15 Mystic Letters ― ヒトとアヤカシの手紙 ―
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【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) は 【人】 女将 大祓(オオハラエ) に投票した。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) は 【人】 女将 大祓(オオハラエ) に投票した。
【人】 女将 大祓(オオハラエ) は 【人】 女将 大祓(オオハラエ) に投票した。
【人】 女将 大祓(オオハラエ) に 3人が投票した。
【人】 女将 大祓(オオハラエ) は村人達の手により処刑された。
今日は犠牲者がいないようだ。人狼は襲撃に失敗したのだろうか。
もう人狼に抵抗できるほど村人は残っていない……。
賑やかだった街も、今はただ狼の遠吠えが響くのみ。
| 名前 | ID | 生死 | 勝敗 | 役職 |
|---|---|---|---|---|
| 雛市(ヒナイチ) | master | 2日襲撃死 | 敗北 | 村人 (村人を希望) |
| 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ) | sakanoka2 |
生存 | 勝利 | 人狼 (人狼を希望) |
| 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) | sakanoka |
3日処刑死 | 敗北 | 村人 (村人を希望) |
| 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) | sirotae |
生存 | 敗北 | 村人 (村人を希望) |
| 【人】 妖具屋 深瀬賢 | yomei |
3日突然死 | 敗北 | 村人 (おまかせを希望) |
| 【人】 女将 大祓(オオハラエ) | syiad23 |
4日処刑死 | 敗北 | 村人 (村人を希望) |
| 【妖】 作家 添木(ソエギ) | 蒼生 |
3日襲撃死 | 敗北 | 村人 (村人を希望) |
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
皆様、お疲れ様でした。
この度は村にご参加くださり、ありがとうございました！
天声などは特にありませんので、今から中身発言は自由に行ってくださって構いません。
勿論、ロルやお手紙遣り取りの続きも歓迎です！
エピではお手紙にすぐお返事しても大丈夫です。
村の設定が変更されました。変更された箇所は以下の通りです。
村の更新日が延長されました。
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
さくっと延長を掛けて、予定通りエピローグを4日間にしました。
必要があれば、もう1日分の延長を管理人様にお願いすることもできますので、もし希望等あればお気軽にお知らせくださいね。
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
深瀬さんが大丈夫かどうか、心配ですね……。
ちらっとでも顔出しいただけると安心しますが、無理だけはなさらぬよう！
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
お疲れ様でした。
妖怪の村…とそわそわしながら参加させて頂きました。
48時間中、半日しか顔を出せない日もありましたが、村の前半で体調が終わっていまして……。(今は大丈夫です)
雉笛さんは読者さん縁故ありがとうございました。
叶う事なら蛍籠さんや大祓さんともお手紙のやり取りしたかったです。
大祓さんに何十年前かのお客さん縁故とか。
蛍籠さんならもう少し小さい頃にお会いした縁故など。
深瀬さんにはお客さん縁故を振らせて頂きましたが、無茶振りだったら申し訳ありません。
体調など大丈夫でしょうか……。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
こちらでも！ 皆様、お疲れ様でした。
雉笛宛てに全員からお手紙いただけた……！ 感謝です！
>>-3添木先生
妖怪モチーフにそわそわしていただけて村建てとして幸せです……！ 改めて、飛び入りありがとうございます。
妖怪の村といえば、添木先生のひととは昨年の人外5発言村ぶりですね。あの時の鶯でした。お久しぶりです！
村の前半、体調崩されていたんですね……！ 今は大丈夫とのことで安心しました。
元々寡黙でも大丈夫な村としていましたので、その辺りはお気になさらず！
そしてこちらこそ、お付き合い感謝です！
本を売る書店員としてor一読者として、のどちらの縁故にしようかと悩んだ結果、両方にしちゃいました。
先生の誤配へのすごく丁寧なお手紙対応に、PCPL共に幸せ噛みしめておりました……っ
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
お疲れさまでした……！
48h村なので、リアルにやさしい村でよかったです。
お手紙はどう送ればいいのかな。と迷う部分がありましたが
雉笛さんに送っていただいてなるほど&嬉しいなと思いました。
通知があったら、どんなやり取りしてるのかしらとわくわくすることができていいですね。
後は、相手のキャパシティなどを考えて
送るのやめたほうがいいかしら。とか考えられるのが良く。
（添木さん2日目送るか悩んだのですが、大変そうなので見送った過去が……）
どの方も素敵な物語を綴られており、
手紙のやり取りをこっそり拝見するの、楽しみです。
深瀬さんは大丈夫かしら。EPで顔が見られたらいいなと思います。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[師走は終わり、貰った手紙への返信の1つを
書き終えたのは、新年を迎えひと段落してから。
――初詣には、1人で出かけた
何を願えばいいのか。迷ってしまったから
去年までは異界でであった彼らに逢いたい、だったのに
今年は。]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[封筒は新年を祝うような、
白の封筒に赤色の干支の動物が左端に描かれている
金色の波のような文様が、散らばっている。
少し派手だけれど、つい買ってしまったのは
描かれた干支がかわいかったものだから。
便箋も同様に、デフォルメされた干支の動物が
便箋の四隅を走り回っている]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
雉笛さんへ
こちらこそ、お手紙ありがとうございます。
ポストで貴方の手紙を見つけた時には、
思わず顔も綻んでしまいました。
切手も、便箋も冬の気配を感じられて
素敵だなって思います。
今回のお手紙に書かれている宛名。
前のお手紙もうれしかったのですが、
読める誰か、ではなく私、であることを
とても、嬉しく思いました。
夏の中で「蛍」、を選んだ理由は詳しく聞いていませんが、
夏の美、と考えるとなんだか照れますが
その名前に恥じぬよう過ごせればなと思う次第です。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
雉笛さんのお名前の由来は、狩からきていたのですね。
狩というと弓手の女神や鷹、オペラや歌劇などを想像しますが
雉笛という名を賜された女王様は、きっと
人の世界と、雉笛さん何方のこともよく見聞きし、知識があり
他者に心を配ることができる素敵な方なのだろうなと思います。
雉の笛は春の季語なのですね。春といえば山奥の
昔祖母と訪れた民宿の不如帰を思い出しますが
春の季節の暖かさ、芽吹き、花弁が散る様子
どれも素敵だなと思う今日この頃です。
隠し事、は。抱え続けると少しだけ疲れてしまいます。
それを打ち明けることができた人がいなくなってしまえば、なお。
ほかの誰かに打ち明けるにしては、
否定されてしまった時が、つらいから。
未だに空白を埋めるのが難しく。
人の世で今、過ごされる雉笛さんは、
そう思うことはあるのでしょうか。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
私の目に映る彼ら。こちらから手を伸ばす、というのもまた
難しい部分もあったりも、します。
相手が隠している理由を根掘り葉掘り、というのも
躊躇ってしまう部分があるので。
同級生――はい、私は高校に通っておりますが、
あの子がどうしてそうしているのか。は気にはなるのですが。
なので、手紙でこうして妖精の方とやり取りができるのを
実はどきどきわくわくとしていたりします。
雉笛さんは四季がお好きなのですね。
夏のじめっとしたりする部分が苦手なのですか。
妖精の世界には、梅雨などはあるのかしら。
冬の日のあたたかな食べ物や
夏の日の冷たいアイスクリームやドリンクなど
美味しいものに舌鼓を打ちつつ散策するのもいいものですね
お金があまりないというのなら
お弁当を自分で作って出かけることなどもしているのでしょうか。
私もラーメンや肉まん、食べてると口元がほころびます。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
まあ！それは素敵ですね。
本だったら小説でお勧めしたい本が。
もしかしたらご存じかもしれませんが、
添木 芳文先生の龍宮シリーズなんかがお勧めです。
平家の子孫がもし海で生きていたならば。
彼らと人の交流を書いたファンタジーですので
別の世界と触れ合いたい。と思っている方には
刺さるのではないかと考える次第です。
雉笛様の語られる妖精の世界は美しく
想像するだけで楽しそうだなと思いました。
春と秋をつかさどる地なら、夏と冬をつかさどる
妖精の世界もあるのかもしれませんね。
争いがおこったとしても球技なら
誰も傷つかず良いな。と感じてしまいます。
昔であれば、交流することが当たり前で
羨ましいな、と思ってしまいます。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
お風邪召されないのなら、よかった。
――でも、疲れというのは目に見えないものですから
自身のことをこの世界で隠して生きておられるのなら
たまには息抜きを、してくださいね。
同封の栞を気に入っていただけて、嬉しく思います。
謹賀新年、あけましておめでとうございます。
今年もよろしくおねがいします。
雉笛さんにとって、良い一年になりますように
蛍籠
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[最後の手紙の空白の部分には、
薄っすら残った文字、消しゴムで消した跡がある
”それでも。私はあの世界に思いを馳せてしまう
息苦しい。たとえ彼方側が怖いことがあったとしても”]
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
長く、なって、しまった……！
となりつつ大祓さんのは夜か明日かなぁと思いながら
もそもそお夕飯の準備に……。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>-5ほたるちゃん
お疲れ様でした！
プロローグ中からPLがほたるちゃんにお手紙送りたい！の気持ちで手紙を送ったのですが、送り方の参考にもなれたなら幸いです。何より、嬉しいと思っていただけて幸せです……！
48h更新と通知についての感想もありがとうございます！
この2点はどちらも、手紙村では（少なくとも私が把握する限りは）前例が無かったので、大丈夫かな……とどきどきしていたのですが
どちらも良いと思っていただけてすごく安心しました。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
と書いていたらほたるちゃんからの新年のお手紙が
あ ああああああ しばらくおまちください……
少しタイミング遅れるかもしれませんが お返事書きます……ッ！
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
それと、一応念のために……！
エピでも「メモに接続状況やコアタイムを書かない」「ログ内でも、退席記号や区切り記号は使用しない」というお願いはしていますが、
独り言での中の人発言で自分の在席予定などに触れる分には特に気にしませんので（なので蛍籠さんの>>-13は大丈夫です）気楽にお話いただいて大丈夫です！ エピの時間も限られてますからね。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[私とあなた、が出会ったのは。祖母と泊った民宿で。
”同じ年位の”貴女は、浅黄の着物を着ていたのを思い出す。
手毬をついて遊ぶこと。
おはじきを飛ばしあったり、
折り紙の作り方を教わったり。
黒い髪がさらりと揺れて。
もしも帰る日に、祖母が
「ぼんやりだけど、ほたると同じくらいの
背格好だったわね」
と、零していなかったら
私きっと、貴女がそうだとわからなかった。
わたしのはじめての、アヤカシのお友達。
何度か訪れても、その背格好はかわらない
貴女はいつまでも変わらない、いとしい友人。
貴女との距離は、遠くて、とおくて。時々泣きたくなるの。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[淡い黄緑色の封筒と、和紙の温かみある黄色の便箋は、
春を呼び起こす。添えられた不如帰も併せて。
少しだけ皺がよっているのは、差出人や私に流れた歳月を、思い返される。
雉笛さんの手紙の追伸を、読んでしまったからかしら
シャープペンシルで書いた文字が、少しだけ最後、滲んでしまったの
水性ペンでもないのに、おかしいわね。]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
拝啓
こちらこそお返事ありがとうございます。
新年を迎え、益々寒さがます今日この頃。
一足先に春を迎えるような心地と、大祓さんの
人柄を感じさせるお手紙に温かさを感じました。
そちらはもう、銀世界となった頃でしょうか。
香炉峰の雪のように、周囲の山々まで
一面、白に染まるのでしょうね。
あの子が、元気そうでとても嬉しいです。
一緒に遊んだ日のことを。写真を見て思い返しては
お二人に覚えてもらっていたことへの嬉しさを
噛みしめる、日々です。
秋も、変わらずあなた方が其処にいると思うだけで
もう少しだけ、頑張れそうな気もします。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
受験に関しては、まだ1年の冬ですもの。
目標が決まっていない高校生のほうが
今も昔も大半だと思いますので
娘さんはその分、楽しい高校生活を満喫した
素敵な青春を送ってきたのでしょう。
この手紙を書く時が羽休みのようなものです。
お気遣いに、感謝しております。
祖母との縁が良縁といってくださり、嬉しく思います。
祖母と、大祓さんのお話も聞けたことも。
縁は良いもの、悪いもの多くありますが
近くの縁が失われ、よすがを欠けさせても
遠くの灯台のように、紡がれた縁を
思い出させてくれたことを、感謝しております。
ふと、見えたもの。聞こえたもの。それだけでも
縁、なのでしょうね。溢れる縁に気づかないだけで。
そんな心地を今、抱いております。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
写真、ありがとうございました。
思い出のお二人は、とてもやさしくて。
祖母とともに訪れたその場所での
幸せだった記憶を思い出し。
あいたくなりました。とても。とても
大祓さんも、あなたも。
お体ご自愛くださいませ。
秋の訪れを楽しみに、しております
敬具
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
[和紙の温かみのある便箋と対照的に
此方の封筒と便箋は白と水色の雪景色。
氷のような印象のものではありますが
封筒にのみ、水鳥が羽を休めている様子が
印刷されて、おりました]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
……。
[封筒にまでは、沁みずによかった。
祖母が亡くなった今、生きるこの場所は息が苦しい。
それを当たり前として生きていかねばならない。
嘗て訪れた場所は、異界も、民宿も。
あんなにもあたたかかったのに。
おとなになるには、あとどれくらいなのだろう。
きっと口約束だけのそれだと理解だってしているのに
時折さみしさから、狐の窓で覗く世界は
いつも
危険で、怪しくて、うつくしい。]
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-14
反応ありがとうございます……！
雉笛さんは全員にお手紙を送ってらして、すごいなぁと思っておりました。
誤配送、も楽しそうだったのですが
どうやってすれば！？となっていたことをここに供述します。
EPで見て、なるほどぉ……となる今この頃←
師走はとても忙しく、それでも村にも入りたい
という欲があったので、とてもありがたかったです！
また同じような村があったらぜひに。と思うくらいに。
楽しいものでした、ありがとうございました。
>>-15>>-16もみつつ
灰のPL発言でEPで在席時間記入は大丈夫とのことで
安心、しました。ほっ（ちょっとどきどきしていたとか）
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
>>-4雉笛
いえいえ、こちらこそ素敵な村をありがとうございました。
どうもお久しぶりです。そういえばまた付喪神……。付喪神の、道具やモノに魂が宿るという成り立ちが好きでして。
遅参を取り戻すべくロルを書こうと思った矢先に沈んでしまいました……。48hでソロルを綴るという村の形式に救われました。
作家と書店員さんでしたので、何か縁故結べないかなと思っていたので嬉しかったです。
ちゃんと正しいお相手に届けばいいなと、封筒の大きさなどは問題ないかとwikiとにらめっこしながら書かせて頂きました。
お手紙のお手本も頂いてとてもありがたかったです。
>>-5蛍籠
灰で気遣って頂いたようで、勿体ない事をしたなと思いました。
体調管理気を付けます。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-22
今は回復されたようでよかったです。
また機会がありましたら。
お身体ご自愛くださいませ
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
/*
皆さんお疲れさまでした。
ゆるゆる失礼いたしました。
お手紙交換させて頂いた方々感謝です！
お返事は諸々明日になりそです、申し訳な……
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
/*
お手紙村にいつか入ってみたいと思ってまして
(外から拝見させて頂いたこともあったり)
勇気を出して入ってよかった……！
しっかりそれぞれの方の物語を追えていない部分がありますが
とても楽しかった………時間作ってゆるゆる読みたいでする
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 師走の内 ―
「おい！ ついに西洋版の落ち武者が来たぞ！」
ボクは別に、落ち武者の亡霊じゃ、ない……
「私、貴方に言われた通り、目一杯楽しんでます。
今は、貴方の方が、辛気臭い顔、ですね」
うるさいな……いや……確かに言ったけど……
「初参加のキジくんのパリピ
めっちゃ楽しみにしてたんだけどなぁ」
……まあ、来年、機会があったら、宜しく……。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[……などという遣り取りが「アヤカシオンリーナイト ～百鬼夜行の忘年会～ 」で交わされたという。
貸し切り営業中の店内に人間の姿は文字通り無く、皆が皆、普段は出せぬ本性の姿で飲み交わしたりカラオケしたり、とても妖怪らしい一発芸まで飛び出したりする始末。]
この、バカ騒ぎの宴会場に居続けたら
傷の治り、遅くなる気がする……。
「折角の忘年会の日に孤独にならないように」
って気持ちは、ありがたい、ですけど。
[雉笛の君はカウンターの隅っこで、香草系のリキュールを少しずつ啜りながら、飲み屋の主にぼやき交じりの礼を告げる。]
……大将が、
くれたんだろう、ってのも、感謝してます。
[法衣の上から赤い帯を締めた女天狗は、ふふりと笑うのみで多くを語らない。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[ともあれこのどんちゃん騒ぎの晩から数日の間、雉笛の君は大人しく、「天狗の飲み屋」の2階に留め置かれることになった。
身体の回復と共に、妖精の騎士としての武装も少しづつひとりでに修復していくのだが――この妖精の装束まできちんと修復しきらないと、ヒトに化けた時の衣服にも影響が出てしまい、人間の前には出られない。
このこともあり、飲み屋の住居部分に隠れる形で過ごしていたのだが]
大将、ちょっとこれ使っていいですか？
外に出られるようになったら
ちゃんと現物で返しますから。
[机に向かうことの肉体的負担も少なくなった頃。
天狗が家に置いていた便箋と封筒、切手を分けてもらい、ペンを握る。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[まずは、うらら宛てに届かなかった手紙の再送。
元々用いていた銀鼠色の封筒にサイズの近い封筒を選び、今度は下手なりにでも丁寧に、慎重な手つきで宛先を綴っていく。
便箋を収めた封筒を閉じてから、最後に、添木から送られた未使用の切手を貼り付ける。
さる著名な画家が描いた雪降る街の絵画は、これまでの雉笛の切手のセレクトとは些か異なる趣向。
封筒と切手にみえるこの趣向の変化が、書店員の評を請うた「愛らしい古狸のうらら」にどう映るかは、この時は定かでない。
うらら宛の手紙を（小天狗を使い走りにするであろう）女天狗に託してから、雉笛の君は真新しい便箋にペン先を置く。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
[滑らかな手触りの、白無地の二重封筒。
落ち着いた黄色の背景に白梅が描かれた切手が貼られている。
此度の宛名書きもやはり拙くぎこちない文字の日本語で綴られているが、前回の手紙に比べると幾らかだけ整った、読みやすい文字遣いになっている。
横罫の和便箋は生成りに近い無地だが、右下の方に水彩画風の藤の花が小さく印刷されている。藤は今の季節の花ではないが、添木が用いた切手の意図を思い、この花を選んだ。
鉛筆で綴られた本文は、前回と同じく、妖精界の文字を用いている。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
添木芳文先生
寒い日が続きますが、如何お過ごしでしょうか。
先日、先生から手紙をいただいた雉笛の君です。
この度は、先生方に誤って手紙が届いてしまい、
こちらこそ驚かせてしまったことと思います。
手紙をご覧になったことはどうかお気になさらず。
お忙しい中、返送のご対応ありがとうございます。
再送用の切手まで同梱くださり、恐縮です。
ボクは書店員として、またひとりの読者として、
添木先生の作品を楽しく拝読しています。
あのような形で感想をお届けしてしまったのは
ひどく不躾で恥ずかしいですが……
ボクの言葉が先生の励みになったと伺い、
安心し、また、とても嬉しくなりました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
さて、うららさんへの手紙には書けなかった
詳細な感想も、ここでお伝えできたらと思います。
個人的な身の上話も含む感想にはなってしまいますが……。
作中の龍宮は、実際の海の異界とは異なると
この国での知り合いのアヤカシから聞きましたが、
時代が下っても古きままの都、
そうした情景に、ボクの故郷である妖精界が重なります。
……というところまでは、あの手紙の中でも既に触れましたね。
今の妖精界を統べるふたりの王、すなわち
ボクが仕える森の女王様も、対立する丘の王様も、
元は先史の頃の人間の王だったと噂されるので、
平家の血を繋ぐ帝の一族と、少し近しく感じています。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
妖精界にもまた、しばしば人間の訪れがあります。
道に迷った者や死にゆく者が辿り着くこともあれば、
過去には妖精が人を攫ってきたこともあります（過去です！）
実を言うとボク自身も、人間の身で妖精界に渡った者です。
ですが、ふたりの王や他の妖精たちは兎も角、
ボクには人間の頃の記憶はほとんどありません。
薄らと覚えているところでは、ボクは自ら願って
妖精界に渡り、妖精と化したようには思います。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
それ故に、『龍宮シリーズ』を拝読して考えたのです。
人間だった頃のボクは、果たして航のように
異界での邂逅を通じて己を見つめ直したり、
客人の身ながら王を諭す程の意志を持てていたのかと。
航は決して強い人間という訳ではない、とは思います。
それでも航に、憧れめいた胸の熱さを微かに抱く程には
かつてのボクは航のようには生きられなかったのでは。
妖精界における今の自分の在り方を呪いはしませんが、
航の戸惑いと選択に、ボクは「もしも」の夢を見ました。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
さて、ボクの不手際と偶然の結果とはいえ、
このような巡り合わせを得られ、幸運に思います。
中世世界の緻密な考証や、アヤカシの描写の自然さに
先生の作品を通じて触れてはいましたが、
先生自身もアヤカシなのだと知り、驚きながらも納得しました。
とはいえ、同類が書いた作品だから
面白く感じる……という訳ではありません。
先生のお手紙をいただく前と変わらぬ形で、ボクは
この物語が好きなのだと、『龍宮』を読み返しながら思います。
妖精界では、この頃目立った変化がないこともあり、
こうした偶然を示す言葉もぱっとは出てこないのですが……。
以前、ボクら妖精たちが関わった人間の間では、
「運命の輪のひと回り」という言葉が使われていました。
ですがこの「運命の輪」は、不運を示すこともあるとか。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
だからボクは、「偶然」とは意味が少しズレますが、
「四葉のクローバー」を挙げたいと思います。
先生も既にご存じの話かもしれませんが、
幸運の象徴のみならず、妖精の姿を見る助けになると
ボクらに縁深い地の人間が伝えてきた植物です。
この手紙が届く頃には、もしかしたら
新年になっているかもしれませんが、
来年の第五巻の刊行を楽しみにしています。
勿論、春鳥書店でも店頭でバッチリ推していきますよ！
これからも、添木先生を応援しています。
年の瀬の頃、ご多忙のことと思いますが、
お体にお気を付けて、良いお年をお迎えください。
雉笛の君
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[ところで四葉のクローバーに纏わる言葉としては、「見つけ難いが得られれば幸運な、良き友」という意味を語る西洋のことわざもある。
雉笛の君が四葉のクローバーのことを手紙に記したのは、その連想があったからなのだが――]
（ ダメだ、無理。
「友人」なんて軽々しく書けない。 ）
[人間に紛れて生きるアヤカシ同士というより以前に、一読者としての意識が前に出た結果、このことわざは記されないままに終わる。]
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
大分長くなってしまいましたが、添木先生にちゃんとしたお手紙をお返し しました！
ほたるちゃんのお手紙のお返しも、じっくり書き進めます……！
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>-21ほたるちゃん
いえいえ！
エピローグまでに全員にお手紙を送れたのは、多分この村が初めてかもしれません。
意図的な誤配送は確かに、実際の事例を見てみないとちょっとやりづらいかも でした ね……！
私自身も「どのくらい宛先記載ミスしたら誤配になるかな……」等と考えながらあの形にしていました。
＞また同じような村があったら～
ありがとうございます！
忙しい時でも無理なく楽しめる村があるといいな……という気持ちでこの村を企画したので、村建てとして本当に嬉しいです。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>-22添木先生
付喪神、いいですよね……（ダミーを付喪神にした人）
閻魔参の独り言にもちらっと書きましたが、付喪神ならではのモノの接し方が見られてごろごろさせられていました。
そして48h形式のほうも、助けになれて何よりです！
作家と書店員との縁故は欲しくなっちゃいますよね……！ 私もすごく嬉しかったです。
そういえば封筒の大きさについてはwikiには何も書いてませんでしたね……。手紙を出すためのものとして舞台設定的にありそうならなんでも大丈夫、の心算でした！ 角形A4の飴色の封筒でのお手紙返送、めっちゃリアルでした……！
添木さんのほうでも、こちらからの手紙がお手紙の参考になれたようで良かったです。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>-24>>-25大祓さん
お疲れ様でした！ こちらこそお手紙交換、ありがとうございます！
エピローグの時間はまだまだありますし、ゆっくりお過ごしくださいね。
そして縁故の方もありがとうございます！ これは一度は女将さんの宿に泊まりたい……泊まらねば……の気持ちで振ってしまいました。
＞お手紙村にいつか入ってみたい～
はっ、手紙村を続けてきた村建て冥利に尽きます……！（私自身はあくまでシステムをお借りしているだけですが、それでも……！）
実際に入って良かったと思っていただけたことも、本当に本当に嬉しいです。
そして秘話通知についての感想>>3:-8もありがとうございます！
＞いまどんな手紙を書かれているんだろう～
>>-5のキャパシティ配慮のこともそうでしたが、雑談村で通知の話題になった際もこうしたお話があったんですよね。
こうして実際に参加者さんの感想として聞けると、村として通知の存在がちゃんとプラスに働いたみたいで良かった！とほっとします
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
元々手紙村システムの村は、コアタイムを完全不問にすることでリアル生活に優しくする、という特長があるんですが
それでも私が建てた24h更新の村で、参加者さんが日々お手紙のお返事に追われているのでは、という事例がしばしば見られたんですよね。
（手紙のお返事は遅くなってもいい、お返事自体出さなくてもいい、というルールも付けてはいますが……）
それで今回、48h更新を試験的に採用した……という経緯があります。
手紙村ポータルの記載の通り、村内翌日＝リアル翌日の方が感覚的にわかりやすくはあるので、その辺りとの兼ね合いでどうかなと考えたのですが（あとは単純に村の開催期間の長さ的にも……）
私自身も48hにしたことで少し気持ちに余裕ができたので、次に手紙村を建てる時にも、秘話通知と合わせて採用したいなと考えています。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-34
そうだったのですね……！
はじめての瞬間を目撃してしまった！
次回に誤配送とかやってみたいかも……と
こっそりおもっちゃいました。
とてもさんこうになりました……！
今日は雪で体力がへずられたので
早めにおやすみたいむしちゃいます
エピが沢山あるのはありがたい……！
【妖】 作家 添木(ソエギ)
― 5日後 ―
それでは、また。
[29日の最終営業を終えて、30日の午後に帰路に就く。
出掛ける頃よりも荷物は多くなっていた。
オーナーには土産にコーヒーのドリップバッグと、サンドイッチを持たされたところから始まり、常連客にパーティーのお礼にと菓子や果物を貰った辺りから鞄に入りきらない事は察した。
端から見れば若者に土産を持たせる図だが、実際は付喪神の方がオーナー達よりもずっと年上。
彼は椿から聞いて事情を知っているそうだが、どうしても見た目の印象に引きずられてしまうらしい。
買い物袋を貸すのだからと椿におせち料理の重を持たされるところだったが、そこは謹んで辞退した。
――煮物をタッパーに入れて持たされたので、断り切れてはいないのだが。
買い物袋と共に、近々返しに来い、という事なのだろう。
電車の椅子に腰かけ、背中を預けると目を閉じる。
規則的な揺れがひどく心地よかった。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[客間を借りての暮らしは、添木にとって久しぶりの誰かとの同居生活だった。
今の住まいでも隣の住人の生活音が時折聞こえたりするが、それとは異なる安心感があった。
手足が生える前の、様々な器物と一緒だった記憶が蘇りそうな。
今は何処にいるとも分からない同胞達。
付喪神の知らぬうちにこの世から消えているものも多くあるのだろう。]
（……強いですね、あの方は。）
[花首を落としてしまう程に心を傾けた相手を失っても、立ち直っては何度も人に恋する先達を想う。
添木であったならきっと耐えられない。
それが、付喪神が一人でいる理由でもあるのだが。
我が道を往く彼女の姿は見ていて眩しかった。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[龍宮シリーズに収録されている短編の一つには、乙姫が主人公の前日譚もある。
客人の文化や技術に興味を持った乙姫が海神の許から離れ、庶民達の暮らす居住区に身を置くまでの話だ。
担当者に乙姫が魅力的だからと勧められた話は、それなりのページ数になってしまった。
枝葉を落とすのは勿体ないと、殆ど書いた時のままで収録された。
乙姫にモデルはいるのかと聞かれ、添木は少しだけ弱ったように眉尻を下げた。]
いますよ。
頭の上がらない方でして。
[乙姫のモデルは椿だ。
彼女の原動力が恋なら、乙姫の原動力は異界を良くしたいという想い。
何かに一途なところは瓜二つ。
きっと付喪神たる添木や椿を知る人には誰がモデルか分かってしまう。
椿は添木の本を読んだと言っていたが、ばれてしまっていたなら恥ずかしい。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[もしも、龍宮シリーズが完結する前に彼女との別れが来てしまったら、付喪神は乙姫を書けなくなってしまうだろうか。
あるいは、乙姫を通して椿の姿を留めようとするだろうか。
己の作中に、かつての同胞達の姿を描くのと同じように。
少なくとも、椿の花を貰い受けに行くのは後何十年先にして貰いたい。
あるいは己が取りに行かなければ、永遠に最後の花を留める事が出来るだろうか。
そうしたら夢枕に立たれそうだなと思って、小さく苦笑する。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[電車を乗り継いで、荷物を両手に持ちながら郵便受けを覗けば、少し早い年賀状。
そして、白無地の二重封筒が入っていただろうか。]
よいしょ……っと。
[一度荷物を足元に下ろす。
蓋を開いて閉じ、回収したそれらを鞄のポケットに収めると、荷物を持ち直して階段を上っていった。]
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
どうもこんばんは。
昨日ここまで書きたかったんですが、寒さに負けてしまいました……。
お手紙をチラ見しましたが、
封筒や便箋、切手にもPCらしさであったり、季節感であったり、皆様のこだわりが見えますね。
切手は、美術の世界シリーズを参考にしてみました。
十二ヶ月花鳥図貼付屏風の12月の絵と（商品になっているのは牡丹に蝶です）
クロード・モネの絵画。
140円の組み合わせが中々難しくて、添木なら描いていそうだなと藤の花にしてみました。
雉笛さん、お手紙ありがとうございます。
友達……！（ころころ）
>>-23蛍籠
ありがとうございます。
はい、また機会がありましたら。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
>>-35雉笛
雛市さんも付喪神なんですね。
人の中で暮らしている付喪神なので、そういう価値観を描きたいなと。
モノに対して謝ったりするので、天然か不思議な人扱いされていそうです。
フルメンバーですと48hは少し重ためになってしまうかもしれませんが、個人的にゆっくり考えられてよかったと思います。
何かを遺すアヤカシにしたいなと思い、作家にしたのですが、書店員さんとは是非縁故と思いましたね。
普通封筒in封筒ですときつくなってしまうなと思い、大丈夫かしらと少しドキドキしながら書きました。リアルなら良かったです。他に色とかないかなと探したのですが、添木なら茶封筒持っていてもおかしくはないかなと。
使っている道具にもこだわりが見えて、内容も友人に宛てた楽しいやり取りで、灰で五体投地しておりました。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
雛人形の付喪神さんってwikiに書いてあったでしょう、と自分にツッコミを入れておきます。
大変失礼しました。
添木の描く年賀状どんなのだろうと考えつつ、明日にお返事いたします。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[「天狗の飲み屋」での静養の間、「大将」や小天狗から外の様子を幾らか聞いていた。
小天狗は書店の店主である秋鳥の動向を密かに窺っていたとのことで、ある日、それを雉笛に告げに来る。
曰く、雉笛がアパートで『狩猟者』に襲撃された翌々日に、秋鳥は警察に雉笛の捜索を求めたらしいのだが――]
そっか、警察が動いてないなら良かった……
いやひどいよそれ。ボクってその程度！？
[「人間たちがヘンに首突っ込んでこなくて良かったな！」と笑う小天狗に対し、雉笛は思わず突っ込んだ。
あの晩の出来事については『狩猟者』や天狗らアヤカシによって、一般人には知られないように隠蔽が図られたに違いない。
そうなれば「雉笛りょうま」という行方不明者は、事件性も緊急性もない失踪者として警察に扱われてしまうだろう。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[妖具屋に依頼した品が、この時雉笛のもとに届いていたか否かは置いて――]
もう大分、傷も癒えたんだ。
いい加減、外に出たいんだけど、どうなの？
「ああソレな。今晩
オマエの駆除をホントに止めるって決定が出たら、
その時は晴れて退院決定だな！ 祈れよ！」
[そしてこの晩、本当に『狩猟者』側から駆除の中止が正式に告げられた。
少なくとも当分の間、雉笛の君は悪しき性質の妖精としてマークされるが、この妖精が特に何か事を起こす気配がなければ向こうから再び手を出すこともない、とのこと。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[こうして飲み屋の外に出られるようになった雉笛が、ヒトの姿でまず最初に足を運んだのは、秋鳥の住むアパート。
各部屋の戸口に正月飾りが多少増えている以外は、以前に来た時と大して変わらない歳末の光景。
まるであの晩の出来事が何も無かったかのような光景を目にしながら、秋鳥の住む部屋の前に立ち、チャイムを鳴らす。]
……、おはようございます、店長。
雉笛です。
申し訳ありません、勝手に、いなくなって。
[まず、怒られる、と雉笛は考えた。
店主の厚意を反故にする形の失踪は勿論、そもそも書店の無断欠勤を連日やらかしているというのもある。それもこの歳末の繁忙期に！
厳しく冷え込んだ朝の空気の中、雉笛はフードの下で固唾をのむ。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[インターホン越しに返ってきた秋鳥の声は、掠れているのか、上手く聞き取れない。
ややあって、玄関ドアの向こうから足音が近づいてくる。
ドアはまずゆっくりと開き、それから思い切り開け放たれた。]
「雉笛くん。
雉笛くん、だよね。夢じゃない……」
[寝起きらしく幾らか髪が乱れてはいたが、目の前に現れたのは確かに秋鳥だった。
パーカー姿で白い息を零すその人に、雉笛は深く頭を下げようとして――そうするより前に秋鳥に抱きつかれた。]
ご、ご主人！？ どうしたんですか――…
[予想していなかったことに目を丸くし、スニーカーを履いた足がふらつくも。
秋鳥の咽ぶような声を耳にした時に漸くその人の心境を察し、ヒトらしい腕を、相手の肩と背にそっと回す。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
本当に、ご心配お掛けしました。
大丈夫。この通り、ボクは無事です。
[大丈夫、大丈夫……と宥めるように雉笛が呟くさなか、腕の中の秋鳥が咽びながらも口にする。]
「雉笛、くん、消えた、って、
異界に、行ったのかって、思った……」
そんなことないです。
もう、勝手にご主人を置いてったりなんて――
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 新年の頃 ―
[三が日が過ぎ、『春鳥書店』も営業を再開した頃。
書店の郵便受けには、懇意の取引先や客らからの年賀状が届いていた。
中には、かつて店主の世話になったという者からの一通も。
書店の店主とスタッフたちとで華やかな新年の祝いを分かち合いながら、それでも忙しない仕事始めに就く。
……この時、明らかに不審な年賀状も一通届いていたのだが、そちらについては雉笛が持ち帰ることになった。
宛名書きが無く、書店の誰一人として差出人名に心当たりがなく、しかもアヤカシの術の気配がする（と雉笛には解る）。
雉笛も宛名書きの無い「誰か」宛ての手紙を送ったことがあったから、多分その類だろうとは考えたのだが――まさか誤配で届いたとまでは考えていなかった。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[仕事始めから幾らか落ち着いた頃に、白地に赤い干支の動物おどる華やかな手紙が書店に届く。
金の文様輝く祝いの封筒に記されていたのは、他の誰でもなく雉笛の名で――]
蛍籠だ！
「え？ マジでホタルいるんすかキジさん！？」
「違うっしょ。今は冬、しかもここ××町だよ？」
「ホタルの――、ここに居るの？ 雉笛くん」
あ。ううん、そうじゃなくて。
手紙をくれた子の名前です。
その……お騒がせ……しました……
[同僚からは不思議がられ、店主からは至って真面目に問われ、雉笛はばつの悪い顔で視線を横に逸らす。
とはいえ己の元に届いた便りに、顔は自然と綻ぶ。
去年に手紙を受け取った時以上に心が弾んでいたのは、新年ムードの浮かれぶりと仕事始めの勢い故だけではない。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[その手紙への返信を綴ったのは、仕事終わりの夜の、暖房の効いたアパートの一室で。
その部屋の主――秋鳥には、くれぐれも手紙の内容を覗き見ないようにと釘を刺す。
もとより過剰な詮索はされないと思っていたし（事実、「また蛍籠さんから手紙が来たね」とも言われなかった）、万が一手紙の内容を見られたからといって、鶴女房のように姿を消してしまう心算も無かったのだけれど。
……さて、この日受け取った手紙には、引っかかる空白があった。
雉笛は妖精の姿のまま首を傾げ、新たな便箋に取り換えられることもなく残された痕跡を、じっと見つめる。]
（ ご主人も、助けてきた子たちから
こういう手紙を貰ったこと、あったのかな。 ）
[ふとそう考えども、雉笛は秋鳥に助言を求めることなく、自分の言葉でその空白に踏み込む。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[今度の封筒は白い紙に赤い縁取りが施されたもので、金色の小さな梅の花が下部に印刷されている。
『春鳥書店』でも年末年始限定で取り扱っている封筒を、店員割引で購入したものだ。
毛糸球を抱える猫の絵柄の切手の下に小さく、筆ペンで今年の干支のデフォルメイラストが描かれている。
未だに不器用な宛名書きの文字と違い、絵の方はそれなりに整った筆致の線画だ。
便箋も封筒と同じく、白地に赤い縁取りの紙。
本文は以前と手紙と同じペンで、やはり以前と変わらず不思議な文字で綴られている。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
蛍籠
あけましておめでとう、蛍籠。
そして、お手紙ありがとう。
年初めからほっこりと頬が緩んだよ、
今年の干支の生き物たちの可愛らしい躍動！
ボクも、新年のお祝いらしい封筒と便箋を
選んでみたんだ。どうかな？
切手だけは普通の冬の絵柄だけれど……。
季節のものを喜んで貰えるなら何よりさ。
「蛍」が名前に選ばれた理由は分からなくても
夏生まれだから、というだけじゃなくて
良い願いがあるはずだ、とボクは信じるよ。
名に恥じぬよう……とはいえ疲れない程度にね！
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
そして、アナタが女王様について思ったこと、
是非、故郷の女王様に伝えるよ。
きっと喜ぶはず！ 人間のアナタがあの方の
慧眼と心配りに思いを馳せてくれたこと。
ところで実はボクも、去年の春にさ、
山奥の民宿に泊まったことがあるんだよね。
大祓さんが経営する「ゆるり」って宿なんだ。
蛍籠とおばあちゃんが泊まったのも……なんて、
そんな偶然があったら素敵だけど、まさかね？
隠し事を抱え続けると疲れてしまうの、解る。
わりと気ままに過ごしてきたボクですら、
一挙一動に神経を尖らせる瞬間は多くある。
おそらく、己を明かすことのできる相手が
ボク以上に少ないアナタなら、きっと猶の事だ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
本当のことを言って否定されるのはキツいし、
時には文字通りに傷つけられることもあるよ。
故に、「勇気出して打ち明けてよ」とは言えない。
蛍籠に対しても、アナタの周りの子たちに対しても。
同級生同士で秘密を共有して――っていうのは
小説や漫画ではよく見られる気もするけど、
実際には、そう簡単にはいかないよな。
ボクだって店長に自分からは言い出せなかったよ。
それにしても、蛍籠は本当に慮れるんだな、
人に見えざるアヤカシたちの立場や心を。
アヤカシの実在を今でも認める人間たちが
皆アナタみたいなら……なんて思いもしたよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
っと、晴れやかな話題に変えちゃおっか！
妖精界でも冷たい雨が降ったり止んだりするけど
暑さの前に長く雨が降る梅雨とは違うかな。
人間界で初めて梅雨を体験して大変だったよ……。
そうだね、倹約には自炊がいい、とは聞くけれど、
ボクは自分の台所をなかなか持てなかったから、
食べ歩きしかできなかった、というのもあったな。
今はちゃんとお弁当も作れるようになったんだ！
それでも、食べ歩きの魅力は薄れないもの。
蛍籠もラーメンや肉まん味わってるって聞いて、
一緒に街を巡れたら……なんて夢を見たよ。
夏に冷たいモノを味わって街を歩くのも最高だね！
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
添木先生の龍宮シリーズ、実はボクも読んでるんだ！
蛍籠にも薦めたい……とは思っていたけれど、
アナタの方から先に薦められてしまったな。
先生が描くリアルな幻想世界は、文字の上だけでも
異界との触れ合いを叶わせるものだと感じるよ。
そういえば、ボクの故郷の妖精界に
夏や冬と呼べる季節は特に無かったな。
常夏の妖精界や、永遠の冬の妖精界もあるって、
旅先で出会ったアヤカシの話で聞いたことはあったな。
うん、争いといえど誰も傷つかない形になったのは
良いことに違いない、とボクも考えているよ。
ヒトとボクらの交流が当たり前だった時代をさ、
故郷の妖精たちが懐かしむのも、よく聞いたものだよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
気遣ってくれてありがとう、蛍籠。
そうだね、疲れって目に見えないものだもの。
ついこの前も店長に体調を心配されたし……。
元の自分で居られる場所では、ちゃんと息抜きするよ。
実を言うと最近、身近に、妖精としてのボクを
受け入れてくれる人が、ひとり、できた。
正確には、かなり前からバレていたらしいけど……
ボクについての秘密を、その人は守ってくれていた。
――うん、今の職場の店長が、その人なんだ。
お陰で今のボクは、前よりは息苦しくない。
蛍籠、アナタにも、この世界で生きる中で
息苦しい思いをしなくなるといい、と願うけれど……
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
今いる場所で生きるのが本当に苦しくなったら、
ボクの故郷に、アナタを連れていってあげるよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
……って言えたら良かったんだけれど、
本当に人間を異界に連れ去りなんてしたら、
ボクは今度こそ、人間を害する悪い妖精として
狩られるだろうから、それはできない。
だからせめて、ボクにできることとしては――
他の誰でもなく、蛍籠に宛てたこの手紙で
アナタの息苦しさを和らげることが
微かにでも叶えば、と願うんだ。
大切な人の空白を埋める存在にはなれなくても、
ドキドキワクワクして貰えるだけで嬉しいさ！
最後になったけれど、こちらこそ、
今年もよろしくお願いします。
蛍籠にとっても、幸ある一年となりますように。
雉笛の君
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「雉笛くん、今、こっち来られる？
君が前に言っていた『証城寺うらら』が
今テレビに出ているんだけれど――」
本当？ 見ますよ！
手紙ももう書き終わったところなので。
[雉笛の君は、そのまま封筒に封をしてしまう。
それ故に、自分が一度狩られかけたことを示す「今度こそ」を残してしまったまま、この手紙をポストに入れることになる。
こうして雉笛と秋鳥は、『証城寺うらら』が出演している番組を見た訳だが――。
「人間に化けた狸の女の子」という設定のこのアイドルが、「人間に化けた狸の女の子を演じる人間を装った古狸のアヤカシ」であることまでは、秋鳥にも説明していない。]
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
ほたるちゃんへのお手紙、おまたせしました……！
他の方宛の手紙もそうですが、こちらこそめっちゃ長くなってしまったので、お返事は適宜搔い摘んだり端折ったりなどしてくださっても大丈夫です……！
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
ほたるちゃんは雪のほう、大変だったんですね……！ お疲れ様です……
添木先生もどんまい、寒さに負けるの仕方ない……！
再度のお知らせになりますが、希望があれば管理人様に追加の1延長をお願いできますので、もうちょっとエピ期間が欲しい！という場合は遠慮なくお知らせくださいね。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
わ。わ。お手紙ありがとうございます！嬉しい。
ただ今日がちょっと多忙なので
もし1延長大丈夫ならして、ほしく……
お返事明日にお返しになるかとー
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
>>-53>>-54お二方とも、ご連絡ありがとうございます。
というわけで、管理人様に延長をお願いしてきました、と取り急ぎご報告のみ……！
村の更新日が延長されました。
【独】 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
/*
管理人様、延長ありがとうございます！
参加者の皆様、無理なくゆるゆるお過ごしくださいね！
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 年末年始にあったこと ―
[自分が妖精であり、アヤカシであること。雉笛はそのことを、店主も含め、一般の人間相手には隠し通していた心算だったが――。
再会の安堵に浸る間も無く、雉笛は今度こそ本当に狐につままれた心地で、事の次第を秋鳥に尋ねた。
曰く――。
雉笛が書店で働き始めて幾らか経った頃。
雉笛がレジ会計を担当していた時に、後からお釣りの件で客からクレームが来たことがあった。
その際、念の為にレジ部分に設置していた防犯カメラの映像を店主が確認したところ、クレームの件自体は店側に問題なかったと分かった。だが、]
「君だけが、カメラに映っていなかったんだ。
君の姿だけがぽっかり消え失せてる感じで。
流石に最初は、自分が一体何を見ているのか、
本当に解らなくなったよ……」
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[自分の姿が写真に残らないこと自体は、「ゆるり」で女将に撮って貰った写真を見た時に気づいていた。けれども他のところでも同様の現象が発生していたことまでは、雉笛の君の頭にはなかったのだ。
『狩猟者』の一件まで雉笛が人間界で特に騒ぎに遭っていないことからすると、この現象に店主以外誰も気づいていなかったか、違和感があっても大して気にも留められなかったか、といった辺りだろうが……]
ボクはよく今まで無事でいられたな……。
[秋鳥には霊感の類は無いらしく、それ故に当初は機材の不具合か、自身の疲れの所為かと考えていたのだと。
けれども後日、雉笛が自分から店主のアパートを頼りにきた際に、インターホンの画面にも雉笛の姿だけが映っていなかったことで「まさか」の可能性に考えが及んだらしい。
それでも書店員という身内の件だったこともあり、他者に言いふらすことはしなかったとのこと。そして雉笛本人にこれらの事実を告げることも憚られ、今日に至っていたという。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「あの夜、家に帰ったら綺麗になってて、
ご飯まで作ってくれてて、なのに君自身は……
まるで妖精の伝説みたいって、あの時、思ったな」
確かにボクは妖精だけど、仕える者でもある。
退職届も出さずに黙って異界に帰るなんて、
そんな不義理、できる訳ないですよ。
[少し前に「異界」という語が店主の口から咄嗟に出てきたのは、異界に纏わる物語を古典・現代作品問わず扱う店の主であるが故か。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[ともあれ、再び秋鳥の元に戻った雉笛は、当分の間その人の家に留まることにした。
年が明けてからも、店主の世話になった者、なっている者がアパートに立ち寄るのを、店主と共に（無論、ヒトの姿に扮して）出迎える日々。
正月休みの中で部屋のキッチンを使って料理のレパートリーを増やそうと試みた結果、勤務時の昼食用の簡単なお弁当をも作れるまでになった。]
別にボクは、家事手伝いの妖精って
訳じゃないんですが――、
主の為に働くのが性に合うみたいで。
[いかにも騎士らしい言葉と共に、雉笛の君は軽く明るく秋鳥に笑う。
これだけ秋鳥の側に居続けても、一時期のような戸惑いは今の雉笛には見られない。
誰かさんが述べるところの「べったり」という表現が、この状況に相応しいかは兎も角として。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「その、雉笛くん。
君が
そういう……誰かに仕える性質の妖精だから？」
[秋鳥が真面目な顔でこう踏み込んできた時、雉笛の君は穏やかに笑ったまま、視線を合わせて告げる。]
妖精の騎士だから、というのはあると思います。
けれど、それだけじゃなくて、ご主人――
秋鳥さんという人が好きだから、でもあります。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
困っている子、居場所のない子、
行き場を無くしてしまった子たちを、
自分に叶う限り助けようと頑張る、
そんなアナタの力に、ボクもなりたいんです。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
もうちょっと続き書きたいことがあったのですが 無理せず明日に回します……
予報で雪がまた大変になりそうと聞きましたし、皆様も無理なく……
【妖】 作家 添木(ソエギ)
― 自宅 ―
[日持ちのするものは台所のストックボックスに、サンドイッチや煮物はとりあえず冷蔵庫に収めた。
洗濯物―昨夜の分も椿が洗って干しておいてくれたので有難いやら申し訳ないやらだ―は箪笥に戻し。
そうして居間の机について、郵便物を確認する。
一つは年賀状。
宛名は書かれていなかったが、仄かなアヤカシの気配がまだ残っていた。
達磨のイラストに印字された本文。
その他に墨で手描きの文字が書かれていた。
順当に考えるならば、閻魔参というアヤカシからの年賀状なのだろう。]
……閻魔様からというわけではないですよね、きっと。
[確か、年賀状が何枚か残っていた筈だ。
今から出してもと元日には間に合わないだろうが、後でお返しを書いてみようかと思いながら、机の上に置いた。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[もう一つは白無地の二重封筒。
材質の所為か、手触りは柔らかく、切手の白梅は縁起物であり、少し季節を先取りした形か。
今度は間違いなく己に宛てて書かれたらしい宛名書きを目でなぞる。
日本語で書かれた文字の形は前回よりも整っていた。
鋏で封を開けてみれば、中に入っていたのは和便箋。
右下に印刷された藤の花は、付喪神が手紙を送り返す時に使った切手と同じ意図だろうか。
そうであったなら嬉しいと思いながら、鉛筆の筆跡に視線を走らせた。
それは、誤配送された手紙についての話から始まった。
読まれる心算のなかった著書への感想が添木に届いた事は本意ではなかっただろうが、励みと書いた事に安心したと書かれていて安堵する。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[その後には、彼の経歴を含んだ本の感想が綴られていた。
彼の故郷の妖精界の話。
作品を通して彼が感じた事。
手紙で問うた、彼の故郷での“巡り合わせ”の言い方。
異国について詳しくない付喪神が書かれなかったことわざに辿り着くのは、いつになるだろうか。
綴られた文字を読み終えると、添木は丁寧に便箋を畳んだ。]
あぁ、これを忘れていましたね。
[鞄から取り出したのは、新しい便箋と封筒。
早速、出番がありそうだ。
そっと表紙の表面を撫でる。]
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[便箋と封筒はセット売りのもの。
材質は伊予和紙。
砥粉色の紙に白梅の花丸文が左上に三つと右下に四つ、配置されているものだ。
封筒は便箋よりもやや厚手で透けにくいようになっており、こちらには左下にのみ、花丸紋が三つ。
封筒に貼られた切手は、来年─届く頃には来年だろうか―の干支の形をした郷土玩具の絵だ。
書かれている文字とインクは以前と同じ。
けれども前回よりも僅かばかり弾んだような雰囲気を感じる事が出来るかもしれない。]
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
雉笛の君
寒気はなはだしき折、お元気にお過ごしでしょうか。
筆を執ったのは年末ですので、この手紙が届く頃は新年を迎えている事でしょう。
去年はお手紙をどうもありがとうございました。
今年も貴方にとって、良い年になりますように。
前回のお手紙についてのお優しいお言葉に救われた思いです。
読者さんからのお手紙は、作家にとってとても貴重で、励みとなるものです。
書店員さんであれば、沢山の本に触れる機会があるでしょうに、お手に取って頂けてとても嬉しいです。
春鳥書店さんについて、担当さんに聞いてみました。
文学作品に力を入れていらっしゃるそうですね。
いつか私も足を運んでみたいものです。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
人からアヤカシになる方もいますが、妖精界にも帝の一族のような方々がいらっしゃるのですね。
それを知って少し勇気づけられたような思いがいたします。
私の来歴は人間界なので、本物の異界の事は同胞から話に聞いたり、書物などを読んだりといった方法でしか知らないのです。
いつか自分の足で取材しに行ってみたいと思いますが、担当さんは人なので同行できないのが悩みですね。
海の異界に住むアヤカシからも感想を頂きましたが、やはり海の異界はまた別の文化を築いていらっしゃるようで。
教えて頂いたお話を活かす事が出来ればいいなと思っております。
この国も、アヤカシが大手を振って歩けるような時代ではなくなってしまいました。
昔は当たり前のようにお話したり、飲食を共にしたり、一緒に本を書いた事もありました。
私の描く世界には、そんな時代への懐古の念が入っているのかもしれませんね。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
チェンジリング、という話は聞いた事があります。
この国のアヤカシも人を攫うという話が幾つも残っていますので、人に惹かれるのは国を越えても共通なところがあるのかもしれません。
勿論、今の時代で起こされたら、大事になってしまうでしょうが。
なくなった貴方の人であった頃の記憶はそれを代償としたのか、あるいは自ら捨ててしまったのか。
モノからアヤカシになった私には、人から妖精になった貴方がその時に何を感じたかは分かりませんが、誰かに強いられたのではなく、貴方が望んで妖精となったのであれば良かったです。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
作中にあるように、航は何かの才能に恵まれていたわけではありません。
貴方の仰る通り、どちらかといえば普通の、弱い人の部類になるでしょう。
それ故に悩み、苦労をして、時には弱音を吐いて、自分の置かれた状況を、時間をかけて受け入れました。
勿論、周りには同じ境遇の客人や、乙姫がいて、彼らとの交流を通して変わっていくのですが、人間界に生きていたなら気付かないままであった事も多くあったと思います。
そうした強いわけではない人が、自分よりも強い相手を諭す行動に出られるとしたなら、誰かの為ではないかと思ったのです。
彼の大きな一歩、選択に貴方が「もしも」の夢を見られたのであれば、作家冥利に尽きます。
私が航だったなら、存外、早くに馴染んで世界の中に埋没してしまうかもしれません。
けれど、もしも袖触れ合う程度の縁でも誰かが望まぬ事を強いられていたとしたら、手を差し伸べられるような在り方をしたいと考えています。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
こちらこそ、この巡り合わせは幸運でした。
手紙を交わす前と後とで変わらずに作品を好いてくれていたなら幸いです。
意識のあった頃とはいえ、もう数百年も前の事ですので、記憶が薄まり、忘れてしまっている事もあるのですけれどね。
ですからそれを補填できるよう、資料がいつでも読めるように手元に用意していますよ。
懐かしくて調べ物が進まない事もありますが。
現代語は流行り廃りも早いもので、書いていた時には流行っていても、刊行される頃には旬を過ぎているという事もしばしばあります。
どちらかというと流行に疎い私は、現代物よりも時代物の方が手に馴染むようです。
「運命の輪」は、タロットで聞いた事があります。
正位置が好転で、逆位置が転落の意味を持っているのでしたっけ。
「運命の輪のひと回り」という事はそれを併せ持つ、という事なのでしょうね。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
「四葉のクローバー」。
見つけられた試しはありませんが、低い割合でしか存在しないからこそ、幸運の象徴とされているのでしょうね。
魔法使いや妖精の魔法を解くのに使われる、というのは聞いた事があります。
そろそろ第五巻が書店に届く頃合でしょうか。
数多くある本の中で推して頂けるのは有難い限りです。
今回もデザイナーさんがよい装丁をして下さいましたので、貴方や読者の方の手に届くのが楽しみです。
名残惜しいですが、長くなってしまいましたのでこの辺りで。
極寒の候ではございますが、貴方のご健康とご多幸を心よりお祈り申し上げます。
添木 芳文
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
[市販の年賀はがきの宛先には閻魔参様とだけ。
相手に上手く届くかどうかは分からないが、アヤカシであればあるいはと期待を込めて。
通信面の中央にある今年の干支の文字は、久しぶりに青墨を磨って筆で書き、
それ以外の文字は黒の筆ペンで書かれている。]
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 郵便局員 閻魔参(エンママイリ)
敬頌新禧
今年はよりいっそう飛躍の年となるように精進いたします。
貴方にとって幸多き一年となりますよう、
お祈り申し上げます。
■■〇年 元旦
添木 芳文
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
短くなりませんでした。
閻魔参の年賀状を見て、縦書きできるんだと思い、挑戦してみました。
バランスを取るのが難しいですね。
最初の言葉を大文字にした方が良かったようにも思います。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
国主様、延長ありがとうございます。
村建て様もありがとうございました、と。
予想気温を見てひえっとなっております。
春鳥書店に行ってみたいですね。
そうだ、サイン会（ry）
読者縁故を頂いたので、第五巻の触りを書いておきたいですね。
蛍籠さんもお手紙の中でシリーズに触れて頂いてどうもありがとうございました。
・浦島太郎…竜宮
・壇ノ浦の戦い（山口県下関市）…平家
・ワダツミの総本社である志賀海神社（福岡県福岡市東区志賀島）…海神ワダツミ
ベースはこの辺りなのですが、壇ノ浦とワダツミの総本社、意外と近いのですよね。
当初、そこまで計算したわけではなかったので縁を感じました。
四巻で出てきた三柱＝住吉三神も九州ではあるのですが。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
雉笛さんと店主さんとの関係も良いですね…。
皆さんのお話も楽しみにしつつ。
落とせたら今日中に、難しければ明日に落とします。
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[――溺れる魚といったほうが、正しいのかしら。
呼吸の仕方まで、忘れてしまいそう。
それはふと、重ねた狐の窓と現実世界が一緒だった時。
それは、杏色の夕映えの中で影法師が１つきりのとき。
そは、自分自身を見失う、とき。
祖母を失ってから、モノトーンの世界は
雉笛さんと大祓さんとの手紙で少しずつ色を見せていく
それでも、ふと池に浮かぶ泡沫のように寂寥が満ちる。
この世界はひどく、息苦しい。]
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[息苦しさの理由を定義できない。
してしまえば、私はきっとこの世界から足を踏み外してしまうから。
人とあやかしのせかいの境界線は
一歩。横にずれれば踏み越えられるものだから。
隣の席になった君が、時折。
一見なにもないところを指で掻く仕草をするとき
其処に角があるのを、しっているけれど。
慮るといえば耳に心地よいかもしれないが
問いかける勇気はでないの。
その一歩はとても遠く。
頂いた手紙を封筒越しに撫で
相手へ手紙を綴りながら、そんな風に回顧する。]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[頂いた手紙に添えられたデフォルメイラストは
とても可愛らしいものだった。
毛糸球を抱える猫の切手の可愛さも相まって
封筒の金の梅の花とのギャップもまた魅力的だなと感じたから
私が今回選んだのは、南天と雪の柄の封筒。
名残り雪を思わすようなものは、便箋も同様に。
切手と、封を柴犬のものにしたのは
ほんの少しだけ貰った切手の猫を意識して。
イラスト、かわいい。
――不思議な、でも読める文字。綺麗な筆遣いだなぁ。
なんてことを、考えながら。思いながら。]
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
雉笛さんへ
新年のご挨拶と、素敵な便箋での祝いをありがとうございます。
こちらも、猫の切手やその下の干支のイラストに心躍りました。
可愛らしくて、和んじゃう。
中々、不器用なもので
肩肘を張ってしまうことは多々ありますが、
ご忠告を心に留めておこうと思います。
妖精界の女王様に喜んでいただけるのは嬉しくもあり、
その方のご様子に思いを馳せてしまいます。
大祓おばあちゃんの民宿。雉笛さんもお泊りになられたんですね。
じゃあ、其処で暮らしているあの子にも
……逢ったことがありますでしょうか。
素敵な偶然に、頬がゆるみっぱなしです。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
疲れてしまったとしても、
打ち明ける勇気を抱けなかったことも、
一因ですので。其処は受け入れて
慣れるしかないのかなともおもっております。
――雉笛さんの仰られる様に、物語の中のように。
友情がはぐくめましたら素敵なのですが。
現実は、中々相手を思い、
自分を思えば難しく感じてしまいます。
昔の、人と妖精が触れ合った時代のように
未来がそうであればとも思いつつ
それが為せるよう、小さなところから
まずはかいよりはじめよ、ではありませんが
自身はこうであるよう、勤めていこうとは思っております。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
妖精界の雨は、降ったりやんだりなのですね
長く、ではなくその繰り返しなのか
それともからっと一過性なのか。は気になるところです
多分湿気などとは無縁なのかしら。
密林のような多湿にはご縁がなかったのならば、
この世界の梅雨は大変だったでしょう。お疲れ様です。
なるほど、そんな事情が。
お弁当が作れるというのはすごいですね。
おにぎりとかのかしら。それともサンドイッチの？
想像が膨らみます。
もし、一緒に街を食べ歩きできたら素敵ですね。
それが叶えばと夢見てしまいます。
そんなあなたが、自身の存在のことを打ち明けられ
それを受け入れることが叶う方を見つけられたこと
とてもうれしく思っております。
【秘】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
優しいお気持ちを受け取りつつも――以前、
何かに害されるようなことがあったのでしょうか。
心配です。貴方のように心優しい妖精さんが
悪であるとは思わないですが、どうかご自愛ください。
雉笛さんのご迷惑にはならないように
もう少しだけ、頑張ってみようかなって思っています。
貴方の手紙は、きっと
今の私にとってはよすがですから。
一年の最初の幸は貴方からの返信でした。
今年もよろしく、おねがします。
蛍籠
【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[魚が空で泳ぐように
小鳥が水の中で飛ぶように
息苦しいこの世界でも煌めくものがある。
例えば、今書く手紙の相手のことを思うとき。
例えば、嘗て訪れた宿で出会った人と、アヤカシの
あの子のことを、思うとき。
――それを思い浮かべれば少しだけ、息が楽になる。
もう少しだけ、頑張ってみよう。
そんな風に自分を、勇気づけて、みるの。]
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
お返事遅くなりました。
そして延長ありがとうございます。
竜宮シリーズ、実は本州と九州の境目当たりの出来事なのですね。
実際に読んでみたい……とほんのり思うのでした。
今日もお外は雪。さむむ……
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
蛍籠さん……。
PL視点、まだ此方側にいて欲しい思いで見つつ、本当にいいと思うのであれば、という気持ちにもなってしまいます。
壇ノ浦に近いイメージは当初からありましたね。
門という概念があるので、本州や北海道からも潜る事は出来るのですが。
きっと第一巻の帯には「浪の下には都がある」とあります。
第五巻のテーマは、外の世界とどう付き合っていくか、みたいなイメージです。
人の技術の発展によって、今までは届かなかった部分にカメラだったり、機材が持ち込めるようになって。
人からは見えない・入れない結界は張ってあるけど、自分達の領域が浸食されるような危機感を抱くアヤカシ・神はいると想定しています。
書くに当たり、神話だったり、合戦の起きた位置や神社の位置だったり、文化レベルだったり、色々漁ったりしているのですが、やはりこういうのが好きだなと思うなどしました。（そして溶ける時間）
積雪……もし外に出られるようでしたらお気を付けくださいませ。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
添木さんもほたるちゃんもお手紙ありがとう！！
し し しばらくおまちください……！
そして閻魔参への年賀状もありがとうございます！
こちらもちゃんと頂いた分の反応落としたいところです。自作自演になっちゃいますがボクもお返事書かないとな……
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[その手紙を雉笛が手にしたのは、『龍宮シリーズ』の第五巻が書店に届いた頃。
他の新刊と合わせての解荷に検品、陳列と慌ただしい日。
新刊の魅力を簡潔に、かつ読者の目線で伝える手書きポップが作られるのは、もう少し後のこと。]
流石に、疲れた、な……。
[本の売り手である書店員が自ら書籍を購入する余裕は、この日には無かった。
新刊を買ってじっくり読み進められるのは、次の休日になりそうだ。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[それから秋鳥のアパートの部屋で、その封筒を再び手に取る。
和紙製の封筒には特有の刷毛目があり、これまで触れた和紙ともまた違う触り心地。三つ並んだ白梅の花丸紋は和風の趣とも、新年の祝いとも、或いは自分が出した手紙の切手への答えとも感じられるもの。
切手の中の生き物のかたちにも目元を緩めながら、雉笛は、溜息を一つつく。]
…………はあ、
[推す作家の新刊発売日に、その作家当人から、自分宛ての自筆の手紙が届く。
この世でこれを羨まない者が果たしてどれだけいるものか――そんな思いからの溜息だった。
七つの花咲く封筒と揃いの便箋の上には、以前よりも少し弾んでいるように見える筆跡。
それに対し綴る返信も、また些か浮かれた調子で――。
筆の勢いで多少不躾な文章を書いてしまったことを自覚もしたが、手紙の内容への率直な感想として、そのまま残すことにした。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
[それは白い紙に赤い縁取りが施された封筒で、金色の小さな梅の花が下部に印刷されている。
便箋も封筒と同じく、白地に赤い縁取りの紙。
切手の絵柄は、落ち着いたベージュ色の背景に湯気立つマグカップを描いたもの。
便箋に綴られた妖精界の文字は、以前よりも少し軽やかな筆致で綴られている。
文字の形自体に馴染みがなくとも、筆致の変化には気づけるかもしれない。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
添木先生
年が明け、冬晴れが美しい季節となりました。
こちらこそ、昨年はお手紙をくださり
ありがとうございました。
今年もどうぞ、よろしくお願いいたします。
添木先生が春鳥書店について調べてくださったこと、
書店の一員として、とても嬉しく思います。
もし近くにお越しの際は、是非お立ち寄りください。
実は、ボクが先生からお手紙をいただいたことを
同僚にはまだ話していないので、
（店長は既に気づいているかもしれませんが……）
先生が来店されたら、皆、驚くかもしれませんよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
先生は、人間界を来歴とするアヤカシだったんですね。
モノからアヤカシに……ということは付喪神でしょうか。
作中の人間たちに対する、先生の眼差しの優しさは、
作り手たる人間と共に在り、大切にされた故なのかな。
ボクの話が先生を勇気づけられたみたいで、嬉しいです。
この話がまた創作の糧になれたなら何よりです。
実際の異界を見ずして、似た異界を描かれている……
そのことにまた、不思議な縁を感じています。
海の異界の方は、『龍宮』をどう受け取られたのでしょうか。
現実とは異なる異界の情景であっても、
楽しんでくださっていたら良いな、と思います。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
確かに人間の担当さんまでは共に行けませんよね……。
昔においてもチェンジリングは人間に厭われましたし
この国の神隠しのことも聞いた覚えがありますが、
アヤカシの存在を表に出せない今の時代では猶の事、
これらはあり得ざる凶事とされてしまうでしょう。
ヒトとアヤカシが共に歩んだ時代への懐古は、
妖精界に住まう妖精たちからもよく耳にします。
先生が人間と共に筆を執っていた頃のお話も、
エッセイの形で……すみません、これはボクの我儘でした。
こう思ったくらいには、その頃のお話も気になっています。
ボクが人としての記憶をなくした経緯は
女王様に聞けば分かるとは思うのですが……。
記憶の事も、妖精と化したこともまた、
あの頃の己の願いだったのだろうと思います。
思いたいだけ、かもしれませんが。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
「誰かの為ではないか」と先生が仰ったことに
目が覚める思いがしたボクは、
先生のファンとして、まだまだでしたね。
乙姫のことを思ってこそ、
航は大きな行動に出られた、に決まっているのに。
異界を良くしたいという自らの夢を追い求める乙姫と、
恩人でもある乙姫の夢を助けようとする航。
……自分には選べなかった夢だと思っていたのに、
改めて考えると、今のボクは少しだけ、
航に近い場所にいるのかもしれません。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
人間の頃のボクには、誰かの為という意思がなかったか、
或いはその意思が折れてしまっていたのでしょう。
人間の頃には優れた狩人だったというので、
普段の強さ故の、心の脆さもあったのかもしれません。
けれど今のボクは、女王様の為、仕える店長の為、
それに、己の苦しさを打ち明けてくれる人の為に、
叶う限り身を尽くそうと思えるようになりました。
先生は、存外早くに馴染んで……と仰っていましたが、
縁浅き誰かの苦境にも手を差し伸べられる在り方を望む、
その心だけでも、他の誰も動けないもしもの時に
一歩踏み出す力になるのでは、と思います。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
さて、ボク自身の記憶のことは別にしても、
長生の中で古き記憶が消えていくのは解ります。
実体験に基づきながらも薄れていった記憶のみに頼らない、
客観的な資料や取材を重ねての作品作りに
先生の創作に対しての真摯さとこだわりを思います。
けれども、懐かしさ故に調べ物が滞ってしまうのは確かに、
悩ましそうですし、楽しそうでも……楽しいと良いのですが！
今は昔以上に言葉の流行り廃りが早いとボクも聞きました。
知り合いの中には、現代語の扱いに長けたアヤカシもいますが、
先生の描かれる時代物には、読み手の世代や流行を
問わない言葉がしっくりくるな、と感じます。
（当たり前と言えば当たり前ですが……）
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
最後になりましたが、先生からのお手紙が届いた日に、
第五巻も春鳥書店に到着しました！
早速、たくさんのお客様がご購入くださいましたよ。
残念ながらまだ自分では新刊を拝読できていませんが、
表紙のデザインを目にしただけで心が踊りました。
あの三柱の海神が一体何を齎すか、
己の目でしかと見届けます。
寒い日がまだ続きますが、くれぐれもご自愛ください。
そして、先生にとっても幸多き一年でありますように。
雉笛の君
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[雉笛の君は、封筒に封をする前に暫し考え込む。
郷土玩具の絵柄の切手と、地域特産の和紙と思しきレターセットを目にした時、ある物品の存在をふと思い出していた。
それはこの街に来て「手紙」に関心を抱く前に、興味半分、懐かしさ半分で買っていたポストカード。
紙面の大きさにせよ文章の秘匿性にせよ、自分から出す手紙に直接用いるには適さないため、これまでずっと使わずにいたものだったが――]
そういえば、コレ、だったな……。
[よりにもよって「件のことわざ」が印字されたものだった。
悩みに悩んだ末、そのポストカードを同封することにする。
四葉のクローバーの話題を既に出してしまったとはいえ、ただの「お土産のお返し」にするなら、きっと押しつけがましくはならない筈、と。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[――乙姫のモデルになった者が誰なのか。
乙姫を描いた文筆家に対し、そのモデルが一体どんな話を明かしたのか。
そのことも与り知らぬまま、雉笛は友の尊さを示すカードを入れ、今度こそ封をする。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
追伸
先生のお手紙に使われた切手は、
民芸品をモチーフにしたものでしょうか。
封筒や便箋の和紙と合わせて、まるで旅のお土産のようで、
仕事終わりの疲れも癒されるくらいに和んでしまいました。
ボクからも、ポストカードを一枚同封してお送りいたします。
××町で輸入品として買ったものなので
厳密にはお土産とは言い難いのですが、
ボクら妖精と縁深かった人々が昔いた地で作られたものです。
魔法を解く力は特にない、ごく普通のカードですが、
ご友人に送られても、部屋に飾られても良いと思います。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【妖】 作家 添木(ソエギ)
[同封された白地のポストカードは、明るい緑色の絵が版画調に印刷されたもの。
四角い緑色の窓の中に、四葉のクローバーの文様が白抜きで描かれている。
そして同じく白抜きで、次のような文字が記されている。]
"A good friend is like a four-leaf clover,
hard to find and lucky to have."
[“良き友は四葉のクローバーの如し、
見つけるは難く、持つは幸なり”]
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-76
多分ですが、頂いたお手紙というご縁もありましたし
蛍籠はもう少し、この世界で頑張るんじゃないかなとか。
秋には民宿にいかねばなりませんし！ね！
なるほど。あのあたりは渦潮もあり
異界の門というのにはぴったりのシチュエーションなのかも。
帯、すごくわかる。イメージが浮かぶ……
5巻のテーマに、今の時代の便利になったことへの弊害というのを思いました。
街灯ができて、街路が明るくなり。アヤカシの潜む場所や
抑止力が減ってしまった現代を。
こういった人と密接にかかわってきた概念がテーマの村っていいなって思います。
神様しかり、アヤカシしかり。
ありがとうございます。今日も寒かったです……ふるふる
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
雉笛さんと添木さんのやりとりもいいなぁ。
となりつつ、うとうと。
この時間帯はちょっとねむくなりますね。
【妖】 作家 添木(ソエギ)
― 椿の精のひとりごと ―
[私の初恋は、まだ人の身を得る前の事。
その人は私の花を美しいと言って、熱心に世話を焼いてくれた。
優しい眼差しと立派な体格に似合わない丁寧な手つきに惹かれたの。
私が人の姿を取れる頃にはその人はいなくなってしまっていたけれど、その時の想いはこの身に確かに残っている。
だから、私は人が好き。
人と一緒に過ごせる時間は短いけれど、アヤカシ同士の方が長くいられるって分かっているけれど、
どうしても人に惹かれてしまう。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[出会った時、貴方も私と同じだと分かった。
どうしたって人との関わりを断つ事が出来ないアヤカシ。
きっと手足を得る前から、人に大切にされてきたんでしょう。
文鎮だから文ちゃんなんていう安直な綽名をつけたのも、そんな仲間意識からだったの。
私が綽名をつけてから、貴方は人の世界で名乗る時に文の字を付けるようになった。
それが特別に慕ってくれているみたいで嬉しかった。
そんな貴方を、弟分だと思って私なりに大切にしてきた心算。
だけど甘えてもいるのかもね。
貴方ならきっと我が儘を言ったって許してくれるでしょうって。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[きっと貴方は私が枯れた時、悲しんでくれるでしょう。
涙を流してくれるかもしれない。
──そうして、ずうっと私の事を覚えていてくれる筈。
この世界にお別れは二つあって。
身体がこの世界から消える時と、誰かの記憶の中から消えた時、なんですって。
貴方なら知っているでしょうけれど。
貴方が覚えていてくれたなら、私はこの愛しい世界に生き続ける事が出来る。
悲しませると分かっていながらそんな事を願う私を、許してくれるかしら。
許しを乞う心算はないけれど、きっと貴方ならって思ってもいる。
私の最後の花を貴方にあげるのは、そのお詫びの意味もあるのよね。]
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
こんばんは。
この時間は確かに眠気がやってきますね。
お手紙のお返事ありがとうございます。
表誤爆はお気になさらず。
昨日は自分も秘話と独り言を間違えそうになりました。
性質的に赤差分が似合わないPCなので、椿視点で使ってみました。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
こんばんは！
添木さんへのお返事を先に落としてからほたるちゃんのお返事書き途中のボクです。
明日朝のエピ終了までに間に合わせます……っ
と言っている私が言うのも説得力ありませんが、眠い時は無理せずに！
椿さん……椿さんいなくなっちゃう……の気持ちを雉笛は言えないかなしみ……
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
>>-88
良かった……！ですが、どうか無理なく……。
そうですね、民宿で大祓さんと再会して下さい。
あの辺りはそうなんですよね。人の手が及びにくい条件があるかなぁ、と。
表紙は濃い目の青系のイメージなので、帯は黄色系かな……（幻覚）
携帯があれば離れた場所といつでもやり取りできますし、写真も手軽に取って、個人で拡散出来る時代ですしね。
人以外のモノは生きづらくなってきているだろうとは。
こういう概念好きですね……。
よい村に出会い、PCさんと村を囲めて幸せです。
明日出社できるかしら、と思っている今日この頃です。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
椿さん……せつなみ……
眠気でロルが舞い降りてこないので灰でつぶやいったーしますが、
多分高３くらいで鬼の同級生さんと話す機会があって
実は幼少時に迷い込んだ異界で
自分を助けてくれたアヤカシの妹さんと判明、
2人は友人になります。ので、きっと
大人になってもきっと、座敷童の子と大祓さんに会いに行ったり
雉笛さんの手紙を楽しみに待つので
現世での暮らしをもう少し、がずるずるんと続きそうです。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-92
ありがとうございます。
いい……
ほんやさん よやくしに いかなきゃ（しめいかん
なるほどなぁと思いながら読みつつ
お手紙したかったなぁ……また機会が、あれば……
などと考えながら寝落ちのたいせい
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
椿さん、何だかんだで今の連れ合いは見送りますし、数十年くらいはいてくれるんじゃないかなと思っています。
アヤカシの時間の長さからしたら短いですが。
いつか来るお別れの日の事を事前に知らされないでいるよりはずっとよいかなと個人的には思っています。
虫の知らせみたいに感じ取って、お別れだから行きたくないと思っても、何だかんだで異界と人間界の境あたりにある椿の花を取りに行く添木みたいなのを想像しています。
予感を感じつつもずるずると先延ばしにして、
夢枕に立つ椿さんに急かされて渋々行く支度をする、もなくはなさそうですが。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
>>-93
アヤカシのお友達が出来るんですね。
良かった。
蛍籠さんに見える世界は人と違って。
大変だろうなと思ってしまいますが、寄り添ってくれる誰かがいるなら息苦しさも紛れるかもしれませんね。
>>-94
海蛍と夜光虫が浮かぶ夜がいいかなと思っています。
異世界感があって。
個人的に青が好きなのもありますが。
お手紙したかったですね。機会があれば是非！
体力をつけねば……。
【独】 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
/*
>>-96
アヤカシの友人というと、最初は大祓さんとこの座敷童ちゃんですが(余談）
近場で話を交わせる友人なら、この子が初めて。になりそうです。
いいですね……海ほたると夜光虫の浮かぶ夜。
少しだけ切ない景色。
と思うのは多分ポルノグラフティの歌をおもいだしちゃうから。（「うたかた」というやつです）
ですねー！機会がありましたらまたぜひぜひで！
そろそろねおち、そう。
なので村建て同村ありがとうございましたと各方面にお辞儀します……ぺこり
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
>>-97
失礼しました。
そうでしたね、最初の友人は座敷童さん。
座敷童さんも、鬼の子の行く末も、良いものでありますようにと願いつつ。
現在の龍宮たり得たのは平家の一族の敗北があってこそなので、少し切ない景色というのは合っていると思います。
なるほど、ポルノグラフィティ。いい曲ですね。
またの機会を楽しみに。
同村ありがとうございました。
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
>>-93にふむふむなるほどえっ同級生さんそうだったのか！！！！となりつつ、ほっと安心もしつつ
ねおち だいじに……！
改めて、一緒に遊んでくださり、ありがとうございました！
お手紙内容大分まとまっているんですが、私もちょっと無理せず、明日きちんと見直してから落としますね……！
添木さんは>>-90ありがとうございます……独り言と秘話間違いも……あるあるですよね……
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
そういえば反応大分遅れてしまったのですが、
添木さんの切手のお話>>-39や、龍宮のベースのお話>>-68をすごくふむふむと拝読していました。
美術の世界シリーズのイメージだったんですね……！
>>-76第五巻のお話もメモしつつ……
中の人は壇ノ浦や福岡の海辺の方にあまり行ったことがなかったので、お話を聞いて現地で『龍宮シリーズ』に思いを馳せてみたいな、という気持ちにもなったり！
【妖】 作家 添木(ソエギ)
― 1月某日 ―
[龍宮シリーズ第五巻が書店に並ぶ頃。
添木は自宅で買い溜めた本に目を通すのに時間を費やしていた。
人が書いた本は付喪神の心の栄養でもあるのだった。
新刊が出たという事は、次回作の構想を練らなければならないという事だ。
第四巻のあらすじはこうだ。
三柱の海神が運んできたのは、近年の人の技術の進歩と、それに伴う距離感についての相談だった。
海神達もまた、結界を張った独自の異界―溟―を持っているが、龍宮のように広く人を受け入れる体制ではない。
技術の進歩によって隠れる事が難しくなっているアヤカシ達の安息の地としての性質を持っていた。
溟の住民の比率はアヤカシが大多数で、人は何方かといえば搾取される側の立ち位置だった。
彼らはワダツミと、帝に問うた。
『このまま人の好きにさせていたら、我々の異界が浸食されてしまう。
今一度、人に海の強大さを、怖ろしさを知らしめなければならぬ。汝は如何か。』と。
道の最高神であり、航海の安全を司る三女神達は、反対を表明している。
ワダツミは人を己の異界に受け入れ続けてきた神。
龍宮がどうするかは人の手に委ねると帝に伝えた。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[帝は二十代半ばを過ぎたばかりの若者。
この選択が龍宮の存続に関わる可能性は高く、判断には慎重を期すべきだろうと広く意見を集める事とした。
三柱の神に協力すべきか、彼らを止めるべきか。
臣下の中でも意見は分かれる。
客人達は当然、自分達が生まれ育った土地が害される事は望まない。
彼らの意見は宮中には届かないかと思われたが、帝は客人の代表として数名を宮中に召し出した。
その中には航の姿もあった。
結局、地上に怖れを抱かせるべきと息巻く三柱の神達を宥め、地上への侵攻は取り止めとなる。
──そこには客人達との交流も一役買った。
怖れを抱かせて距離を置けたとしても、齎したで災禍で人が亡くなれば、恨みを生む。
それはきっとまた別の災禍を海に呼び込んでしまう。
出来る限り、穏便な形で地上と話す機会が持てないか、探ろうと。
けれどいずれこの龍宮の近くに人の手が届いてしまう日が来るだろう。
その時に龍宮は今の形を保てるのか。
地上の文化レベルの差は客人達の話や眷属達の見聞きした様子を聞けば明らか。
地上は地上。異界は異界。
結界と、技術不足という壁で守られているのに甘んじず、交渉できる力を蓄えなければ、失われてしまうだろう。
乙姫の提唱する地上の技術の具現化、定着化に、図らずも追い風が吹く形となった。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[異界と人間界との関係性に、やや踏み込んだ形となった今回の話。
読者達はどんな感想を抱くだろうか。
アヤカシ達は、あるいはアヤカシと敵対関係にある人達は。
──添木は、己の正体が国家のとある機関に補足されている事を知っている。
彼らが言う“アヤカシ文学”として、作品が研究対象となっているらしい。
付喪神は物語を描くだけで何かを起こすわけではないので黙認されているが、アヤカシから見た人間界であったり、長きを生きるアヤカシの思考や思想であったりを、考察されているようだ。
書面を通して問答の真似事をする事もあるが、時折、純粋な感想が届く事もある。
元より何かの思想を広める意図はないので好きに書かせて貰っているが、過ぎればお叱りを受ける事もあるのだろう。
今回の話は一石を投じるものとなるかもしれないが、ともかくも付喪神は止められない限り、己の頭に浮かぶ話を綴るばかりだ。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
[資料に目を通すのは、好きな時間の一つだ。
昔の事を思い出して懐かしんでしまったり、ストーリーには関係のない事に意識が移ってしまったりと中々進まないのが、森の中を散策するのにも似ている。
初稿の形が出来た頃、手紙は届いた。
白に赤い縁取りはよく映えており、金色の小さな梅を見れば、もうすぐ咲き始める頃合いか、と馴染みの植物園や公園に思いを馳せる。
切手の絵柄は湯気立つマグカップ。
まだ寒い頃には幾何かの温もりを感じさせるイラストに和んでしまう。
本文の筆跡は少し軽やかになった印象を受ける。
何か良い事でもあったのだろうか。
そう思いながら、文字を辿る。]
……おや。
[今回は、便箋の他に何か入っている様子。
ポストカードを目にすれば、思わず破顔してしまった。]
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
[今回の便箋は和便箋ではあるが、どちらかといえば愛らしい印象を受ける。
鳥の子紙であるのは前々回と同じだが、前回より少し赤みの加わった灰梅色。
左上に紅梅と、それに留まるシマエナガのイラストが描かれている。
シマエナガは“雪の妖精”と呼ばれているようだと知った為。
妖精であるという彼を連想して、つい買い求めてしまったのだ。
便箋は便箋と同じ材質と色で右下端に梅の枝が描かれている。
貼られている切手はお汁粉のイラストだ。
彼の貼ってくれたマグカップのイラストに似たものを探していたが、和便箋との相性を考えてこれにした。]
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[今回の便箋は和便箋ではあるが、どちらかといえば愛らしい印象を受ける。
鳥の子紙であるのは前々回と同じだが、前回より少し赤みの加わった灰梅色。
左上に紅梅と、それに留まるシマエナガのイラストが描かれている。
シマエナガは“雪の妖精”と呼ばれているようだと知った為。
妖精であるという彼を連想して、つい買い求めてしまったのだ。
便箋は便箋と同じ材質と色で右下端に梅の枝が描かれている。
貼られている切手はお汁粉のイラストだ。
彼の貼ってくれたマグカップのイラストに似たものを探していたが、和便箋との相性を考えてこれにした。]
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
雉笛の君
今日は雪晴れの空がすがすがしく、寒いながらも気落ちのいい朝を迎えました。
お元気でお過ごしでしょうか。
こちらこそ、今年もよろしくお願いいたします。
前回の手紙が届いた頃は、書店の方はお忙しかったでしょうか。
ありがとうございます。
もし時間が合えば、その時には直にお会い出来たらいいですね。
一応、私の写真は幾らか出回っていますが、名乗らなければ、きっと只のお客として終わる自身がありますよ。
帰りの時にでも、店長さんにお礼を差し上げる事が出来ればいいなとは思っていますが。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
えぇ、そうなのです。
意識が芽生える前から墨の香りを嗅いできたので、それが恋しくなってしまうのですよね。
持ち主の方が大切に扱ってくれたから今の私がある、と言っても過言ではありません。
今程サイクルが短くないにしても、魂の宿らぬ前に壊れてしまえば、付喪神にはなれませんから。
異国物は描いた事がないのですが、いずれ書いてみたいですね。
資料集めから入らなければいけませんが。
その時には、色々と聞かせて頂いても良いでしょうか？
海の方は大らかで、こういう異界があってもいいと言って下さいましたよ。
お住まいの近くの潮の流れや、訪れる魚の種類が変わりつつある事なども教えて頂き、とても勉強になりました。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
一人で取材に行く事が出来ればいいのですけれど。
私的な旅行としてであれば、足を運べるだろうと思いますが、今度、担当さんに聞いてみます。
此方の国では、確かに神隠しの方が有名ですね。
昨今では聞かなくなったのは、アヤカシが素性を隠して住むようになった時期と重なる気がします。
無闇に騒ぎを起こしては安住の地を追われる羽目になりますし、駆除対象となってしまう可能性もあり得ますので、余程起きないでしょうね。
共に生きてきた時代を覚えているからこそ、今の状況は寂しくもありますね。
エッセイですか。
異界で本を作る事が出来るなら、書く事は出来るかもしれませんね。
あるいは、別のキャラクターに私を投影して、という形であればこちらの世界でも実現できるかもしれません。
貴方が知りたいと思えば女王様に聞けば良いですし、そのままを望むのであればそれでも良いと思います。
どちらを選んだとしても、貴方は貴方だと思いますので。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
いえいえ、作品を読んで貴方が感じた事は貴方のものですので、どうぞお気になさらず。
あそこは航の勇気を表すシーンとして、帝が彼を気に留めるシーンとして描きましたが、女性である乙姫が自分の夢を叶えたいと思いを肯定する事も描きたかったのです。
担当さんのお話を聞いていると、結婚や出産を機に仕事を辞める方も多いようで。
職場に復帰される方も、望むような仕事を出来ないという場合があるそうです。
ひと昔前であれば海神の孫娘という立場であれば、婚姻を求められるのは当たり前でしたが、今の時代なら夢を追い求める事を肯定されて、応援されていいのではないかと。
貴方も航と同じように、望む事を選べていたなら幸いです。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
昔の貴方の話を想像すると、一体その時にどんな事があったのだろうと思いを巡らせてしまいますが、
今の貴方が良い環境に恵まれているようで良かったです。
ですが、どうか無理はなさいませんよう。
愚痴を零せる相手がいらっしゃるなら吐き出して、抱え過ぎないで下さいね。
適度に気を抜ける方が、踏ん張りも聞くものです。
ありがとうございます。
数百年生きておりますと付き合いや伝手もそれなりにありますし、古くから生きる先達として何かの助けになれればという、只それだけですよ。
私自身に大きな力があるわけではありませんので。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
きっと薄れゆくものを留めておきたいから書くのでしょうね。
紙に書けば、適切に保管されれば千年先にも残りますから。
私が書くのはフィクションですが、仮にも歴史に関わるものを書いている以上は、明らかな誤りがあってはいけないと思っています。
龍宮シリーズは、幾つかの時代が交じり合っているので資料も多いです。
調べ物は好きなのですが、うっかりすると空が暗くなっている事もしばしばで。
えぇ、昔はもう少しゆっくりだったのですけれどね。
航のような客人達はいますが、物語の設定上、現代社会から切り離されている分、流行を意識しないで済んでいます。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
お客さんの許に本が届いたようで何よりです。
第五巻を読者の方がどう受け取るかは、私も少しどきどきしております。
本は逃げませんので、お時間のある時にでもゆっくりと。
今回は三柱の海神を取り入れて貰ったのですよね。
彼らは龍宮の住民ではないので、これまでと異なった雰囲気を醸し出しているのではないかと思います。
もしよろしければ、感想を頂けたら嬉しいです。
寒さもこれからが本番です。
体調を崩さないよう気をつけてお過ごし下さい。
添木芳文
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
追伸
御明察です。
丁度、干支のものがあったのでつい購入してしまいました。
この民芸品を作っているところは何処だろうと、調べるのも楽しいですね。
それで疲れが癒されたのであれば何よりです。
ですが、くれぐれも無理はなさらず。
輸入品のポストカード、どうもありがとうございました。
早速、家に飾らせて頂きました。
窓の中に書かれた四葉のクローバーがとても愛らしいです。
それに、書いてある言葉も素晴らしくて。
良い友人と出会えたなら、それは宝ですので大事にしなければいけませんね。
この数百年で親しくさせて頂いているアヤカシも幾人かいますが、新しい友人が出来たらと思っていまして。
もしよろしければ、私と友人になって頂けたら嬉しいです。
【秘】 【妖】 作家 添木(ソエギ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[封筒の中には二枚の写真が入っている。
そこには、取材に行った際のワダツミの総本社の近くの風景。
そして壇ノ浦の海を遠景で撮ったもの。]
【妖】 作家 添木(ソエギ)
……勢いで書いてしまいましたが、大丈夫ですかね。
[そう呟いたのは、手紙の封をしてからの事。
彼と友人になれたら、と思って、書いてしまった。
驚かせてしまうかもしれない。
恐縮されるかもしれない。
少し悩んだものの、そのまま投函したのだった。]
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
こうなってしまうと、ほら こんな山奥だから
積もった雪が道かどうか分からなくなってしまうんですよ
歩いていたら何時足場を踏み外すことやら
［つらつらと机上の紙を泳ぐ筆先は会話の中でも滞ることなく。
今日もまた、女将と面向かいの中で穏やかな日々を過ごしていた。否、元の場所に戻ることが 今は難しくなったといえようか。］
そうですねぇ、何時溶けるかは分かりませんが
すぐとは言い切るのは難しいですね。
何せ、このような天気であれでこの寒さですから。
［そう言い三日月に弧を描く双眸は窓越しへと向けられる。
真白に覆われた土地を反射させ 銀に瞬かせるほどに冬の太陽は優しくも凛然と澄み切った青空に在った。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［帰ることができない。いや、帰らなくてもいい。
その環境に身を置くことへの安堵の心地が全身の力を解す。
そんな心情を知ってか、それとも知らずか。
目の前の女将は口を閉ざす自身の言葉を待つように視線はまた 書きかけの文へと移されたのだった。］
【秘】 【人】 女将 大祓(オオハラエ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
拝啓
凍てつく北風に、しんしんと降り積もっていく雪。
この寒さの中でも貴方様との一枚を見れば
暖かな陽気の春の匂いが戻ってきます。
優しく笑う貴方様のその顔も、声も。
写真はその時その時を切り取り 残すものといいますが
切り取って残っていくものは 表面に見えるものだけでなく
記憶に、心に残っているものなのかもしれません。
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［はたり、と筆が止まる。其処には 何時もの笑みで無し
何処か儚げな憂いを帯びた表情をした女将がいて。
声をかけるべきかを考えるも、それでも筆はまた進んでいく。］
【秘】 【人】 女将 大祓(オオハラエ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
時が経つとその記憶が擦り切れ 褪せていくもの。
りょうまさんはお若そうだからいいのだけども
私のような婆になりますと
褪せた色の記憶を辿ることさえ難しくなっていきますから。
こうやって見ては思い起こし、 その時を〝視る〟。
視て、残すことができる写真というものはほんによいものです。
また、りょうまさんがこの民宿に帰ってきたその折
その時は、どんな写真でございましょうかね
楽しみでございますよ
ええ、小説に雑誌……雑誌は少しばかり古いものですが。
小説は短編小説や推理小説。
他にも、一昔前の様相ですが幻想的なお話
———『龍宮シリーズ』とかも置かせて頂いています。
是非、景色を見ながら一緒に本を読みましょう。
【秘】 【人】 女将 大祓(オオハラエ) > 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
風邪を引かないのは 丈夫な証拠。
ですが、貴方様のおっしゃる通り
身体を温めることで気持ちも疲れも安らぐことができますからね。
冬解けのその日が待ち遠しいですね。
何時でも、此処でお待ちしておりますよ。
かしこ
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
ハイ、独り言と内緒話を間違えました。
便箋がちょっと可愛らしいチョイスかもしれませんが、シマエナガ＝雪の妖精からの雉笛さん……となってしまったんです。
シマエナガ成分は可愛いですが、紅梅が美しい和便箋でした。
（これまで書いた便箋はモデルありです）
>>-108
切手のデザイン、参考になるのはないかと、村中に何度か公式サイトを見に行っていました。
付喪神なので、モノがいいかなと。
第五巻は肉付けしてみました。
ワダツミ（三神）と住吉三神は、神話上、一緒のタイミングで生まれている神様なので、出せて良かったです。
PLは夜行バスで九州に行った際、壇ノ浦にバスが止まった事がありましたね。
夜なので、アナウンスを聞きながら今、壇ノ浦にいるのか……と思いを馳せていました。
また九州や壇ノ浦の辺りに行ってみたくなりました。
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［「外の空気を吸いたかったんです。」
少しばかりの沈黙の後、ぽつりと漏れた自身の言葉は本心だった。
人混みの中に押され 吊革にぶら下がり 遠く窓の外を眺める日々。
会社へと向かえば 上司の叱咤とノルマへの圧に跪くことしかできない日々。
同じ流れで、同じ業務を淡々とこなし、家で泥のように眠ってはまた明日と続いていくそんな当たり前から、逃げたかったのかもしれない。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［昔。
無意識に言ってしまった幼い自分の言葉。
そして。
その時の、
フラッシュバックは鳴り止まない。
置いてきた時間は色褪せていくもの、されど
――――されど、繰り返した数だけその時の後悔は鮮やかに 胸を突き刺す。
今の現実から逃げるという背筋をなぞるような後ろめたさは 大分昔に味わったものと酷く似ていたのだった。 ］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
そういうお客さんは多いんですよ。
此処は、ほら、山奥ですから。
［そっと温もりを感じた先を見れば 自身の手を女将の両手が包み込んでいた。
気が付けば、強く握り締めていたようで 手のひらに食い込んだ爪の跡からじんわり痛覚がにじむ。
ゆっくりと顔を上げれば そこには何時もと同じ―――然しながら 背筋を伝う冷たさまでも拭うような温かな微笑みがあった。］
………〝外〟の空気は、吸えましたか。
【独】 【妖】 作家 添木(ソエギ)
/*
こっそりと。
大祓さん、挟んでしまい申し訳ありませんでした。
ここにも龍宮シリーズが。
嬉しいです。
ありがとうございます。
添木は後三十年くらいは作家をしているのではないかと思います。
異国ものに挑戦したり、異界でエッセイ出ますかね。
それとも添木のような誰かの物語かもしれませんが。
お疲れ様でした。
皆様と村を囲めてとても楽しかったです。
また何処かの村でお会いできましたら幸いです。
目下は体力をつけておきたいと思います。
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［小さい頃に、とても仲が良かった子が妖だった。
日常的に〝視える〟わけでもなし、何故その子が見えて関わることができたのかは分からない。
ただ、その時は人間だと思っていたし、そういった類があるというのを耳にしたとしても 自分の身近にあるものとは考えもしていなかった。
だから、 また明日も遊ぼうねと 夕暮れ時の橙に染まった空の下で振り返ったあの時も、親友の頭の上に角が生えていたのを見て 目の錯覚かと思った。でも、何度も瞬きしても、 目を擦っても消えないその異物と 意を決したように言葉を紡ぐその様に これが現実だと脳がそう判断したその時に。
咄嗟に出てしまった一言。
その場に背を向けて 何処までも、何処までも足を動かし、 逃げ去った。
走っても、逃げても、頭の中から離れない。
自分のその一言を聞いた瞬間の、親友の表情は
目を伏せて 静かに薄くただ笑っていた。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
「温かな気分になれました。でも、……同時に胸にしこりが残っているというか。」
［上司に一方的に押し付けた有休は 果たしてちゃんと受理されているのだろうか。
どちらにせよ、この現状に対して目を背け 逃げている自分自身は 過去の 親友から逃げてしまった自分と重なって映ってしまう。続く言葉を見失っていると、女将は口火を切った。］
そのしこりというのは心残りでしょうか、それとも後悔でしょうか。
どうであれ貴方様がそれに気づいているのであれば
その解し方を見つけ、ゆっくり取り除くことはできると思いますよ
［何せ すっきりさせたいと貴方様の顔に書いてありますから、とそう告げて 女将の手はそうと離れていく。先程の温もりの余韻からか 冷たさが一層増して 自分自身の手をきゅうと握り締めた。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
「そう、書いてありますか。」
ええ。………もしかして 何をしたらいいのかはお分かりで、
それを行うための自信が必要なのやもしれませんね。
「………今からでも、遅くはないでしょうか。」
ふふ、貴方様も、この私もこの先未来の中で
今が一番若いんですよ
［新卒で入ったあの頃に戻ることは出来ないが、今から先の自分は変えることができる。
職も、生活の仕方でも、いくらでも。———外も内も、世界は自由だ。
なんとなしにぽうと心に熱のこもった心地が全身に伝わっていくような気がした。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
そんな貴方様に、あるお話をしましょうか。
冬を越えた春の長閑な気候に包まれたある日に訪れたお客様でしてね。
その方は旅の先に此方に辿り着かれてね―――――
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
/*
こっそり添木さんの隣に。
連投本当にすみません……時間がとれなかった
延長していただき本当に本当にありがとうございました。
添木さんの本が民宿にあり、大祓さんがこっそりファンで旅行客にせかされてファンレターを書く回とかプロットはあったんですが、進行中にもここでも出せなかったのが悔やまれます……！
きっとこの後の余生も添木さんの本が本棚にあったり、なんて。
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
―———そして頂いた手紙には また春先に来ます、と。
この上なく嬉しいものでございますねぇ。
［この地に訪れた人々は ただの観光もあるかもしれないが もしかしたら自分のような人間もいるのかもしれない。女将の、以前此方に来た客の話を聞きながら 「便箋と封筒はまだありますか。」、と釘るように声をかける。あらあら、と頬に手を添えて女将は薄く笑み。］
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
ふふ、勿論たくさんございますよ。
他にも書きたい方がいらっしゃいますか？
［その言葉にまたふと浮かび上がる昔の―――親友のあの諦めたような表情。逃げずに向き合うための一歩として その残像から逸らさずに 大きく頷いた。が、ふと思い立ったことにがくりと肩を落として。］
「………でも、住所が分からないと 届いたりとかしないですよね。」
……もしかしたら、不思議なことがおきたりするかもしれませんよ。
それに、貴方様のそれが一歩 なのでしょう？
【人】 女将 大祓(オオハラエ)
［目を細めて いくつかの便箋の中から親友の目の色に近い 鳶色を手に取り 筆に取る。一瞬逡巡し されど意を決したように進めていく筆先は普段使わないからかぎこちなくあったが それでも素直に思いを載せていく。女将は微笑まし気に 然しながら途中から視線が外れていく。そんなことにもお構いなく、長年のフラッシュバックへの思いは途切れることなく。
あの時はごめん。
そんな顔をさせてごめん。
———また、あの時のように笑って話すことができる日がくれば。
つらつらと書かれていく最後の行に、ぽとりと落ちた 一滴の滴。
その先へと視線を向けるも誰もおらず 上を見ても 雨漏りでもなく。
でも、滲んだその墨痕に 何故だか酷く安堵を覚えてしまうのだった。］
……… よかったね、嬉しい手紙だねぇ。
【独】 【人】 女将 大祓(オオハラエ)
/*
ごめんなさい、タイムアップ……
蛍籠ちゃんのお手紙のお返事書きたかったぐぬぬ
今回の村で女将さんとの手紙のやり取りの中で一人称視点の旅行客の話も進めていき、一人称視点の旅行客にも手紙を書かせてみたいな～～と思ってました。
駆け足すぎました。
旅行客の方がお手紙書く中で、おばあちゃんの視線の先にはきっと見えないものがいたんでしょうね。
村建て様は企画、運営等本当にありがとうございました！
特に４８ｈ村で本当に私としてはありがたい設定でした……２４ｈは中々余裕が無く……
先日申しましたが手紙村が好きなのでまた今後あったときも遠くで見守るか、或いは時間があれば入らせて頂けたらと思います。
同村した方々もありがとうございました！楽しかった！！ですね！！
また何処かでお会いしたときはよろしくお願いいたします！
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[さて、その日に書店に届いた、南天と雪が彩る封筒。
ペット禁止のアパートの部屋で、切手とシールとにそれぞれ描かれた柴犬に目元を緩ませる。
封の口を守る柴犬を破いてしまわぬよう、はさみで封筒の上部を切って、中の手紙を読み進め――]
え、 ええっ！？
[思わず挙げてしまった大声は、その時風呂に入っていた秋鳥には聞こえなかったようだが、隣室にまで声が響いていないとは限らない。
努めて落ち着きを保ちながら、続きの文字を静かに目で追う。]
（ それっぽい子……
いた、気はする、けど…… ）
[民宿のアルバムの写真、そしてあの宿で女将以外に出会った者の記憶を引っ張り出してみるが――。
妖精の忘れっぽさがこの時に災いして、これだ、と確信に至れる記憶に辿り着けない。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[そしてもう一つ、自分が前回の手紙で筆を滑らせてしまったと思しきことも、手紙には綴られていた。]
（ しまったな。
そりゃ、心配にもなるよな……。 ）
[書き記すにも少々物騒な話だったが、変に隠すことも憚られ、雉笛の君は筆を執る。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
[切手の絵柄は冬らしく、雪降る室内に灯るキャンドル。
けれども封筒は春の意匠で、薄紅色の紙に淡い緑色の葉が描かれたもの。
便箋に使われている紙は封筒の葉模様と同色の淡い緑色で、やはり封筒の地と同色の薄紅の桜花が描かれている。]
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
蛍籠
お手紙ありがとう、蛍籠。
猫の切手だけでなく絵も楽しんで貰えて良かった！
干支のモチーフが手元で見つからず、
それでボクなりに表してみたものだったんだ。
二匹の柴犬、凛としながらも可愛かったよ。
犬に親近感を覚えるのはボクが狩人だからかな。
今は住まいの事情もあって犬を飼えないけれど、
思わぬ形で手元に送って貰えて嬉しかったな。
女王様の元を発ってからそれなりの時が経ち、
今どのようなご様子か、とボクも思うところ。
あの方にも、この人間界から手紙を
送ることが叶えば良いのだけれど……。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
大祓さんの宿に蛍籠も泊まったことがあったんだね。
まさかの偶然に、思わず声を上げてしまったよ。
ボクが見たアルバムの写真の中にも
アナタの姿があったんだと思うと、
もう一度見返したい、ってすごく気になるよ！
そういえば、ボクが泊まった時にも、
小さな女の子がいたような気がしたけど……
ボクの見た目が大人の男性だったからか、
その子に声を掛けられた覚えがないんだよな。
次の春にもう一度、大祓さんの民宿にさ、
帰ろうと考えているところなんだ。
（帰りを待っている、とあの人は伝えてくれた！）
その時に、あの子ともちゃんと話ができたらいいな。
多分、ボクが言うまでもないことだと思うけど、
女将さんはきっと蛍籠の「帰り」も待ってくれてる。
アナタが宿で出会った子も、きっとそうだと思うよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
疲れてしまう現状に慣れるのは悪いことだと
語る人もいるし、事実、そうである場面もある。
けれど、どうにか現実を受け入れることも、
自分や目の前の相手の為に必要な時がある。
今の蛍籠のいる場所は後者なんだろう、と思う。
それでも未来を思い、小さなところから、
自分はこうであるよう勤めていこう、という
アナタの言葉に触れて安心した。
その思いもまた、今この世界を生きるための
支えになれる筈って、ボクは信じているよ。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
そういえば妖精界の雨の話、ちゃんと書いてなかったな。
一過性のこともあるし、断続的に繰り返しもする。
ボクら妖精には気まぐれなところがあるのだけど、
雨の降り方にも少し似ている節があるかな。
そして労わりの言葉、ありがとう。
次の梅雨の時は、覚悟して頑張ってやり過ごすよ。
そしてお褒めいただいて鼻が高い……なんてね。
おにぎりを作るのが一番簡単だったから、
今のところは昆布おにぎりのお弁当ばかりかな。
サンドイッチも作れるようになってみたいけれど
綺麗な形に切る自信はまだないな……。
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
それと、心配かけさせてしまって、ごめん。
あまり大きな声では言えないのだけれど……
つい去年に、悪いアヤカシを狩る人間に
狩られて死にかけたことがあったんだよ。
もっとも、様々な方面のお陰で命は助かったし、
どうにか駆除の対象からも外して貰えたから、
今はもう、心配することは何もない。
傷も癒えはしたけど……身体、大事にするね。
本当のことを言うと、ボクの本質はあまり、
人間に対して善良とは言い難い。
側に長くいる人間の心を奪う……という性質は
確かに人の世の秩序からすれば好ましくない。
幸い、この性質を抑える道具を作ってくれた方のお陰で、
今は人間とも心穏やかに付き合えてる。
本当に、感謝してもしきれなくて……
【秘】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ) > 【人】 学生 蛍籠(ホタルカゴ)
だからこそ今、ボクの本性を受け入れてくれる
あの人の隣にいることも許されている。
そして、アナタと共に食べ歩きしたいって夢も、
罪の意識無しに見ることができるんだ。
蛍籠が頑張ってくれるのは心強いけれど、
ボクの迷惑にはならないよう、って考えなくて……
ううん、考えてくれてもいい！ だってそれは、
蛍籠がボクの為に頑張ってくれるってことだから。
だからボクも、蛍籠にとってのよすがでありたい。
アナタの手を確りと握りしめる、そのひとりに。
アナタがくれた手紙のなごり雪に相応しく、
少しずつ春に近づいている折。
暖かな日差しを待ち遠しく思いながら、願う。
これからも互いに幸を分かち合えるように。
雉笛の君
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
ほたるちゃんへのお返事間に合った……！
そして添木先生と女将さんのお手紙も みました ！！ ああああああありがとうございます……！
先生からシマエナガが来た……だと……
そして女将さんの家にも龍宮シリーズがあることを把握してそわそわしております。
お手紙としてのお返事はお返ししきれないかもですが、残り時間でなんとか書けるところだけでも落としたいところです。
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
― 雪解ける頃 ―
[雉笛はヒトの姿で、小さな荷物を抱えてアパートの部屋を出る。
鞄の中に相変わらずスマートフォンは無かったが、その手には部屋の合鍵が握られている。]
それじゃあ、お言葉に甘えて
ひとりで有給消化してきますね、ご主人。
……ちゃんと無事に帰ってきますから。
[店主である秋鳥はこの時期の勤務に穴を開けられず、この町に留まるとのこと。
雉笛の行き先はもともと携帯圏外の地だったが、公衆電話の数も減っている中、旅先での連絡が取りづらいことに対しての心配は当然のようにあって――。
大丈夫、と屈託なく笑ってから、雉笛はアパートの階段を下りていく。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[雉笛は鳥呼びの笛。
雉に似せた音色で雉をおびき寄せる、狩人の道具。
狩りの名手であるのみならず、ヒトを惑わす魔性をも有する妖精にこの名を授けた森の女王は、蛍籠が記した通り、人の世界とその妖精とをよく見聞きした知者に違いない。
雉笛の君が己の本質を自覚してなお、ヒトの前で「雉笛」を名乗り続けるのは、自らへの戒めのため。
それでもこれから行く――否、「帰る」先では、狩人の名から暫く離れてしまっても良いと「りょうま」は思う。
いい加減な気まぐれで名乗った名が、今はその妖精に肩の力を抜かせていた。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[道中の電車の窓際で、黒いフーディーを羽織った雉笛は便箋を広げ、記された文字に改めて視線を落とす。
その一瞬にあった姿と記憶を切り取り残していくのが写真であれば、文字によって綴られた手紙は、時間をかけて心の動きや在り方を残していくものか。
ヒトとしての大元の記憶を失い、アヤカシと化してからの記憶も時にいい加減になるこの妖精は、褪せた記憶の色を辿ることさえ難くなっていくというその人の経てきた生を思う。]
『また是非、女将さんと 写真を撮りたいです。
去年の春とはまた違う その時を
残せたら と 楽しみにしています。』
[出立の前に雉笛が書き記した手紙には、そんな一文がある。]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[……そしてもう一通、とあるもうひとりからの手紙も携えている。
正確には、一通の手紙と二枚の写真。
鳥の子紙の封筒の中に、紅梅に留まる「雪の妖精」と共に、丁寧に折りたたまれて在る。]
（ 実は添木先生と手紙の遣り取りしていた……
って言っても自慢ったらしくならない、よな？
折角だから、女将さんに写真も見せたいし……。 ）
[かの人、もといかのアヤカシから「私と友人になって頂けたら」と伝えられたことまでは、流石に畏れ多さが勝って打ち明けるのを憚られるも。
添木に対しての雉笛の答え自体は、「よろこんで！」以外に無い！]
【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
[この頃には既に『龍宮』第五巻の単行本は雉笛の手元にあったのだが、書店の多忙と物語の味読との両方で、まだ感想の手紙を書くことはできていないが――。
ヒトの住まう地上と海の異界との距離感、異なる立場からの考えの相違と災禍の回避。
自身が身を以て体験したことも振り返れば決して他所事でないこの物語は、けれども、アヤカシのことを何も知らない人間の心を支える物語にもなれればと、このひとりの読者は思う。]
（ 女将さんも新刊、買ってるかな。
一緒に感想会できたら……なんて、ね。 ）
[近代的な町の建物もまばらになり、田畑や山の木々が広がりゆく景色を側に、雉笛はそんな夢を見てしまうのだ。]
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
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自分の遅筆を考慮してこうした形でのお返しになりましたが、改めて、お二方ともお手紙ありがとうございます。
添木先生と友達になれるなんてファン兼書店員は尊さで死んでしまう いや 死なないですが！！
大祓さんは本当にお忙しい中、顔出しもロル、お手紙もありがとうございます！
女将さんも添木さんファンだったプロットが……！と驚きつつ、
旅行客さんの物語もすごく切なかった……お客様のお手紙もありがとう……
【独】 【妖】 書店員 雉笛(キジブエ)
/*
村閉じ間近なので、急いでご挨拶を……
改めて、参加者の皆様、お疲れ様でした！
忙しい時期にも遊べる村を……というコンセプトでしたが、本当にお忙しい中でも楽しんで貰える村にできたなら何よりです。
突然死があったことは残念ですが、皆様ひとりひとりみんな素敵な方で、また共にお手紙を交わしたり素敵な物語を描いていただけたりで、
村建てとしても、ひとりの参加者としても、本当に幸せな村を過ごせて良かったと思っています。
皆様、この度は一緒に遊んでくださり、ありがとうございました！
手紙村も含めて、またどこかでお会いした時には、どうぞよろしくお願いいたします。
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