錬金術師 ラヴェーナ

祭り前日：工房にてライトと

[ちゃっかりした言い分は何だか憎めなくて
しょうがないなあって気持ちになっちゃう。>>0:416
長年皆の「弟」をやって来たからなのか
甘え上手なとこ、ライトの魅力だよね。

…そんな弟分なのに、
今は何だか生温かい眼差しでボクを見ている。>>0:417

だからほんとになんでもないんだって！！
って言えば言う程ドツボに嵌っていく気がして、
ぐぬう…と赤い顔で呻いた。>>0:418]

まあ…そう…髪かな……
花飾りと一緒に……
花言葉？知らないそんなの。
別に何でもいいじゃん。

[お呪いをかけてくれながらも追及の手を留めないライトに
ぶすっとした顔をしながら。]

錬金術師 ラヴェーナ

…………可愛くなんて。

[ならないし。なによそのおまじない。
ハーブを取り出して何やらもにょもにょしてるライトに
続けようとした言葉は途中で切れてしまう。

ラヴは魅力的なんだ、なんて。
大真面目に語る誰かさんの声が
フラッシュバックしたせいだ。
邪魔だから！勝手に人の脳内に出張って来ないでくれる！？]

…てゆか。

錬金術師 ラヴェーナ

露骨に話そらしたよね今？？？
結局ライトは誰か誘うワケぇ？？
首飾りが必要なら駆け込みで受け付けてますけどぉ？？？

[そして、やられっぱなしも癪なので。
ジト目でずずいと顔を近づけて
強引に話を戻すボクだった。

こんな言い方だけど、
もしもそういうつもりがあるのなら
ボクは姉分として純粋に見守っているよ。**]

錬金術師 ラヴェーナ

―　アッシャー祭・当日　―

[結局夜遅くまでなかなか寝付けなくて、
うとうとして気付いたらもう日が昇っていた。

窓を開ければ柔らかな春の陽気。
ライトが頑張ったおかげで
絶好のお祭り日和だってのに
朝食の後で手紙と一緒に貰ったお菓子を食べながら
ボクは往生際悪くうだうだしていた。

別にあんな手紙、無視したっていいんだ。
してもいいけど……]

錬金術師 ラヴェーナ

「何も言わずに終わっちまう方が……」
「いいなって思ってた奴がとっくに知ってるやつと付き合ってて…」

[いつかのアロイスの言葉がぐるぐる頭の中で回る。>>0:348

正直気持ちの整理とか全然ついてないけど、
ボクが仮にここで行かなかったとして……
待ちぼうけ喰らって傷心のコウにいは
どっかの女の子に誘われて踊ったりするかもしれないってことでしょ。

よくよく考えたらあの見た目だもん。
ボクが知らないだけで狙ってる子とか居るのかもしれないし
それはボクよりずっとかわいい子かもしれない。
そんでなんかいい感じになってさらーっと結婚しちゃったりして……
…な、なにそれ！腹立つ！！！女の子ならだれでもいいわけ！？

彼からすればあまりに理不尽極まりない言い分で
一人で勝手に妄想して勝手に憤って百面相するボクだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ああ、そうだ。
そう言えばアロイスは。
「大事にしろよ」とも言ってたっけ。

ほんとに余計なお世話だよ。
ちゃんと分かってるよ。

きっと勇気を出してくれたのであろう、真面目なお誘いを。
こんな、こんなしょうもない意地と弱虫で
無碍にしていいわけないことくらい。]

錬金術師 ラヴェーナ

[まあ、あれこれ考えてみても
所詮は悪あがきでしかなくって。
手は慣れた様子で髪を梳いて
勝手に準備を整えていた。

いつもは動きやすいように
二つ結びにしている髪を背まで下ろして
杏の花の髪飾りとミモザの花を丁寧に編み込んでいく。

髪の結い方は、
出てく時に自分の家財道具とか
なんもかんも持ってっちゃった母さんが
ボクに残してくれた数少ないものの一つ。

母さんは髪を結うのが上手で
ボクはそうして貰うのが好きだったな。
術の才能はからきしの母さんだったけど、
それはまるで魔法みたいで。
本当にお姫様になったみたいだった。]

錬金術師 ラヴェーナ

……はあ。


[鏡に映る自分は何とも言えない顔してる。
世の乙女はデートの前って
もっとウキウキしてるんじゃないのかな？？
なんか考えすぎてよく分かんなくなってきたな。

もういいや。取りあえず顔を見てから考えよう。って
変な開き直りの境地に達しつつあるボクだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ところで母さんは出ていく時に
粗方持って行ってしまったと言ったね。
つまりどういうことかというと
ボクは伝統衣装なんてもの持ってないわけだ。

錬成しようと思えばできるのかもしれないけど
ボクの服飾のデザインなんて出来ないし
そもそも当日にやるには遅すぎる。

仕方ないので普段着……の中で
何か使えそうなものがないかを探していると、
……見つけた。]

錬金術師 ラヴェーナ

[本当にボクが小さなころに
お祭りで着てた伝統衣装。

勿論サイズは子供のものだけど、
これなら錬金術でちょっと背丈を弄れば行ける。
デザインも白基調に刺繍が入ったシンプルなワンピースだし、
大人が着てもそんなにおかしいものじゃないだろう。

そんなわけで準備を整えて、靴を履いて、家を出た。
そんなことやってるとそれなりに時間がかかったので、
きっと待たせてしまったことだろう。

…が、待ち合わせ時間を書いてない方が悪いんだ。
ボクは謝らないぞ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[開き直ったつもりだったのに、
広場の門に近づくにつれてだんだん足が重くなる。

やっぱ何もかも間違いだったりしないかな。しないよな。
なんて思いながら歩いてると門が見えて来て、
その人の姿が目に入って。>>21]

（……う、）

[門の近くにはそれなりに人がいるのに
一発で見つけてしまった己の目が憎い。

なんかいつもと違って洒落た服着て、
いかにも人待ってますって感じで
落ち着かなそうにきょろきょろしてて、
あー、あーーー！もーーー！！

立ち止まって、一度すう、と深く息を吸い込んで、
ずんずんとそっちに向かって歩き出した。]

錬金術師 ラヴェーナ

[後ろから近づいて、そっぽを向いたまま
つん、とその背をつつく。]


………　おはよ。


[うう。
いつもなら会うなり新作頂戴！って
元気にねだってるとこなのに、
なんか、なんか、どんな顔していいかわかんない。

決まり悪そうにもにょもにょしながら
ちらりと様子を窺って。**]

錬金術師 ラヴェーナ

祭り前日・工房にてライトと

[確かにライトに対しては
お姉さんぶっているのが常だから
こんな顔見せるのは珍しいかもしれない。
ボクとしては不本意だけども！

花言葉…そう言えばさっきフローラも
何となく物言いたげに花を見てたな。
なんなのさもう！そんな深い意味ないよきっと！
たまたまそのへんにあったからくれただけでしょ！

大体ライトってばいつのまに
そんなのに詳しくなったわけ？もう！>>9

ぷりぷりしていたが、やんわりと――
けれど断定口調で明言されてしまい　
う、と言葉に詰まった。]

錬金術師 ラヴェーナ

……別に、ライトのおまじないを
疑ってるわけじゃないけどさ。


[優しく言い含められて、
可愛い弟分のライトが、
何だか急に大人びて見えた。
今この場に限ってはボクの方が子供みたい。

そうだよね。ライトだって大人になる。
ボクの知らないうちに色んな事考えるようになってって、
きっといつの間にか　恋、とかするんだ。

――…恋か。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ま、蒸し返されて咽るあたり
まだまだツメが甘いとも言える。
何よいつも通りって。やけに強調するじゃん。]

ふーーーん？

[ぽろっと零れた言葉的に、首飾りをあげたい子はいるみたいだし？
つまり"いつも周ってる子"と何かあるってことなの、
なんて邪推はしてしまうけど。
まあいいんだけど。]

ボク〜？？
だぁーから何も予定ないって言ってるじゃん。
首飾りなんか必要ないよ。第一あんなの嘘っぱちだし。

[お客相手にはあるまじき発言だけど、
ライトだからいいでしょ。
追及に半目で答えつつ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[…でも、そうだな。
ボクもこんな応酬に、意地を張り続けることに
いい加減ちょっと疲れてきてたのかもしれない。
魔が差したとも言う。]

錬金術師 ラヴェーナ

…………信じらんないの。

首飾りを贈ったら幸せになれるとか、
お祭りの日に結ばれたら長続きするとか、そういうの。

誰かと恋人になって、その時は幸せでも、
いつかは壊れちゃうんじゃないかなって。
それなら、何もしない方がましだって。


[ぽろりと零した本音を、ライトはどう受け取ったかな。
何にせよ、なんてね、とか言って
すぐに明るく笑ってみせたけどね。**]

錬金術師 ラヴェーナ

[軽く背を突けばコウにいが振り向いて、
ボクに目を止めて数秒程絶句する。>>40
なに、どういう感情よそれ。

沈黙の後ようやく返って来た挨拶に
ちらっと様子を窺えば
眉を下げた照れくさそうな苦笑が見えて。

その顔だけでなんかもうボクは
どうしようもなくむずむずしてしまったってのに。]

…　へっ　はぁっ？？？？？？？
なな、何言ってんの！？大袈裟だよ！！

[続いた台詞に、今度はこっちが固まってしまう。
ぶわーーーっと一瞬で顔に血が上って。]

錬金術師 ラヴェーナ

[いや、コウにいは確かに女ッ気ないけど
お洒落してる人は素直に褒めるタイプだ。>>0:222
だけど、だけど、こんな歯の浮くような台詞、
さらっと言える人だったっけ！？！？

動揺しているボクを他所に、
コウにいが本当に嬉しそうに手を差し出してきて。
たとえるなら普段お菓子を食べているボクを見つめてる時の顔に
10倍くらい砂糖を足したような感じだった。
そして困ったことにボクはこの顔にとても弱い。

え、てかなにこの手。
もしかしてもしかしなくても握れってことですか。
なにその…デートみたいな…いやデートなのか…そうか…]

錬金術師 ラヴェーナ

あ、………………あの、……えっと………
……ど、どういたしまして…？

[絶対この返事は適切じゃない気がするんだけど、
場数が少なすぎてなにもわからん。
顔見たら言おうと思ってたなんやかんや（主に文句）も
全部飛んでしまって。

彼の手を見て、コウにいの顔を見て、また手を見て、って
ボクがおろおろしてる間もコウにいは
じーーーーーっとこっちを見つめてるもんだから
さっきから心臓が本当に落ち着かない。]

…み、見すぎ！！！！

[って思わず睨んで叫んだあと、
勢いに任せてその手を取った。**]

錬金術師 ラヴェーナ

……そ、れは……だって
今日のコウにい、いつもと雰囲気違うから…
………ど、どんな顔していいか、わかんないんだもん…


[それは格好もだけど。
否定に賛辞の上塗りで返されることもそうだけど。>>61

普段ならこんな風に言ったら
慌ててすまないって目を逸らしそうなものなのに
今は目を逸らすどころかますます見つめて来られて。

お祭りの浮ついた空気がそうさせるのか、
それとも、ボクがここに来たことが
そんなに嬉しいんだろうか…>>63なんて。
ごにょごにょと赤い顔で言いよどんで。]

錬金術師 ラヴェーナ

[自分よりも一回り大きな手が
ぎゅっと小さく力を籠める。
自分の手汗とかすごそうでひよったけど、
それ以上に離したくない、…なんて、思っちゃって。

こくりと頷き、ゆっくりと人混みの中を歩き出した。]

………ほ、ほんとだよ。急すぎ。
何で今年になって急に………こんな………

[そんな素振りを見せて来なかったって言うのは本当にそうだ。
今までボクの前でのコウにいって
見守ってくれる幼馴染のお兄さん、の顔をしてた、と思う。
だからこそボクもずっと甘えて、油断していて……]

錬金術師 ラヴェーナ

（……ボクのこと、いつから誘いたいって思ってたの）

[そんな疑問が自然と顔を出す。
コウにいにとってだって、ボクって、子供の頃から知ってる女の子。
そう言う対象としては見られなくたっておかしくないのに。
ふわふわとりとめない思考の渦に飲まれていると、
不意に彼が花飾りに視線を向けて。]

へっ、　えっ、　え……っと、

[あの時の言い方的に――>>0:312>>0:313
フローラはボクが今日これをコウにいに
見せることを見越して選んだんだろうから
偶然じゃないと言えば偶然じゃない。
けど、ボクが選んだと言うのも語弊がある気がして。
若干迷った挙句、正直に話すことにした。]

錬金術師 ラヴェーナ

これは…フローラが。
ほら、毎年花飾り配ってるでしょ。
一番似合うの選んで、って言ったらこれをくれて。
それで……その、コウにいも見たことあるんじゃないか、とは言ってたけど。

[まあ、普段普段着でお祭りを回っているボクを知っていれば
ボクが花飾りを欲しがったってだけで
ちょっとその、だいぶ特別っていうのは、
悟られてしまうのかもしれない。
いやもうここに来てる時点で今更だけど！
今更だけど、やたらむず痒くて、じんわり顔が熱くなる。]

…花と言えばだけどさ。
コウにいって花言葉とか知ってる人なの。
ミモザがどうこうってライトが言ってたんだけど。

[そしてふと思い出して唐突に聞いてみる。
多分大した話じゃないんだろうけど、
ああ意味深に言われると気になるわけで。**]

錬金術師 ラヴェーナ

祭り前日・工房でライトと

………

[ぽつっと零した台詞を受けてライトが返す。
それをボクは彼の顔を見て、
黙って聞いていた。>>72>>73

首飾りを贈ったから幸せになるわけじゃなくて、
幸せになりたいから首飾りを贈る。
…そんな風に考えるのは、やっぱりライトがお呪いを扱ってるから
人の想いみたいなものに対して一家言あったりするのかな。

無から有は作れない。
お祭りの言い伝えは、元々あるものをほんの少し後押しするだけ。
だから必要以上に怯えることなんてないのだと、
そんな風に言われている気がした。

長年凝り固まったものがすぐに溶けるわけじゃない。
けれどその言葉はじんわりと胸の奥底に沁みて。]

錬金術師 ラヴェーナ

……うん、……

[幸せになれる、なんて
信じられる相手を見つけろ、なんて
君が明るく言い切って笑うから。

不覚にも何だかちょっと泣きそうになってしまって、
頭をぽふぽふしながら悪戯な笑みを浮かべるライトに
くしゃっと笑って小さく鼻を鳴らした。]

ライト、知らない間にかっこよくなったね。
……ふふふ。生意気。ありがと。

[つん、と赤毛熊をつついた後。
指先でそっと目尻を拭った。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ま、その後悪い笑みを浮かべたライトが
付け足した不穏な台詞には思わず吹き出してしまったけど。]

あははは。心強いよ。
そんな事態にならないに越したことは無いけどね。

[いや多分冗談だと思うけど、なかなかえげつない呪いだ。
呪術師を敵に回すもんじゃないなァ……としみじみ思いながら。
そんな風にして、工房での一幕は過ぎて行っただろう。**]

錬金術師 ラヴェーナ

[じゃなかったらおめかしして来ないよ！ばか！！
ってもし心の声が知れたら暴れ散らかしてたかもしれない。>>83

実際、そんな素振りなかったから
気楽に店に行けてたってのはそうで。
コウにいにボクの恋愛観について話したことはないけど、どこまで見透かされてたんだろってふと思う。

杏の花について正直に話せばコウにいが押し黙って。>>84
隣を歩くその顔がみるみる赤くなっていく。
その内心は知れず、不思議そうに首をかしげたけど。]

錬金術師 ラヴェーナ

ーー、

[何気なしに問えば、更に顔が真っ赤になって。>>87
あからさまにうろたえるコウにいに
ボクは目をまんまるにした。
え、なにその反応。
相変わらず誤魔化すのが下手な彼は
やっぱり曖昧な言葉で煙に巻こうとしていて。

いや、そんなの...
どんな花言葉か直接教えて貰えなくてもさ。
そんなのもう特別な意味を込めて贈りましたって
言ってるようなもんじゃん。]

錬金術師 ラヴェーナ

.........、

[釣られてボクの顔まで赤くなってしまう。
一応教えてくれるつもりはあるみたいだけど。
この時点で既に割とお腹いっぱいなんですけど。]

わ、わかったよ。

[小さく頷いて、その場は収めることにした。]

錬金術師 ラヴェーナ

へ？
そっ、そりゃ、知ってるけど...

[そうして道中で誘われたのは
花畑にテーブルが設置されたカフェだった。

いかにもデートでいちゃつくための場所！！！！って感じで、当然のようにカップルで埋まっている。
ボクには一番縁のないようなとこだと思ってたわけだけど。]

いい、行きたいの！？ボクと！？
ああいうとこに！？

[思わず鸚鵡返しにしちゃう。
そんなこと考えてたの！？割と前から！？
ひとしきり動揺してみせた後で、俯いて。
きゅ、と握ったままの手を握ってぼそぼそと口を開いた。]

錬金術師 ラヴェーナ

.....いやまあ......いいけど.........

[そりゃ、そりゃさ。
そこまで察し悪くありませんよ。
会ってからずーっとコウにいデレデレしてる(※主観)し、
どんなつもりで誘ってくれたのかなんて、
期待しないようにとか言い訳する隙もなく
ひしひし伝わってくるし。

...ああ、そっか。
期待してるのか、ボクは。
あんだけ散々恋なんてしないなんて
予防線張って。

きっとこれで、今日なにもなく終わったら
不貞腐れてしまうんだろうな。
我ながらほんとにめんどくさいやつだ。
不貞腐れたように視線をそらして。]

錬金術師 ラヴェーナ

......コウにいこそ、
ほんとにちゃんと分かってる？

特別なお祭りで、
男の人が女の子を
どういう意味で誘うか知ってて、

...ボクがこーんなお洒落してここにいるのが
どういうことかってさぁ。

錬金術師 ラヴェーナ

[ほんとにもう！ボクがだよ！このボクが！
昨日からどんだけ葛藤して
ここにいると思ってるんだ！
君は知らないんだろうけど！

年の差を気にしてるのか知らないけど、
なーんか微妙に自信なさげにしてるし！
いやそんな不器用なとこもきらいじゃないけど
君はもっと自惚れてもいいんだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

...あんな手紙、
コウにいからじゃなかったら今日ここに来てないよ。

錬金術師 ラヴェーナ

...行こ。


[そっぽを向いたまま、ぐいっと手を引いて。
コウにいの反応をよそに
さっさとカフェの方に向かおうとしただろう。**]

錬金術師 ラヴェーナ

[さっさとカフェに歩き出そうとすれば
指の間にコウにいのそれが滑り込むように絡まる。
ぎゅ、力強くと握られて思わず顔を見上げれば
柔らかな微笑みがボクを見つめていた。>>158]


......　うん。


[やっぱりその顔を直視できなくて
ぱっと視線をそらしてしまう。
唇をむにょむにょさせながら
ほんのささやかにだけ指先に力をこめた。]

錬金術師 ラヴェーナ

[カフェの店員は村の人で、へえ〜、みたいな顔でボクらを見ていた。
それもなんだか気まずくて俯いたまま、
案内された席にまで歩を進め。

二人がけのシートに並んで腰かければ
自然と足がくっつくくらいの距離感になってしまい。
密着具合に静かにボクは狼狽していた。]

こ、このシート
大人二人で座るには狭くない...！？

[※仕様です。
席には外から見えないように幕が引かれてて、
カフェと言えどちょっとした個室みたいになってる。
二人きりで心置きなくイチャイチャできるように、という店員の心遣いが伺えるようである。

さっきはさらっと流したけどさぁ、
コウにいが「こういう」ところに
ボクと来る想像をしていた、と言う事実に
時間差で動揺するわけですよ。このむっつりめ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[繋いだままの手がテーブルに置かれ、
コウにいがしみじみと感慨深そうに呟いて。]

そう、かな。
コウにいの手は...職人さんって感じだ。

[いつもお菓子を作っている手。
少しごつごつしてて、長い指先。
こうして自分の手と並べると
違いが浮き彫りになって面白い。

なんだか見慣れた自分の手がすごく
華奢で小さく見える。]

錬金術師 ラヴェーナ

ーー、

[こっちを向いて、と促す声に
ドキリと心臓が跳ねた。
慈しむように髪に触れる手。
頭撫でられること珍しいわけじゃないけど
いつもよりもその手付きが優しく感じるのは
きっと気のせいじゃないと思う。

そっぽ向いてた視線を
おずおずとコウにいの顔に映せば
こちらを見つめる彼と目が合うだろうか。]

(...ち、かい、...)

[あれコウにいってこんな...格好良かったっけ...
至近距離で顔を見てると
ドッドッとまた心拍数が上がってきた気がして。
うう、慣れないことしてるせいで
頭までおかしくなってきたのかもしれない...]

錬金術師 ラヴェーナ

ぼ、ボクは...見られたくない...
...ぜ、絶対、変な顔してる...もん...


[緊張して、恥ずかしくて。逃げ出したくて。
でも、撫でてくれる手が心地よくって、
離してほしくない。もっと触ってほしい。

そんな思いがこんがらがってぐるぐるして
耳まで真っ赤になったまま、ぼそぼそ訴える。

コウにいの目に映るボクは
拗ねてる...と言うよりは眉を下げて
困ったような、戸惑ってるような、
そんな所在なさそうな顔だったことだろう。**]

錬金術師 ラヴェーナ

いや、いやいや……！
…かわ、可愛く、ないよ……こんな顔……


[見ないでほしいって言ってるのに
コウにいは目を逸らすどころか
ますますこちらを見つめてくる。>>182

吐息も伝わりそうな距離で、
そんな柔らかい蕩けそうな顔で。
真正面から可愛いなんて連呼されて
あう、とか、うぅ…とか
声にならない声で呻いていたボクだったけど。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ふいに、繋いでいた手が解かれる。
どこかしんみりと語り始めるコウにいの声を
先程とはまた違う気持ちで
目を丸くして聞いていた。>>184

…そう、なのかな。
自分ではそんなに頑張りすぎてるつもり、ないんだけどな。

コウにいがボクのこと――幼馴染のお兄さんとしても
何かと気にかけてくれてたのは知ってる。

でも、そんな風に思ってたんだって
聞くのも今日が初めてで。>>185]

錬金術師 ラヴェーナ

……………―――


[照れくさそうに、茶化したように伝えられる花言葉。
彼が抱えてきた、秘密の想い。>>186

内容は何となく、
分かっていた気がするから驚きはなくて。

ただその眼差しに目を奪われた。
彼が懸命に伝えてくれたその気持ちが
じんわりと時間をかけて胸に沁みていく。]

錬金術師 ラヴェーナ

　　　　　 （――……ああ、）

錬金術師 ラヴェーナ

[昨日の夜に手紙を貰った時から、
ずっとずっと考えてた。
ボクはどうしたいんだろって。

…コウにいが。ボクに好意を抱いてて、
そう言う意味でお祭りに誘ってるって。

それに気づいたうえで、ボクはキミに会って
一体何を伝えるつもりなのか。
考えても考えても堂々巡りで、全然答えは出なくって、
だからもう会って考えようって思った。

ボクはどうも頭で考えすぎるとこがあるから。
実際に会って、彼の目を見て感じた、
その時の気持ちを大事にしようって。]

錬金術師 ラヴェーナ

…………　嬉しい、


[すとん、と口から飾り気のない言葉が落ちる。

ほろほろと頬に熱いものが伝って
自分がいつの間にか泣いているんだってことに気づいた。]


（―――そっか、ボクは………）


　[本当はずっと誰かが、そんな風に言ってくれるのを待ってた。]

錬金術師 ラヴェーナ

[まるで誓いの指輪のように、指先を彩る黄色い花。
瞬きをするとそれに一度目を落として、
軽く涙を拭い、顔を上げて彼の目を見る。]

錬金術師 ラヴェーナ

………あのね、コウにい。
好きだよ。

錬金術師 ラヴェーナ

[その言葉は驚くほど、あっさりと唇から落ちた。
一度零れてしまえばどうしてあんなに
認めたくなかったんだろうってくらい、自然に。]

好き。すごく好き。大好き。
ほんとは、自覚してなかっただけで。
ずっとずっと前から好きだったんだと思う。

でも、どうこうしようとかは思ってなくて。
……ボクはもうずっと、
恋なんてしないって思ってたから。

[自嘲するように小さく苦笑して。]

錬金術師 ラヴェーナ

臆病で、強がりなボクの弱音。

あんまり楽しい話じゃないんだけど。
聞いてくれるかな。

…聞いてほしいの。コウにいに。


[きっと彼にとっては初耳だろう、
自分が抱えてきたいろんな思い。
それを話してみたくなった。

恋や愛が信じられなくても。
辛い時に側に居たいって、笑っていて欲しいって。
そう言ってくれるあなたを信じてみたくなった。]

錬金術師 ラヴェーナ

……あ、でも。
長くなるかもだから、先に何か頼もっか。
どれにする？ほら、あんまり見ないお菓子とかあるよ。

[メニューボードを取り、首を傾げて
ね、と小さく笑いかける。

甘いものは幸せをくれる。苦い心を癒してくれる。
それを教えてくれたのはほかならぬ彼だから。**]

錬金術師 ラヴェーナ

[好きだよって。想いを口にすれば
コウにいが目を細めて、幸せそうにボクを見つめる。
ぎゅうっと強く握られた手は
さっきよりも温かく感じて。>>231]

……うん。

[知りたいと言ってくれる彼にそっと頷いて。>>233
柔らかい空気の中で、自然と微笑みが零れた。]

錬金術師 ラヴェーナ

[気を取り直してメニューボードに目を落とす。
流石にコウにいは本職だけあって
興味深々って感じだった。]

へえ〜…お花のケーキ、綺麗だね！
青いお茶？もボク見たことないや。

じゃあデザートと飲み物はそれで…
ちょうどお昼時だし、軽食にサンドイッチ頼もうかな。
コウにいも食べるでしょ？

[特に異論なければ彼と一緒に食べるつもりで
春野菜とベーコン、卵のサンドイッチというのを二人分頼む。
ベルを呼んで注文をすれば
程なくして料理が運ばれてきた。

いただきますと手を合わせ、早速頂くことにしよう。]

錬金術師 ラヴェーナ

[サンドイッチやケーキを口に運びながら
ぽつぽつと、順を追って話していった。

母さんが出ていってから、
首飾りの言い伝えや、
恋愛そのものを信じられなくなったこと。

いつ壊れてしまうかもしれない
恋なんてしない方がましだと思ってたこと。

恋も結婚もせずに
一人で生きていくつもりだったこと。

でも父さんが死んで、
一人は寂しいってことを知ってーー
あの時助けてくれた君に救われたこと。

所々要領を得なかったり、
言葉に詰まったりしたかもしれないけど
たぶんコウにいは黙って耳を傾けてくれたと思う。]

錬金術師 ラヴェーナ

今のままでずっと居たかった。
何か関係に名前をつけないまま、
変わらずにずっと側にいてほしかったんだ。

でも、昨日コウにいが...
お祭り、誰か女の子と踊るかも知れないって思って...
すっごいもやもやした。

...やきもち、だったと思う。

当たり前だけど、
ずっと今のままいられるなんて
そんな都合のいい話ないんだ。って、思って...。

錬金術師 ラヴェーナ

それに...

ライトが言ってたの。

言い伝えが信じられないなら、
信じられる相手を見つければいいんだって。

首飾りが幸せを保証するんじゃなくて
皆幸せになりたいから首飾りを贈るんだって...

[絶対なんてない。永遠なんてない。
でも、だからこそ皆頑張るんだ。
この人と幸せになりたいって。
それで結果ダメだったとしても。
...何もかも嘘っぱちになるわけじゃない、よね？]

錬金術師 ラヴェーナ

[青い飲み物を一口、口に運ぶ。
さっぱりとしたソーダが
思考をクリアにしてくれるみたいだ。]

...ボク、ね。

コウにいを信じてみたい。
幸せになりたいって、なれるって、その...

...前に、進みたいの。

錬金術師 ラヴェーナ

[落ちついて気持ちを口にすることで整理できるものもあると言う。

ひとつひとつ、順を追って話していくうちに
頑なに胸に抱え続けていたものが
緩やかに解けていく気がした。

長い話が一区切りして、コウにいが深く息を吐く。
そっと肩が抱き寄せられて、
彼の口から零れるのは懺悔にも似て。]

……ううん。
そんなことないよ。

[元気のないボクに、
熱心にお菓子を届けてくれた君。
その気遣いに、ただただ優しい甘さに
救われた夜がどれだけあっただろう。
今こうして笑っていられるのは、間違いなく彼のおかげで。]

錬金術師 ラヴェーナ

……うん。


[優しく頬に手が触れる。
幸せになってほしい。幸せにしたい。
まっすぐに向けられる想いが、
温かく胸を満たしていく。>>273

理屈じゃない。
無条件に飛び込んでしまう、
きっとそれが恋なんだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

や、そ、そんなの………
わかんない…じゃん。

[でも。保証する、なんて言葉には
また可愛くない台詞が口をついて。

そりゃコウにいが昔からもくもくと
自分の国のお菓子作りに励んでたのは知ってるけど…
だって、お菓子作りと恋愛はまた違うじゃん。
それでも。]

……厄介、じゃないよ。
ずっとボクだけ見てて。目移りしないで。傍に居て。

………いっぱい、抱きしめて。好きって言って。

[一度溢れてしまえば、止まらない想いがこんなにある。
ボクってこんなに貪欲だったんだ、って
自分でも驚くくらいに。]

錬金術師 ラヴェーナ

[…や、だからって、
毎日好きだと言いに行く、とかまで
して貰わなくてもいいけどさ。
頑張りすぎて途中で力尽きられても困るし。

毎日お菓子を届けに行く、とか言うコウにいだから
割と本気でやりかねないところがある。>>0:111

話しながらふと、彼がポケットに手を入れて。
そっと掌の上に包みが置かれた。]

錬金術師 ラヴェーナ

―――………

[そっと開いてみれば、
中には黄色と銀の飾りがついた首飾り。
それをまじまじと見つめて、ふ、と柔らかく目を細めた。]


ありがとう。
…………うん、もちろん。

[大事そうに首飾りを手に取り、
自分の首の後ろに手を回す。
長い髪を掻き分けてチェーンを止めれば
首元でリボンと銀色の雫が揺れるだろう。

彼の手を両手でぎゅっと握り、
その顔を見上げた。]

錬金術師 ラヴェーナ

ボクもね……コウにいのこと、幸せにしたいよ。
ボクの隣で、幸せそうにしててほしい。
この先ずっとずっと。


[不器用で、運動音痴で、鈍感で。
でもいつも真っすぐで、一生懸命で優しい、大好きなあなた。

そんなあなたを大事にしたいと思うことが、
幸せな未来へと続く第一歩。そんな気がする。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ボクの為だけに作られた、世界でひとつの首飾り。>>306
それを付けたボクを見て、コウにいが嬉しそうに目を細める。

ボクが隣で嬉しそうにしてたら幸せなんだって。>>307
そんな簡単なことでほんとにいいの？って思うけど、
きっとコウにいは本気で言ってるんだろうな。

体を引き寄せられて、そっとその腕の中に収まった。*]