【赤】 比嘉 志朗

［ようやく一息ついた心地がして、物理的に深い一呼吸。
　遅れてじわりと滲んで来た気がする汗がやばい。
　
　暑さとか運動量所以のやつじゃなくて
　またやらかした、って羞恥と緊張のやつだ。
　別名、冷や汗。

　なぜ今日はこうも我慢が効かないのか。
　今日は絶対失敗したくなかったのに。
　一気に冷静になった頭で反省会を始めそうになった瞬間

　>>3:*41聞こえた声が、随分満足気に思えたのは
　欲目ではないと思う。たぶん。］


　ふ……ふふ…っ、………なりそうじゃなく
　なって貰えるよう次こそ頑張りますんで…


　

【赤】 比嘉 志朗

　まだいけます、よね？


［なんか思ったより普通だった。
　何となく踏み越えられなかったラインを過ぎても
　特別劇的な変化がある訳でも無く。

　いつもの調子で揶揄われるならまだしも
　慰められたり憐れまれたら死ぬかと思ってたけど
　あんまりにも何時も通りだったから。

　拍子抜けして、ほっとして、思わず笑い出しながら
　調子に乗って尋ねつつ、ずるりと引き抜いた。
　昂り具合的には全然このままいけたけど
　交換しなきゃいけないものがあるのでやむを得ず。］

【赤】 比嘉 志朗

［ずるいと言われたのに結局
　一人だけさきに二度達してしまったのだし
　ご機嫌取りにフェラでサービスでもしようかと
　見下ろした先のどろどろ具合に、
　あれ？と思ったのが思い切り顔に出た。

　いつのまに、って視線だけで問う。
　口は忙しかったので。］


　勿体無ぇ。


［ぽつりとつぶやくと同時、舌が肌の上を這う。
　彼が知らぬうちに達した残骸を丹念に、舐め取り、啜って
　味わう様に舌の上で転がし、独特の味に溢れた唾液を
　溜めた口の中に彼のものを招き入れる。

　舌を絡めて啜りあげて、窄めた唇で扱けば
　無遠慮に品の無い水音が響いた。］

【赤】 比嘉 志朗

［好き勝手に舐めしゃぶって、貪って
　混じった体液を嚥下する喉の動きで
　柔らかく締め付けて……

　満足するだけの硬さを取り戻した雄をずるりと引き抜き
　満足気な吐息で濡れた表面を擽った］
　

　───……

［べたべたの口元を手の甲で拭って顔を起こす。
　今キスをしたら嫌がりそうだなと思ったから
　視線でじっと口付けを求めてみた。あえて。

　そんなちょっとした悪ふざけをしながら
　封を切った外装も縛った使用済みも雑多に散らかした
　シーツの上から未使用に手を選び取って、付け直す。

　当り前みたいな顔をして、彼を腕を取れば、
　起き上がる様に促して］

【赤】 比嘉 志朗

　早速ですが、『次』が来たので。
　お願いします。是非。


［彼の腿の下に膝を滑り込ませて半ば無理矢理
　膝の上に抱え上げれば、見上げる先ににっこりと
　昔みたいな目線の差から無邪気な笑みを。

　しかし強請ってる内容も、行動も
　そんなに無邪気なものでは無かった。

　全然可愛げのない薄膜越しの硬いものが
　まだ太さを忘れていないであろう箇所に
　擦りつけられて、表面を擽る。］

【赤】 比嘉 志朗

　悠輝さんから……
　のしかかって、挿れてくれるんでしょう？


［指摘されたので呼び名はちゃんと改めて。
　だってだめって言わなかったし。なんて
　勝手な理屈で了承したこととして、強請る。

　口よりよっぽど騒がしい視線は
　期待と、興奮と、歓喜と、その他諸々をごちゃ混ぜに
　叶えてくれると信じ切った顔をして、
　夢見るみたいに幸せそうに目を細めた。*］

【赤】 阿部　悠輝

[こちらの様子を窺う余裕もなく
腰を振って欲を吐き出す様は
俺としては満点だったが、
志朗としては不服に尽きたらしい。

スマートに進めたい男心は理解できるが、
俺はお前とのセックスに
お上品さは求めてないんでね。]

　そりゃあ、な。

[上機嫌に笑いながら頷いて>>*1
引き抜かれる熱を引き留めるように収縮した中は
一度で終わるつもりのない期待の顕れ。]

　…………あ。

【赤】 阿部　悠輝

[ひとつ弁明をするのであれば。
奥を擦られるだけの刺激でも達しはしたが、
キスのために互いの体が近づいた時に
二人の腹の間には限界ギリな俺のモノがあったわけで。

律動の度、キスのために体を折り曲げる度に、
腹筋に擦れて刺激を受ければ
本能に即しての吐精をするのは当然だと思う。
出してる自覚は薄かったけど。

奥でもちゃんと気持ち良くなったので
志朗の当初の願いは果たされた事にしてほしい。]

　っ、お、ぃ

[なんて弁明諸々も、
だから人の体液を啜るなという文句も、
皮膚を這う細やかな刺激に漏れかけた喘ぎを
噛み殺したせいで全部消えた。]

【赤】 阿部　悠輝

　や、　あッ　は、

[胸や後ろで感じる時とは違う、
慣れ親しんだ雄としての快楽に体は従順だ。

自ら翻弄されにいくように
熱いくらいの口内で固さを取り戻したそれを
好き勝手に舐めしゃぶられる。
先走りだけの時より粘着質な水音をわざと立てて
人の興奮を煽ってくるのが小憎たらしい。]

　――　はぁ　っ　…………

[このまま――と揺れる腰に手が添えられ
唾液と先ばしりを纏った雄が室温に放り出された。

恨みがましく目を眇めて見返す。
何を求められているかは分かっていたけど
顔を横に背けてみせた。]

【赤】 阿部　悠輝

　仕立てておいてよく言う。

[勃ちあがったモノは吐き出す先を求めているし、
擦られる悦を覚えたばかりの奥は
まだ足りないと疼くから
「是」以外の答えはないけども。]

　前提条件が違ってないか……？

[膝の上に抱え上げられて
尻のあわいに濡れたものを擦り付けられながら
呆れ混じりの息を吐いた。

あれは入れようとしなかった志朗への
苦言のつもりで言ったんだが。

このまま素股で嬲ってやろうかと悪心が浮かぶ。]

【赤】 阿部　悠輝

　…………　しっかたねぇな。

[でも、まぁ。
そんな顔で強請られたら仕方ない。

さっきまで結構無理な角度で開かれていたせいで
違和感の残る股関節と脚をぎこちなく動かして
志朗の体を跨ぐように膝をつく。

後ろ手に支えたモノの太さと熱さに
がさっきまで入っていたのかと
改めて人体の神秘を感じつつ、
狙いを定めてゆっくりと腰を下ろした。

とはいえ、見えもしない位置で慣れない体位とあれば
うまくいかずに縁に引っかけるだけでずるりと滑る。

もどかしさに顔を歪めながら、数度。
ようやく、内側に入り込む感覚があった。]

【赤】 阿部　悠輝

[自重のおかげか一度行為を済ませているからか
挿れる時の引き攣るような痛みもなかった。
気を抜くとむしろ一気に咥えこんでしまいそうで怖い。

さっきと角度が違うせいで、違うところを擦られて
快感のコントロールがうまくできないせい。]

　ン、　んぅ　………　

　　ぁ……、は　……　ッ

[ただ呑み込むだけなのに、息が上がる。
悦所を通過する時にはひときわ慎重に腰を落として。
過ぎる頃には一度は引いた汗がまた額を濡らしていた。

じっと「待て」をしている志朗の顔が正面にある。
先程とは逆で、俺の方が少し高い位置から見下ろす形。

腰を支えるために掴んでいる掌から伝わる体温と
絡む視線に宿った感情に、腹の奥がじく、と熱を持つ。]

【赤】 阿部　悠輝

（このまま揺さぶられたらやばいなって警鐘と）
（今はまだされないだろうっていう確信と）
（今すぐされたいっていう爛れた欲）

【赤】 阿部　悠輝

[脚に尻たぶが当たったところで
志朗の肩を掴んでいた手から力が抜けた。

息をするだけで中にあるモノの存在がすごい。
奥まで埋まっている感覚も強くて、
自ら受け入れたここまでの半端な刺激に焦れた体は
強い刺激を求めていたけれど。

もどかしくて、だけどもう少し
奥まで吞み込んだ志朗の熱を感じていたい。]

　も、ちょっとこのまま………

[志朗からしてみれば拷問めいた事を口にして
快感に蕩けた無意識で中を締め付けては
もどかしい刺激に声を漏らした。*]　

【赤】 比嘉 志朗

［物欲しげに震える吐息の音に気付いてはいたものの
　感じてくれて嬉しい、くらいにしか考えていなくて。
　……いや、本当は理解していたかもしれないけれど。
　言葉で強請ってくれないならまだいいかな、と中断したら
　どうやらお気に召さなかったらしい。むずかしい。

　子供っぽい拒否の仕方の微笑ましさに小さく笑って
　顔を背けることで丁度良く晒された頬に口付けを落す。

　じゃれ付くように口付けながら抱え上げれば
　これといって抵抗もされなかった事が
　赦されているようで嬉しくて。

　拒絶に満たないささやかな抵抗も
　受け入れておきながらいまいち素直でない服従も
　如何にも可愛らしく見えてくる。

　かっこいい彼に憧れ惹かれた筈なのに、今では
　愛らしい彼の姿も同じくらいに愛おしくて。］

【赤】 比嘉 志朗

　前提とか細かい事はいいんです。
　絶対えっちじゃないですか、俺のチンポ使って
　自分で自分のイイとこ探し当ててる悠輝さん

　……みたいなぁ。


［もっと、見たくなる。
　きっと俺にしか見せていない、そんな顔を。

　『せんぱい』は強請れば俺に甘いってことは
　甘やかし過ぎもといせんぱいの英才教育により
　ずっと昔から俺に染み付いていて　
　疑う事無く強請れば……ほら折れた。

　けれど我が儘を言っているつもりはそんなにない。
　素直になれないだけで、彼だって少しくらいは
　望んでいると思うので。多分。］　

【赤】 比嘉 志朗

［角度が定まらず手間取るじれったさには
　まるで焦らす意図は感じられず
　ただただ不慣れさを表す様で、興奮する。］　


　…──惜しい。ほら……頑張って、悠輝さん。
　ん……、ふふっ。足、もう少し開いてください、
　そのまま、そう……じょうず。


［包み込まれると形容するのは生温い
　狭く温かな場所に再び呑み込まれて行く。
　一気に突き立ててやりたくて…けれど
　そんな度胸はないから、ではなく、勿体無くて
　支える以外手伝わずに眺めていた。

　「全部挿れるまで、俺の目、見ててな。」
　彼の言葉を彼の声で、頭の中でもう一度繰り返して
　従順に、指示に従う心算で
　苦悩に艶めかしく歪む彼の表情をじっと覗きこんでいた。］

【赤】 比嘉 志朗

［視線が絡む。お互い興奮しきった色をして
　同じだけもどかしい想いをしている気がしたから。

　……いや、単純に、突き上げるでなく
　そう見えただけか、否か
　少しだけ考えて、判らないから諦めた］


　ほんとうに……？


［諦めて、声に出して尋ねる。
　ほんとうにこのままがいいのか。

　支えていた筈の手は抑え付ける為のものへと変わり
　尋ねながら、突き上げるでなく彼の腰を揺さぶって
　深い場所を掻き雑ぜる。］

【赤】 比嘉 志朗

　悠輝さんの、穴…欲しそうに……
　締め付けてっ、来ますけど──…。
　　　

［始めてしまったら堪らなくなって
　次第に動きが大胆になる。
　彼の腰を浮かせて、沈ませて。
　それに合わせて突き上げて］


　あ──……、これ、すっげぇイイ。
　さっきより、締まって…っ……──はぁ、っ


［彼自ら快楽を求める姿を見たくて強請った筈が
　体位が代わっただけで結局一度目と
　同じになってしまったが、もう止まらなくて］

【赤】 比嘉 志朗

［腰を抑え付けつつも支えもしていた両手を膝まで滑らせて
　支えを失い不安定な体勢の彼を下から揺する。
　反射的に力が入って締まる感触に舐られて
　感じ入った甘ったるい吐息を零した。

　結局問いへの返事は聞けたか、聞けなかったか。
　どっちにしろ都合よく解釈して同じ事をした。

　ずしりと感じる重みがははずんで落ちて来る度
　さっきより深くを犯している錯覚を覚えて興奮した。

　避妊具を隔てているし、それ以前に男同士だし。
　彼に女の代わりを求めている訳でもないのに。
　快楽に酔っていてもそのくらいは理解しているはずなのに

　奥に、吐き出して、孕ませてやりたい、なんて
　可笑しな幻想が頭を過る。］

【赤】 比嘉 志朗

　悠輝さん、……っ、そんな、締めたら
　また……すぐ、でちゃいそ…


［口付けは拒まれたから、鼻梁を擦り合わせて。
　まだ精液臭さの残る荒い吐息で、喘ぐ彼の唇を擽った。

　込み上げてくる並に耐えて勢いを緩めては
　また激しく突き立てて。

　何度目かで勢いよく中から逃げた。
　吐き出したくて堪らないと叫ぶみたいに
　びくんと跳ねた屹立が彼の下で跳ねた。］

【赤】 比嘉 志朗

　…─────ふー…、
　すみません、そろそろ、……やばくて。

　また、俺ばっかりで……
　次は、悠輝さんもちゃんと、気持ち良くなってほしいんで。


［肩に手を掛けて。巻き添えに倒れ込むみたいにベッドに横たわる。
　乱暴なやり方に悪戯っ子の笑みで笑いながら
　彼の片足を抱え上げて間に潜り込み、
　咥えるものを失ったばかりで上手く閉じ切らない入口に
　膨れきった切っ先を添わせて、ゆっくりと押し込み
　自然に中が開いて柔かく受け入れて行く感触を味わう。

　支えが不要になって空いた手が、彼のものに絡み付いて
　形を確かめる様いちど撫でてから、
　手探りにジェルのパウチを拾って開けて、
　掌と彼のものの間に絞り出した。］

【赤】 比嘉 志朗

［一気にぬめりを増した掌でそっと先端から包み込んで
　根元まで塗り広げながら律動を再開させれば、
　伝う突き上げる振動で掌の内に擦りつける事になる。
　最初はゆっくりと、すこしずつ
　次第に肌を打つ音が響くくらいに激しく］　


　…どうして、欲しいです？
　もっとつよく？……それとも、ゆっくり…？
　自分で調節してもいいですよ、こうして……


［問い掛けに合わせて速度と握り込む強さを変えて。
　握る手に彼の手を重ねさせてみたりして
　選ばせるように、問う。

　もう余り長く耐えられそうにないから
　もしも休憩の要望が出ても聞く気が無いけれど
　それ以外なら、望む通りに、如何様にも。*］

【赤】 阿部　悠輝

[余裕ぶった指示を出してくる割に>>*16
視線は急き立てる色を持って射貫いてくる。

それだけでも熱くなるのに、
奥を拡げるように揺さぶってくるから。
鼻にかかる声で甘えるように啼いて
汗の滲む首筋に擦り寄った。]

　ン……　ん　ぁ

[腰骨をがっちりと掴まれていては
緩やかに奥を犯されるのに委ねるしかなくて。

逃げたいのか、もっと勢いがほしいのか。
どちらも欲しい矛盾した思考は
奥を捏ねられるごとに後者へと傾いていく。]

【赤】 阿部　悠輝

　、　っ　………　て

[我慢の効かない体を指摘されて
半端に理性を保っている故に羞恥が募った。

でも、今は半端に昂ぶるばかりの熱を
どうにかしたいのが先で。]

　…………もっと、ほしい……から

[動いて。と主導権を明け渡すや
ぐ、と腰が浮かされて、同じだけ沈んだ。]

　――――――――　ッ　い

[溜っていた熱が爆ぜ散るような、
望んだ刺激に、きゅう、と内側が収縮する。]

【赤】 阿部　悠輝

[体勢のせいで速さには限界があるが
その分、ひとつの刺激が重くて好きかもしれない。

ただ、動きが大きくなる程に
不安定になる上半身に視界が揺れて覚束ない。
支えようとする手に力が籠もりすぎて
皮膚を掻いた感触がした。]

　ふ、　ン　――――　

　　あー…………………………くっそ

[絶対に嫌だと、さっきまで断固拒否してたのに。

混ざり合う吐息に含まれた
鼻につく青臭さに悪態を吐いて、唇に噛み付く。]

【赤】 阿部　悠輝

[苦みに眉を潜めつつも舌を絡めて
反応が鈍いようなら軽く噛んでキスを強請る。
自分の精液の味なんて知りたいものじゃないから
忘れさせろとばかりに、深いのを。

そちらに意識をもっていかれていたのもあって
不意に引き抜かれて、一瞬呆けた。]

　…………じゅうぶんイイけど。

[むしろ半端なところで抜きやがってと
不満を向ければ宥めるようにして引き倒されて。
すぐに再度埋められた事に、鼻にかかった声が漏れた。]

【赤】 阿部　悠輝

[さっきよりも安定した体勢で突かれる動きと
前からの直接的な刺激と合わさって、
限界にいよいよ近づいていく。]

　も、焦らさ、……

　　　強く、が、いい。

[重ねさせられた手の位置をずらし
志朗の手首を掴んで押し付けるようにして。
腰をゆらめかせれば中の志朗の位置も変わるから
ますます追い立てられていく。]

　お前の手で、イきたい。

[抱えられた脚を志朗の体に絡めて
お互い、熱いくらいの体温を寄せ合った。]

【赤】 阿部　悠輝

　あ、　っ　あ、あァ　

　　もっと、おく、さっきみたく、

[ぐちぐちと鳴る水音が
前からなのか後ろなのかなんてどっちでもいい。

下半身が融けるくらい気持ちよくて
どうにかなりそうな頭は恥もなく強請った。

律動を乱すように自分でも腰を揺らし、
限界を迎える熱を志朗の掌に擦り付ける。]

　……………――――　ッ　

[吐き出した白が志朗の手を汚すと同時に
後ろをきつく締め付けて、その刺激でもう一度。

かく、と腰を震わせた瞬間の表情は
志朗にしか見せる気はない。*]

【赤】 比嘉 志朗

［羞恥を煽り責め立てる様な言葉は好みでは無いつもりでいた。
　なのに今は油断をすると口を突いて出そうになって困る。

　彼の反応が可愛らしくて、つい、なんて
　まるで彼の所為であるかのように責任転嫁しようとする癖は
　三十余年の月日を経てこの身にすっかり染み付いていて
　……けれど漸く、変わりたいと思えるようになった。
　そんな風に一方的に甘え続ける関係は健全ではないし
　きっと長くは続かないから。

　何をしてでも、何としてでも。
　少しでも長く引き留めることに躍起になって
　彼に吐いた酷い嘘はきっと
　そこそこ長くなった付き合いの中で俺を知るうち
　まだ確信はなくとも薄々、彼も気付き始めている事だろう。

　元より嘘は得意ではない。
　嘘なんか吐かなくてもだいたいこの顔で赦されて
　大いに甘やかされて生きて来たから。］

【赤】 比嘉 志朗

［近い将来懺悔するべきか、或いは
　謝罪の機会を得てすっきりするのは俺だけなのだから
　ずっと罪悪感に苛まれて生きるべきか悩んではいるものの
　彼から指摘される日が来れば、言い逃れしない心構えはある。
　こればかりは赦されるつもりはない。
　
　だからこそ、せめて、繰り返さぬように
　今はもう心を入れ変えたのだと
　彼に少しでも胸を張れるように………］

【赤】 比嘉 志朗

【赤】 比嘉 志朗

［……なんて話がベッドの上でも共有なのかは、割と悩む。　
　軽めに虐げられた方が盛り上がりそうな感じがすると
　手本をみせられるみたいに揶揄される度に。

　確認しようにも訊ねて素直に答えてくれる性格とは
　あまり言い難い気がするので悩ましい。

　それでも最近は聞けば望んでくれるようになった気がする。
　………今もほら。
　如何されたいか望む言葉を乞えば
　望んだ以上に返してくれる。

　いうまで散々待たせ続けた俺の根性の無さを
　ねちっこい性格と誤解して理解しただけかもしれないけれど。］

【赤】 比嘉 志朗

［すきなひとに、こんな場面で、もっと欲しいと強請られて
　大人しくして居る理由は見当たらなくて好き勝手に揺さぶる。

　中々の重量に後で腰が死にそうなんて
　考える理性は今ばかりは留守だ。

　零れる吐息の音に甘さが滲む度に興奮して
　もっと聞きたくて夢中になった。

　絡む舌に唾液を強請って
　まだ薄ら彼の味が残る舌を擦り合わせる。
　嫌な癖に、欲しくて堪らないって顔が
　可哀想で、可愛くて
　癖になりそうなくらいにぞくぞくした。］

【赤】 比嘉 志朗

［初めては「はじめて！」って興奮が前面に出過ぎて
　訳が分からなくなっていたけど
　二度目を体感した直腸の感触は、
　正直なところそんなに物凄く気持ち好い訳でも無かった。

　なのにちょっと訳が分からないくらいに興奮して
　興奮しすぎてちょっと暴走したりもして。

　そんなんでもないな、って感想を抱きながらも
　気持ち良すぎて、あたまがふわふわする。
　重なる体温の、預けられる重みの、
　心地好さがもっと欲しくなる。

　俺を受け入れて、俺で感じてくれている様子に
　心臓が痛くなるのは、息が上がってる所為だけじゃなくて…］

【赤】 比嘉 志朗

［湧き上がるみたいに、込み上げる様に
　「すき」って言葉が声に出そうになって、
　口付けで塞いで呑み込んだ。

　今言ったらまるでセックスが「すき」みたいになりそうで。

　じゃあどのタイミングで伝えるのが適切か
　一瞬考えて、後回しに放り投げた。

　今何かを考えて、まともな答えが出る気がしない
　「そんなんでもないな」って思ってる筈の
　彼に埋めた肉茎は、もう今日三度目な筈のに
　ちょっと最近なかったくらいにバキバキに興奮してて

　もう、吐き出す事以外あんまり考えられなかった。
　この薄っぺらな胎の奥にたっぷり注いで
　孕ませてやりたい。孕めばいいのに。

　子供が欲しい訳でもないのに、一体なにを？
　一瞬だけ考えて、結局また後回しに放り投げた］

【赤】 比嘉 志朗

　悠輝さん、…いっしょにイけますか？
　もう、出そ……

　奥？……ふふっ、おくがいいんですか？
　すきなとこ、……っ、増えちゃいました、ねっ！


［かわいい、って蕩ける様な甘ったるい声を吐息に乗せて
　荒い呼吸と一緒に耳元に吹き掛けた。

　もっと浅い、指で散々可愛がって教え込んだ場所は
　結局今日は殆ど刺激してやらないままだ。
　
　望む声は俺の待ち望んでいた言葉で
　同じ気持ちでいるみたいで、嬉しくて、夢中になって。
　半ば乱暴に突き上げ打ち付けてやれば、望む刺激に足りたか。］

【赤】 比嘉 志朗

　すご、締まって……イきそうですか？
　イきましょ、一緒に。…俺ももう、出る…

　───…イく、…っ、


［自分のの次くらいに扱い慣れた昂りを
　欲を煽るやり方から熱を吐き出させる刺激に代えて
　望んで擦りつけられる動きに合わせて刺激してやれば
　掌に伝う震えと温い濡れた感触。

　絶頂の快楽を耐える様な噛み締める様な
　艶めいた表情をじっと見つめた侭、深い場所の柔肉を
　容赦なく抉る様に、突き上げて、］

【赤】 比嘉 志朗

　……、っ………───────　は、…ぁ。


［奥に引き留めるみたいな締め付けに従い深く繋がった侭
　吐息を震わせ白濁を注ぎ込んだ。どうせ遮られるけれど。］

【赤】 比嘉 志朗

　あー……さ、いこうでした。
　いきてます？


［「さ」すがにつかれましたね、と言い掛けて
　情緒云々指摘されたのを思い出し別な感想に置き換える。
　どちらも嘘ではないのですんなり出た。

　今度は刺激しないよう気遣う余裕も出来たか
　ゆっくりと彼の中から引き抜いたものは
　まだ物足りなそうにしていたけれど
　その内落ち着くだろうと放っておいた。］

【赤】 比嘉 志朗

［掌に受け留めた彼の精を平然と舐め取りながら
　新しく増えた使用済みと散らかした諸々諸共集めて
　纏めて屑籠に放り込んで簡単に片づける。

　自分のものは平然とゴミ箱行きだが
　彼の出したものを拭って捨てる発想はない。］


　……汗すごいですね。
　水で良いですか？


［休憩と水分補給と提案代わりに訊ねてから、
　汗ばんだ彼の額に口付けを落して一度傍を離れた。

　風呂上りに腰にタオルを巻いて来ただけでも珍しいくらい
　わりと何時でもおおっぴらにオープンな方なので
　行って戻るまで特に隠さず歩き回る事を
　今更気にされることもあるまい。*］

【赤】 比嘉 志朗

［あのあともう何回か身体を重ねたか、断られたか。
　休憩を挟んであと2回くらいはしたいところだが
　流石に初めての相手に無理と言われたのなら
　これ以上強いるつもりはなかった。

　しかし『これ』に関しては譲る心算は無くて
　散々にごねたかあっさり受け入れられたか
　今はお湯を張った湯船の中にふたり
　背中から彼を抱き締める特等席を陣取っている。

　すっかり寛ぎきった様子で、彼の肩に顎を乗っけて
　温まって汗ばむ首筋に機嫌よく懐いてはいるものの、
　きっと悪戯する事を危惧されていたであろう両手は
　今のところはまだ、大人しく
　抱き締める為に彼の下腹に触れているだけだった。］

【赤】 比嘉 志朗

［少し前に放り投げた思案を拾ってきて考えていた。
　薄っぺらな彼の此処に孕ませたいものはなにか。

　欲しいのは多分、愛の結晶とかそういうやつだ。
　ふたりの遺伝子を引く人間である必要は無くて。
　何か目に見える、誰が見てもそうとわかる、しあわせのかたち。

　一度抱いたくらいでと意地の悪い誰かには言われてしまいそうだけど
　彼が漸く本当の意味で俺だけのものになったみたいな
　思い込みも甚だしい感動を、まわりに自慢したい訳で。］

　
　いやがるかな…って、ずっと我慢してたんですけど。

　そのうち、買い物に付き合って貰えませんか？
　もしあれなら、悠輝さんは普段使いにしなくてもいいんで

　揃いのやつが、ほしくて。

　

【赤】 比嘉 志朗

　いっしょに、えらんでくれませんか。


［なにを、と問われる前に、腹に触れていた掌が動く。
　手を繋ぐような自然さで彼の手に指を絡め
　触れた彼の薬指の根元を、くるりと一周撫でれば
　買い物の行き先も凡そ伝わるだろうか。

　簡単なことだ。
　抱いただけで自然に芽生えはしないものは、
　単純に、余所から補えば良い。］

【赤】 比嘉 志朗

［どうせ甘えて強請れば折れるって信じ切ってるけれど
　折れるんじゃなく、許すんじゃなく
　こんな風に考えるのは贅沢かもしれないけれど
　同じだけでなくてもいいから、同じものを望んで欲しくて］


　男二人で買いに行くのは行くのは抵抗もあるだろうし
　無理に、とは、いいません……けど。

　今よりもうちょっと親密な関係になりたいというか。
　その証が欲しいと言うか。　


　前向きに検討して貰えたら、嬉しいです。
　考えておいてください。


［断る余地のある言い回しを探して、言葉を選ぶ。
　これで二つ目が解決するかは望みが叶った後に判るだろう。
　なお一つ目も答えは簡単に出ていた。］

【赤】 比嘉 志朗

　
　好きです。悠輝さん。ずっと……、


［ずっと前から、多分これからもずっと。

　考えてみたら何時言ったって別によかった。
　彼とのセックス「も」好きだって別に悪い事じゃないし。
　言いたい時に幾らでも伝えたら良いんだよなぁって
　一人納得して腕の中の愛しい人を抱き締めた］


　……ずっと一緒に居てくださいね。


［『気の毒だから逃がしてやる』なんて自分に言い訳をして
　勇気が無くて、あの日言えなかった言葉を

　今更になって漸く、声に出して、伝えられた気がした。*］

【赤】 阿部　悠輝

[男女両方を抱いた経験がある身としては
女の方が余程気持ちいいのは知ってる。

柔らかいし、余計な手間もないし。
元からそのつもりで作られている器官の方が
適してるのは当たり前のこと。

だからこそ、飽きずに三度俺の腹を穿ちながら
熱に浮かれされている様を見るのは、
そこに在る感情の証拠で。

逆に、俺だって何もなければ
内蔵の奥なんて後々痛い目をみそうなところに
もっと欲しいなんて強請ったりしない。

……俺がお前を抱いたっていう夜は
どうだったんだろうなって。
覚えてないのがもったいないな。やっぱり。]

【赤】 阿部　悠輝

　…………………………かろうじて

[トんでた意識はすぐに戻ってきて、
飲み込む余裕がなくて垂れていた唾液を拭った。

大層だらしない顔をしていた気がする。
まだ元気らしい志朗を見るに
見られない程ではなかったと思っておこう。]

　だからな……お前………………

[舐めるな。拭って捨ててくれ。
……この論議は次にしよう。今日は疲れた。]

　ン、みず。

[汗で湿りきったシーツの感触は気持ち悪いが、
気にしていられないくらい今は体が重い。
水が届くまで寝具に沈みながら
ベッドサイドの時計で日付が変わっているのを見た。]

【赤】 阿部　悠輝

[水分を飲んで小休憩を挟んでから
もういちど、と強請られて流されるように一回だけ。

翌日はチェックアウトして帰らないといけないので、
これ以上は喉と股関節が無理だ。

一度でも、その後にはもう碌に動きたくはなくて。
だけどそのまま眠るには汗やら何やらで気持ち悪かったから
肩を借りる形で志朗の要望を受ける事になった。

そこそこ広い浴槽だし、今日くらいは。]

　――重い。

[肩に乗る頭に苦言を言って軽く額を押しやるが
後ろから抱き込まれては離れ難い。]

【赤】 阿部　悠輝

　んー……

[体を酷使した後で、もういい時間で。
お互いの呼吸音と僅かな水音しか聞こえないと
このまま眠ってしまいそうだ。

寝ても後ろの背もたれがいるから
溺れなくて済むだろう。

そうやって、うつらうつらしていたせいで
志朗の言葉を半分くらい聞き逃した。

買い物に付き合ってほしい？
別にいいけど。


　…………そろい？

湯の中で薬指を擽られて、目が覚めた。]

【赤】 阿部　悠輝

[何を、とは口にしなかったけど
仕草的に強請っているものが何かは分かる。]

　……………………

[こういうのに時間は関係ないって言うし
会ってない期間を抜いても数年の付き合いはあるが。

掴まれたままの手をひっくり返して
指を絡めてつなぎ直す。

重なった薬指のそれぞれに揃いの輪があるのを
想像して――――　]

【赤】 阿部　悠輝

　知ってる。

[『責任取ってください』なんて言ったくせに
普段はそういう素振りみせなかったから。
多少、後輩気分が抜けてないのかとも思ってたけどな。

そういや言葉にしたことはお互いなかったっけ。]

　俺も好きだよ。
　…………はは、お前、おっも。

[抱き締めてくる体に背を委ねて笑う。
腹の前で重ねられている手に自分のも重ねて
こちらからも引き寄せる。]

【赤】 阿部　悠輝

　指輪は、検討させて。
　お前との揃いが嫌ってわけじゃないけど
　ちょっと追いつかねぇや。

[二人の薬指に揃いがある光景を想像した時、
沸いたのは嬉しさだけではなかった。

選ぶ時は、そりゃ一緒がいいし。
つけるなら俺だって普段使いにするつもりだし。

でも、今それができるかっていうと躊躇する。
それは外聞とか羞恥とか俺の中の問題ではあって、
志朗が望むならいいじゃんって思う気持ちもあったけど。

揃いにするなら
半端に扱うような贈り方はしたくない。]

【赤】 阿部　悠輝

[肩口にある頭にくっついている耳に触れる。
濡れている耳朶をふに、と摘まんで、]

　お前、ピアスって開けれる？

　ピアスならひとつ買って半分にしてもいいし、
　色違いとか型違いにしてもいいし。
　一緒に選びに行のもハードル低いからさ。

　指輪はその次じゃだめか。

[お前が断る道を残せないくらい望んで、
俺が何も考えずに薬指に揃いを欲しくなったら。

ずっとを約束できるほど夢が見られる性格ではなく。
でも、共に指輪を買いに行く未来までは
一緒にいるつもりがあるって伝わるだろうか。*]
　

【赤】 比嘉 志朗

［押し退けようと額に触れる掌に
　撫でろと強請って擦り寄れば
　そう無碍にもされない事を知っていた。
　止めろとまでは言わない時の彼の拒否は案外軽い。

　眠そうだから、言うなら今だと思った。
　なんて言えば狡いだろうか。

　良い雰囲気の中、向かい合って目を見ながらなんて
　出来そうになかったから、この体勢も丁度良かった。］

【赤】 比嘉 志朗

［沈黙が長い。
　悩んでいるか、寝ているか、わからなくて
　丁度良いと思った今がちっとも丁度よくなかったと
　理解したところでもう遅い。

　起きていたと理解したのは手を握り返された辺りで
　甘えて押せば通る、軽い拒否の返事を待った。

　随分悩んだんだとわかった時点で
　色よい返事ではない事は理解していたけれど
　そんなに落胆はしていなかった。

　そもそも今日は、提案だけのつもりでいた。
　そう思っていた自分の思考はどうやら
　嘘偽りない真実であったらしい。］

【赤】 比嘉 志朗

　そりゃあ……今は悠輝さんより体積ありますし。
　昔言った通りになったでしょ？
　遺伝子的に絶対追い抜くって。


［二度目の『重い』はそういう意味ではない気がしたけれど
　あえてずれた返事を返す。

　重たい自覚はある、
　初めて人を好きになってから、
　今日まで
　愛した相手は彼一人だなんて普通に重い。
　判ってるから、伝える気はなかった。

　何時か彼が他の誰かを愛する日が訪れてもきっと
　その先も、永遠に
　俺には『ずっと』あなただけ、なんて。
　俺一人だけが知ってればいい。］

【赤】 比嘉 志朗

　ええ、待ちます。何時までも。
　時々また催促はするかもしれませんけど。


［牽制の為にも薬指に金属を嵌めてしまいたい気持ちはあれど
　身に着けるものなんて強要できるものじゃない。
　これから引き続きいくら待ったところで
　今日まで待って来た時間の長さと距離に比べれば
　所詮、微々たるものだ。

　そんな風に、断られた自分に言い聞かせても
　その言葉に縋って蔭で落ち込む事無く、すんなりと納得できた。

　「しってる」その一言で充分だった。
　どういう重さの「すき」か
　ちゃんと伝わったのなら、
　いまは、まだ、それで充分だった。］

【赤】 比嘉 志朗

［勝手に満足していたら、続きがあったらしい。
　思わず目をぱちくりさせてから、笑ってしまった。
　代替え案なんか用意して甘やかしてくれなくても、
　ちゃんとお利口に待てるのに。

　断った事に罪悪感を感じているのかと考えて
　其処に付け込むのは多分得意だなって自己分析
　けれどもうそういうのはしないって決めたから
　ちらりと過った悪い考えは思考の外に払いのけておいた］


　つまり、予行練習が欲しいって事ですか？

　なんか、学生の頃いましたよねそういうカップル。
　あの頃、ちょっと羨ましかったから……

　いいですね、今からやり直すのも。

　

【赤】 比嘉 志朗

［あの頃揃いのものと言えば「偶然」「趣味が似てて」
　一緒になってしまった持ち物くらいで……

　……当然俺が知らないふりをして揃えていただけだけど。
　どんなに懐いていても、言い出せなかった
　揃いのものが欲しいとようやく強請れたことと
　公認になったあたり、二歩前進か。

　今は未だなにもついていない彼の耳をじっとみつめて
　想像してみたら引っ掛けて千切れそうでちょっと怖い。

　柔かさを再確認する為鼻を押し付けて、唇で触れて
　じゃれていたらまたよくない血流が良くなりそうだったから
　仕方なしに、意識を逸らす為、どんな飾りが似合うか考える。

　どんな色で、どんな石の、どんな形がいいか
　考える作業は確かに指輪の予行練習に似ていて
　思っていたより心が弾む作業だったから、
　一人で考えるのを辞めた］

【赤】 比嘉 志朗

　なにいろがすきですか？
　石が付いたやつがいいなァ。


［ずっと、の返事ははぐらかされたけれど
　あれは殆ど祈りのようなものだったから気にならなかった。

　共に誓う未来に辿り着くかは、未だわからないけれど
　共に歩む日々を重ねる今は充分過ぎるくらいに幸せで。
　離れた時間も想い続けた俺の重さに
　あの夜みたいに、彼の気持ちが置き去りにされる事態を
　二度と起さないためにも、
　
　今は、このくらいで丁度良い？

　尋ねる代わりに浮かれた声で、
　次の二人の休みが重なる日の買い物……
　……もとい、デートの約束の、相談を。*］

【赤】 阿部　悠輝

[重いのを笑って許容しているのなら
本気で嫌じゃないってことだ。

本気で嫌なら嫌だと言う性格なのは
知られているだろうし、
何をどこまでいつ出していくのか
そこは志朗の基準で決めてくれればいい。

感覚が麻痺していくように
徐々に慣れていくかもしれないし。

足りないと思えば催促するだろ、きっと。]

【赤】 阿部　悠輝

　催促は別にいいけど、
　毎回いい返事じゃなくても拗ねるなよ。

[その時が来ても
俺からは言い出さない気がするから
催促はあった方が助かるわけで。

代替案は頻繁にできないだろうが
待たせている駄賃で甘やかしてはやろう。
……変に学習されると困るから言ってはやらない。]

　予行演習……まぁ、そうなるか？
　お前、ああいうのに憧れるとかあったんだな。
　
[意外だと笑う。

この齢で高校生の思考なんて青くさいなとも思ったが、
お互いが構わないならいいかと思い直した。
そもそも言い出したのは俺だし。]

【赤】 阿部　悠輝

[あの頃は、よく恥ずかしくないなと
覚めた目で彼らを見ていた。

これまでの付き合いでも
揃いのものを強請られるまで
自分では考えも言い出しもしなかったこと。

結局のところ、
俺も大概、拗らせたままだったらしい。]

【赤】 阿部　悠輝

[柔らかな場所を触りあって、
触れている違う部分の熱が上がってきた。
これ以上熱が籠もる前に出た方がいいかもしれない。
温めとはいえ、そろそろ長風呂にもなる。]

　いろ、なぁ。

[緩い拘束をほどいて体を少しひねった。
湿った前髪の間から俺を見返す目を覗き込めば、
ベッドの上で見たよりも薄い色が照明で煌めいたから。]

　――緑がいいな。目の色。

[お互いの髪色とも合うし、
聞かれても目の色だって言えば理由は立つ。
『誰の』なんて互いだけが理解っていればいいわけで。

問題は、お眼鏡に適う色味があるかどうか。]

【赤】 阿部　悠輝

　俺の腰が無事だったら
　明日の帰りにでも寄ってみるか？

[別にすぐに決める必要はないけど、
拘り始めるとキリがないのが装飾品の世界だ。

今日の明日だと気が逸りすぎだろうか。
日を改めて行きたいって話ならそれもいいけど、と
緑色の縁に唇を触れさせて、穏やかに笑った。]