…と、思うものの言葉にできない。
今は、この未熟者は、自分のやらなければならないことに必死なのだ。
だから演技の先達の気遣いをありがたく思いながら、心をほぐして仮面を付け直す。
仮面をつけることだけは、多分、得意なのだ。
そして演技を終えて一息つく。
女子トイレから出てくると目の前に>>*46男子がいる光景は、ちょっと油断していた私には驚いてしまうものだった。
びっくー!と大袈裟に体が跳ねてしまったが、へらっと笑う。]
あ、ありがとうございます…。
か、えっと、うとう、さん?
[ちょっと名前に自信がない。
私は酷く人の名前を覚えるのが苦手なのだ。
それも、この現場であまり人と話したくないぜ!に繋がっている。
海堂くんが海藤くんじゃないのだ。
センセイはセンセイじゃないのだ。
最初に覚えた役柄の方でいつも呼びそうになる。
今回はなんとか出てきたが、テレビや舞台でも役者の名前を覚えられなくて『ほら、あの大根デカに出てた人』とか『あのなんかすごく粘着質なストーカーやってた人』など、下手すると役柄の名前すらあやふやになる始末だ。
これは父親からの完全なる遺伝子のいたずらで、この数少ないヒントで答えを導き出すのが家族を取り纏める母である。が、勿論現場に通訳及び辞書という名の母は居ない。いるわけがない。
恐る恐る、名前を呼んで。]
何か、って、何があるでしょうか?
もしあれば梅昆布茶飲みたいです。
塩分。
[雨の日の撮影だったから、お腹に入れるのは温かいものが良い。
ついでに言うと塩分が欲しい。
それを素直に口にして。]
役者さんって、ほんとすごいですね…。
わたし、頭の中、めっちゃパンクしそう…。
[なんて、つい弱音を吐いた。
…事実、名前ですら把握しかねてるのが現状なのだ。キャパオーバーである。
監督と助監督の顔は覚えているが、それぞれの名前を覚えきれてない始末なのだった。]*
ー 五月・校舎前花壇 お供えの正体? ー
[その髪を最初に見たのはいつだったか。>>0:369
校舎前花壇に意識を向ける人間は少ない。
美化委員の真面目な後輩か、そうでなければライバル意識でも持っていそうな園芸部の連中がたまにちらりと覗きにくるくらいだ。
大体の顔は認識しているつもりなだけに、記憶にない明るい髪はいっそう目立った。
しかも記憶はないくせに、何故か印象だけがある。>>0:294
どこかで見たような、そんな奇妙な違和感だ。
声をかけるか迷ったが、彼女は誰かを待っているようにも、悪戯を考えているようにも見えない。
ただ、ごくわずかな時間。そこに留まって花壇に意識を向けているようだった。
荒れた形跡のあった場所を、ただ眺めやっているように見えて。]
こんにちは!そこの花壇にお供えしてくれたのって、君だったりする?
[笑顔を浮かべて、問いかけてみる。]**
─晩春/下駄箱付近─
[腫れた頬を隠すことなく視線を伏せていた。
少し立ち尽くしてしまっていると>>54軽やかな少女の声が届いて、伏せていた顔を上げる。
ぱちぱちと目を瞬かせて、いまさら熱を持った頬に手を触れた。ぴく、と指先が一瞬強張り、けれど頬を隠すようにそのまま触れる。]
そうですね、そうします。
…あの、このことは、ご内密にお願いします。
大事にしたくないんで。
[眉尻が下がる。
チラリと視線を向けたのは、あの二人組が立ち去った方向。
そしてペコリと頭を下げると、玄関脇の水道まで歩いていく。
ハンカチを取り出し、水道の水を浸して絞る。そして頬に当てる、その前に。]
「声をかけたその相手を、飯島は一方的に知っていた。
しかし、その事実を飯島はまだ知らない。
飯島はその人物の顔も特徴も知らない。
知っているのは名前と、人づてに聞いた情報だけだ。
情報元は去年の美化委員長だった。彼女は美術部所属だった。」
ー玉響に“なけ” 原作小説より一部抜粋 ー
あの、すいません。
…もしかしてモロに手形になってます?
[もう一度、話しかけてくれた女子へと声をかけた。
かすかに眉を寄せた、しかし大真面目な顔で。]*
/*
削除したのは、下駄箱と玄関=学校の玄関ってなると校門?遠くね???と、投稿した後に我に帰ったからです。校庭のとこにある水道をイメージしてたんだけど良い言い方がわからんかった。
そして絡んでくれるの嬉しい!わーい!
/*
ちなみに飯島はやる気のある後輩に仕事を振り分けて最終チェックしてるだけなので過剰労働ではありません。できてないとこは手伝うけど。
というか虐めの件、邪魔かな、と思って暫く様子を窺おうと考えているけど、下駄箱もゴミ箱も活動圏内な気がするんだよな。
目撃してたら飯島はぶち切れです。正義感ではなく職務の方向で。
─舞台裏/梅雨・放送準備室 NGシーン─
[共演者のメインキャストで、関わりの持った事のなかった相手については、ざっくりと触れておく。
それは羽藤なりの外部作品に出演する時のアプローチ方法だった。
カメラが回っている間は役として相対するが、カメラ外で雑談する事もあるかもしれない。
相手の事を知っておいて損はなかった。
>>*49彼女が今回の作品の主題歌を作る事を聞き、海藤役のオーディションに合格した後に記事の載った媒体を購入した。
そこで原作者からオファーがあったらしいと知り、彼女の出しているCDをダウンロードして聞いたりもした。
そこに作者が竹村を推した理由が感じられるかもしれないと。
>>*0残念ながら竹村が劇中で主題歌を歌う事はないようだが、文化祭のシーンがある。
本職である彼女の歌声を生で聞ける貴重な機会。
主題歌の方は、映像とどうハーモニーを奏でるか、楽しみにしようと。]
[>>*49彼女と実際に共演してみて、本職でない分野で、竹村役と向き合って頑張っているな、と先達として思う。
竹村は同性に好意を寄せられる役柄だ。
近年、比較的ハードルは低くなったものの、彼女の役柄のさじ加減はそれなりに難しい。
それに、彼女の一言から遠巻きにされるという展開もある。
故に、余計な負担をかけないように滞りなくなく進めたかったのだが、そんな時こそアクシデントが起きるもので。
女子トイレ前で待っていると、彼女は先程の海藤のように驚きを見せた。
それには、ごめんなーとゆるく謝って。]
はい、羽藤ですー。
[>>*50恐る恐るといった呼び方に、へらりと笑ってみせる。
誤っていたらゆるく訂正するし、役柄で呼ばれても気にしないだろう。]
ん−、今日は気温も下がってるから、あったかいお茶とかコーヒーもあった筈……。
……梅昆布茶。
なかなか渋いチョイスですね。
俺も飲みたくなったかも。
あるか聞いてみましょっかー。すいませーん。
[>>*51意外なチョイスにくすりと笑った。
確かに梅昆布茶なら塩分も一緒に摂取できると思う。
仲良くなったスタッフに、梅昆布茶があったか聞いてみて。
ある、と聞けば、ありますってーと笑いかける。]
あはは、そう言って貰えたら光栄ですー。
映画は特に参加する人が多いですしね。
それだけ沢山の人の想いが集まって出来るって事なんでしょうけど。
あぁ、でも、役名でも大丈夫ですよ。きっと。
間違えるの嫌やったら、聞いてもいいと思いますし。
[零れた弱音には、そんな言葉をかける。]*
/*
NPCにキャラ付け掘り下げし過ぎないように気をつけよう。
ソロル時はある程度出演させるけど、舞台の広がり程度に。
上手い具合に動かして飯島はこういう人ですよ、と伝えられるかな。
―六月/体育祭―
[この時期の放送部はそわそわしている。
全国高校放送コンテストの県大会を翌週に控えているからだ。
とはいえ、一大イベントの一つでもある体育祭に手を抜く心算はなく、体育祭の進行表を確認しながら、テントでアナウンスや実況役や音楽出しを務めるシフトをどう組めばよいか、綿密に話し合っていた。
少年が出るのは全員参加の競技と、玉入れくらいのもので、テントでは音楽出し役を務める事になっていた。
そうして来る日は晴天。
まさに体育祭日和となっていた。
開会式の進行をアナウンス部門の先輩が淀みなく進めていく。]
[中盤までは問題なく進行していたが、事件は起きた。]
え、後藤先輩が肉離れ……?
[聞けば、名物実況の先輩が100メートル走後に足の不調を訴え、保健室に連れて行かれたのだという。
ゆっくりであれば歩ける程度との事だが、大事を取って安静を言い渡されたのだ。
急遽、テントに手の空いている部員が召集され、実況役の代打シフトが組まれる事になった。]
……。
ぼ、僕が、クラス対抗リレーの実況、ですか……?
[花形ともいえる競技の代打を当てられ、少年は軽く眩暈を覚えた。
アナウンス役は同期で、音楽をかけるのは同じ部門の後輩。
一緒に実況に加わってくれると言ってくれたものの、逆の方が絶対いいに決まっている。]
[決意したように唇を引き結んだ後、口を開きかけた少年の肩に、隣の同期の手が乗る。]
「フジコー、いい方に考えようぜ。
空いてる中の誰がやったって役者不足だ。
去年の設楽先輩の実況、熱かったもんな。
でも心配し過ぎ。
実況って、生ものだからさ。
皆、目の前のものに夢中で少しくらいミスしたって、誰も気にしない。
大会前の度胸試しだと思って俺に付き合ってくれよ。」
[普段、後ろに下がる傾向にある少年を気にかけてくれる同期の長科白だ。
じっと同期の言葉に耳を傾けていた海藤の狼狽や戸惑いが綯い交ぜになっていた顔に、逡巡の後、決意の色が浮かぶ。]
― 文化祭の演し物 ―
[今年の文化祭、2年A組は何をするか教室で投票が行われていた。
喫茶店、舞台劇、お化け屋敷、理澄市の魅力紹介展示室など
事前に採った幾つかの案から多数決で選ぶ。]
( お化け屋敷以外なら何でもいい。 )
[実は怖いものが苦手だ。
脅かす側なのだから怖がる必要はないのだが、
お化け屋敷の、あの雰囲気自体がダメだ。
ホラー映画も怖くて見れない。何故、
好き好んで怖い思いをしたがるのか理解に苦しむ。
悩んだ末、一番票が集まりそうな喫茶店を選ぶ。
無事、採択されていたら文化祭でやたら威圧感のあるウェイターがメニューを取っていただろう。]
……う、うん。
……頑張る。
喋れなくなったら、フォロー、お願い……。
[そうは言ったものの、クラスの席に戻る少年の顔は緊張を隠せなかった。
出番は二時間後だというのに、既に心臓がばくばくと動いている。
誰かに話しかけられたなら、代打を務める事になったくらいは言えたが、後は大丈夫、と繰り返すしか出来なかっただろう。]
[そうして、最後の種目──クラス対抗リレーがやって来る。
一種目前からテントに入って、隅の方に座っていた少年は、同じように代打を務めた先輩とバトンタッチする。
眼前には、一列に並ぶクラスの第一走者達が並んでいた。
>>0:246そこには赤いハチマキを付けた幸阪の姿もあったか。]
「大神高校体育祭、最後を締めくくるのは、クラス対抗リレーです。」
み、皆さん、最後の力を振り絞って頑張りましょう。
「怪我には気を付けて下さいね!」
[合間に挟んでくれる隣の同期の何とも心強い事か。
そうして、合図の乾いた音が鳴り響き、選手達が一斉に走り出す。]
始まりました。せ、先頭はC組です!
A組、B組、D組と続いています。
「僅差ですので、まだまだ分かりません。」
はい。
あ、い、今、第二走者にバトンが渡りました!
「C組、ちょっとタイミングがずれてしまいましたね。
焦ってしまったか、惜しい。」
[テントで同期と共にマイクに向かう少年の表情は、走者や応援席などの合間に僅かに挿入されるのみだ。
あるがままを言えばいい。
カットされたが、原作ではバトンタッチする際に先輩にそうアドバイスされた回想シーンがあった。
テントに向かう時に緊張のあまり、この世の終わりのような顔をしていた少年が先輩に向かってしっかりと頷いてみせる、という演技で補完している。]
[バトンは選手から選手へと渡ってゆく。
少年達の実況は拙いものの、途切れる事はなかった。
実況のセリフはある程度台本にはあるものの、リアルタイム感を大事にしてよいと言われていた。
リレーはスタートを制したC組のリードに留まる事なく、抜きつ抜かれつする展開を見せる。]
い、いよいよ、最終走者にバトンが渡りました。
「中々熱い展開ではないでしょうか。」
そうですね。
あっ、B組、体勢が少し崩れました。
ですが、踏みとどまった。
[最終走者にバトンが渡り、最後のコーナーを選手が駆け抜けてゆく。
二人の走者が並んだ。
その後ろを追い上げにかかる走者が一人。
一歩ごとに距離が近付いていく。]
が、頑張れ。
頑張れー!
[応援席の歓声に熱が入る中、少年には珍しい大声がマイク越しに会場に鳴り響く。
一着の走者がゴールテープを切り、他の選手達が駆け抜けていった。
観客席からはわっと歓声が上がる。
友人と抱き合う生徒、立ち上がって拍手をする生徒。悔しがる生徒。
走ったばかりでまだ息をついている走者達。
テント内では、引きで放送部の面々がハイタッチや肩を叩いて互いの健闘を称え合う姿が映された。
緊張の解けた少年は安堵のあまり、机に突っ伏す。
その後、アナウンス役の同期が順位を読み上げ始めた。
時には揺り戻しのように下がりながら、海藤の小さな変化を示すシーンの一つ。*]
―舞台裏・メイキング/体育祭―
[エキストラやスタッフが多いこのシーン。
アナウンス役を務める同期役と話していた羽藤が、メイキングカメラに近付いていく。
彼もまた、撮影直前まで上着を羽織っていた。]
どうもー、羽藤ですー。
やー。
体育祭って高校生っぽいですよねー。
でもめっちゃ寒いです。
寒イボ出とるかも。
上着着てない子いるやんって、驚いてます。
現役の子かな?
わっかいわー。
[へらりと笑いながら軽快に語る姿は、緊張を感じさせないもの。]
─ 文化祭後・下駄箱 ─
[あ。>>21
竹村だ。文化祭でのステージで
そのパフォーマンスを目に焼き付けた後、>>16>>17
同学年で長身の女生徒を認める。
顔と名前ぐらい認識していたが、彼女の歌を聞くのは初めてだった。
軽音部のライブは数曲あっただろうか、
中でも印象的な曲はまだ鮮明に残っていた。
勝手に親しみを覚えて、歩み寄る。]
さっきの。
すごく良かった。サビが今、で始まる曲。
ゴミ当番? 掃除の時間じゃないけど。
[話かけながら、ゴミ箱を漁っているようにも見える
仕草に気づいて疑問を口にした。**]
これからね、海藤が頑張るシーンがあるんです。
体育祭のシーン撮るん、楽しみにしてたんですよねー。
それじゃ、いってきます。
派手に噛まんように祈っとって下さい。
[敬礼ポーズをしながらそう締めくくると、羽藤はテントの方へと向かう。
>>0:247撮影が始まれば、コートは脱がなければいけない。
それはテント側の面々も同じだ。
寒いけど頑張ろなーと声を掛ける声が遠くに響いた。**]
ー松本の過去と心情/『─玉響に“なけ”─』原作よりー
>>22
[松本志信は美大に通い、画家を目指していた。それまでの松本は真面目一辺倒、服装や髪も整えており、絵にひたすら情熱をぶつけていた。
勉強熱心な松本は講師たちのアドバイスに熱心に耳を傾けた。少しでも駄目だしをされれば悩み、絵を変えていった。正反対の意見もあった。松本は悩みに悩んだ。
やがて、何を描けばいいかわからなくなった。
何も描けなくなった。
何も描きたくなくなった。
何が正解かわからなくなったーー]
[松本が画家ではなく教師を目指すよう路線変更をしたのは、折り掛けた筆をそれでも棄てられなかったから。
だが、そこには松本を掻き立てる熱い魂があった。
生徒たちの穢れなき情熱、純粋な意欲ーー
描きたい、が蘇った。松本は再び筆を握り、高みを目指している。
誰に押し付けられたわけでもない道を]**
─舞台裏・撮影終了後のお互いのプライベート─
[ティーチャー、という呼び方に行平は微笑んだ。姫野にそう呼ばれると、自分の中の松本が喜んでいるような気がしたから]>>*20
ーー成る程。堤丈さんのことは勿論存じていますが、そんなエピソードが……>>*23
[何が浮かれるのか、何かが踊り出すのか。そんなものイメージしていたのだが、蓋を開けてみると心を打つ良い話であった。
彼女がすみません、と言うならゆるりと首を振り]
いいえ、とても興味深い話でした。ありがとう御座います。
……
[少しだけ、視線を漂わせ。何かを言おうとする。と、その沈黙を破る勢いで彼女は話し出した。
>>*26
松本が語った話。つまり、離婚について。記者などは面白がる話を彼女はーー真摯な態度で聞き、そして。考え抜いた言葉を必死に松本に投げ掛けてくれる。
その真っ直ぐさがーー行平の胸に響く。
先程躊躇った言葉がもう一度、行平の脳裏を過った]
……そう、ですね。恥じる事ではない。夫婦という関係は終わりましたが、彼女は今大切な友人ですし。
ーーありがとうございます、姫野さん。……あのう、それで。
[真っ直ぐには真っ直ぐを返したい。行平の感じたものを。
恐らく松本も、亜美歌に少なからず抱いたであろう感情。
二人は教師と生徒だから、それは秘めたままであったと思われる気持ち]
ーー姫野さん。
[名を、改めて呼ぶ。そして行平はーー言った]
映画がクランクUPしたら、一緒にロースカツ定食、食べに行きませんか?
[さて。共演者でありかなり歳上のおじさんからの誘いは、桜のように淡く散るか、否かーー]**
─文化祭後・下駄箱─
[松本が偶然、ゴミ箱を覗き込んでいる竹村茜を目撃したのは文化祭の終わった後のこと。>>20>>21
不自然であった。何かを間違えて棄てたとして、何処に棄てたか忘れたり人は、しない。
彼女に近づく松本。そして背後から声を掛ける]
何探してるんだ?
[顔を見れば、その女生徒が文化祭のステージにて素晴らしい歌声を披露していた少女であると気付く。
美術部ではないし、美術は選択科目だ。松本は担当していない生徒である。
この段階、松本はまだいじめと彼女を結びつけてはいないので、不思議そうな表情だ]*
いいね、十分でしょ。
[『今月お勧めの本』>>0:223にPOPをつけようと言ったのは
数代前の図書委員長らしい。
二週に一回にしようと言ったのは別の人だとか。>>0:241
そういう細々とした設定は原作の中でのみ描かれているから、
『今月』じゃないじゃんなんてツッコミが結月の口から出ることもない。
画面は作業をしながら「幸阪は?」と尋ねる男子生徒を映す。]
うん、いい感じ。
一時期ちょっと停滞してたんだけど、
「志望校はこのままで問題ないでしょう」だって。
夏休みの追い込み覚悟してたけど、まぁ……まぁってくらい。
[結月から尋ねた以上、予想はできた答えである。
以前のシーン>>0:398で告げた言葉通りだった。
少女は油性ペンの蓋を閉め、別の色を手に取った。]
ほんっとよかったよー。
このままじゃ夏休みに遊びにも行けないとこだった。
[幸阪結月は至って普通の女子高生である。
プリクラも撮るし、帰りに友だちと一緒に甘い物を食べたりもする。
カラオケにだって行くし、勉強を楽しいと思うこともない。
美術部に関わる描写が多かったせいで目立たなかった結月の
それ以外の日常が垣間見えるシーンだ。]
社会に出ていくために必要なのは分かってるから、
ちゃんと"頑張る"けどね。
[夢を持っている者からすれば腹立たしく感じてもおかしくない。
しかし目の前の男子生徒は結月側の人間だったようで、
気にした様子もなく「文学部だっけ」と会話を続ける。
一応、結月もそれくらいは把握した上での発言であった。
誰かと険悪な関係になるつもりはいつだってない。]
うん。昔からがそっちの方が向いてるから。
相性いい方面に進んだ方がいいよね。
[結月はうなずく。
男子生徒は言葉の意味を測りかねたようで首を傾げた。]
うーん……昔ね、小さい頃。絵本とか読んでもらうじゃん。
『人魚姫』って分かる?
あれ読んでもらった時、わたしすごい泣いたらしくて。
[POPを書く手は既に止まっていた。
蓋を閉めた油性ペンを片頬に押し当てながら、
結月は過去を思い出すように少し上を見つめる。]
『筆者の心情を答えなさい』みたいな問題あるでしょ。
あれが結構感覚で分かるっていうか。
……アハ、超能力とかじゃないって。なんとなーくだよ。
別に全問正解できるーってことでもなくてね。
[事実、結月の成績は現代文が飛び抜けていいこともない。
画面でそれが示されたのは少し前のことだ。>>0:397
しかしわざわざ点数を打ち明けることもない。
だって、大切なのはそこではないのだから。]
[男子生徒は、「だからか」と呟いた。]
なにが?
[結月は不思議そうな顔で首を傾げる。
「めちゃくちゃ図書委員になりたがった理由」
「本が好きなんでしょ?」とは、男子生徒。]
んー……ちょっと違うかな。
内緒にしてくれる?
……うん、じゃあここだけの秘密ね。
[次に不思議そうな顔をしたのは男子生徒だ。
結月はとうとう油性ペンを置いて対面の男子を見つめる。
画面は少女の険のない、穏やかな横顔を映していた。]
『 昔から水の中が苦手だった。泳げはする。けれど、濡れた感触がまとわりつくのが嫌だったし、地上よりも手足が重いのが億劫だった。息苦しいのも気持ちのいいものではない。
本を読むと、頭の中が水に浸かったような気分になる。いろんなものが溢れて、自分のこころが勝手にどこかへ連れていかれるんじゃないかと、結月はいつも不安になった。
もし、結月のこころに家があるのなら、それは間違いなく頭の中だった。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]*
― 晩春/下駄箱付近 ―
[顔を上げた彼女>>57は、確かめるように自分の頬へ触れた。
痛みがあったのだろうか。固まった指が赤くなった箇所を覆う。
自然な動きだった。思い切ってやって欲しいと告げた
Nix>>0:196のを思えば、実際に痛みがあるのかもしれない。
だからと言って今更心配を表情に乗せる訳にもいかず、
結月は虚を突かれたような顔をした。]
それは……まぁ。
あぁ、うん。友だちにも喋ったりしないので。
[既に幾人かは様子を見ていたようだが、>>0:225
結月はわざわざそれに言及したりはしない。
ちらりとそちらを見ると、何人かはそっとその場を離れたか。
しかしそれでも生徒たちが完全に消えることはない。
今はまだ距離がある。
故に囁き声が竹村に降り注ぐのは、
彼女が一人で歩き出してからになるのだろう。]
暫く冷やせば赤くなってるくらいにはなりそうだけど。
……友だち、随分強く叩いたみたい。
[結月は友人同士の喧嘩だと思っている。
だから内密にと言われた時もあまりピンと来なかった。
二対一であったこと、周りのギャラリーの反応など
少し気になるところはあるけれど、結月は救いの神ではないのだ。
故に深く考えることもなく、
結月の思う、彼女たちの関係性を口にした。]*
/*
元の描写を絶対に邪魔したくないマン
VS
でもこれ目撃するの絶対楽しいでしょマン
の結果、目撃者割り込んでしまったので前者の努力は惜しまない
だって茜ちゃん一人でひそひそされるのが醍醐味じゃないですか
そこに結月がいてはならないのだ がんばる
― 春・五月/校舎前花壇 ―
[花壇を見下ろす結月のカット。
少し間を置いて、明るい声>>55が飛び込んできた。
伏せがちだった瞼を持ち上げ、結月は振り向く。
同時にカメラは声の主の方へと被写体を変えた。]
お供え?
[相手の顔を見つめる結月の顎はあまり上がらない。
少女程ではないが、目の前の生徒も男子にしては小柄な方だ。
原作を読んだ時の印象と差異があるが違和感を覚えないのは、
演じる水戸が役と馴染んでいるからだと根岸は思う。
意味を考えるような間、視線ははらりと背後に落ちる。
横たわっていた花はまだそこにあったか。
なくとも、結月がその存在を知っていることは伝わるだろう。
カメラが事故現場である花壇を映した。]
― 春・五月/校舎前花壇 ―
[花壇を見下ろす結月のカット。
少し間を置いて、明るい声>>55が飛び込んできた。
伏せがちだった瞼を持ち上げ、結月は振り向く。
同時にカメラは声の主の方へと被写体を変えた。]
……こんにちは。お供え?
[相手の顔を見つめる結月の顎はあまり上がらない。
少女程ではないが、目の前の生徒も男子にしては小柄な方だ。
原作を読んだ時の印象と差異があるが違和感を覚えないのは、
演じる水戸が役と馴染んでいるからだと根岸は思う。
意味を考えるような間、視線ははらりと背後に落ちる。
横たわっていた花はまだそこにあったか。
なくとも、結月がその存在を知っていることは伝わるだろう。
カメラが事故現場である花壇を映した。]
[視線を再び前へ戻すと、素直にこくりと頷く。]
勝手にごめん。
あそこの窓から花が崩れてるのが見えて、帰りに気になっちゃって。
[結月はささやかな嘘を吐いた。
正しくは、"犯人"を見たことを口にしなかった。
それは悠然と歩き去った誰かを庇った訳ではなくて、
「目撃したのに放っておきました」と言うのが憚られたからだ。
指し示した窓はカーテンが閉まってよく分からない。
そのことに気づいて、「図書室」と付け加えた。]
でも、それだけしかしてないよ。
他には何も触ってない。
[まさか"犯人"が自首したなんて知らない目撃者は、
嘘を吐いたせいで生まれた自分が疑われる可能性に抗う。
だって、彼が話しかける理由が理解できなかった。
両手を上げて己の無害さをアピールする。]
ここにあった花……死んじゃったの?
[自分の発した言葉が子どものようだったと気づいたのか、
結月はハッとした表情を浮かべる。]
ごめん。気にしないで。
[気にしなくていいと伝えるように首を横に振った。
明るい髪がふたつ、顔の横で揺れている。]
『 彼が「お供え」と口にしたからだろうか。結月はあの時の折れた花が死体になってしまったような気がした。
そうだとしても、わざわざ尋ねる必要なんてなかったのに。予想外の場所で話しかけられて驚いていたのか、目の前の彼の笑顔があまりにも無害そうだったからか。
どうして話してしまったんだろう。結月には理由が分からない。]
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]*
……頑張るかー。
ん? んーん、何でもない。
[結月の小さな呟きは歓声の中へ埋もれていく。
晴天の下、赤いハチマキが風に揺れた。]*
/*
メモ会話しすぎないしすぎない……と意識するタイミングだけあまりにも簡素になるアンカまわり ちゃんとキープして
美濃先輩2IDなので〆意識を強く持っていたんだけど、むしろアドリブ振っていただけて感謝しかない
でもご負担はご負担ですからね 本当無理せずの構え
でも、全然自分と違うタイプの人間だからこそ
読み解いて紐解いて行くのは楽しかったですよ。
自分が演じることにならなければ
そこまで深く読み解くことはなかったと思うから
今回、そのチャンスを貰えたことは良かったです。
あ、でも敢えて似てるところをあげるとしたら
音楽の趣味!ですかね〜。
茜ちゃんも私も、なんでも雑多に聞く方なんで!
[それが、Nixの解答。
そんなんで良いですか?と、にこやかに問いかける。
何故なら手にはあのおやき。
食べようとしていたけれどタイミングを失っていたりしたのだった。]**
─舞台裏/梅雨・放送準備室シーン後─
[残念ながら? 申し訳ないながら?
私はそこまで他の役柄のことは考えていたりしない、と言うか考えられていなかった。
>>*63私が演技するにあたり、できたことといえばひたすら自分が演じる子を掘り下げることだった。
どうしてそんなことを思ったのか。
どうしてそんなことを考えたのか。
頭で考えるだけではなくて、家族構成や友人関係、人生史的なものを紙に書き出してうんうん唸ったりもした。
周りの人間は竹村茜の周りにいてくれるけれど、それに関しての理解はしていない。
それは、必要ないと思えた。
あくまで自分は、竹村茜の理解者であれば良いはずだと。
だからこそ、実際にいたらお友達になれなさそうでありそもそもそれ以前に関わり合わないだろう竹村茜を、私は茜ちゃん、と呼ぶくらいには親しみを覚えている。
正直、演技に関しては先輩というかプロの皆さんの胸を借りるみたいなところがあって、もし皆さんの歌の聞き込みや世界観全体への没入方法を聞いたなら舌を巻くことだろう。
私は、この子だけで本当に精一杯なのだ。]
そう言えば、聞いてみたかったんですけど。
海藤くんって、海藤くんのこと好きですか。
…えっと、役者さんからみて、この子の事。
愛着があるとか。
[つい名前を戻したら完全に変な質問になったので言い直す。
役者さんたちはきっちりと、自分の役と自分を分けて考えてるような感じがした。
愛着はあるのか、どんなふうに向き合ってるのか。
自分もそうだが、彼も役柄とは違うタイプの人間な気がしているので、そんな人はどう向き合っているのだろうと少し気になったのだ。
じ、と相手の目を見てしまうのは、無意識のうちに重なる竹村茜と私との共通の癖なのには気づいていない。]**
― 夏・八月/幸阪家 ―
[郊外の一軒家から結月が出てくる。
肩にはトートバッグがひとつ。中に入っているのは塾のテキストだ。
胸元まである門を開けたところで、彼女を呼び止める声があった。]
りゅーちゃん。
[「りゅーちゃん」と呼ばれた人物は成人男性のようだった。
身に纏う衣服はセンスも良く、大人であることを強調している。]
もうこっち帰ってきたの?
今年は赤ちゃん生まれたばっかりって聞いたけど。
[結月は門を閉じ、階段を下りてりゅーちゃんに近づいた。
小柄な結月に比べ、彼はずっとずっと大きい。
「相変わらず似合ってんなー」と言って二つに結んだ髪を掴むから、
結月は「やめてよ」と形ばかりの抵抗をした。]
『 りゅーちゃんは、隣の家に住む一回り上の兄のような人だった。りゅーちゃんが生まれる前から親しかったそうで、両親の仕事が遅くなってしまう日はいつも隣の家で夕飯を食べた。教員である父と母が早く帰れることなんて稀で、つまりは毎日のように隣の家へお世話になっていたことになる。
記憶の中にいる最初のりゅーちゃんは高校生だ。両親に結んでもらった二つ結びを掴んでバイクだなんて遊ばれて、ぐちゃぐちゃになってしまった髪に大泣きしたのを覚えている。触ったこともないだろうに四苦八苦しながら髪型をやり直してくれたけど、それがあまりにも不格好だったから嫌で嫌でまた泣いた。
りゅーちゃんは大学に進学すると一人暮らしを始めた。結月の方も小学校にあがって一人で留守番できるようになったので、顔を合わせる機会はほとんどなくなった。
結月が絵を描きたいと両親に告げたのは、ちょうどその頃だった。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
勉強? やってるよー。
今も勉強しに行くとこ。
終わったらちょっとだけ夏祭り覗こうかなとは思ってるけど。
[結月は肩にかけたトートバッグを揺らす。
りゅーちゃんは続けて、「絵は?」と尋ねた。]
…………やめた。
[たっぷりと画の耐えうるだけの沈黙を経て、結月は答える。
「やっとか」と笑う相手を見上げた。眉間に皺が寄る。]
やっとって何?
やめるって分かってたってこと?
[不快さを隠しもしない声色は刺々しい。
学校の生徒たちに向けない強さは、結月の甘えでもあった。]
「だってお前、俺の真似して始めたじゃん。」
[りゅーちゃんもまた、結月に遠慮することはない。
それは家族の距離感であった。
共に過ごした時は短くとも、結月とりゅーちゃんはずっと家族だった。]
そうだよ。
りゅーちゃんと会えなくなるのが寂しくて、同じことしようと思ったの。
でも、それとやめるかどうかって関係あるの?
始めた動機が不純だから? 本気じゃないから?
そう通りだったけど、そんなの最初の2ヶ月くらいだよ。
別にりゅーちゃんのために絵を描いてた訳じゃない。
わたしが好きで、わたしが描きたくて描いてただけ。
[怒りのまま言い募ると、りゅーちゃんは降参とばかりに手を上げた。
へらへらと笑うその姿は10年前から変わらず"意地悪な兄"だ。
結月はより一層眉間の皺を深め、"兄"に背を向ける。]
― 出演者インタビュー ―
結月ちゃんのツインテールは、髪型自体に意味があるというより
それ自体が子どもの象徴なんだと思います。
大人になろう、大人になろう、と気ばかりが逸って、
身体が、結果が全然追いつかない。
形が伴わないから、心もぐらぐらで。
結月ちゃん、明言はされてないですけど、
たぶん人よりちょっとせっかちなんじゃないかな?
― 夏・八月/理澄市 ―
[結月は走っている。
郊外を抜けて人通りの多い場所に出ても、
持ち前の運動神経で人を交わしながら走り続けている。
建物を挟んだ先からは祭りの音が聞こえた。
安全上、そちらで撮影することはできないので、
祭りばやしに合わせて流れるのは結月のいない大通りの姿だ。
結月の通う塾が見えても、通り過ぎても、結月は走り続けた。]
『 どうしてなんて、言葉では上手く説明できない。ただ、どこか遠くへ行ってしまいたいと強く思った。体育祭とは違い、次に託すためのバトンはない。
結月は何も持っていなかった。止まる理由がなかった。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
[夏服のスカートをはためかせ、結月は人の少なくなる方へと走る。
いつしかカメラが止まり、少女の姿はどんどん小さくなった。
下り坂へ差し掛かったのだろう。
足先から順番に、少女は頭の先まで沈んで、消えて、
なくなった。]*
/*
えらいので夏祭りを諦めました 背景に忍ばせたけど
でもおろかなのでめちゃ長くなりました
行き当たりばったりかつノープランですが、今後別にりゅーちゃんそんなに出て来ないと思う
初恋かもしれないけど、それだけです 今は別に何とも
だし、参加者さんたちと関わりたいので 最重要項目
─文化祭後/下駄箱─
…あ、えっと、ドリックくん。
[だった、確か。>>68
目立つ外見だ。>>0:69凶器を振り上げて窓ガラスを割った、なんて噂に聞く彼だ。
しかし、竹村茜もまた彼のことを詳しく知らない。それが呼びかけに現れている。顔も名前も知っているが、呼びかけるのにはケンが良いのかドリックが良いのか迷うくらいの仲。
けれど素直な賞賛に目を丸くする。
照れくさそうに視線を伏せた後、ゴミ箱のことを言われて頬が強張った。
しかし、それは一瞬で笑顔に変わる。]
歌の感想ありがと!
そうやって直接言ってくれるのめっちゃ嬉しい。
でも、それがさ〜聞いてよ〜。
さっきスタボのドリンクチケット
レシートと一緒に間違えて捨てたみたいで!
勿体無いから無くてもしょうがないけど
あてを探してるわけ。
[あははは〜、と最後の方は苦笑い。]
貧乏性だけどさ、勿体無いじゃん!
だからあんま気にしないで〜。
[ひらひら、手を振る。そのままバイバイ、と言いたげに。
顔は笑顔のまま、視線はゴミ箱へ。
小さなものを探してるわけじゃ無いのに、言い訳のせいで小さな紙ごみの一つ一つを丁寧に見定め始めていた。]*
(あの歌を聴いて、感想をくれた相手に。
嫌がらせされてます、なんてカッコ悪い姿。
見せたく無い。)
[「─玉響に“なけ”─」一部抜粋]**
─文化祭後、さらに後日/下駄箱─
[その日もまた、下駄箱近くのゴミ箱を探している姿がある。
まだ根幹の問題解決に至っていない証拠だ。
この場面は下駄箱からでは無く、>>71松本のシーンから映し出されて行く。
松本の視線の先に映る竹村茜。
そして、その背後から。]
わっ!? せ、センセイ…。
[集中して探していた。先日のように誰かに見つかる前にと。
だからこそ既にその手には竹村茜の外履きがあった。
声をかけられ立ち上がった瞬間、ズボッとそれをゴミ箱から取り出す形になってしまい、慌てて背中の後ろに隠す。
靴に引き摺られてぽと、ぽと、と別のゴミが落ちていったのに目を向けることはできなかった。
画面に映されるのは履き古されたスニーカー。
運の悪い事に、マジックで不細工だの、調子に乗るな、だの書き込まれている。]
[じり、と後退りした。
視線を合わせることができず、俯いたまま。]
だ、大丈夫、もう見つかった。
散らかしてすいません、片付けますね!
[靴を胸に抱えるようにして背を向けてしゃがみ込む。
そして足元に落としたゴミを手早く拾って無かった事にしようとした。]**
先輩は、『今月お勧めの本』は置かないんですか?
[言いながら、借りられます?という言葉に頷いて途中まで読んでいた本を差し出す。]
…本になっているからには、沢山の人がこの物語をいい話だと思っているんだと思います。
でも、この学校っていう狭い範囲にも、自分と、誰かが、同じ本を読んで同じく面白いと思う感性を共有しているっていうの、嬉しいし…何だかほっとします。
[言った後、ほっとするのは、もしかしたら自分くらいかもしれない、と思った。
同時に、見も知らぬ他人の感じることが分かった気になっているだけかもしれない、とも思った。
…そういうことを、考えすぎるから駄目なのだ。
他人のことなど気にしない、相手にしない。
髪色だってそんな気合を入れるために変えたのに、考え込むのはよくない。]
単に、新刊が置いてある可能性高いっていうのがいいのかもしれませんが。
ありがとうございます。
また、たまに来ます。
[手続きをしてもらった本を胸元に抱えると、足早に図書館を出て行った。]**
― 文化祭後・下駄箱 ―
[スタボとは呪文詠唱と引き換えに
甘いドリンクを手に入れられるお洒落な店だ。>>97
残念ながらケンにはその程度の知識しかなかった。
なので、ドリンクチケットの貴重性は
いまひとつ理解できなかったのだが。
手伝おうか。>>98
と口に出すのを躊躇わせる様子が竹村にはあった。
初めて会話するガタイの良い評判の悪い男子生徒に
距離を詰められても困るだろう。
さすがにそれぐらいは分かる。軽く頷いた。]
見つかるといいな。
[軽く手を振って下駄箱を後にする。]
これも甘いコーヒー。
案外美味いよ。
[数分後、まだゴミ箱の探索をしている竹村の元に戻ると
紙パックのカフェ・オレ(80円)を手渡して。
じゃあ、短く言って再びその場を去った。
問題解決どころか、その低俗な原因にも気づくことはなく。**]
― 初夏の終わりの庭 ―
先生、来たよ。
[雨の降る日。
声を掛けながら、玄関先で、雨合羽の帽子を脱ぐ。
合羽の甲斐なく前髪、そして顔回りの髪先にも、小さな滴が出来ており、たまに胸元に落ちる。
玄関に入ると、合羽を脱ぎながら、先生が家の奥から持ってきたふかふかのバスタオルで顔や体を拭っていく。
もう、夏服に入ってから暫く経った時期だ。
シャツが濡れ軽く透けているのは、雨のせいなのか、汗のせいなのかはっきりしない。]
先生に教わったところ、出たよ。
初めての期末だったから緊張したけど、中学の時みたいな感じで行けるみたい。
[身体を拭き終われば、軋む玄関を上がり、縁側の方へ周っていく。]
あ、綺麗に色がついたね。
[庭は、隣家との境の金網と塀の前に植え込まれた低木群…紫陽花の最盛期になっていた。
紫色に近いものもあるものの、この庭の紫陽花は基本的には青色だった。
雨の平日の午後は静かで、黙っていれば、しとしと降る雨粒が、紫陽花の大きく厚みのある葉に当たって流れ落ちる音も良く聞こえた。
以前先生に、この庭の植物って先生が全部植えたの?、と聞いたことがある。
先生によれば、どうやらこの家は借家らしく、大家さんがある程度庭の管理に条件を付けたうえで、安く貸しているそうだ。
そして、この紫陽花は以前の住人が植えて行ったものらしい。
何時から植えられたものかまでは聞かなかったが、そんな紫陽花は今年も尚大きく美しい色合いの飾り花をつけていた。]
『ところで、鬼束さん』
[先生が、部屋の方から声をかけたので、紫陽花から目を反らして先生を振り返る。
先生から発せられたのは、あまり聞きたくない言葉だった。
『自分は高校の勉強まで詳しく教えられない。
今ぐらいまでなら大丈夫だけど、今後は他の先生や、熟に行って教わった方が良いのでは』
高校に慣れたように見える自分に対する指摘としては、最もだ。
でも、口をついたのは言い訳だった。]
…大丈夫だよ。
わたし、しっかり勉強する。
先生にも迷惑かけない。
だから、これからも、ここに来させて。
そうだよ、うまくいかなくなったら塾に行けばいいだけだよね。
今はまだここのほうがいいってことだから。
ここは、静かで、集中できるから、いいの…
[先生が、少し困ったように笑った。
そして、じゃあ、と自分を居間のちゃぶ台の方へ呼んだ。
開け放された引き戸と焚かれた蚊取り線香をそのままに、わたしは畳の部屋へと、まだ少し湿っている勉強道具が入ったリュックを持ちあげて向かった。]**
― 記者の自宅訪問4 ―
このシーンは、まあお寺さんお勧めのシーンですよね。
もう庭部分は完全に小説から解き放たれちゃってるんで我々地元民の思いがこもっちゃって。
でも、綺麗ですよ。
お寺さんでも色々やっていて、参道に紫陽花が咲くころ、風鈴市の準備が始まるんです。
そうですね、夏が来たって感じがします。
この辺りの準備が始まればもう夏休みも間近、お祭りも、花火もすぐですから。
まあ、期末試験や通信簿シーズンでもあるんですけどね…
[丹田は幸阪結月という人物が嫌いではない。
奇しくも根岸と全く同じ理由で。>>25
一方で部員の誰に対しても穏やかで優しくはあるが
自らの才能や能力の高さに驕らず対等に接し、
かといって過度に踏み込まず純粋に後輩として可愛がり
この日々が部活引退まで続くと思い込んでいた
美濃の甘さと幼さの方が余程残酷で傷をつける行為とも思う。
闇を抱えないからこそ差し伸べた手が拒まれても>>25美濃は笑っていられるのだろう。
挫折を知らず妬み嫉みを持たないために>>0:35
勝手に思い込み、勝手に傷ついたのが美濃だと。
作中の幸阪に美濃を引きずらなくていいと何度感じただろう、美濃の自業自得だから、と。
丹田は美濃という人物が青春から最も遠い人物に思う。
恐らく幸阪や青春を生きる高校生たちの対比役として、大学生として登場するのも田美院の狙いや意図ではないかと。]
[突如仕掛けたアドリブにも>>3関わらず
対応する根岸におお、と心で感心する丹田。>>26
止めない監督と対応した根岸に心で感謝し、
お菓子コーナーの方向へ覗き込むように返事した幸阪につられるように美濃も同じ方向を向く。]
バームクーヘンね、了解。
じゃあ食べたくなったらおいで、
その時までちゃーんと取っておくから。
[不思議そうな、大して欲しく無さそうな反応に苦笑しつつバームクーヘンをひょいと摘み別にする美濃。
それでも自分で選択したという行為に美濃はどこか嬉しそうな顔をする。
いらないとも、何でもいいと突き放した態度でもなく菓子の名を上げるが興味自体は然程見えない反応を絶妙だと丹田は捉える。
意図を汲んだかで言えば想定以上。>>26
バームクーヘンを選んだ箇所も原作を重んじてるように思え、上手いと表現に対し純粋な賞賛を心に浮かべていた。
あ、大丈夫、これいけるなと心の中でGO判定を出しその後怒涛のアドリブを仕掛けることになるのだが……]
[松本の名や部員たちの存在を示す。>>7
無自覚な美濃のお節介という気遣いは同時、
深追いと捉えられるかもしれないけれど。>>28
松本の名にピクリと跳ねる眉、何処と無く固そうな声色。
ここで美濃が少しばかりあれ、という顔をする。
根岸の縁起が悪かったということでは全くなく、
反応の壁を感じ美濃が手応えの悪さを覚えたこと。
固さの理由が美濃視点分からず先生には相談したくないのかな、となった場面。
丹田は一瞬アドリブへの動揺由来かと一瞬捉えたが、
すぐさま違うと分かれば次のアドリブに動こうとする。
「松本先生に言うのは嫌?」と言おうとしてやめた。
松本と幸阪間の人間関係は今ので十分表れた、
自分がこれ以上重ねるのは蛇足過ぎるだろう。
丁寧に噛み砕き、重ねすぎてもくどくなる。
動きや視線・態度から表すであろう根岸こと幸阪は
“語らぬ語り”が良さであり強みであろうと、そんな気がしたのだ。]
[亜美歌について>>8>>29
振れば強張りが解れて見えた。
ありがとうございましたで終わった前とは違い、今度は亜美歌の声について言及している。
亜美歌の声への評にふふ、と笑う。
苦笑しぽりぽりと頭を掻いて]
確かに、あの声は私も好きなんだけどね。
場と状況ってもんがあるからさ……
悪い子じゃないのはわかってるけど。
[幸阪が自分と亜美歌の関係性だから言える冗談を向こうが理解してくれているからこその、軽口。
丹田は『幸阪が亜美歌について真っ先に上げたのは“声”』と印象付け>>0:404
“美術部の音”と言う認識を、原作を知る読者には今後の展開をたった一言で想起させる>>29いい反応が出たな、そう感じた。]
痴情の縺れに巻き込まれたみたいなんですよ。
なので、これで終われば万々歳です。
[事実、此方からはもう終わらせたようなものだった。
だからそう笑って、すいませんと頭を下げて背を向ける。
そして1人歩き始めた。
頬を冷やす姿はあれど、囁き声は竹村自身には届かない。
届いたとして、足を止めることもなかった。]*
─晩春/下駄箱付近シーン直後─
[カットの声が響き渡る。
その瞬間、へなへなと頬を押さえながら座り込んでしまった。
マジ痛い。
いやマジ超痛い…!!!]
おぅふ…。
[涙流さなかったの偉いぞ私。
演じ切ったの偉いぞ私。
あっ、すいません謝んないでください思い切りやれってつったの私なんで。
保冷剤ください保冷剤。
その後、ちょっとメソメソ蹲ってた私でした。]*
[多分、彼にとってはなんてことはない、気まぐれな優しさなのだろう。
それでもそんな"なんて事のない優しさ"が、今の竹村茜には沁みたのだ。]
[「─玉響に“なけ”─」一部抜粋]*
[いじめ。
それはどこの学校でも起こる出来事だ。
しかしこんな風に軽く語る事ではない。
いじめた側は『いじめられる側に原因や理由があったのだ』とか『からかっただけだ』など言うが、いじめられた側はーー
心に深い傷を負う。
『─玉響に“なけ”─』原作より抜粋]
─文化祭後、さらに後日/下駄箱─
[松本が、下駄箱で落書きされたスニーカーを拾う竹村茜を目撃したシーン>>99
彼女は誤魔化すようにゴミを拾い始めた。しかし明らかにおかしい]
……竹村。
[しゃがみこむ背を見つめ、松本は考える。>>100
今追及すれば更に追い込むに違いない。
いじめとは根深い問題だ。
『相談してくれたら良かったのに』『助けを求めてくれたら良かったのに』
そんな風に言えるのは無責任、無関係な外野だけ]
美術室な、実は菓子の宝庫だから。今度食べにおいで。
色々あるから。
[触れられたくないなら、今は無理にこじ開けてはいけない。といって、しつこく聞き出すのも良くない。
彼女の意思に任せたい。
これだけ言うと、松本はその場を立ち去った]*
─舞台裏・撮影終了後のお互いのプライベート─
[撮影を終え、姫野と行平に戻っても実を言うと
姫野は油断するとティーチャーと呼んでしまいそうになる。
自分の中の姫野が
松本を見つけて声をかけてしまう感覚。
役が自分より先に駆け出すやんちゃに手を焼きつつも、
自分の中の亜美歌の慕い様はこちらの気分も上向いてくる。
行平と彼の中の松本の胸中は残念ながら察するに鈍すぎる姫野と亜美歌だけど>>*57]
[話が劇団浮かれロースカツ定食に移ると、
行平さんが堤さんをご存知という両者に
すごいと心の中で尊敬。
でもエピソードは何だか予想外だったご様子。>>*57
すみませんというこちらの謝罪に首を振り、
興味深い話だったという行平さんの様子に少しばかり勇気を出して。
……向こうが何かお話しようとするのに遮ってしまった自分のバカと気づく前に言葉は口を突いてました。
勢いつけて切り出す言葉と車は急に止まれません、ちーん……]
[自分の言葉はまっすぐすぎて
芸能界では損しやすいと言われた経験が頭をよぎる。
それ以前に自分は烏滸がましいことを口にしたんじゃ?
でも、そんな自分の言葉に
行平さんは耳を傾けてくださった。>>*58
そして……奥様とは今は大切な友人との言葉に安心を覚えてしまう。
何せ円満な離婚を迎えるばかりでないのは演劇の項目でもよく知ってるから
悪い関係ではなさそうで安堵が先に浮かんだ。
同時、大切の意味はこういうことかと妙に納得して。]
はい、何でしょう?
[1度目の名前呼びに顔を上げ
姫野さん、と改めて呼ばれ返事をする。>>*58>>*59
真っ直ぐな何かを感じ、そのまま次の言葉を待った。
行平さんからいただいたのは
──クランクUP後のお誘い。]
────喜んで。
[クランクUP後の約束のロースカツ定食は>>*59
きっと美味だろうな、そんな気がした。
実年齢9歳、映画年齢16歳差が交わした約束は
どんな未来を迎えていくかは分からないけど
秘めてあったままかもしれない気持ちに手を伸ばし
その感情を受け入れたのは、
偏に行平さんが感じた真っ直ぐを
姫野という人物に示してくださったから。
桜のようには散らせませんよ?なーんて。
勿論今後の心も行動も行平さんのお考えのままに、
姫野もまた姫野の心を示していきましょう。
たとえどのような結果と未来であろうとも。**]
/*
「自らの心に喝を入れねば、カツだけに」とメモに書こうか迷って結局やめました。
チキンが出ちゃった、ロースカツはポークだけど。
いただいたお返事にドキッとしてポックリいきそう、
ポークだけに!
/*
とにかくお返事できてホッと胸を撫で下ロース……
いやいやもうギャグから離れなさい私。こんなことやってたら永遠に終わらないよっ
─舞台裏/青春って劇薬だ!台詞でお題に答えちゃおう─
お疲れ様です!って、なんですかその箱?
なんかくじ引きとかに使うやつですよねこれ
あーもー何かイヤーな
予感がしてきたんですけど……
[悪だくらみ顔のスタッフたちが
くじ引きBOXを手に亜美歌へ趣旨説明。
曰く、くじを引いたお題に合った台詞を
自分が演じた役として語れ、だとか。]
つまり?私はお題に対し亜美歌として
台詞を考えればいいんですね?
落ち込んでる友達に一言、とか
受験で頑張る受験生たちに一言とか、
そんな感じで。
[分かりましたとくじ引きBOXに手を入れ、
引いたお題は]
『失恋した友達を励ます青春台詞』……
はいはいなるほど、分かりました。
“何?どしたん今日めっちゃブルーじゃん。
……え?あー、そっかー。ダメだったんかー。
めっちゃ好きって言ってたもんな。
そっかそっかー……。
うん、裏で振り向いてもらおうと
めっちゃ頑張ってたの見てた見てた。
勇気出して告白して、よー頑張ったって。
泣いていいんよ、泣きたいときは。
泣いて泣いてまた笑って、歩き出せそうになったら
また笑って駆け出しゃいいんだから。”
……あーーっ難しっっ!
思った以上にしんどいですねこれ!?
しかもちょっっと待ってください?
お題どんなのあるんですか?
あーレギュラー決まったとか告白されたとか
ふんふん……これは青春らしいですけど
『ツチノコを捕まえに行く友人に対し一言』とか
『UFOキャッチャーで散財した先輩/後輩に一言』とか
怪しいお題もいっぱいあるじゃないですか。
何ですかこれ大喜利ですか?
え、私ちょっとこっちの方が良かったな!?
[劇団のアドリブが多いせいで変なお題の方が(※面白さは別として)答えやすいという悲しい習性持ち。]
そもそもこういうお題は
別の方を一発目にしましょうよ……。**
/*
>真宮寺PL様
9歳差にデートを仕掛けるおじ(逮捕)をお許し頂けて良かったです。次お返しで〆ますね。両方成人(※リアル年齢)だから大丈夫です!多分
そもそも意図これであってたかな?間違ってたらごめんなさいーーー
/*
幸阪さんに文化祭前軸でお願いしたいことあったんだけど、たくさんの方と交流されててらっしゃるからご負担になるかな?
いけそうだったらいこう…
「面白い人でいい。面白い人がいい。そっちの方が気が楽で。>>0:379
飯島は内心で、そう独白した。
優しいと言われて、飯島は肯定も否定も口にすることができなかった。
彼の不器用さを、責任感を、誠実さを利用した小狡い自分を知っていたからだ。
そこにはあの日投げかけられた言葉への腹いせもあったのかもしれない。>>0:184
作業を適当にはやらないだろうという確信と、仕事を増やしても引き受けるかもしれないという打算。
それらありきで、わざわざ五月下旬に声をかけたのだ。
優しい先輩ならそんなことをせず、約束の植え替えだけで彼を解放しただろう。
彼にかけた言葉だってそうだ。>>0:356>>0:361
お節介だなんだと言ったとしても、紡がれたのは飯島のエゴに違いない。
流されるのは簡単でも、芯を持って生きるのは簡単ではない。
彼の行く先は困難かもしれないが、真っ直ぐで尊い生き方だと思う。他者が軽率にそれを奪うことは、してはならないことなのだ。
分かっていて口を出した。飯島は芯を持たない。
胸中に渦巻くものが嫉妬なのか焦燥感なのか、それすら分からないまま、泥沼に引きずり込むような真似をして。」
「それでいて、彼の言葉に肯定を返したかった自分がいることを知っている。
浅ましさに眩暈がした。そっと息をつく。
せめて心根くらい美しくあれば、優しい先輩になれたのに。
彼の言葉に、後ろめたさなく返事をすることができたのに。
どこまでもそうなれなかった。そんな自分を悔しく思う。
二本の飲み物が、手の中でわずかに温度を変えた。」
ー 玉響に“なけ” ー 原作小説より一部抜粋*
─舞台裏/出演者でMISSION!─
[出演者が他の出演者に対しMISSONを考え、
挑戦するBD特典(予定)映像。>>*47
自分のMISSIONが誰のものかは
MISSON終了後まで分からないというもの。
中にはスタッフや監督、原作者からのものもあるとか。]
お馴染みくじ引きBOXからですね、お題は……
『足つぼマットに乗ってジャンプしながら
リズムゲーでハイスコアを目指せ!』
……誰ですかこれ考えたの。
[いつの間にか用意された足つぼマットとゲーム機。
「もうこれバラエティ番組ですよね!?」という
姫野のツッコミは無視され“フビンセス本領発揮”のテロップが貼られる。フビンセスは姫野と不憫体質をかけて名付けられた劇団ファン考案のニックネームです]
「いきまーす、3.2.1.スタート!!」
痛い!!いったい!!
ジャンプしながらは無理ですって!!
[足つぼマットの上でぴょんぴょん跳ねながらゲーム機を操作する姫野。
流れる音楽とマークに合わせて表示されたボタンを押すという単純なゲームだが痛みに悶絶しすぎてボタンと対明が全然合わない。]
「記録、2点なのでMISSION失敗です。」
きっつ……。
[ここでフリップが「このMISSION考案者は……」]
[「田美院 翔先生です」]
えっ!?これ田美院先生が考えた
MISSIONなんですか!?
えっ……え?え?
[予想外の人物の名に困惑する姫野へ
今度は姫野がMISSIONを考えるよう支持が出る。]
えー、どうしましょう。
出来れば誰でも挑戦しやすくて
難易度調整出来た方が多分いいですよね……。
うちの劇団なら
“放送用スピーカー/キャベツ/掃除用モップ/
バケツ/人体模型/ビーカーの中から好きなものを
30秒間ひたすら口説け”でしょうけど……。
「あ、いいですねそれやりましょうか。」
え!?ちょ、ちょ待ってください。
本当に採用するんですか?
これうちの劇団例出しただけですから!
違いますあくまで例題!
これMISSIONじゃないです!
ちょっと待ってください
これ本当にやるんですか!?
待って待って採用しないでやめて!!
他の出演者の方に恨まれますから!!
[やめてー!!という抗議も虚しく
MISSONとして採用されてしまい肩を落とす姫野。
他の人物のMISSIONは何か、姫野のMISSION(?)は誰に当たるのやら。**]
ー 五月下旬・放課後のおつかい ー
いやー、遅くなってごめん!
ちょっと選ぶのに迷っちゃって、冷たいやつでよかった?
[そんな風に言い訳をしながら、カフェオレをケンに手渡した。
先ほどまでの話を、心中を振り払うように適当なことを喋って。
作業を再開すれば、会話の数は減っていく。
時々、ケンから質問があればアドバイスを返し、作業が終われば礼を言って解散した。]
今日はありがとーね、助かった!
次があったらよろしく、なんて。またね。
[次なんてあるかも分からない。それでもそんな言葉で別れたのは、なんとなくそうしたいからだった。]*
─初冬/昼休みの美術室─
[いくつかのシーンを挟んで、初冬の頃。
生徒たちが弁当を広げたり購買にパンを買いに行く姿を挟んだ後で始まるシーンは美術室の扉の前から始まる。
コンコン、と遠慮がちにノックをして中に姿を見せる。]
失礼しまーす。
[普段と変わらない表情だった。
けれど、上履きは履いておらずにスリッパを借りていた。
原作ではあの一件から、何度かこうして昼休みに来ては食事を摂っている事になっている。
本来は自分は使わないはずの教室だから、入る時は遠慮がある。
初期は緊張もしていたが、もう何回目かだからだろう。
いつもの場所に腰を下ろして、勝手に弁当を広げ始めていた。
広げようとしていた。
その手が、途中で止まる。]
…ね。松本先生。
[そして呼びかける。視線は、彼に向けないまま。]
ぜっっっっっっっったい、
私だけが悪いんじゃ、ないんだ。
[ぽつりと。まるで独り言のように。
それでいてその目は爛々と、怒りに輝いた。]**
― 6月・体育祭 ―
[晴天。>>59
皆で揃っての練習や、
息の合った連携プレーは不向きと判断した。
何に出場するかという学級会で
『 あんま練習しないでいいやつ 』などと答えただめ、
青年の出番は借り物競争とフォークダンスぐらいだ。
だから特別やることもない。
何でもコンテストと体育祭の準備が重なるため、
放送部は割と忙しいらしく、時折
海藤にはその話を聞いたりもしただろう。]
何だ、えーと人妻?
[借り物競争の紙片には黒々とした字で
彼が借用するべき物が記されている。]
( 見ただけじゃ分からん……、
あ、あれはそれっぽい、か? )
あ、おい、そこの 奥さん……っ!!
[大声で幼児を連れた女性に呼びかけた。
言質をとって急ぎ運動場に連れ戻る。
無事ゴールして人妻を解放。一等でテープを切ったということは
他の連中ほど難題ではなかったのだろう。]
コウ?
[今日、実況するなんて話は聞いていなかった。
レースが進むにつれ、臨場感を増していく声。>>66
決して流暢と言えるものではなかったが、
―――― >>67]
コウも、頑張ったな。
[小さく呟いた。*]
― 夏の花壇 ―
[植え替えを手伝っておいて、
それきりという気にはなれなかった。
それには、未来を示す飯島の言葉もあったし、>>121
冷たいカフェオレで間違いはない。
単純に、自分が植えた苗のその後が
気がかりということもある。]
あ、これって枯れてる?
[ケンは知らなかったが、パンジーは夏に弱い。
何本かの萎れた花を見て、飯島に問う。
5月下旬の植え替えの日から、美化委員の彼とは
何度か、ここでこうして過ごしていた。]
[>>0:361 ケンへの助言に含まれた彼の吐露は、
時折、何かが引っ掛かるように蘇っては首を捻る。
泣かれては困る。
というのは幾分言い訳めいた理由に思えて、
気づかれない程度の苦笑を浮かべていた。]
[きっと、彼女の手向けに気づけなくて良かったのだ。>>0:231>>0:312
幸阪にとっての『 死 』を齎したのが>>88
自分であると知らずにすむのだから。**]
─舞台裏・メイキングカメラ─
あっ根岸さんお疲れ様です。カメラですか?
[多分数人は回り切った頃だろうか?
根岸のカメラに>>*48気づいた姫野が趣旨を理解すると、少し唸って答える。]
自分と亜美歌の似てるところですか……。
そうですね、人前で絶対に弱い部分や涙は
見せるもんか!と徹底したとこですね。
私も亜美歌も人前で泣けない子なんだと思います。
本当に辛い時の限界に限界が重なって、
1人の空間になって初めて糸が切れたように泣く、
1人静かに泣いてる子が私たちだと思います。
そんな亜美歌が映画の作中、
人前で泣くことがあるのかは
是非映画をご覧ください!
と宣伝はここまでにして。
美術の才能を持った美濃と違い
デッサンは美大合格ギリギリ、
絵も評価はあまりされない、
自分に劣等感を持ったり、留年したことや
数学だけどんなに頑張ってもダメだった経験に対し
表には出してない劣等感があるんですよね。
側から見れば落ちこぼれと言われようと
後ろ指差されようと「だからどうした?」って
不敵に笑おうと努力するところは
やっぱ一緒だなって思いました。
幸阪さんは黙々と1人で取り組まれて、
亜美歌はゲラゲラ明るく楽しく笑いながら
美濃や他の部員たちと絡んで。
これは主観ですけど、2人とも取った行動は違えど
「どうにもならないもどかしさ」「劣等感」
向き合っていたもの自体は
実は同じだったんじゃないかなって。
いやちょっと自信はないです!言語化難しくて!
あとは思ったことをハッキリ口にしちゃうとこも
一緒だなーってとこです!
ただあっちはかなりの強メンタルなので
メンタル分けて欲しいです正直。
あーごめんなさい!話脱線しました!
あとは自分では気づいてない共通点とか
いっぱいありそうなので、
演じていくうち見つかったら
どこかでまたお話ししたいしたいとも思います。
以上、姫野真弓でした!
ありがとうございました!
[「もうこれ、他の方々にも伺ってるんですか?」と
回るカメラに発言しながらも撮影お疲れ様です!と
最後に挨拶しカメラが去るなら見送ろうか。**]
─2度目の3年生/7月/自身の目論見と命の削り方論─
[月日は経ち、7月の校舎中庭昼休み。
亜美歌は青の養生シートを下と壁面の一角に敷き、
ピンクのツナギ姿で水張りした白パネルを
地面に敷いた養生シートの上に寝かせた。
パネルの大きさはM50(727×1167mm)
校舎の中にポツンと存在する小さな中庭は
四方八方を校舎に囲まれてるため上から覗かれても
1回の廊下や窓からでもモロ見えの位置。]
しゃー、いっちょやってやりますか。
[周囲にはたくさんのスプレー缶とステンシル、
ダンボールにペインティングナイフ、チラシの束。
スクレーパーに鍋の蓋とタオル、スポドリ、いちご牛乳(80円]。]
『2度目の3年生を迎えた亜美歌。
文化祭、そして秋のコンクール出場を終えると
2度目の引退予定となる手筈だが、
本人はあることについて取り組む
一大決心を決める。
今まで取り組まなかったのは場所と美術部員、
様々なものへの気遣いもあったが、
一番の理由はそのスタイルと────』
[『ー玉響に“なけ”ー』一部抜粋]
[デッサン系のドローイング系を苦手とし
ペインティング系は比較的得意な亜美歌。
実はGWの理澄市商店街のライブペインティングバトルで
全4回戦中2回戦まで突破した経験がある。
学校にも誰にも内緒で出場したが、
商店街公式動画で制作の一部始終が映っていること。
学校でも「緊急車両が通過しまーす!」と
通る声でピンクのつなぎを着たままパネルや画材を運ぶ
亜美歌を知ればすぐに見抜けるだろう。そもそも本名で出てる
サックスやクラリネット、エレキギターなどの
生演奏に合わせアクリル絵具で描いた
畳2畳分の金色龍と皇帝ペンギンを
1回戦2回戦で書き、龍は親戚のカフェ「バンジョー」
皇帝ペンギン親子の群れは市民交流センターに展示されている。
大胆で鮮やか、華々しい作風は荒削りだが
本人のエネルギーそのままに人の足を止めると
審査員に言われ嬉しかった思い出。]
[松本にも昼休みに部活動をしたいこと、
中庭を借りたいので許可して欲しい旨を伝えたので
申請した道具やら何やらで何をするかはバレたかも?
そもそもの秘密がバレてたっておかしくはないか。
(なお顧問の許可が得られない際はトラウマあるけど
1回だけと何とか1人で
学校側との交渉を頑張ることだろう)
片付けを考えれば20分、多めに見積もって30分。
防塵マスクを頭に装着し、
スピーカーでBGM集からステージパフォーマンス向けの
華やかなフリー音源を流すと、パネルに向き合い
両手にスプレーで青と紫の下地を塗り始める。]
[青、紫、黄色、白、緑、橙、黒───
様々な色のスプレーを手に取り軽快に持ち替えては
次々と横長のパネルに吹き付けた。
色の霧は水面になった、海になった。
チラシで擦り付けた跡は海底の岩肌に。
色を塗り重ね時折ステンシルで覆った箇所は
躍動感溢れた水面目掛けて泳ぐイルカたちに変わる。
水面に伸びる白昼の金色の日差し、
それ目掛け一直線に
水面へ上がろうと泳ぐイルカの群れが
みるみるうちに完成へと近づいていく。
周囲の騒ぎと目線に気づけば水を得た魚のような
イキイキとした笑みで手を振って応える。
呼び止められれば応答した、話をする姿勢を見せた。
時折日陰で休憩する際話しかけられれば
質問や話に花を咲かせながらまた作業に戻るの繰り返し。]
[血が踊った、衝動に焚きつけられた。
描くのが、表現するのがただただ楽しい。
美術室ではスプレーを使いづらいから
久々に屋外で思い切り描けるのが最高に気持ちいい。
些細なことでも1度ミスすれば全てがお終いの緊張感。
命を、魂を削って描き上げる感覚。
自身のエネルギーと行動がやっと釣り合った瞬間。
けどこんな衝動と高揚感に溢れた全力を注ぎ続けて
描き、生き続けたらきっと長生きしない気がする。
そう自分の体が直感する。
30はまず無理かな、25も厳しいか。
でも描き、駆け続けて散っていくなら悪くないか。]
なにー?どした?
汚れるかもだから中庭入るんだったら
ちょっと離れたとこで見ててくんない?
何か聞きたいことあれば教えるからさー。
[防塵マスク越しに声をかけ、
呼び止める人がいれば手を止めよう。
話しかけられたり呼び止められるのは別に苦じゃない。
写真や動画を撮るのも構わない。
誰かが窓から放ってくれた
ウェットティッシュを「サンキュ!」と
受け取ってありがたく使わせてもらおう。]
[亜美歌も本当は薄々悟っていた。
じっと座って静かに取り組む美術じゃなくて
喧騒の中衝動のままに描くほうが
ずっとやりやすいこと、
モノクロよりカラーに満ち溢れたビビットな色彩、
大きなパネルやベニヤ板へ大胆に構図を写し、
描く方が自分はずっとずっと楽しいってことも。
でも美大受験に
亜美歌の得意なものはどれも存在しない。
ギリギリの合格ラインを上に下に彷徨うだけ。
入り口で躓き、うろついてるだけ。]
(昇るってさ、難しくって挫折しそうで
それでいて食らいつきたくなるね、
ティーチャー。)
[映画にはない原作の独白。
>>0:111>>0:299
恐らく、掻き立てる熱い塊は同じかもしれない。
(亜美歌は知らないことかもしれないが)
>>69>>70]
ダーーーッ、
シャーーーーーッ!!!
[頑張ろう、再度気合いを入れ直す。
声量防犯ブザー、
素声でマイクやメガホンと張り合える。
カメラから位置遠くても声拾われると称された
亜美歌の突如の叫びにビクッとなる数名が映る。
自分と親しい人や美術部にいた人、
例のライブペインティングバトル動画を見た人は
心当たりがあるかもしれない。
調子というエンジンが掛かり始めた
亜美歌が発する声の癖だと。
もしかしたらこの声は拾われなかったかもしれないけど>>0:404]
[努力ともどかしさと興奮、楽しさを携え
頭の中の構図を逃げぬうちに色の霧で吹き付ける。
歌うように描く姫野の姿は映画の途中、
スピーカーのBGMからエレキギター主体の曲へ。
画面に書かれたイルカは誰かの何かにぶら下がる
イルカのキーホルダーへと焦点を変え、
やがて誰かの別シーンへ切り替わることだろう。**]
─舞台裏/7月/メイキング(ライブペインティング)─
[姫野は高校時代美術美に所属しており、
学生時代ライブペインティングを盛んに行っていた。
その為ライブペインティングシーンでは
アーティストと共に姫野本人も初経験者に向けて
撮影前の講習を行っていた。]
これウィッグ汚れないか心配ですね。
[お団子の部分はウィッグのため、
予備があるとはいえ汚損と紛失のリスクに緊張が漂う。
多くのシーンと違いスプレーでのライブペインティングシーンは一発本番。
失敗出来ないと言われた分
余計にプレッシャーがのしかかる。]
[シーンに登場する役者、袖で見学する役者。
エキストラ含めれば登場人物は数十名以上。
多くのエキストラの中に原作者の田美院を見つけ>>1:0
思わず笑ったり、好物のココアを貰い
緊張を落ち着けようと深呼吸する様子が
メイキング映像には写っている。]
……はい、大丈夫です!お願いします!
[本番用の撮影カメラが回れば再びの緊張。
「よーい、アクション!」の声を皮切りに
無我夢中で描き続ける姫野の姿があった。**]
ふふふ…、貴方、こんなに沢山ヴェールを纏って
本当の貴方をどこまで隠しているのかしら?
それでも尚、貴方の瑞々しさは隠せない。
あなたの硬くて太い芯もお見通しよ。
私はそんな貴方がとてつもなく、好き。
素のままの貴方でお肉にそっと寄り添ったり
素晴らしい包容力でお肉をそっと包み込んだり
生でも火を通しても貴方の魅力は損なわれない。
大航海時代にはその体をお酢につけて
船乗りたちを病から救った勇気ある貴方。
レタスになんか負けないで。
ありのままの貴方が…っと、
30秒経ちました?経ちました!?
良かった〜〜〜!!!
─舞台裏/出演者でMISSION!>>*87─
[キャベツを手に熱っぽい眼差しでひたすら口説く。
>>*89そのミッションを耳にした時には目が点となったが…"放送用スピーカー/キャベツ/掃除用モップ/バケツ/人体模型/ビーカー"の中から選べと言われて選んだのは自分だった。
カウントが終われば脱力してしまう。]
役者さんはこう言う練習もなさるんですね…。
勉強になりました。
えっと、姫野さん…亜美歌さんが、提案者。
[なるほどなあ、勉強になる…と、画面に向かってしみじみ。
しかし此方からもお題を出すべし、とされると首を捻ってしまう。
Nixも中の人もそんなに面白い発想やアドリブ力、アイデア力は無いのだ。
腕組みしてウーンウーンと一人唸る。]
うーん…あっ、おやつを手作りしてもらうとか…
…インパクトが薄い?
うーん、あっ、作詞してほしいかも。
そしたら私曲つけて歌いますよー!
[そんなのどうでしょ、と笑う私にスタッフはちょっと曖昧な反応だった。
笑いをとるのには慣れてないんですよ…。
でも、もし誰かがそれを受けてくれたなら、この映画のサウンドトラックにシークレットトラックで挿入されるかも…しれないね!]*
/*
うーん、何か急展開すぎたかな?一応新学期から布石置くつもりではあるのですが……
あと美術部組ばっかりロル回して申し訳ないです、偏りがあるんで自分からもう少し他の方と声かけたいですね……
でもこれ以上軸増やすとキャパオーバーなんでどうしたらいいんだろう
ちなみに振ろうか迷った軸は幸阪さんに「ねーねー、ライブペインティングのモチーフになりそうな写真集とか図鑑ない?」と全く変わらぬ態度で話しかけ「迷子になってない?」と尋ねるシーンです。
村建てPCはじめ多くの方とか拘ってらっしゃるのでご負担考えると触れませんでした、無念。
─舞台裏・二人のその後─
[松本が躊躇った末に一歩踏み出してお誘い。それを姫野真弓は笑顔でokしてくれた>>*80
映画はクランクUPするまで、実に長い時間がかかる。
当たり前である。
役者の仕事は配役後の台本の熟読に始まる。役作りをし、読み合わせからカメラテスト、リハ、本番、様々な過程をこなしーーみんなの努力が1つの結果となるのだ。
撮影が終わるまで、二人は共演者である。
カメラに映る時は松本と亜美歌、教師と生徒。
約束について再度触れることはなかったが、映画が封切られ、完成後インタビューやら関連の仕事が終わった折ーー行平は姫野を呼び出した。
無精髭も剃り、髪も整えている行平は彼女の目にどのように映ったか]
お久しぶりです、姫野さん。
[LINEではやり取りしていたものの、顔を逢わせたのは久方ぶり。
彼女もまた、撮影時とは異なる出で立ちであろう。
行平が照れずにいられるか怪しいものだ。
向かう店は勿論、劇団浮かれロースカツ定食の座長・堤丈懇意のトンカツ屋である。
事前に彼に連絡を取り訊ねた所、快く場所を教えて貰えた。姫野は劇団のみんなと行ったことがあるだろうか。あるかも、しれない]
トンカツ、結構好きなんです。
カリッ揚がった衣、ジューシーな肉。キャベツとも合いますよね。
姫野さんもお好きですか?
[亜美歌のイメージで食欲旺盛を頭に描くが果たして。
本当はもっと聞きたいことはある。
好きな映画、本、動物、なんでも。
そんな無難な会話から、ふと]
……また逢えて、嬉しいです。
本当はもっと早く予定を合わせたかったんですけど。
[仕事があるのだから仕方ない。特に彼女は行平の予想通りの売れっ子状態であろうし。
歩く道すがら、桜並木に差し掛かる。
満開の薄桃がパアッと広がり。
はらはら散る花びらがとても美しい]
映画の撮影はあっという間でしたね。本当に楽しかった。嬉しかった。
素晴らしい作品に関われてーーそして。かけがえのない出逢いがあった。
あなたと。
[春の心地好い風が薫る。二人の頬を優しく撫でる。
ふと、彼女の髪に桜の花びらが。
行平は手を伸ばしてそれを摘まみ、微笑んだ。
こうして歩けるだけで。
隣にいるだけで幸せだが。
いつか行平の心の大切な場所に彼女が座ったらーー仄かな願いが膨らんだ]**
/*
キャーーーーー待って照れる恥ずかしい!!え、え??
おわあああありがとうございますううううう
丹田さんが囃しに来るやつだこれええええ
/*
>村建てPCはじめ多くの方とか拘ってらっしゃるのでご負担考えると触れませんでした、無念。
関わって、です幸阪さんごめんなさい
─舞台裏/梅雨・放送準備室シーン後─
[>>*64畑違いの世界に挑戦するに当たり、彼女がどのような努力をしたかは分からない。
それでもNixが竹村と向かい合っている事が感じられる演技だ。
他に隙間がない程に、精一杯。
それも仕方のない事だろう。
彼女がこの先この世界で経験を積めば、視界も広がるかもしれないが。
プロの役者にも、色々なタイプがいる。
一途に自分の役に向き合い、没頭するタイプ。
相手役と綿密に演技プランを話し合いたいタイプ。
幾つかのプランを立てておいて、相手役との演技を通して自分の動きを決めるタイプ。
羽藤はどちらかといえば、三番目だ。]
ほんまに良かったー。
[>>*65親切に取りに行ってくれるスタッフの背中を見送りながら、青年も笑う。
名前について言ってみれば、瞬きの後に彼女が笑う。]
そういう人もいるし、あんまり気にせんと。
少なくとも、この現場の人で怒る人はいないと思いますし。
たまにこわーい先輩もいたりするから、そーいう人には気を付けて?
[などと冗談めかして言っていれば、スタッフが二人分の梅昆布茶を持ってきた。
ありがとう、と笑いかけて受け取ると、器越しに伝わる熱を感じながら息を吹きかける。
舌を火傷しないよう、少し長めに息を吹きかけた後に口にすれば、梅と昆布の織り成す独特の風味が口内に広がった。
ほっと落ち着く味だ。]
/*
その後のお話まで見えてびっくりびっくり
役者同士のやりとりってことだ 自分になかった視点だった
そういう方向性もいけるのか……! ってなりました たのしいね
……ん?
[>>*66聞いてみたかった、と質問が投げかけられた。
青年が言ったように役名で呼ぶ事にしたらしい。
端から聞けばややこしくなってしまったが、添えられた言葉のお陰で正しく意味を把握する事が出来た。]
フジコーの事、好きです。
今まで演ってきた役も全部、愛着ありますよ。
まぁ、好きって思っちゃいけないタイプの役もいますけど。
[例のストーカー役も、ヒロインと相手役が進展するという意味があった。]
フジコーって、不器用で自信がない奴なんですよね。
でも根性がある。
昔の事でトラウマがあって、それでもあがり症を克服したくて放送部に入ったところとか。
後の方でも、俺やったらしなかった事をするんです。
そういうとこは凄いなーって素直に思いますよ。
作中で劇的に変わったりはしないけど、小さな変化を重ねるそんな道を、俺が一緒に歩いたろって気分で演ってます。
[梅昆布茶を口にしながら、そんな事を語った。
それは、役と友人であるかのような発言に聞こえるだろうか。]
……あはは、
“それ”は、君の癖でもあるんか。
[彼女の鼻先に触れない位置で右手の人差し指を向けて、笑った。]*
/*
あのあの、うとうさんのお名前がここ最近羽ばたいておられるんだけど、メモでお伝えするのはやりすぎかな どうかな
新入生なら、まだ図書室の中全部は見てないよね?
あんまり置いてないの、絵本。
当然だよね。高校生だもん。
鬼束さんの言う通り、自分以外の誰かも同じ本を読んでる。
教えられないけど……その本も鬼束さんが初めてじゃないよ。
[貸出を経ることで、
彼女が新入生であることもその名前も知ることができただろうか。
初めて得た音を口の中で転がし、理由を告げる。]
だからこそ、できるだけ多くの人に本を読んでほしい。
そうすると需要のないものはあんまり買えないんだよ。
[結月は少し大げさに困ったような表情を作り、肩を竦めた。
心底残念だと思っている様子はない。
そういうものだと受け入れている、静かで凪いだ目だ。]
昔は、巻末に紙のカードを挿して貸し借りしてたって言うね。
読んだ本に読んだ人の名前が順番に書かれていくみたい。
そういうのが好きな人がいるって聞いたことあるよ。
きっと、鬼束さんと同じだったんじゃないかな。
[結月は「ほっとする」を否定しなかったが、同意もしなかった。]
これからの三年間で、
鬼束さんのほっとする本がいっぱい見つかるといいね。
[図書室は私語厳禁である。小声だとしても長々とは話せない。
彼女が本を手に出ていく姿を、先輩として穏やかに見送った。]*
―6月/体育祭―
[少年はコンテスト前のオーディションで選ばれなかった。
今年が最後となる三年生が二人と同期が一人。
朗読部門とアナウンス部門は、各校で三名しか出場出来ない。
そんな枠に選ばれなかった事は残念だったが、今出来る全てを出し切れたからと後悔はなかった。
先輩曰く、それなりに評価は競っていたらしい。
納期の近い映像部門の編集作業を手伝ったり、選手のサポートに回っていた。
>>125ケンにもその結果は伝えていた。
>>0:311自分が選んだ作品を彼は興味を示してくれたので、申し訳ない気持ちが強かったが。
『海の見える理髪店』
短編集の表題作を少年は選んでいた。
通常、科白は鍵括弧で区別される科白部分で表現されるが、この作品はそれがない。
少し変わった構成でありながら、するすると読む事が出来た。
合間に差し込まれる時間経過の描写も美しい。
作中では語られないが、ほんの少しの希望のようなものが垣間見える、そんな作品だ。
さて体育祭に話は戻るが、アクシデントが起きるなんて思ってもみなかった為、放送部では音楽出しがあるからたまに抜ける、としかケンには話していなかった。]
[>>89立ち尽くした選手の姿をカメラは捉えていたが、少年は目の前のリレーの内容を伝えるだけで精いっぱいだった。
彼女の立つ姿の向こうで、微かに実況の声が聞こえる、そんな構成になっている。
>>90頑張れという言葉に彼女が何を思ったかも、少年は知らないまま。
リレーが終わり、閉会式のアナウンスが始まれば、少年はテントからクラスの列へと戻る。
名乗っていないし、少年が声を張り上げる事などないので、実況を務めた事に気付く人は少ないだろう。]
……あの、最後のリレーの実況、変じゃなかった?
もう何言ったかも覚えてなくって。
[閉会式の後、少年は恐る恐る彼にそう問うた。
>>127余裕がなくて、ケンに実況を務める事は言っていなかったのだ。*]
/*
少し過去を補完。
すみません。
本を探しておりました。
過去の課題を何個か見ていたんですが、しっくりくる感じがなくて。
ジャンルも翻訳物やエッセーや古典に推理物など幅があるんですね。
選定基準は何なんだろう。
其処まで調べが行き届かず。いくつかは青空文庫にあったりもしたんですが、海藤君が乱歩先生は少しギャップが。
─舞台裏/梅雨・放送準備室シーン後─
あはは…、こわーい先輩いなくて良かったです…。
もし居たら、私ずっと隅っこいますよ。
[>>*107苦笑いが漏れるが、この現場には怖い人はそういない…と思う。
真剣に向き合うが故に強い口調や態度になることはあるだろうが、それならまだ耐えられると思う。
竹村とは違い、もし理不尽に怒られるようなことがあったなら、すたこらさっさと逃亡したくなるのだ。
逃げるが勝ち。君子は危に近寄らず。
でもこうして少しでも会話ができるくらいには、少しずつ、現場に馴染み始めている。
勿論、現場のスタッフや役者の先達のみんなが場を和ませてくれているのもあるだろう。
緊張は完全には解けないだろうが、居心地は良い。]
>>*108そして、問いかけに対する彼の答えは納得できるものだった。
確かに悪役や、所謂負の部分の役柄もあるだろう。
そう言う役柄全てに愛着があると言う。
確かに、自分も自分の歌や楽曲には愛着がある。
その全てが全て世に受けた訳でもなければ、批判される歌詞もあった。ステージもあった。
でも、自分の仕事が好きだからこそ、それら全てに愛着が湧くのかもしれない。
役者もまた然り。
そう理解しながらうんうんと頷きを返す。
海藤くんに関しての感想も、面白く受け止めた。
正直、原作の生徒たちはみんな「若いな〜!」が第一感想だったりするのだが、確かに彼の少しずつ少しずつ努力を重ねていく姿は、素直に好印象だった。
それに付き合って一緒に歩く。
何だかそれが、ストンと嵌るような気がしたのだ。]
ああ、ジーッと見ちゃうんですよね…。
たまにそんな見んなって言われるんですけど
相手の目を見て話せって、凄く親に言われて。
君の癖でも、…ってことは、
こう言うとこ、やっぱり"私"が
出てしまうんですねえ…。
誰かを演じるって、やっぱり難しいです。
[どんなに頑張ってもプロには勝てない。
でも、歌ならきっと負けない。
しかし今は演技の仕事なのだから、できる限り頑張ろう。精一杯。
こうして良き先達とも話せるのだし。]
もし、何か気になるところとかあったら
ぜひぜひ、演技指導とかよろしくお願いします。
[にこ、と笑顔を向ける。
声の張り方とか、体の動かし方とか。自分では良しと思っても、まだまだ何とかできるかもしれないから。
そう、海藤くんにお願いしたのだった。]*
─初冬/昼休みの美術室─
[まだ雪はちらつかないだろうか、しかし吐く息が白むようになって来た今日この頃。
美術室にて松本は昼食のあんパンとコーヒー牛乳を齧ろうとしていた。いつもの白衣姿。
そこへ、ノックの音と共に竹村茜が登場する]
ーーよ。
[ノックなんかしないで入っていいと言ってあるが、彼女はいつもこうだ。
彼女が腰掛け弁当を机に置いた。さておかずは?なんて松本が無遠慮に覗き込んだ時]>>123
ん?
[名を呼ばれたが、茜は松本を見ようとしない。怪訝そうに首を傾げる松本。そこで彼女はーー静かに、だが怒気を含む声を発する。
ぜっっっっっっっったい、という言い方は簡単なようで難しい。
行平はお、と良い滑舌と感情の乗せ方に目を見張る。
良い演技だ。
カメラは二人の後ろ姿からパーンし、茜が演じる怒りに燃える美しい瞳を映したか]
ーーうん、うん。
[緩慢に答える。彼女に何かがあったのは、下駄箱で目撃した光景から察してはいる。
しかし、こうして話してくれるのを待っていたのだ]
[役者・行平はさっきまでの間延び声を辞め、相談事を聞く場合の松本にシフトチェンジする。
つい、と背を向けて扉に近付くと鍵を掛ける。誰かに聞かれないように]
これで邪魔は入らない。
ーー話してみろ。聞くよ。
全部、ぶちまけていいから。
[もう一度彼女に近付く。口を開くまで、松本は辛抱強く待った]*
……―― 好きとか嫌いとか、 しんどいよね。
[それは、自分に語りかけるような声だった。
しかし、その音は存外大きく、夕焼けの照らす廊下に響いた。]
『 結月は救いの神になりはしない。結月自身、誰かを救えるなんて思ってもいなかった。
この時点で竹村の事情を知り、苦笑の意味を理解していたなら、結月は彼女の力になれただろうか。
けれど、結月はそうできない。
今の結月にとって、彼女の思いは劇薬だった。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]*
[だって、Nixは役者じゃないのだ。
普段と異なる舞台で歴戦の猛者と肩を並べ、対等に戦っている。
その痛みが彼女が真摯に向き合った結果であるなら、
敬意を払い、労う以外のことをしたくないのだ。]
でも、身体は大事に。痛いのは、その……痛いから。
かっこよかったですよ。
[しかし、無理はしてほしくない。
一応声掛けはするが、残念なことに先輩の威厳は皆無だった。
取り繕うような軽い咳払いの後に素直な感想を述べ、
彼女を困らせないようなら、暫く、蹲る背を撫でていただろう。]*
ー 五月・校舎前花壇 お供えの正体 ー
[彼女の供えた花は、まだそこにあっただろう。
萎びはじめて、そろそろ片付けようかと考えていた矢先だった。
きっと花を処分した後だったら、声をかけることはなかっただろう。
目の前の小柄な女子生徒が振り向いて、制服のリボンの色で同学年なのだと知る。
疑問の声には頷いて、>>84 彼女から発せられた謝罪交じりの肯定と弁明には笑顔で返した。>>85]
いや、別に気にしなくていーよ。むしろお供えありがとうって言いたくて。
あと、疑ってないから大丈夫。大抵のやつだったら、ちょっと花が潰れたからってお供えしないだろうし。お供えするくらい気にするやつなら謝りにくるんじゃない?
だから、犯人だとは思ってない。安心して。
それとも俺、安心できないくらい怖かったりする?
[手を挙げたのを見てとって、苦笑しながらも、こちらも両手を挙げる。
髪は染めてないし、ピアスも開けていない。でも制服は着崩しているし、軽薄そうな言葉遣いはお世辞にも柄がいいとは言えない。
疑ってないよ、とアピールをした。彼女の考えた通り、これが犯人の自首する前なら、こうも疑わずにいられたかは定かでないけれど。
それでも今は、彼女を疑ってないのは本当だったから。]
[わずかな沈黙を挟んで、迷いながら、飯島は言葉を継ぐ。
心の中に異物が住んでいる。自分じゃない何かの気持ちを代弁しているようだった。]
いや、確かに。死んじゃったんだけど。
花は潰れたら戻らないし。君がお供えしてくれた花は確かに死んじゃったんだけど、ね。
でも、なんかそれって、生きてるってことだよね。
誰にも知られずに枯れてったら、死んだことも知られないけど、君がお供えしてくれたあの花は確かに生きてたんだよ。
君があの花が生きてたことを、知っていてくれたから。
だから、想いは生きてるよ。君がこの花壇を気にかけてくれた事実は残る。
俺がそのことを知ってるからね。うん。何言ってんだろ。
[顔が熱い。自分で言っていて意味不明だ。質の悪いナンパと張り合ったら互角以上に渡り合えると思う。
そんな思考で誤魔化さなければ、その場を離れたいくらいの恥ずかしさだった。]
[赤い顔と、口から出した言葉を誤魔化すように、手を顔の前でひらひらと振った。冗談めかせば、少しはマシかと考えたのだ。
それから、一呼吸置いて、ついでのように言葉を足した。]
ここの花壇さ。
もう、見頃も終わるんだ。じきに全部が少しずつ枯れていく。
そうなる前に各教室に配るから、よかったら覚えといてよ。
花瓶見て、綺麗だなって思ってくれたら、花も生きた甲斐があるでしょ?
[その言葉に、彼女は何を感じたのか。花の死を悼んでくれた少女には、些か残酷なお願いだったかもしれない。
花の気持ちを代弁するなと言われたら、その通りだと思うしかないが。
飯島は、相手の顔を見た。今は茶化す気にはならなかった。
相変わらず、口から紡がれる全ての言葉はどこか遠くて、他人事のように思いながら。きっと、彼女の言葉を聞いた。]**
/*
・ライブペインティングも見たい 見る
・飯島くんやったー おへんじ
やりたいことリストが随時更新されていく結果、書く本数がひとつも減らないの贅沢なバグ
「口をつく全ての言葉は、或いは先輩の言葉だったのかもしれない。
彼の心に、未だ住み着いている先輩。
二年生の彼に、後を託していった人。
その人の意志が、飯島の身体を借りて、勝手に話しているのかもしれなかった。
少なくとも、飯島はそう感じた。全てのことは薄皮一枚隔てた向こうのことのようだった。
もし、これが自分の意思なら、なんて自分らしくないのだろう。」
ー玉響に“なけ”ー 原作小説より一部抜粋。
[さて。このシーン、すっごくすっごく気合が要る。
何せ、自分の溜め込んだ感情を竹村茜が一気に吐露するシーンだ。
セリフも長い。竹村茜が溜め込んだ感情を、どんな風に吐き出すか。どんな風に語るのか。
台本のト書きには、最初は無理だろオイ、と思った物がある。
涙ながらに語るシーンなのだと。
確かに、原作でもここは竹村茜が涙するシーンなのだ。
学校の中の安全圏なのだと確認して。
自分の友人にも仲間にも関係ない位置だろうと思えた教師にだからこそと、耐え続けた心の綻びを垣間見せるシーン。
私は。私の演じる、竹村茜は。
どんな風になるのだろう…と考えていたのは、このシーンに入る前までだった。]
春に、女子に告白されて、断った。
私、女同士って理解できない。受け入れられない。
でもそうしたらいつの間にか
私はそう言う人達を差別する酷い奴ってなってた。
でもさ、私、当たり前にお付き合いするなら
男子とって思ってたし
女子に告白されて超戸惑ったんだ。
LGBTってよく言われるし
そう言うのがあるんだって理解はしてる。
わざわざ、そう言う人たちのところに行って
アンタたちと合わない、なんて言わないよ。
でも、急に告白されて巻き込まれて当事者になって
それで相手にも配慮した上で振れ、みたいなの、
私にとっては無理難題すぎて。
女同士無理って、それで断ったら
相手を傷つけた事になるの何で!?
[最初はぽつり、ぽつり。
選んで語ろうとしていたはずの言葉が、どんどん早くなっていく。
怒りの気持ちがこもり、頬が紅潮して声に怒気が含まれた。
何で、と問いかけるタイミングで顔を上げ松本を睨みつける。
その目には涙が滲んでいた。]
それにっ、…それに、
私に告白してきた子じゃない奴が、
そんなの可哀想って勝手にその子を
可哀想な子にしてこっちに攻撃してくるの、
本ッ当に卑怯で!
甘んじて平手は一発食らってやったのに
その後もちまちまちまちまくだらない事して!
でも、反撃したらさ、
その子の事、周りにバレかねないじゃん。
そうなったら私一人の比じゃないかもじゃん!
それともみんな本当に、
マイノリティにそんなに理解ある訳!?
逆に私のことを可哀想扱いして
その子を攻撃する奴だって多分出てくるし
だからもう全部スルーすれば良いやって
ほっといたら段々洒落にならなくなってきて…。
でも…。
[ばん!ばん!と、机を叩きながら熱弁する。
思わず途中で立ち上がり、けれど最後の最後で、その声のトーンは落ちていった。
ストン、と椅子に座り直す。
相談、と言うよりはやはり吐露だ。それも八つ当たりに近い。
ボロッと大粒の涙がこぼれ落ちる。それでも、表情は怒りのそれのままだった。]
あんな卑怯な奴らになんか、負けない…!
でも、詳細は、周りに言いかねるし、
いい加減物を隠されたり壊されたりしんどいんで
職員用の下駄箱使ったり!
できませんかねえ!!?
[一番の被害はそう、学校に置いておくことしかできない靴・上履きたちだった。
ボロボロ、涙をこぼしながら、それでも戦うつもりで強く問いかけると涙を拭う事もせず、まっすぐに松本を見るのだ。
誰にも負けてなるものかと言う様に、睨みつける勢いで。]*
─舞台裏/梅雨・放送準備室シーン後─
大丈夫、大丈夫。
流石にそういう人がいる現場やったら、何処かから耳に入る筈やし。
そーいう時は先輩が助けるもんやしな。
[>>*110気難しい役者も中にいる。
スタッフの方もトラブルは避けたいので、そういった情報は先に伝える筈だ。
もしその場に青年がいたなら、折衝役になるだろう。
劇団でも、熱が入り過ぎた先輩達の議論の取り成し役になっている。]
[>>*111問い掛けに答えれば、肯きが返る。
自分の言葉に彼女にとって腑に落ちるものだったようだ。
本業の方でも感じるものもあるのだろうか。
役にはそれぞれの存在意義がある。
役者の仕事は、それをやり切る事。
メインの役は劇団に入ってからは演じてこなかったが、メインばかりでは大抵の話は成り立たない。
脇役も端役も、皆、その作品の一部。そう思って演じている。]
フジコーとは、そんな距離感ですかね。
兄貴分みたいな気分で見てる。
そーいう子、いますよね。学生時代。
Nixさんは、Nixさんなりに竹村ちゃんと関われていると思うんで、その調子で大丈夫だと思いますよ。
[>>*112そして癖を指摘する、鼻先に伸ばした指。
それに気づいた彼女は目を瞠った後にそれを掴んだ。
虚を突かれた羽藤はなされるがまま。]
あー、言い方が悪かったかな。
竹村ちゃんとNixさんの共通点みたいなの見つけたみたいで嬉しくなって、つい。
完全に自分と違うようにしなくてもいいんと違います?
フジコーがしてたら違和感ですけど、竹村ちゃんなら違和感ないし。
自分を完全に消す必要はないと思いますよ。
だって、今回の竹村ちゃんはNixさんが演じてるんですから。
古株の役者さんでも癖ってあるもんで、それを味にしていくのがプロなんですけど。
……何て言ったらいいかな。
Nixさんなりの竹村ちゃんを目指していけばいいと思います。
[>>*113彼女の反省にはそう返す。
マイナスな意味で言った心算はなかった。
Nixの中に竹村の面影を見たような気がしたのだ。]
へっ?
演技指導なんて、行平さん達を差し置いて、大した事は出来ませんけど……。
もし何か演技をする上で悩む事があったら、一緒に考える事は出来ますよ。
[>>*114演技指導、などとは恐れ多い、と笑ってみせながら、そうした姿勢は好ましい。
同じ演者として助力はするという姿勢を見せた。*]
―秋/文化祭の演し物―
[>>62今年のクラスの文化祭の出し物を決めるシーン。
黒板には今までに出た候補が書かれている。
喫茶店、舞台劇、お化け屋敷、理澄市の魅力紹介展示室など、個性的な案が並んでいた。
この中から多数決でこのクラスの出し物を決めるのだ。
少年が投票したのは、理澄市の魅力紹介展示室。
理由は、展示系は積極的に接客をしなくてもいいからだ。
それ以外の理由はない。
他の出し物になったなら、裏方に回ればいいだけの事。
そうして投票結果は──。]
(……喫茶店かぁ。)
[納得の結果に少年は静かに頷いた。
喫茶店とお化け屋敷、と票はそれなりに競っていたが、どちらも高校の文化祭らしい出し物だと思う。
出し物が決まれば、次はその内容を決めていく事となる。
教室の飾りつけはどうしていくか。
メニューは何を出すか。
接客役は誰がするか。
接客役はどういった格好にするか。
アイデアが飛び交い、取捨選択をしながら一つの形に纏まってゆく。]
[そして少年は無事に裏方に収まった。
メニューはホイップクリームや冷凍フルーツを添えたフレンチトーストに、ホットサンドが2種類。
コーヒーやジュースなどのソフトドリンクを幾つかと、冷凍フルーツにサイダーを注いで見た目も綺麗なサイダー。]
ケン君、似合ってるよ。
[ウェイターの衣裳の試着をしたケンにはそんな言葉をかけた。
ちょっと威圧感があるけど、とは言わない。
やや遠巻きにされている事には気付いているが、元々交友関係の狭い人間。
少年自身はケンに対して苦手意識は感じる事はなかった。*]
ー 初夏・プランターの花 ー
[>>128 ケンの言葉に、間延びした声で答える。]
んー、最近暑くなってきたからね。
でも、枯れてるっていうか、種を作ってるんだよ。
咲き終わると、種を作る。で、枯れる。
もしかして、気になる?
[校舎前花壇にあった花は綺麗になくなって、今は教室に彩りを添えている。
それも、もう暫くすれば園芸部の育てた花へと変わるだろう。
植え替えた数少ないパンジーは徐々に元気をなくし、花を萎れさせていた。
花が萎れると種ができると飯島は知っているし、そのために植え替えたので心配も焦りもない。むしろ、よく持った方だと思う。
でも、ケンからしてみれば、植え替えた花がそう時間も経たないのに萎れていくのが気にかかるのかもしれないと、彼の言葉を聞いて思い至った。ちょっと考えて、言葉をつけ足す。]
この花はもう終わりだけど、種が取れたら、涼しくなる頃にまた撒けるし。これで終わりじゃないよ。
[なんて言ってみたものの、まだ先の話をしても意味はないかもしれない。
そもそも、彼が手伝ってくれたのは目の前プランターに植わっている花だ。
草臥れて、色彩の鮮やかさが失われつつあっても、関わった花である以上、多少なりとも愛着があるのかもしれない。
そうだとするなら、代替なんて必要のない話かもしれない。
どれだけありふれているように見えても、愛着のあるものの代わりなんてないのだ。
頭の中でそこまで考えて、一旦考えるのをやめて。
少し黙って、ケンとプランターを見つめていた。]**
/*
メイキングカメラも反応したいね
Nixさん姫野さんとお話……わくわく
・飯島くんお返事
↓描写つなげる
・八月海(途中まで)
・七月ライブペインティング
・九月一周年(ほぼ一言)
・文化祭 茜ちゃん歌
・文化祭 美術部展示(仮)
こうか 本気??? おろか寄りでは???
明日おやすみだし……今腰浮いてるからまたあとでだけど……
めいきんぐかめらはよゆうができたら……!
ですね。でも、おかげで気合い入りました。
あとは痕が残らないことを祈るばかりですね。
最悪あざになってもファンデがありますけど。
それにしても幸阪先輩、お姉ちゃん…。
ありがとうございます。
[ふにゃあ、と頬が緩む。
そういえばまだ中学生もいたりして自分は大人、と思っていたけれど、年上も多いのだこの現場。
その日から、ちょっとだけ幸阪先輩こと根岸さんに懐いた私だったのである。]**
ー 舞台裏 役者・水戸泰誠の誕生 ー
[役者人生を語れるほど長くは生きていないけれど。
役者人生という言葉が、そのまま僕の人生を表す言葉になってくれたら嬉しいと思う。]
[事務所に入れてくれたのは、当たり前ながら両親だ。
けれど両親は芸能界に然程興味があったわけではないらしい。
物心ついた僕が両親の絵本の読み聞かせを気に入り、文字が読めるようになる頃には読み聞かせられる側から、読み聞かせる側になりたがった。
日曜日に放送される冒険活劇の台詞を覚えて、動きを真似して遊んでいた。
そんな些細なエピソードが事務所入りに繋がるきっかけだったという。
両親はやりたいならやらせてみようと、そんなスタンスだったらしいが、祖母は反対した。
言い方はよくないけれど、子供を見世物にしてはいけないと言ったらしい。
メディアに露出する仕事だから、一理あると思う。
両親は祖母を説得して、最後は僕の意見を聞いた。
「お芝居は好き?やってみたいと思う?」という問いに、僕は元気いっぱいに「やる!」と返事をしたという。
僕はその時のことを覚えていないけれど、それならと祖母も了承してくれたのだと。]
[仕事をするのだからと、僕は祖母に言葉遣いや礼儀をきちんとするように言われた。
それで、今になっても役にまで敬称をつける癖が抜けない。
ややこしいと分かっていても、やめることができなかった。
ことあるごとに、祖母は僕に言う。
「やるなら精一杯にやりなさい。やって駄目なら仕方がないけれど、中途半端は一番いけません。」
その言葉を、僕はとても大切に思っている。
いつか、役者人生という言葉通りの人生が歩めたら。
そのために、大変でも努力していきたい。
祖母の言葉が、いつだって背中を支えてくれる。だから、僕は前を向いて進むことができる。]**
/*
水戸くんの過去エピソード。役者としてより生い立ちに近しいので独り言。少し考えたのに出せないのは寂しかったので。
/*
口説くお題楽しいな。お題参加したいけど、面白味のあるものが思いつかない。
理澄市に住む人になりきって市の見所紹介とか、そういうものだ。水戸くんが思いつくものは(PLも思いつかない)
─秋・放送部企画会議─
……文化祭の、映像制作、ですか。
[毎年、放送部は開会式と閉会式の進行、当日の放送案内や今年のテレビドキュメント作品の展示の他、テーマソングを公募し、一週間前から昼休みに流すのが恒例となっている。
今年の文化祭ではどういう方向でいくか。
公募の掲示はいつから始めるか。
今日の会議では、そういった事を決める予定だった。
惜しくも全国大会に進む事が出来なかった先輩が、やりたいと思っていた企画なのだと発言した事で流れが変わる。
それは、文化祭の閉会式で準備段階から少しずつ撮り溜めた映像を編集し、テーマソングと共に体育館で流す事。
映像編集自体はテレビドキュメント班に知見があるし、少年も多少の心得はある。
けれど文化祭当日の映像は、撮影も編集もかなりタイトなスケジュールになる事が予想された。
彼らは一応受験生なので、メインで動くのは二年生になるか。]
あ、あの……っ、
大変だと思うんですけど、先輩達と活動するの、最後なので……。
[控えめな海藤の発言に周囲の視線が集まる。
カメラは少年の僅かに震えた背を捉えていた。
その背がぴんと伸ばされる。]
で、出来たらやってみたい、です。
[俺もやりたい、という声が上がる。
テレビドキュメント班の技術向上も見込めるだろうと、顧問も了承してくれた。
その日の放送部の会議は熱が入ったものとなった。**]
「……え?文化祭が終わったら、放送部を辞めろって……。」
『そんな会議を終えた数日後、少年は驚きに瞳を見開く。
夕食の終わったリビング。
少年の机の向かいに座っているのは、海藤の父親である。
神経質そうな顔をした彼は市役所で役職についており、帰りが遅い所為か普段から息子と交わす会話は少ない。
少年の上がり症は父親の認識ではハンデになった。
彼はハンデを抱える息子はよい大学に入るべきだと考えている。』
「選考にも落ちたんだろう?
お前があがり症を克服したいと言ったから許したが、二年目でそれなら続ける意味はない。
おまけに去年より部活が忙しくなるなんて。
今の成績で、□□大学に合格できると思っているのか。」
『海藤の二つ年の離れた従兄は、現在は有名私立大学に通っている。
伯父も父親も有名私立大学出身な所為か、それが当然と思っている節があった。』
『成績が伸び悩んでいるのは事実だった。
父親の前にいると、海藤は息苦しさを感じる。
まるで陸に上がった魚のように。』
「か……考えさせて下さい。」
『そう言うと、少年は逃げるように自分の部屋に戻っていった。
嫌だと面と向かって言う事は出来なかった。
けれど、いつものように父親の言葉に頷く事も出来なかった。』
―玉響に“なけ”― 原作小説より一部抜粋
[そうして今日、始業も遅く、余裕をもって登校してやっと、どこか今までと目に入る風景が違うことに気が付いたのだ。
真夏の今、花壇は綺麗に片付けられていた。
前は何が咲いていただろう。
思い出そうとするが、あまりにも無意識に、そこにあるものとして見ていたせいか、思い出すどの花も当てはまるような、当てはまらないような、という具合である。]
そうだよね。
綺麗にしなきゃ、毎日のように世話しに来ないといけないもんね。
[呟いて、ぼんやりと少し花壇を見つめたあと、ふっと足を校舎へと向けた。
2学期は、ちゃんと見てみよう。
そう思った。]*
― 晩夏の庭 ―
[夏休みも中盤を迎える頃。
海に行こう、と何度か誘い、『私は泳がないわよ!』という先生をなんとか連れ出すことに成功した。
別に先生を無理に泳がせるつもりはない。
一緒に海に行く、ということが大事なのだ。
今の時期はもう補講もない。
スクール水着の上に白いワンピースを着て、日焼け止めを手早くつけるとビーチサンダルを履いて外に出る。
予め膨らませて置いた浮き輪と着替えなどが入った荷物入れを自転車の籠とハンドルにひっかけ、麦わら帽子を被った。
先生と、1日遊ぶのは初めてだ。
自転車をこぎ出した。
途端に、真夏の熱気に汗が出てきた。
純粋な意味でも、冷たい海に入るのが楽しみだった。]
先生ー来たよー
もう水着着てきたよ。
行こう?
[先生の借家に着き、玄関へ声を掛けると、庭の方から水を撒く音がする。
玄関先に自転車を止め、荷物を軽く降ろすとそのまま庭へと向かった。]
あ、いっぱい咲いてる!
しかも、凄く鮮やかな色。
[夏の日差しが差し込む庭に足を踏み入れると、感嘆の声を上げた。
壁やフェンス沿いに広がる緑に一斉に赤いブーゲンビリアが花をつけていた。
先生が今年はあまり良くないかもしれない、と言っていたのを聞いていたが杞憂だったようだ。
水をかけられたばかりの花々は、より濃い色を陽の光に露わにしていた。]
あ、そうだ。
先生、わたしにも水かけて。
[ホースを持ったままの先生は一瞬戸惑った様子を見せたが、さらにせがむと、シャワーの水を少し弱めたうえで自分に頭から水をかけてきた。]
あはははは!
冷たい、気持ちいい!
ねえ先生、もっと強くしていいよ。
[その場でくるくるまわるようにして、全身に水を浴びる。
ワンピースはびしょ濡れで身体に纏わりつく。
麦わら帽子は投げ捨ててしまった。
けれども下は水着だし、ワンピースもきっとすぐに乾いてしまうだろう。
気持ちいいし、こうやって先生とじゃれあっていられることが、とても嬉しい。庭の花々もいつもこんな気分なのだろうか。
咲き乱れる花々の一部になれたような、それとも花々に嫉妬されている気配を感じるような、不思議な気持ちだった。]
[シャワーの水がとまれば、先生に濡れた髪と身体のまま笑いかけた。]
あー、すごく気持ちよかった。
今日の海もさ、楽しみだね。**
― 記者の自宅訪問5 ―
このシーンなんですけど、これ、原作にはないんですよね。
私が、こんなことあったかもしれない、みたいなことを言ってしまって。
ええ、OKが出た後後悔しましたよ。
自分がスクール水着着て海で泳ぐ羽目になるのかって。
なんとかそこはなかったことにしてもらいましたけど、思い付きで言うものじゃないですね…
ブーゲンビリアは、真夏過ぎたあたりに町を歩き回ってみると、結構玄関のブロック塀なんかに咲いている家、多いですね。
この辺りは冬に雪が積もるっていうことがほぼないんで、なんとなく育て始めた人が何年も咲かせ続けるってこと、それなりにあるみたいです。
そんなに南の島みたいに沢山咲いてるわけじゃないですが、やっぱりすごく夏を感じる花なので、目に入ること、多いです。
ええ、映画で雪が出てくるシーン、あれは別のロケ地だと思いますよ。
映画の中では、どちらかといえば地元の方向けにあるある感を感じさせられるシーンじゃないでしょうか。
いやいや、これ絶対本職の方々用のネタですよね。
いや、でも多分、鬼束は本当誰がやってもこんな感じかもしれません…
『 結月は、ひとつの花が枯れたくらいで悲しむような人間じゃない。
けれど、目の前に首の折れた死体が横たわってたとしたら、それが誰であっても、頽れて震えて泣いてしまう。
偶然が二つを重ね、結月をまるで心優しい少女であるかのように偽った。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
― 五月/校舎前花壇 ―
[結月の視線の先には、萎び始めた花が横たわっていた。>>152
葉はちぢれ、茎はへたり、花びらは色褪せかけている。
それでも彼の言う「お供え」としての役割は果たしたのだろう。
加えて、結月の存在証明と彼と顔を合わせるきっかけと。
両手を上げた少女に相対する男子生徒はどこまでもにこやかだ。]
ううん、全然怖くないよ。
[話しかけた理由、疑ってないこと、その理由と少しの軽口。
鏡合わせのように両手を上げた彼を結月は見つめる。>>86
自分より暗い髪も、短い髪から覗く耳がまっさらなことも、
自分より少しだけ高い身長も、着崩した制服も、笑顔も、声も。
すべてを"見た"上で首を横に振り、口を開いた。]
『 結月は絵が好きだ。十年追い求めた。キャンバスの上を踊る色をずっと見つめ続けてきた。
そこは、結月が見つけた、校舎の傍らに咲く絵画だった。』
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]
[結月は、花がひとつ枯れたくらいで悲しむ人間ではない。
しかし花の美しさを知っていたし、花が生きていたことを知った。
結月は多くを語らない。
原作には、『絵の具に水を零してしまう気がしたから』とある。
だから浮かべる笑みは普段より静かで、色のないものだ。
受け取った言葉を薄めないように、濁らせないように。
この瞬間、結月は普段携えた気遣い>>87を取っ払った。
気まずくさせるとか、返事を困らせてしまうとか、
そういうことを何も考えなかった。考えたくなかった。
不思議な気分だった。
結月の中で燻ぶっていた怯えや焦り、苛立ちが見えなくなって。
本当に久々に、心から穏やかな気持ちになれた。
そう、演じる。そう演じられた。心地よい空気だった。]
わたし、3年A組なの。
[穏やかな余韻が過ぎ去った後、結月は再び口を開く。
唐突な内容に彼はどう反応しただろうか。]
花、配ってくれるんでしょう?
よかったら覚えてて。
[彼の言葉をなぞるような台詞にからかうような空気はないが、
表情は先程と違い、どこか悪戯めいて笑っている。
結月は「綺麗にして」とも「どの色がいい」とも言わなかった。]
死ぬまで見てるから、あなたが知ってて。
[「励ましてくれてありがとう」とも言わなかったし、
「気にしてくれて嬉しい」とも「優しいんだね」とも口にしなかった。
代わりに「今ちょうど目が空いてるから」なんて告げる姿は、
"花の死を悼んだ少女"にしては弱々しさが足りない。]
[既に下校のチャイムは鳴った後だ。生徒の姿も疎らになってきた。
結月は無害の主張ではなく別れのために片手を上げて、振る。]
この花、見つけてくれてありがとう。
もう元気なさそうだし、よかったら休ませてあげて。
そうさせたわたしが言うのもなんだけどさ。
それじゃあ……ばいばい。美化委員さん。
[何もなければ、結月はそのまま男子生徒の横を通り過ぎて行く。
そして画面から外れ、残りの場面を飯島に託すだろう。]
『 園芸部ではないと思ったのは、教室に花を置く話を昔聞いたことがあると思い出したからだ。その人は美術部に所属していて、確か美化委員だった。
多く話した思い出もない。それなのに、どうしてか彼にあの先輩の姿が重なって見えた。
二人分の声が、結月の頭の中を泳ぐ。]
[『─玉響に“なけ”─』より 一部抜粋]*
─舞台裏・二人のその後─
[あの日、行平さんが>>*59誘ってくださってお誘いを
姫野が喜んでと告げてからの、その後。>>80
それ以降約束に触れることはなかったけれど
教師役・生徒役として、ティーチャーと亜美歌として
撮影の現場を最後まで駆け抜ける。きっとお互いに。
初映画の出演で得られたものは
沢山過ぎて数えきれないや。
沢山の人達が携わり出来た映画は封切られ、
インタビューやNG集番組の出演に新しい仕事。
まさか行平さんの言葉を皮切りに>>0:339>>0:340>>*104
注目され、仕事が増えるのが予想外で。
正直映画公開後のポスターに自分の姿を見つけた時
あの日々は夢じゃなかったんだと今でも思う。
部屋の中でついきゃーっと小さい声で騒いだのは秘密。]
[そんなこんなで姫野も色々ありましたが
LINEでのやり取りに心弾ませ、>>*103
時にはお仕事の相談もこちらが持ちかけてと、
電子の板越しによる逢瀬がお呼び出しに変わる頃には
心なしかこちらの距離がさらに縮まったような。]
あっ!行平さん!お久しぶりです───っ!?
[行平さんの姿を見つけ駆け寄って……>>*102
ドキ、心臓が跳ね上がる心地がした。
だって撮影時は
無精髭で髪も整えてはいない方だったのに
(そちらもとっても格好良いんですよ!)
髪も整えられ無精髭も剃ったお姿は、
ギャップがすごくて一瞬同一人物か迷うほど。
ああでも、この声は。初めてお話しした
あの時の雰囲気にそっくりっぽい。>>0:113]
[でもこの安心感は行平さんだ、間違い無い。>>*102]
行平さん、何と言いますか
物凄く印象変わりますね……?
あと“たらし”って言われません?
[言ってからだいぶ失礼なことについて謝罪したけど
このギャップはずるいと思うんだ。
こう、なんか、色気を感じて……。
おかしいな、他のお写真で
お姿拝見したことあるはずなのに。
そんな自分は薄いラベンダーのワンピースに
ネイビーのカーディガン。明るめのベージュパンプス。
とんかつを食べに行くからヒールは超低め。
変じゃ無いかな?そわそわしちゃう、
あの行平さんの隣に並べる自分になれてるかな。]
[向かうお店が座長こと
堤丈さん懇意のお店と分かれば>>*103
きっと姫野の目はまん丸に見開かれるだろう、驚愕で。
劇団の皆で行ったこともあるばかりか、
仕事がなくて辛かった時
座長に連れてもらったこともある思い出の場所。
トンカツの話に移れば笑顔で頷き>>*103]
はい!大好きです!
揚げたてを目の前に置かれる瞬間とか
ソースをかけた衣とお肉を1口かじってご飯、
次にキャベツのローテーションが
もうたまらなくて……!
[ハッと我に返り恥ずかしさのあまり俯いてしまう、
どうしようトンカツ大好きガッつき系女子みたいだ。
でも何でだろう、直感がここは正直に言えって言う。]
す、すいません。つい……。
[行平さんが描く亜美歌のイメージ通り>>*104
姫野も割と食欲は旺盛な方。貧乏期間が長いので
食べられるうちに食べよう精神が弊害を生んだ結果。]
……ロースカツだと3枚、ヒレカツで5枚。
ご飯は必ずもう1杯注文するって
言ったら引きますか……?
あ!大丈夫です今日はきちんと弁えますので!
[会話が他の話題に移れば好きな映画は
ノンフィクションやドキュメンタリーもの。
本はポケット図鑑や生物・風景の写真集に画集。
(主に忙しい合間の癒しも兼ねて)
動物であれば主に鳥類全般と猫が好きなこと。
鳥類に至ってはLINEで撮影した写真を送ったり、劇団や事務所のSNSで鳥動画を見てると公言してるのでもしかしたら気づかれてるかも?]
[会話の中でふと、行平さんが呟く。>>*104]
いえいえ、お誘いを実現してくださっただけで
もう十分すぎるくらい嬉しいです。
私もお逢い出来てとっても嬉しいです、
行平さんも何だかお忙しそうでしたから。
行平さんが元気でいてくださるだけでも十分です。
[自分もおかげさまで
信じられないくらいお仕事が舞い込んだから
マネージャーさんがいなければ
もっと日時がずれ込んでたかもしれない。
結果桜咲く素敵な時に逢えて最高の気分!
でも何より行平さんがお元気そうなのが一番かな。
体壊したら元も子もないのだから。]
[薄桃が散った──はらりひらひら、パンプスの爪先へ。
何処かへ行った。ツイスト編みでアップにした
髪の毛先が揺れた。>>*104>>*105]
本当に──大変でしたけど、あっという間で
素敵な、いい撮影でしたね……。
作品も映画も関わった全てが
私には夢のようでした。
[ふと、優しく頬を撫でた風が鼻腔を擽ぐる。>>*105
伸ばされた手にきょとんとするも、
花弁に気づけばにこりと微笑み語ろうとして噤みかけた
言葉の続きを話そうか。]
地道に舞台で活動していた折に
突如届いたオファー。>>0:87
映画はおろか映像作品の出演すら初めてで
右も左も分からない。
丹田さんをはじめベテランの方や知名度のある方、
他の劇団の方々に原作者の方々など
関わりの度合いが桁違いな環境に
1人挑むプレッシャーで全力を出すしかなくて。
そんな時、声をかけてくださったのが
行平さんでした。
あの時のりんごジュース>>0:113と
お話ししたことで不安が消え、
スイッチを切り替えて>>0:273
撮影に挑めました。
挑むことが出来ました。
以降、気持ちを切り替えたくなると
りんごジュースに手が伸びるようになりました。
それまでジュースはいただいた時以外、
自分からは手をつけなかったのに。
でも不思議ですね、あの日飲んだりんごジュースが
今でも一番美味しいんです。
[それはりんごジュースだけが理由では無い気がする。
──もし、あなたの心の大切な場所に私が座る前に
私の心のかけがえのない場所にいつしかあなたがいたと、
言えばあなたは笑いますか?]
私にとっても
行平さんはかけがえのない出会いでしたよ。
[最初は亜美歌につられて惹かれてるのかと思いました。]
[でも、今ならわかります。
“私”があなたに惹かれたんだと。
今こうしている時間が長く続けばいいのにと、
願ってしまう自分に気づいて悟りました。]
私が行平さんにお声をかけていただいてなければ、
あの時大きな期待が出来る俳優の名に
私を挙げていただいてなければ
今の自分はいなかったでしょう。
[それは多分きっと、間違いない。]
目立たぬ真弓の花を見つけてくださった行平さん。
もし気が向いたら
私の名前の花言葉を探してみてください。
その中の一番長い花言葉……
私が行平さんに抱いた思いの答えです。
[見つけていい、見つけなくたっていい。
興味があれば調べればいいだけのこと。
明らかにならない時はそれも運命なのでしょう。
何で直接言わないかって?
ほら……恥ずかしいってやつですよ。**]
─舞台裏・出演者でMISSION!(自分のお題どうなった編)─
……あの、そういえばあのお題どうなりました?
[出演者でMISSION!の>>*87>>*88>>*89>>*90
思わぬ経緯で採用されてしまった自分のお題(?)
あれがどうなったか気になって、こっそり裏で尋ねたら]
ええええええええっ!?
Nixさんに当たったんですか!?
しかも挑戦されたんですか!?キャベツで!?
えっ、本当に!?うわーーー
これは申し訳なさすぎますって!!
[よりによって演技経験浅いNixさんに当たるなんて!!
まさかご本人が役者はこんな練習をすると思われ、
しかも勉強になりますという
感想を口にしたことなぞ露知らず>>*100
巻き込み事故に巻き込んで
申し訳ないと心の中で土下座する勢い。]
[もしあの場に自分がいたら>>*100
「あれは色々特殊すぎるケースですから!
やるのうちの劇団員ぐらいですから!」と
Nixさんの誤解を解こうと躍起になったろうけど
現場にいないので知らない結果、出来ません、無念。
今知りようがないので声かけられませんが
口説き発言中の大航海時代ならぬご本人の黒歴史
大後悔時代にならないよう祈りかねない事態。>>*99
包容力はお弁当の回鍋肉にどうか増し増しだといいな。
多分その場にいたら色々ハラハラしてたと思います、
もしうちの団員なら頑張レタス、
明日葉いい日になるさとか
色々畳み掛けかねないので
スタッフさんたちだけで済んでよかった……
いや良くないな!?**]
[図書室を出て、廊下側の窓から顔を出し、下を見る結月。
彼女の視線を示すようにカメラが映すのは中庭>>131だ。
少し離れた場所にぽつんとある緑の上に小さな海があった。
作業は既にかなり進んでいたか。
色とりどりのパネルを泳ぐイルカがとその主>>134が映る。]
――――、
[このシーンはあまり長くない。
距離が少し遠くて画が映えないし、原作でも描写は一頁だ。
それでもカットされなかったのは、
この先の結月のシーンへの影響が多いという判断だろう。
結月は何も言わない。
凪いだ瞳で階下に広がる色を見つめるだけだ。
瞳は凪いでいたはずなのに、やがて目を閉じる。
顔を伏せるカットを最後に場面は他へ切り替わった。]*
―2度目の3年生・真夏の校舎前花壇―
お疲れちゃーん!補習?それとも補講?
暑い中頑張ってんねーアイス食べてく?
冷えてない水羊羹もあるんよ、どう?
[目の前の人物が補講組とはいざ知らず、>>169
しかし校舎を出てきたということはどっちかかと思い
薄い板チョコ入りのアイスの袋を
目の前でぷらぷら揺らして1年生に差し出した。
食べないなら自分が食べるので問題なし。
何でそこに3年生(※留年)がいるかって?
たまたま補習が早く終わってアイス買いに行ったら
隠れ家風の和菓子屋見つけて
竹筒羊羹ついでに購入という経緯。
竹筒羊羹も常温に置けるから欲しいようなら持ってけと袋に詰めてくれるはず、勿論受け取らずとも何ら気にしないよう様子のようだ。**]
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幸阪さんのロル 拾えてない上に取りこぼし多くて本当ごめんなさい!
何か他にも取りこぼしてる気しかしない、な?
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