研究者 シルヴァン

祭り当日

[ 澄んだ青空が広がっていた。
　“ジジ”の祈りのおかげでよく晴れている。

　張り切って準備に参加していたくらいだから、
　元々祭りには行くつもりだった。
　スタンドカラーの白シャツに、
　銀の刺繍が施された紫のマントを羽織った。
　マントは防寒用ではなく、装飾用で。

　寝る前に王都から持ち帰った荷物から、
　小さな袋を見つけて、細工を施してから、
　ズボンのポッケにいれた。]

研究者 シルヴァン

[ そうして逸る気持ちを抑えつつ、広場へ。
　同じように祭へ向かう村の人たちに挨拶をしながら。

　目的地は、ふわふわのお菓子屋さんの屋台。
　屋台の場所はやっぱり昨日の内に目星をつけていたから、駆け出したくなるのを堪えつつも、自然と大股歩きになる。　
　自分から言いだした『鬼ごっこ』、
　彼女はどんな風に応えてくれるのだろう。

　目標に近づいて、屋台のおじさんと目が合えば、いい笑顔で頷いて、顎で指し示した先には、

　隠れている様子もなく、鮮やかな花飾りと、
　白いワンピースを纏った彼女がベンチに腰掛けていた。]

研究者 シルヴァン

　……フローラ。見つけた。

[ ああ、綺麗だなぁ。本当に近くにいた。
　ああ、眼の前に君がいる。

　直ぐ側までいって、君の名を呼んだ。
　つい顔を綻ばぜてしまったが、
　待てよ、と真顔になる。]

研究者 シルヴァン

　…もしかして、鬼ごっこはこれから？
　目を閉じて、十を数えないといけないかな？
　…それとも、もう僕の勝ち、ってことでいい？
[ 彼女がどういうつもりで、そこで待ってくれていたのかが、　わからなかったので、恐る恐る尋ねるのだった。
　淡い期待も添えて。

　ああ、でも、それよりも。]

　立ち上がって、衣装をよく見せてくれないか？

[ そのままでも十分可愛らしいけれど、
　立ち姿も見たい。
　急かすように、手を差し出したけれど、
　彼女に座るよう促されたら、素直に従ってただろう*]

研究者 シルヴァン

不戦勝の後で

…何をしてたって…。
進学のために行ったんだから、そりゃ当然…。

　え、デート？

[自分と同じように真顔になる彼女>>116に
気圧されたように口ごもったが、
続いた言葉に、思わず怪訝な表情を浮かべた。

ますます呆れられただろうか？]

研究者 シルヴァン

[ もちろん勉学一筋だった…わけではない。
　休日などに、女性と二人で何処かに出掛けること、
　をデートと指すならば、ないことはなかった。
　
　ただし相手は恋人であること、という条件がつけば、否、となる。自分から誘ったことはなかったし、進展を狙う者がいても、こちらのその気が一切ないことが知れるとやがて離れていった。]

研究者 シルヴァン

　…ご、ごめん。

[ だから、女心がわかってないという指摘には、
　反論できないまま、素直に謝った。]

研究者 シルヴァン

[ 捕まえてくれる？と、微笑んで差し出された手。

　なんだか、自分が手加減をされてしまったような、
　あの頃とは逆転したような、不思議な感覚に包まれる。

　しらばっくれているつもりはなかったけれど、
　あまり意識をしないようにしてたのは認める。
　フローラが年相応のレディになっていることを。]

　………ああ、僕の勝ちだ。

[ 小さな手を取ったら、彼女が立ち上がって、ゲームの終わりを告げる。ゲームは始まってもいなかったけれど。

　そもそも自分が一方的に持ちかけた遊びだから、
　フローラが付き合う義理はないとわかっていた。
　それでも付き合ってくれたのは…。]

研究者 シルヴァン

………待たせてごめん。
　いや、待っててくれて、ありがとう？

[ 女の子としてみてなかったら、誘ったりはしない。
　ただの幼馴染としてしかみてなかったら、
　こんなまだるっこしい誘い方はしない。]

研究者 シルヴァン

　じゃあ、お祭りデートといこうか。

[ おどけたように重ねた手をしっかりと握りしめたけれど、
　微かに届いた囁き>>118に。]

　…いいの？

[ 彼女に言い寄る男がいたという話>>0:279は、
　人づてで聞いたことがある。
　流石に不埒な輩の話までは知らなかったけれど。
　その中に彼女の心を射止めた奴がいても不思議ではない。

　でも、ハレの日の今日を、共に過ごしてくれるというのなら。]

　…じゃあ、今日はずっと。ずっと一緒にいよう**

研究者 シルヴァン

スタートライン

[俯いた君>>134の睫毛の長さに見とれてしまう。
それから君が顔を上げれば、
その瞳に吸い込まれてしまいそうで。

　『ずっと一緒に居てあげる。』
　その言葉を噛み締める。]

　ああ、とても綺麗で、フローラ、
　君に似合っているよ。

[ 衣装について聞かれれば、手放しで誉めよう。
　もちろん繋いだ手を離すつもりはなかったけれど。
　自分の衣装もかっこいい、と言われれば、
　照れくさそうに礼を言う。
　良かった、ちゃんと用意してもらって、
　なんて、そっと胸をなでおろした。]

研究者 シルヴァン

[ さて、どこに行こう？
　とりあえず屋台を冷やかそうか？と
　提案しようと思っていれば、
　彼女>>135に屈むようにせがまれた。
　…顔が近い。]

　………。

[ 耳打ちされた言葉に、しばらく口ごもる。

　フローラも淋しかった？]

　………ごめん。
　僕がいない方が、
　フローラのためになるかと思ったんだ。
　
　いや、違うな。
　僕がいなくても平気な君を見るのが怖かった。

研究者 シルヴァン

　手紙は書いたよ……出さなかったけれど。
[ 夜に思いつくままに認めて、翌朝その封筒の分厚さに、
　自分で引いてしまって、そのまま出さずに
　机の引き出しにしまいこんでを繰り返した。
　こちらに帰る前に燃やしてしまおうかと思っていたけれど、
　結局、捨てきれずに持ち帰っているのは黙っておこう。]

研究者 シルヴァン

…馬鹿だな、僕がフローラのこと、
　邪魔に思うわけないじゃないか。

[ 邪魔になりたくないという弱々しい声にかぶりを振って。]

　むしろフローラのおかげで、勉強も頑張れた。

　…恋人なんて、いなかったよ。

　ああ、でも、ごめん。
　何度断っても、熱心に交際を申し込んできた子に、
「アッシャーに結婚の約束をしてる子がいる」って言ったことがある。君をダシにしてしまって、ごめん。

研究者 シルヴァン

[ 昨日とうってかわって
　柔らかく微笑む君>>137に、
　言わなくていいことも打ち明けてしまう。
　長かった空白の時を埋める努力をするのが先、
と思いながら、一旦思いを口にしたら、止まらなくなってしまった。]

　…フローラを淋しくさせてたこと、
　気づかなくってごめん。
　でも、淋しく思ってくれてたことが、
　僕は嬉しい。僕も、淋しかった。
　自分から村を離れたくせにね。

　言い訳かもしれないけど、
　遠くに離れたからこそ、
　君がただの可愛い妹分ではなくて、
　自分にとってかけがえのない存在って気づいたんだ。

研究者 シルヴァン

[ でも、魅力的な君だから、
　すぐにいい人を見つけるだろうって。
　幼い頃の口約束を本気にしたら困る
　って言われたら、立ち直れないな、とか。
　だったら遠くで君の幸せを祈ってる方がいい、　
　って自分を騙していたけど。
　君が、村を出た僕と同じ年になることに気がついて、いてもたってもいられなくなって。

　…振られるならちゃんと振られる方がいいって、上司に我儘いって、村に帰ってきたけど、なかなか今まで勇気がでなかった。]

研究者 シルヴァン

[ どこまで話すことができただろうか？
　６年間抱えてた思いを言葉にするのは難しかった。何しろ目の前には、ずっと会いたかった“君”がいる。]

　…つまりは、僕らは互いに気を遣いすぎてしまってたみたいだね。勝手に距離を置いたのは僕だけど。

　こうしてまた一緒に過ごせるのがとても嬉しい。

　…君が好きだから。

　本音をいうと、今日だけでなく、
　ずっと一緒にいたいんだ。
　
　大きくなったから、お嫁さんになってくれる？

[ きっとこのまま回れば、
　他の誰かに冷やかされてしまう。
　その前に直接、熱を君に伝えたくて*]

研究者 シルヴァン

[ 僕の話に君は抗議をすれば、
　その都度、ごめんって謝った。
　バカはあなただ、と指摘されたら、そうだねって頷いたし。

　王都で思い出す君はいつも笑顔だったけれど、
　眼の前の君は顔を真赤にして頬を膨らましている。
　怒っても可愛いっていったら余計に怒らせてしまうかな。それでも、息が苦しくなるくらい君が愛しい。

　だから、本当は思いを伝えるなら、
　一緒に過ごして、その別れ際に、なんて思っていたのに、こんなに会って早々に打ち明けてしまうなんて、自分でも予想外でびっくりだった。

　でも、後悔はしていない。
　だって、ぽかんとしている君も可愛いから。
　いや、驚かせたかったわけではないんだけど。

　それから、目を潤ませて微笑む君は、とびっきり可愛くて。この笑顔が自分だけに向けられていることがたまらなく幸せだ。]

研究者 シルヴァン

　…ありがとう！これからはずっと一緒だ。
　僕の側で泣いたり笑ったりいろんな顔を見せてほしい。

[ それから、思い余って、フローラを抱きしめた。

　ポッケの中には、思いを告げてから渡すつもりだったフラワーモチーフのペンダント。─花びらにローズクォーツ、中心にピンクトルマリンが嵌っている。ひと目見て、フローラに贈りたいと思って、用意したものだ。早く渡したい、と思いながら、君の温もりから離れがたく。
　
　ようやく腕の力を緩めたながら、名残惜しそうに囁きを落とした。]

研究者 シルヴァン

[ よっ、お二人さん、おめでとう！なんて囃す声に我に返り、真っ赤な顔のまま、ひとまずそこを離れようとすれば、とびっきり大きなふわふわをお祝いに、と渡されただろう**]

研究者 シルヴァン

幸せな懊悩

[いきなり抱きしめて、フローラが嫌がったら…
それはもちろんすぐに離していた。
…いや、ちょっとやそっとでは無理だったろう。
　だから、彼女>>190も腕を回して
　抱きしめかえしてくれるのを感じれば、ホッとして、
　…このまま石になってしまいたい、なんて。
　
　でも、やっぱりフローラはフローラのままで
　抱きしめていたい。
　ぴったり寄り添っていた時間は、
　永遠のようにも一瞬のようにも感じられたが、
　まだお祭りは始まったばかり。
　ふわふわと夢心地で、
　ふわふわのお菓子を食べながら、
　君と並んで歩く。どこか行きたいところは？
　と問われれば、フローラとこうしているだけで
　幸せだよ、ってお花畑な返しをしてしまう。
　まるで自分も18歳になりたての若者のように。]

研究者 シルヴァン

　…そうだね。せっかくだから、一通り回ってみよう。
　気になる屋台があったら、お互い声をかけよう。
　…食事時だけど、なんか胸がいっぱいで、食べられそうにないし。

[ 暁亭が出店していれば、報告がてら顔を出していただろうけれど、彼もどこかで祭りを楽しんでいるはずだ。密かに健闘を祈っている。]

研究者 シルヴァン

　…なんでもいいから、フローラのことを知りたい。[今の君のことをいっぱい。]
　花や甘いものが好きなのは知ってるけど、
　詳しくは知らないし、他にもなんでもいいから教えてほしい。僕は…実はあまりお酒は得意じゃないから、アルコールを飛ばしたホットワインはけっこう好きなんだ。　
[ 強いお酒を飲むと、眠くなってしまう。でも、お酒の席の賑やかな空気は好きだったな。酒癖の悪い人がいなかったのもあるけれど。]
　
　…フローラは、やっぱり皆の髪飾りとか気になる？
　フローラも、とてもよく似合ってる。
　
[ 抱きしめた勢いで髪が乱れてないか、と、今更ながら心配して、覗き込むように顔をみれば、ほんのり涙の跡があることに気づく。それほど喜んでくれたのかと思うと…嬉しくて、また抱き寄せたくなってしまう。せめて頬に触れたい…と思ったけれど、両手はふわふわ甘いお菓子とふわふわ柔らかい君の手で塞がってしまっている。どうしよう!?いや、まだ焦る時間ではない*]

研究者 シルヴァン

[ お酒の話。フローラはまだ飲んだことがないという。]

　そうだね、強い人は水を飲むのと同じ、
　なんていうくらいだけど、
　合わない人は体調を崩すこともあるらしいから。

[ 案外フローラは強いかもしれないけれど、
　どんな酒癖を発揮するかはわからないし。]

　ああ、色々少しずつ試してみるといいよ。
　一緒にホットワインを飲もう。

[ もう季節は春だけど、暖炉にあたりながら、
　二人で一つの毛布に包まってワインを飲むのを
　想像してしまって、にやけてしまった。
　それはとても穏やかで、とても幸せなひとときだろう。
　…それに。]

　初めて…。
　フローラの“初めて”に付き合えるのは光栄だ。

研究者 シルヴァン

[ 髪飾りの話になると、彼女の笑みにさらに輝きが増した。

　彼女が花屋さんになったことは
　当然知っていたけれど、
　皆が身につけている花飾りが、ほぼ彼女の作品、というのは、知らなくて。]

　すごいな…。
　フローラは頑張ってきたんだな。

[ 6年間という時の重みを改めて知るのだった。]

　僕のおかげ…？
　ああ、フローラなら、
　綺麗な花を咲かすことができるって、信じてたから。
[ 夢を叶える力を持っている、と。
　自分のしたことは些細なことだとは思うけれど、
　こうして感謝してくれるのは、嬉しくて。]

　どう、いたしまして。
　フローラの役に立つことができて、嬉しいよ。

研究者 シルヴァン

　…ああ、うん。
[ それから、頬を膨らませて不在を責められれば、
　ごめん、って繰り返すしかなくて。

　過去の自分に助言することができるなら、
　我慢しないで、フローラにも会いにいけって
　言っているけれど、あいにくそんな魔法は、
　自分の知る限り、存在していない。

　変えることができるのは、
　今の、そして未来の自分だから──]

研究者 シルヴァン

大丈夫。もう一人で遠くにいったりしないよ。
　さみしい思いはさせない。

　ああ、そうだね、二人で旅をするものいいね。
　うちの両親みたいに。
[ 貿易商を営む父は、母とともに、年中旅をしている。
　幼い頃から、両親不在が当たり前すぎて、
　いなくて淋しい、という感情を抱いてこなかった。
　
　両親はいなくても屋敷には
　自分の面倒を見てくれる人がいたし、
　病弱であまり活発でないながらも、友達はいた。
　屋敷にある本を読んでいれば、時間が過ぎるのも早かった。]

研究者 シルヴァン

[ そんな日々に、不意に庭に迷い込んだ君が、
　彩りを与えてくれたのだと、今になってわかる。]

研究者 シルヴァン

[ どんな勉強をしていたか、と問われば。]

　…魔法学全般、かな。
　魔法史とか、ルーツを辿るのも楽しいよ。
　中でも、実践に役立ちそうな薬草学に惹かれて、
　研究所もその関連の方に進んでね。

[ それもあって、
　一人村に戻っても研究を進められるのだと。
　定期的な報告等はしなければいけないけれど。

　それに、屋敷には魔法関連の書物が沢山所蔵されていて、その整理もしなければならない。

　見知らぬ国への憧れはある。
　だから、コウセツの留学も羨ましいと思った。

　でも、フローラなしで王都に行くことすら、
　もうできないのではないか、と思うほど、
　寄り添ってくれる君から、離れたくなくて。]

研究者 シルヴァン

たとえフローラが、もう飽きたっていっても、
　君の側から離れないよ。

[ もちろんそんなことは言わないって信じているけどね**]

研究者 シルヴァン

増えていく約束

[誇らしげに仕事の話をしている君が
堂々として眩しくて、自分まで誇らしく思う。

彼女の口から、お花を世話をする人を育てる、
　という提案が出る。庭師を雇うのもそう安くはないだろうし。]

　なるほど、それは素敵なアイディアだ。
　花が好きな子はいるだろうし、
　フローラに憧れて、花屋さんになりたい子もいるだろう。

[子供相手にヤキモチを焼かないよう気をつけないと。]

研究者 シルヴァン

[ 世界には、
　ここでは咲かない珍しい花がいっぱいある。
　幼い頃に、図鑑でしか見ることのなかった花々を、
　直接見たり、村に持ち帰って育てることができたら…。]

留守を任せる人ができたら安心だけど、
それまでは僕も“フローラ”を手伝うよ。

[ あくまでできる範囲のお手伝い、になるけれど、
　花の世話や店番だけならできるはずだ。
　華やかな花束などは完全に門外漢だけど。]

研究者 シルヴァン

[ 勉強の話>>319。楽しかったと告げれば、
　何故だかホッとしたように笑う君に
　首をかしげてしまったけれど。

　そういえば昔は、小さな文字がびっしりの本を
　しかめっ面で読んでいたのを、見守られてたこともあったっけ？]

　　楽しかったよ。まぁ、苦手な科目とかはあったけど、学ぶのは楽しい。そうじゃなきゃ、王都まで行って学ぼうと思わないよ。

[ 僕が苦行を強いられていると心配してくれたのかな？と想像して、ついつい可愛らしい、なんて思ってしまった。]

研究者 シルヴァン

　うん、そう。
　あの頃、フローラと一緒に本を読んだり、
　フローラが楽しそうに僕の話を聞いてくれたりしたことも
　もっと学んでみたいって切欠になったと思う。

[ だから、君が魔法史とか興味を持ってくれたのなら、
いくらでも、講義をすることはできると思う。]

　…今の僕があるのも、フローラ、君のおかげだよ。

　そう、“ジジ”はフローラにも自分の知識を託していたんだね。植物の根が地中で広がっていくように、根付いていくのかな。[それから、庭を案内する、という約束に破顔して頷いた。]

研究者 シルヴァン

　ああ、楽しみだなぁ。

　…両親が帰ったら、正式に紹介しないとね。
[ 色々事後承諾になってしまいそうだけど、
　気ままに生きている人達だし、
　フローラはいい子だから、受け入れてくれるだろう。

　…今どこにいるかも把握していないけれど、
　先に手紙で報告をしないとな、と、その時ばかりは
　真面目な顔で考えて。]

　　うん、フローラと一緒なら、
　　毎日それだけで楽しく過ごせるさ。
[ なんなら今日からでも…というのは気が早すぎるか。]

研究者 シルヴァン

[ いつの間にか、広場の中央までたどり着いていた。

　笑顔で、踊りに誘う君に、負けないくらい笑顔で。]

　ああ、踊ろう。

　そうだよ、僕は、ずいぶんと元気になった。
　すぐに熱を出して、君に心配かけることも少ないんじゃないかな。
[ でも、時々は甘えさせてほしいかな、なんてぼそっとつぶやいたり。]

研究者 シルヴァン

　あ、でも、待って。
　踊る前に、これを受け取ってほしい。

[ 張り切って手を引こうとする君を止めて、
　ポッケから、小さな布袋を取り出して、君に手渡した。
　袋の中には、花の首飾りが入っている。>>188]

　僕が贈った首飾りをして、踊る君がみたいんだ。

研究者 シルヴァン

[ 男の人と踊るのが初めてだと打ち明ける君。]

　…踊りながら笑っても、
　それは君と踊るのが楽しいからだよ。

　僕もあんまり上手じゃないけどね。
　フローラのパートナーは誰にも譲る気はないよ。

[ なんてかっこつけて、そんなに得意ではないけれど、
　それでもこれからは、君の側でずっと**]

研究者 シルヴァン

練習の成果

[お店を手伝いたいという申し出>>350は
やんわりと断られてしまった。]

　ありがとう、フローラ。
　僕の仕事のことを気遣ってくれて。

　でも、大丈夫。無理はしないよ。
　いや、君と過ごす時間を増やすためなら
　ちょっとぐらいの無理はしたいけど。

　バカだなんて思わないよ。
　僕のフローラは、なんてよくできたお嫁さんだって、誇らしく思う。

[キリッとした表情で言ったつもりだけど、きっと周りにはデレデレとしてるようにしか見えないだろう。でも、仕方ない。こんな可愛い子がこんな可愛いことを言ってくれるのだから。]

　うん、それじゃあ、お店のカウンターに、
　僕の指定席を用意してね。

研究者 シルヴァン

[ 真っ赤な顔をして、涙が出そうっていう君>>351に、つられて自分も目を潤ませながら。]

　嬉しい涙ならいっぱい流して。
　悲しい涙も僕の前なら遠慮しないで流してほしい。

　もちろん悲しい思いをさせないように、
　君を守っていくつもりだ。

[ でも、いくらでも甘えていいって言われたら、
　キメようとしても締まらない表情になってしまう。でも、どんな僕でもきっと彼女は受け止めてくれる。

　だから、僕も─]

研究者 シルヴァン

[ ようやく渡すことが叶った首飾りは、
　彼女の胸の上で可愛らしく揺れる。]

　ずっと、ずっと君のことを想っていたよ。

　どんな時でも、記憶の中の君が現れて、
　僕を元気づけてくれてたんだ。

　…これからは、本当の君を大切にしていこう。

　…うん、似合っている。最高に可愛い。

[ それからしばしの逡巡の後、彼女が耳打ちをしてきた。]

研究者 シルヴァン

[ 胸にピンクの花を咲かせて微笑む君に、
　耳打ちを返してから、手を取って踊りの輪に加わった。

　ちょっとステップが乱れることはあっても、
　眼の前に君がいるから、それだけで嬉しくて楽しくて仕方がなかった。

　高らかに彼女>>357が宣言すれば、こみ上げる想いが抑えきれなくて、君を抱えあげて勢いよく回るだろう。

　このくらいならね、もうできるようになったんだ。しばらくは肩で息してしまっているけれど。

　そうして音楽が一旦止まれば、そのまま輪から離れようか。

　体を動かしたら、お腹が減ってしまったから、
　軽くごはんを食べられるところに行こうと誘う。

　それから、また祭りの続きを二人で*]