呪術師 ライト

［呪術師とは？
別に呪力がどうとか呪いがどうかとその様なものを扱うことは、まあ、ない。多分。
呪術とは呪い（まじない）であり、類するならば魔法であり、そして科学だ。
古くからありがたがられてきた精神的守護者と言える。

アッシャー村での呪術師の役割は星を詠み、天候を詠んで農作業や狩猟の手助けをしたり、野生の獣が近づいてこないようにお守りを作ったり、土地神に豊作を祈祷したり、運気を詠んで普通に占ったりとそれはもう多岐に渡る。
眉に唾をつけてそうなこともあるが中にはちゃんと役割を果たしていることもあり奥が深い。

――と、それらのことを昨年までは育ててくれていたジジがやっていた。
赤い毛並みの熊の毛皮を被って怪しげに見えるジジだがとても温厚な人だった。
例え家の正面に獣の骨を組み合わせてよくわからない骨合成獣が作っておかれたりおどろおどろしい外装にしてあっても内装は綺麗さっぱりしたもので清潔で綺麗好きだった］

呪術師 ライト

［全ては過去形だ。
ジジは蝋燭の灯が消えるように昨年末に天に旅立った。

『お前はほんに調子乗りだから気をつけて呪術師をしてくんだよ。ジジの全ては教えこんであるから安心なさい。ただ、いくつかの呪は多用してはいけないよ。特に野郎どもがせがむやつだ』

と完全に全てやり切った感じで穏やかな表情だった。
そんなわけで呪術師一年生の今年、アッシャー祭での仕事は――終わった。

準備、本番、片付けの日に晴れて穏やかな気候になって清々しく過ごせますようにと土地神に請い願い欲されるものを供物として捧げて宥めすかしてようやく、そうようやくだ。

この快晴を得た］


ふぅ……空が黄色く見える。


［徹夜も何日もしたので正直お日様が目に痛い。

ジジから譲り受けた赤い毛並みの熊の全身毛皮を頭から被った変な存在は呪術師ハウスの前で深呼吸の姿勢になったかと思うとすぐに蹲り悶え始めた*］

呪術師 ライト

［徹夜明けの身に快晴の陽光は身体が溶けていく感じさえする。
熊の毛皮を被って直射日光に当たっていないのにこのまま地面に寝ころんで眠りたくなる。
きっと土と草が陽光を浴びた匂いがして気持ちいいだろう、そうに違いない。

はふう、と欠伸をして倒れようとしたその時だった。
>>35陽光が遮られて影が落ちてきた。
雲だろうかと勘違いすることはない。
雲一つない青空が広がっているのは先程確認しているし何よりもこの陰は動かない。
それにあまり大きくもない影でずっと見つめて来る視線を感じる］


……平気、うん、ちょっと徹夜しただけ。


［"しばらく"の沈黙の後の短い言葉に片手をあげて答える。

顔をあげなくても誰かは分かっている。
アッシャー村で生まれ育った中で齢が近しい子、所謂幼馴染が三人おり全員女の子でジジからは三人娘＋ライトと付属の弟のように言われていた。
実際、女の子の方が成長が早いので周囲からも弟みたいに見えていたかもしれないが声をかけてきたのはその一人］

呪術師 ライト

あの、シュルク……そこで屈まれるとさ。
頭をあげられないんだけどな。


［心配して声をかけてくれていることがわかるのだが、シュルクが屈むと視線を集めては失礼なところに自然と視線が向いてしまうことになる。
直立の状態でも集中して顔に視線を集めていることが危ういのに屈むと余計に難しくなる。

ぷるぷると震えながら普通に立ってくれることを願った**］

呪術師 ライト

回想　シュルクと昔のこと

［呪術師の知識を教えられ始めた時期は詳しく覚えてはいない。
呪術師"ジジ"という名前の中身は婆様だったが物心ついた頃から周囲の全ては呪いに満ちていた。

例えば、眠る前に聞かせてくれる星の物語。
例えば、森で迷った時に正しく方角を知る方法。

生活の全てが呪いに密着しておりそれら全てが呪術だった］


『あの星とな！　あの星とな！　あの星をな！
　結んでできるのが冠座でな！
　お姫様のティアラなんだって"ジジ"が言ってた！』


［夜空を一緒に見上げる機会があった時に嬉しそうにしながら覚えたての知識を披露したりしていたけれど、>>34魔法らしい魔法はあまり見せたことはなかったかもしれない。
それが子どもには眉に唾をつけた話みたいに感じられることも多いだろうけれど、村の長老たちは皆信じてくれている］

呪術師 ライト

［これまで普通に見せた呪いで言えば一度萎れた花を元気にすることや春に起こる目の痒みやくしゃみを減らすこと、夏場に蚊に刺されなくすること、秋に多くの実りを得ること、冬に風邪が引きにくくなることや村を囲う木壁に獣避けをしたりと効果を感じられることもあれば感じられないこともあっただろう。
それらはアッシャー村から外に出ないと気づけないことだけれど>>35問われればちゃんと伝えていった。

毛皮については、昨年末までは熊の毛皮を被ってはいなかった。
この赤毛熊の毛皮を被ることは呪術師"ジジ"を継承することを意味する。
先代を弔いにきてくれた皆の前で熊の毛皮を被り今代の"ジジ"となった。

どうして熊の毛皮を被るのかって聞かれたら――］


『悪い精霊が村に近づいてこなくするためだよ。
　赤毛の熊って森でも一番強い熊でさ。
　悪い精霊も怖がるくらいなんだ』


［って涙目で答えたことは記憶に新しい**］

呪術師 ライト

――回想　フローラとのお茶会――

［天気を詠むのに必要なのは記録と知識、そして少々の呪いだ。
難しいことをしているつもりはなく、>>72そう見えているならば"ジジ"が上手に教えてくれていたのだろう。

フローラは幼馴染で花屋をしているから天気を詠むことを覚えてからは頼りにされている。
雨が降って欲しい時にはいつもより呪いに力を入れて逆に天気を乱して"ジジ"に怒られたことがあるのは良い思い出だった。
嵐の日も大体何日後と伝えてから一緒に花壇に行き強風で倒れにくくする呪術をかけたこともあった。

よくお願いしているハーブは呪いに使っている。
夏に蚊が寄ってきにくくなる呪術もハーブが無ければ使えない。
見方を変えればハーブの効能を強めているともとれるか。
薬師がいればまた効能も強いものになるらしい］

呪術師 ライト

いらっしゃい、フローラ。
お茶を淹れるからあがっていく？


［"ジジ"を継承したのだからやることはたくさんあった。
忙しなく仕事をすることで寂しさを紛らわしていたけれどふと一人になった時に涙が出てくるのは止められないことだった。

その折にタイミングよく来るものだから目元を袖で拭いてから呪術師の家に招いた。
何でも押し売りにきてくれたらしいので減っているハーブを貰ったり花を選んでフローラの髪に挿してみたりとした。

『今日は肌が綺麗になる薬草茶だよ』

って嘘か真かわかりにくい呪いを披露して――家の外を覘くときは赤熊の毛皮を被っているけれど、家の中では脱いでしまうからそこでは継承前と同じ感じでいたはず］


……ありがとう。


［ちゃんとお礼が言えるくらいには落ち込まずに済んでいるのは気遣ってくれる人がいるからか**］

呪術師 ライト

――回想　シュクル――

［>>92冠座のことを話した時にシュクルが瞳を輝かせていたことは覚えている。やっぱり女の子だなって夜空を見上げているシュクルを見つめていた］


『シュクルは将来ああいう首飾りが欲しい？』


［星の首飾りはキラキラしていて綺麗そうだねと何気なく尋ねてから、そう言えばシュクルが出してくれる飴もキラキラしてるねとくすくすとお菓子のティアラという言葉に笑っていた。
アッシャー祭での首飾りの交換は有名な話で女の子は皆憧れて、男たちは皆苦心しながら思案することでも有名な話だ。

"ジジ"が亡くなり心がふわふわしているところに>>93気付けをしてくれたのはシュクルだった］


立派な守り神になれるといいな。
これからも、ずっと、守っていくよ。


［>>93浮かべた涙は誰を想ってのものだったのか。
それはわからないけれど同じ時に涙を流せた人だから釣られて、無理にでも微笑み返すことができた*］

呪術師 ライト

――現在　呪術師の家前/シュクル――

［呪術師"ジジ"の役割と重荷と感じたことはなく>>96、あの日があったから呪いと続けられている。
感謝の念があり、ただ顔をあげていないから顰めた眉は見えなかった］


お昼寝すると、夜眠れなくなるよ。
明日寝坊したら後悔しそうだし……。

いや……いや違う邪魔なんかじゃない。


［邪魔ではないけれどいろいろ育ったシュクルを邪な目で見たくないだけでぷるぷると震えていた。
何やら思いついたように横に移動してくれたので影が消えたのがわかる。
隣に座っている気配を感じるとのそりと身体を起こして赤熊の毛皮の頭部を頭に乗せている顔を向けた。

目の下にクマができているけれど憔悴しているという気配はなく単純に寝不足なだけだった］

呪術師 ライト

平気になった、ありがとう。
ちょっと今日から三日は快晴になるように
連日ずっと呪いをしていたから……ふぁぁ。


［大きく欠伸をしてから腕を上げて伸びをする。
腕を降ろすと欠伸で出た涙を目尻にためてまた努めて瞳を見つめると首を傾げた］


ところで何か用事があった？


［呪いが必要なら何でも言ってねと少々お疲れな顔で、それでいて一つやりきった感じで笑顔を向ける*］

呪術師 ライト

現在　呪術師家前/シュクル

［呪術師一年生の一大行事に際しての呪いが成功して絶好の祭日和になることは間違いないはずだ。
"ジジ"が教えてくれたことをちゃんとその通りやったら出来たからこれからもきっと大丈夫だと気を抜いて寝ると>>121最悪のコースになってしまう。
年に一度しかない機会を寝過ごしたとなるとまた一年待たなければならないし、そもそももう首飾りを貰っているかもしれないのだから今日は我慢するしかない］


守り神だからね。
幸せになれる日なんだから頑張るよ。

仕事しすぎは……え、そうなのかな。
自覚はないんだけど……。
力仕事をしてるわけでもないしさ。


［村にはアニキ分にあたる力のアロイスがいるし菓子作りはあれはあれで力がいるしタイプ的にはシルヴァンが最も近しい仕事かもしれない。
頭脳労働というか基本的には晴耕雨読なのでいつもはのんびりしたものだ、ったはず。
思い返しても自分では普通だなとしか感じないがシュクルから見ると働きすぎなのだろうか］

呪術師 ライト

［頭に置かれた棒付きキャンディを取ると陽光にかざす。
キラキラと輝いて見える飴は>>120あの日から変わらない］


やっぱり綺麗だよ。


［手を伸ばしても届かない星よりも手を伸ばせば届く飴の方が綺麗に見える。

『ぼくには泣いてる子をあやすことはできないから。
　飴が出せるのは素敵な魔法だよね』

と言ったのは昔の話だ。
口を開いて飴を食むとじわりじわりと甘さが口の中に広がっていき目を閉じるとそのまま眠りに――おっといけない］

呪術師 ライト

そっか、でもシュクルが会いに来てくれて嬉しいよ。
ありがと……うっ、ん、んー、そう、かな？


［ちょっかいをかけに来ただけでも元気を貰える。
閉じかけていた目を開いて感謝の言葉を伝えたけれど続く言葉に詰ってしまう］


それは、うん、あるかな。
ほら……時間はいつごろがいいかとか、
どこでとか、あるわけで……。


［誤魔化しスキルは発動できずにしどろもどろにと答えていく］


シュクルはどうなのさ？　踊りとか、相手とかは。


［そして苦し紛れに進捗を問い返すしかできなかった*］

呪術師 ライト

回想：『花屋さんとのお茶会』

［晴耕雨読、晴れている日は田畑を耕し雨が降れば書を読み過ごす。
辺境の小さな村だから土弄りをして生活している者は多かろう。
土を弄っていれば爪にも土汚れが入り込んで放っておくと手が荒れていく。

肌を綺麗にする薬草茶はそれなりに人気のある代物だった。
いつもよりも"少し"調子が良い。
呪いの効果は凡そそれくらいを目標になっている。
それを後押しするのは効果があると思ってくれることで呪いはどちらかと言えばそちらの面に強みがある］


たくさんあるから遠慮なくどうぞ。
でも飲みすぎると後が大変だよ。


［>>123トイレとかと暗に伝えながらお菓子が広げられると笑顔になってしまう。
甘味は貴重なもので毎日食べられるものでもない］

呪術師 ライト

うっわぁ、今日のはまた凝ってるね。
合わせるのがぼくの薬草茶でいいのかな……今更か。


［都会とかだと優雅にティータイムとかするらしい。
薬草茶ではなく紅茶を飲むのだったか、都会に行ってきた人が言ってた気がするがこれを作ったのもコウセツさんだろう。
三人から二人きりになったお茶会はそれでも温かな気分にしてくれるものだった。
それはそれとして――］


フローラはちゃっかりしてるなあ。
良いお嫁さんになるよ、ほんとに。


［きっちりとお支払いには応じておまけに髪に差した花には少しだけ長持ちするよう呪いをかけておいた。
毎度こうして花やハーブを買ってはお金をちゃんと渡しているので正しく押し売りにされているあたり逞しい。

『待ってるよ』

それでもまた次もと赤毛熊の毛皮を被って家先までお見送りするのだから、次もきてくれるのだろうか。*］

呪術師 ライト

現在　呪術師の家前/シュクル

それはそうだけど……。
力仕事はやっぱり大変でしょ。
疲れそうだしさ。


［>>146奇しくも同じ言葉で逆の意味合いを呈したが肉体労働の方がしんどそうに見えるのは頭脳労働者あるあるである。
何故かシュクルの方が自慢げなのは本当に不思議なことだ。
他人事を自分のことのように誇らし気にされると本人である自分の方が恥ずかしくなってしまう。
頬が熱いのは気のせいではない］


そうだよ、ぼくはね。
昔からずっと知ってるからね。


［その癖褒めると喜んでくれるのも昔から変わっていないことだ。
『そうかな？』の答えが『そうだよ』なのも一緒だ。
こんなにも人を笑顔にできるのになと棒付きキャンディを端から口の中でじわりと溶かしていく］

呪術師 ライト

な、なにさ。ほんとに平気だって。


［飴の甘さで頬が緩んでいたから集中して見られると恥ずかしいのだけれどと毛皮の奥に引っ込むが、今度は――その笑みは結構わりかしよく見たやつだな］


いやいやいや、いやいやいやいや……。
その意味深な感じは、何？


［慌てて手を振るが言ってしまったことは消えてはくれない］

呪術師 ライト

だってほら。
ぼくらが参加できるのは今年からでしょ。
ほんの少しくらいでも考えるでしょ。
ぐっ、それは、そうなんだけどさ。


［一年に一度の大切なイベントでこの祭で夫婦になる約束をして結婚するのだから男女問わずに気合が入る日のはずだ。
用意してないと言いながらちゃんと用意しているむっつりな人もいえばあからさまに用意している人もいる。

けど――］

呪術師 ライト

シュクルはさ、本当に誰ともないの？
さっきは寝坊したら大変だって顔だったけど。

……ふぅん。朝から時間あるんだ？


［例年通りなら祭の雰囲気を楽しんで珍しい出し物がないか見て回ったりして後は遠くから眺めているくらいか。

あの日、冠座の話をしたときに星のティアラに憧れていたのは遠き日の話になっているのだろうか。
今度はこちらがじーーっと様子を伺うターンだった**］

呪術師 ライト

回想　『お茶会と不可解な助言』

それは美味しくなるようにお呪いしてるから。


［>>162フローラが持ってくるお菓子はいつも美味しいから癖がある薬草茶でも美味しくなるようにと願をかけながら淹れている。
美味しいと言って笑ってくれるのだからお茶会は落ち着ける時間なのだろう。

フローラはしっかり者で自分からすると働き者だ。
土弄りを厭わずに綺麗な花を育てている。
指先が荒れていても育てた綺麗な花を飾ると年頃の娘そのものだとも知っていて、きっとアッシャー祭でも人気になるだろう］

呪術師 ライト

え……だって、それは……。


［>>163下からすくいあげるように見てくるのはわざとだとすぐに理解できる。
フローラはこういうところがあるから隠し事はできた試しがなかった。
たじたじとしながらもしどろもどろに口を開く］


"ジジ"じゃないよ。
口説き上手って……。


［視線をフローラの視線から逃れるためにそっぽを向く］

呪術師 ライト

昔……小さかった頃にさ。
今みたいに花をフローラの髪に挿した時に。
喜んでくれた気がしたから……。


［天然でもわざとでもなく実体験から自然とやっていることだった。
人それを天然というかもしれないが昔の記憶を懐かしんでやっているので口説き上手と言われても困ってしまう。

横目でちらりと見つめてくる眼差しを見ると笑われて――］

呪術師 ライト

うえっ！？　刺されるの！？

呪術師 ライト

［>>165吃驚して思わず飛びのいてしまったのはその声色が本気な色合いを感じてしまったからだった。
すぐに楽しそうに笑うのだから揶揄われたのだと理解してぽかんと口をあけてしまう］


いや、どういたしまして？
フローラは……当日は忙しそうだよね。
楽しめるようにしたいなとは思うよ。

その前に当日と前後一日快晴になるようにって。
土地神様にお祈りしておかないといけないけど。
……あ、"ジジ"が毎年頼んでたお花があったよね。
今年も頼めるかな。


［贔屓の瞬間はすぐに来たり、『また来るわ』と続くのでその時にでもと注文をした。
でも赤毛の熊を可愛いというのはフローラくらいではと今度はこちらも笑ってからお見送りをした。
撫でられたのは毛並みだったけれど自分が撫でられているようで少し慰められたのは内緒の話だ*］

呪術師 ライト

現在　呪術師の家前/シュクル

［>>166アロイスの謎な膂力は村共通言語らしい。
仮定、自分が極限まで鍛えたとしてもあれだけの力仕事はできないだろうけれど、その共通言語っぷりに思わず笑ってしまう。
アロイスのアニキがくしゃみでもしてないと良いけれどと付け加えておこう。

同い年だからこそ良いところはたくさん知っている。
悪いところはと問われたならば自分がよく揶揄われることくらいだろうか。
女の子に口で勝てるわけもなく、途中までは体格も負けていたのだからまあよくある光景だったのだろう。
"ジジ"も『そういうものだし男なら頼られるようになりな』と教えてくれた］

呪術師 ライト

ぼくももう18歳だからね。
シュクルたちと一緒だから今年からだし。
少しくらいは考えるよ。


［>>167そのニヤニヤ顔も見慣れたもので心底に面白がっているのだろうことは分かる。
分かるのだけれど吹き出すくらいまで笑われると流石に少し憮然としてしまうのは致し方ない。

吐息を吐いてからかりかりと飴を齧る。
割れない程度に小さく削ってちくちくする感覚を口の中で味わった。
ラヴことラヴェーナにもフローナにも叶わないしなと頭を掻いて口の中で溶けた甘みを飲み込んだ］

呪術師 ライト

毎年この日は皆浮かれていていいよね。
明日には飲んだくれる人もそれなりにいるけどさ。
組み木の傍で待機してる人もいるし。


［毎年の光景だしずっと憧れてみてきた光景でもある。
結ばれる人も見てきたし玉砕してきた人もいて。
外から見ていると本当に祭だったけれど明日は当事者ともなると意識もするでしょう］


いや、うん、見えてた。


［シュクルは気づかないかもしれないけれど割と人目を誘う容姿なんだよなと努めて視線を顔に固定する。
誰かしらいい感じの人がいるかもしれないくらいは思うだろう、多分］

呪術師 ライト

……そ、そっか。居ないのか。
せめて、え、うん……なる、ほど？


［ところでフローラには一切通じないだろうことが>>168シュクルには通じる。
じーーっと見つめ返していると折れてくれたのでこれでお相子にしよう。

でも何だか情けない表情をさせてしまったので毛皮の下で眉根を下げるとぽんとシュクルの頭に手を置いた］


あー……うん、軽々しき大丈夫って言えないけど。
シュクルは素敵な魔法使いなのは知ってるから。
明日はきっと良いことがありますように。


［どうしてか後ろ向きなシュクルに呪いをかける。
印を切って最後に手を合わせて祈る。
祈りは力で願いは想えば実現する力になる。

呪いが終われば、にっ、と笑みを浮かべてみせよう**］

呪術師 ライト

現在　呪術師の家前/シュクル

［>>191きっとそれは本心から言ってくれているのだろうとわかるから頬が熱くなるのを感じてしまう。
素敵な人と言われる日が来るとは目頭が熱くなる。
『やーめーてーよー』とか言ってた時分が懐かしく思えるほどだが実際に懐かしい思い出だった。

いい人が見つかるかはさておいても本日十分に嬉しい言葉を貰っている］


いや、いやいや……気になる人くらい、はさ。


［いい人でなくともモーションをかけてる人やシュクルが気になる人くらいはいるだろう。
本当に居ないらしいというのは>>192視線を逸らされたのでわかるのだがここまでいじけるのも珍しい。

お呪いをかけている間は目を瞑っていたけれど横顔から見るまだ幼さの残る顔立ちも気を引きやすいと思うのだけれど――］

呪術師 ライト

ぐっ、う……そんな風に言われる方がくすぐったい。

でもお呪いっていうのはこんな事に使うものだよ。
今よりも少しいい感じになりますように。
土地神様も数多の精霊たちも見てくれてるから。


［天気を調整すると言った儀式系の大がかりなものよりも、例えば転びにくくなりますようにと言った身近なお呪いの方が呪術師の大元になっているものだ。
こんな事ではなく、こんな事だからいいし使うべきなのだ］


もうそんな時間か、長いこと引き留めたかな。
シュクル……来てくれてありがとうな。

ん、明日はいつも通り楽しも。


［>>193様子を見に来てくれたと言っていたが他にも用事はあるだろう。
先に立ち上がって手を貸してから振り向かれると笑みを浮かべて赤毛熊の手でひらひらと手を振った］

呪術師 ライト

また、明日。


［幼い頃からの約束のように言葉を投げかけてから見送ると大きく背を伸ばしてから悪い精霊除けのための見回りをしていこう］


……そっか、居ないのか。


［ぽつりと独り呟いて、のっしのっしと広場から店の並ぶ方へと歩いていこう*］

呪術師 ライト

広場

［広場には組み木が積み上がっている頃合いだったか。
きっとアロイスのアニキが頑張ったのだろうと勝手に判断しつつその場に留まれば手伝わされそうなので撤退する。

困りごとがあればお呪いをしていくけれど祭の前日ともなると恋愛成就や夫婦円満のお呪い、恋占いが主流となっている。
アッシャー祭は想いを伝える日でもあると同時に記念日でもあるからご夫婦での方もそれなりにいる。

広場で準備をしている人でご入用の人がいなくなればまた少し移動して、転げた子どもがいれば赤毛熊に泣かれながらも起こして治癒院へ行くように勧めたりと、あとは錬金術師の店は閉まっていたし>>49、この時間帯に開いてる店は少なそうなので移動して回っている］


っと、はいはい……錆落としの呪いですね。


［声をかけられると立ち止まり、毛皮の内ポケットからハーブを取り出すと鉄鍋の錆を落とす呪いをしてまたのっしのっしと歩いていた**］

呪術師 ライト

幼馴染と"ジジ"の言伝

［"ジジ"は優しい人だったけれど時に厳しい人だった。
両親が幼い頃からいなかったから親代わりということもあったのだろう。
ご存じの通り自分の両親は都会で生計を立てているらしいとは"ジジ"から聞いた話であり、多忙で村には戻ってこずに養育費を送ってきてくれている。
小さい頃は"ジジ"と一緒か遊んでくれる幼馴染の後をついてまわっていた。

"ジジ"が亡くなる前の言伝はいくつかあり自分にあてた言葉の他にはあれに必要なものはあの子に聞きなという類のものがあった。
花やハーブで必要なことはフローラに。
>>238自分の知らない"ジジ"とフローラの交流の中で伝えられたこと。
『赤いガーベラ』が必要であるとわかったのは花が届けられてからだった。
『赤』の意味は知っていても『ガーベラ』の意味は知らなかったから>>239教えてもらった時は思わず納得してしまい、ああ、と口を開けてこくこくと首を縦に振るしかできなかった。

多分、人に頼ることを覚えて独りで生きずに村の一員になりなさいとかそんな感じだったのだろう］

呪術師 ライト

［>>240あの日差した『赤いガーベラ』はフローラに『常に前進』と背を押したのだろうか。
満面の笑みが浮かんだからきっと前向きな気持ちになってくれたのだろうと笑いかけていた。

そんな昔の話。
>>241花言葉はあまり知らないから花を挿す時は綺麗だと想ったものを選んだものだから、それがチューリップや薔薇であったならやはりおばかさんなのかもしれないし、先の言葉の意味も頷けるようになるかもしれない］


本当にありがとう、フローラ。
これからも毎年、よろしくね。

頼りにされるように頑張るよ。


［たくさんのありがとうにありがとうを返して、"ジジ"が言っていた頼りにされる人になりなさいを実現できるように。

届いた『赤いガーベラ』を土地神様に捧げてお呪いの成果は見上げればそこにある**］

呪術師 ライト

花屋のキミに

フローラ、お疲れ様。
お花をもらえるかな。


［先日のことだ。
あまり思わせぶりなことをしていると女の子に刺されると有難い忠告を頂いたのはフローラからだった。
お呪いには花やハーブはつきもので呪術師の家や赤毛熊の毛皮にあるポケットから在庫がなくなる前にいつも買いに行ったり届けてもらうのだけれどアッシャー祭前日の今日>>131広場で見かければ花を求めた。

求めたのは紫色のラナンキュラス。
花が開いていてもお呪い的には問題はない。
受け取った花にお呪いをして少しばかり元気になってもらい長持ちするようにする］

呪術師 ライト

今日が晴れて良かったよ。
これもフローラが持ってきてくれた、
『赤いガーベラ』のお陰だね。


［お呪いをした紫色のラナンキュラスをフローラの髪に挿すと、むにょむにょとまたお呪いの言葉を紡ぐ。
『幸福』をあなたへと。

うん、これなら大丈夫なはずだ少し勉強したのだ］


頑張り屋さんなフローラに幸多からんことを。
……うん、よし。よく似合ってる。


［お呪いは普段はお願いされてからするものだけれど、
たまには自分から願ってもいいだろう。
どうかなと覗き込んでから飾り付けなどの話をしていく。
いくばくか話をして最後に明日自分の胸につける花飾りの花は何がいいかなと話をして選んでもらうのは甘えだろうか**］

呪術師 ライト

錬金術師のお店にて

［錬金術師の店が開いていることに気づいてその扉を開けたのは時間的にはフローラが帰った頃だろう。

同じ魔法使いとして>>177錬金術の定義について聞いたことがあったが無から有を生み出せないのは同じで>>206魔法が万能ではないことも同じか。
本来の効果を力ある言葉で少しだけ高めるのが>>239本来のお呪いで、天候操作はアニミズムが混じったものか。
言葉による呪で精霊や土地神のご機嫌を取ってよろしくするものなのでアッシャー村でしか使えないのは長年のご近所付き合いの成果であろう。
この辺り、呪術は厳密とは言えないので錬金術と異なる点となる。

前起きはさておいて、お呪いをする上で錬金術の品が必要になることがあるので錬金術の店はよく利用している］

呪術師 ライト

ラヴ姉ー、いるかな。


［ラヴことラヴェーナは一歳年上なので姉とつけている。
ラヴにも色々とあり弟分な自分では如何ともしようがなかったことが多々あった。
一人称が「ボク」になった時は会話の中に「ボク」と「ぼく」が混ざり合って最初はよくわからないことになった時期がある。

そんなラヴは声をかければ店内にはいただろう。開いてたし］


真なる水の在庫があったら貰えるかな。


［井戸水や川の水には不純物が含まれているらしくそれらを取り除くのは錬金術の分野らしいとうのは"ジジ"から聞いた話。
使いすぎたことで在庫が切れたからアッシャー祭の後にでも取りにきたいと申し出よう**］

呪術師 ライト

頑張り屋の花屋さん

［空は晴れやかなもので雲一つなく蒼の色で染まっている。
村の中を歩きながら赤毛熊の毛皮の下から空を見上げると徹夜の成果が見え、見える度に安堵の吐息を零す。
実際に今日が来た時に晴れていなかったなどという夢を見たことはそれなりの回数があり、その度に目覚めることもあった。
自分で得られるのは安堵だけで、達成感はいつも誰かが贈ってくれる。

>>316フローラも欲しい言葉を投げかけてくれる。
頑張ったら頑張った分だけ褒めてくれるのは昔からだったか。
改めて言われると頬を指で掻いてから歯を浮かべて笑みを見せる。

差し出された花籠のなかにはフローラが丹精込めて育てた花々があり頑張った証がそこにある］

呪術師 ライト

ううん、ぼくだけの……じゃないよ。
皆が協力してくれたからできたんだ。
お手伝いしてくれてありがとう。
晴れてくれてさ、嬉しいんだ。


［ところであの時、女の子の髪に花を挿すのがダメなのではなく選んだ花がいけなかったと理解していたので>>317話自体はちゃんと聞いていた。
聞いていた上でこうしているのだからおばかさんと言われても、まあ、仕方がないのだろう］

呪術師 ライト

とっても似合ってるよ。
フローラの髪には花がよく合って可愛いね。
いつもより魅力的に見えるようにお呪いしたからね。


［『幸福』のフローラが微笑むと見ているだけで笑みが浮かべられるのだからとても良い。

>>319フローラが選んでくれた花は聞けば、わぁ、と伝えた言葉が倍になって帰ってきた感じがして頬が熱くなる］


ありがとう、フローラ。
明日はこれをつけていくよ。
幸せをありがとう。


［『幸福』のフローラから幸福をお裾分けしてもらい最大限に笑みを浮かべる］

呪術師 ライト

大丈夫だよ、ぼくはね。
フローラが選んでくれたものだからこそ選びたいんだ。

……それにほら、物語にもあるでしょ。
髪と瞳の色は大切な贈り物にってさ。
似合うかもしれないけど贈り物用にとっておくよ。

だからね、素敵な『赤』をありがとう。


［ありがとうにありがとうを重ねる。
恋愛物語のように自分の色は想い人へと語り赤毛熊の毛皮の下で良い笑顔を見せることができていた*］

呪術師 ライト

工房/ラヴェーナ

［訪れた時は丁度客足が途絶えていた頃合いだった>>327。
いつもながらの良い声で迎えてくれたので真なる水を注文して、ところで錬金術で理解できないことと言えば物質を一度分解するらしいけれどそもそも分解って何ぞって辺りで自分には錬金術がわからないのだろうなと感じている。
きっとラヴはすんごく頭がいいのだろうと現在はその考えに落ち着いている］


えっと……在庫全部使っちゃったから。
……たくさん？　あるだけ。


［多分、呪術師の家で"ジジ"が最大発注した分がお店の記録にあるはずなのでラヴの方がよく知っているかもしれない。
保存容器分いっぱいに注文して、きっと自分では持ち切れないからアロイスのアニキに運搬をお願いすることになるだろう］

呪術師 ライト

今は毎日の見回りの最中だよ。
明日と明後日はお休みするからね。
その分も合わせて今日やってるとこ。
一番大切なお天気は明日も快晴だよ。


［>>332労われると、ラヴもお疲れ様を労い返す。
親父さんが亡くなってから一人で切り盛りしているから大変そうだったのは先に見ているわけで苦労の先人からの労いは有難いものだった。

棚を整理する後ろ姿を見ながらいつのまにか背丈も抜いてたんだよなとぼんやりと考えていた］


え、うん。
……あ、いや、"いつも通り"かな。


［ほややんとしているところに>>339唐突に尋ねられたので思わず肯定の言葉のようなものを吐き出して、その後で言い直した。
いつも通り、そう、いつも通りだ。
答えのおかしいところはない、うんとやや慌てて視線を逸らす］

呪術師 ライト

ラヴ姉はどうなのさ。
誰かと回るの？

……そう言えば。


［逸らした視線をつつと>>302黄色のミモザと>>323花飾りへと向ける。多分、まだそこにあるはずだ］


可愛いの用意してるから、予定ありそうだね。
少し長持ちするお呪いかけておこうか？


［ぎゅんとあからさまに話題を変えようと試みる**］

呪術師 ライト

ずっと頼りにしている花屋さん

［共に手を取って一つの事柄にあたったと、そこから得られる達成感と感謝は言葉として互いの間を行き交っていく。
そうしたやりとりも嬉しいもので、皆もそうならなお嬉しい。
>>365そんな言葉をかけてくれるフローラは素敵な人だからこそ『幸福』を祈りたい。

ところで自分はまた少しズレたことを言っていたようだ。
>>366深読みされると思わず呻いてしまったし、幸福を祈り返されると蒼い空を見上げてしまう］


え？　あ……うん、うん？　……うん。


［>>367小首を同じ方向に傾げると理解してなさそうなことくらい伝わるだろう。
わざと下からすくいあげるように見つめられると今度は視線を逸らせなくなって紫色の瞳を見つめ返す］

呪術師 ライト

はい、いいえ……あ、うん。
そうだね、そうだ。


［薄い赤、ピンクローズのような髪色に紫の瞳のフローラにとなるととたじたじと畏まりながらも視線を右往左往していると>>369唐突に笑いはじめたので唖然としてしまった］


あのね、花言葉で考えていたからさ。
そこまで考えてなかった……。

勉強したのは、うん……。
いつも教えてもらってばかりだからさ。

それに……。


［昔の話だがフローラがシルヴァンのアニキのお嫁さんになりたいと言っていたことも物陰からこっそり聞いてしまっていたこともあるしと視線を一度完全に逸らして呼吸を整えてから紫の瞳へと視線を戻した。

それは昔の話だけれど幼い頃の憧れというのは残っているものだろう］

呪術師 ライト

ぼくもさ、フローラのことは大切に想ってるよ。
いつもありがとう。

だからさ、許すも何もそうなってもね。
ぼくは祝福するよ、精一杯にね。

頑張ってね、いつも頑張ってるけれど。
楽しんでね。


［いくつものありがとうを伝えて大きく手を振って、いつも世話になって頼りにしている幼馴染と別れた**］

呪術師 ライト

錬金術工房/ラヴェーナ

［>>391ラヴの講義は魔法についてのところは起きていられるけれど細胞レベルとかそういう話になると眠気が襲ってくるので不思議なものだ。

しかもちゃんと窘めてくれるのでついつい甘えてしまうのも悪いところなのだろう。
流石お姉ちゃんである。一歳だけであるが］


うん、今回は唐突に使っちゃったからさ。
いつも助かってます！　ありがとう、ラヴ姉！


［>>393昔からのことがたくさんある。
たくさん褒めてくれるのは姉ぶっているからかラヴだからか、どちらにしてもたくさん褒められてきたことは覚えている］

呪術師 ライト

うん、頑張ったよ。
今日はしっかり寝るつもり。
明日は年に一度のお祭りだからね。


［褒められて労われてアッシャー村は温かなところだなと感じる瞬間だ。
満更でもないように笑みを浮かべてうっかりと零しかけた言葉の矛先を変えると>>394なんでもなさそうな顔をして言い淀んでしまった。

何か踏み抜いてしまったのだろうか。
冗談交じりでまた返されて、またこちらも冗談で返して有耶無耶にしようと思っていたので意外な反応に逆にたじろんでしまう］


ラヴ姉……。


［なんて分かりやすい姉なのだろう。
いや、昔からそうだったかはさておき今日のラヴは反応がわかりやすすぎた］

呪術師 ライト

そっかぁ……フローラはいい仕事するよね。
可愛い花だからラヴ姉によく似合うと思うよ。

……そっかあ、深い意味はないんだ。


［>>396喋れば喋るほどに墓穴を掘っていくラヴに温かな眼差しを向ける。
何か深い意味があるんだあと赤くなった顔を見て、ははっ、と笑って返す］


そうだね、可愛いからね。
明日はどこに飾るの？
髪かな。

黄色のミモザもいい花だよね。
花言葉は知ってる？


［会話を切るかと言えば、いいや続行だねと明日につけるのか尋ねながら花が少しだけ元気になって長持ちするお呪いを黄色いミモザと花飾りにかけた。

呪術師 ライト

はい、これでしばらくは可愛いままだよ。
あとはそうだな……。
明日のラヴ姉がいつもより可愛くなりますように。


［そんなお呪いはないけれど赤毛熊の毛皮のポケットからハーブを取り出してもにょもにょ祈りをかけておこう**］

呪術師 ライト

例えば

［呪術師"ジジ"がいなければ今の自分は存在していなかっただろう。
幼馴染の三人が誰一人いなくても同様だ。
シュクルがいなくても、フローラがいなくても、ラヴがいなくてもきっと今の自分は存在しない。
皆がいたから両親がいなくても寂しくなくて、皆がいたから"ジジ"が亡くなった後も頑張ってこれている。
とても大切な人たちで幸福になって欲しいと想っている。

おおらかな心に育ったとするならばそれは皆があってからこそだ。
>>399自然とありがとうと言い合える環境が育ててくれた。

呪術師"ジジ"は皆を守る存在だ。
お呪いの効果は少しだけでも、少しずつ幸福になりますように。

"ありがとう"の言葉にはにかんで見せて、明日のフローラが今日よりも幸せになれますようにまた願う**］

呪術師 ライト

明日の予定

［明日の予定は"いつも通り"だ。
毎年と同じように皆と一緒に祭に行って楽しむのが"いつも通り"。
ラヴの様子がおかしかったり、フローラに誰かとの予定があっても自分は"いつも通り"にするつもり］


……あ、それじゃあダメだ。


［でも、シュクルは予定はないと言っていたけれどあれから少ししているから何かしら予定ができているかもしれない。
"いつも通り"と思っているのは現状自分だけの話だ。
ラヴの錬金術師工房を後にしてからその事に気づけばはたと立ち止まっていた。
次には踵を返して足取りは自然とシュクルの家へと向かっていた。
シュクルが家に戻っていれば直接伝えたい。伝えないといけない。］

呪術師 ライト

［足取りは自然を早くなる。
赤毛の熊はいつしか二足歩行で走り出していた。
肉体派ではないから速くはないけれど全速力で。

>>424そして帰り道でシュクルを見つけると、待って、と声をかけて近づいて前に回り込んで相対する。
夕暮れ時に差しかかっていれば、そして赤毛熊の毛皮の下なら顔が多少朱に染まっていても気づかれはしないだろう。
よしんば気づかれても肩で息をしていれば誤魔化せるだろうか。

ちゃんと約束しないといけなかった］


はぁ……はぁ……あの、あのさ、シュクル……。
明日は朝から迎えに行くよ。
よかったら、アッシャー祭ではぼくの隣にいてほしいんだ。


［だって、そうだろう。
お姫様に会いに行くのにいきなり会いにいく――うん、なんていないじゃないか？

とそこまで吐き出してから>>428何だか暗い表情をしているのでじーーっと、平気？と尋ねて瞳を見つめた**］

呪術師 ライト

小さな頃の大きな話

［呪術師の家前には色々な特級呪物が置いてある。
色々な獣の骨を組み合わせて作られている骨合成獣は禍々しい形相でおどろおどろしい気配を感じそうなものであるし、他にも黒い鳥の剥製がわざわざ逆さづりされている。
それらは全て悪い精霊除けのものでこの村には恐ろしい存在がいるから近づくなと示しているものだ。

村にずっと棲んでいても最初は驚き、次第に慣れていき、愛着が湧くものだ。
雨が降りそうな日はまとめて納屋にしまったりと手間暇かけて管理している。

>>429小さい頃、よくあることなのだが悲鳴があがったかは覚えていないが骨合成獣を見て逃げ出した人がいた。

次の機会には"ジジ"を見て逃げ出していた。
赤毛熊は討伐されてはいるがかつては森のドンであったらしく出会ったら天に召されることを覚悟するような獣であったらしいので驚くのも無理はない。
ただ、"ジジ"と呼ばれる婆様は腰も曲がり背丈も150cmもない随分と可愛らしい赤毛熊であった］

呪術師 ライト

［次第に慣れてきたのかシルヴァンのアニキが訪れるようになった。
フローラの様子からして名前も一致するし『お兄ちゃん』とはこの人のことだろうと幼心ながら対抗心を燃やした。
小さい頃の男児はそんなものだ。
何かしらにつけては対抗心を燃やしては敗れて大人になっていく。

"ジジ"は尋ねられれば隠すこともなくお呪いを教えてくれる。
呪術、アミニズム、または精霊信仰というだろうか。
土地柄に応じた約束事があり昔からの言い伝えとともにお呪い一つ一つに言葉がある。
生活に根付き、土地に根付き、精霊に根付きまとめて呪術と呼ばれるものとなる。

大切なのは想うことと精霊を感じること］


『"ジジ"もきっとお話したかったと思うよ。
　話をするのが好きだったからね』


［複雑そうな表情ではなく>>430わりかし普通の表情でそう答えを返した**］

呪術師 ライト

帰り道

［本当はもう家に着いている頃だろうなって家まで走るつもりだった。
走っていると暑くなるし脚も震えてくるしで何度かも歩こうとしたけれど帰り道の途中で見つけることができたのは精霊が導いてくれたのだろう。

>>42息を切らしていると驚かせてしまったのか>>43恐ろしく素早く距離を空けられてしまった。
昔やった怖い話をしている時に見たくらいか、冬の寒い日に冷たい手を頬にあてた時くらいの素早さだった］


えっと……思い出したから……ちゃんと言ってなかったし。
誘いたい人……あ、そっか誘いたい人か。


［>>443なるほどなー、と納得した。
本当に驚いているだろうことは仕草でわかるけど動く度に揺れるので努めて視線は瞳に照準を合わせている］

呪術師 ライト

［『ほら……時間はいつごろがいいか』
『どこでとか、あるわけで……』

作戦内容を当の本人に尋ねられてしどろもどろに答えたものが本当に誰かいい人がいるのだと思われていたらしい。
自分の中ではいつも通り一緒に回るつもりだったけれどまさか家から雰囲気を楽しむつもりだったとは知らないし、シュクルの良い人もいないと聞いていたし、いつも通りって言っていたし、明日は楽しもうって言っていたので真正直に信じていた］


［いつも通りだと約束していないことに気づいたのは先のことで、フローラも予定がありそうな感じであったし、ラヴも何か意味深な贈り物を貰っていたしこれが18歳になることかと感じると焦りを覚えた。

もしかするとシュクルも何かしら約束ができたかもしれないと気づいたからだ。
最後も最後、時間ギリギリになってだけれどダメならダメでと伝えにきたのだけれど――］

呪術師 ライト

そ、そっか……ダメか……そっか……。


［>>444やはり約束ができたらしいと足元が不覚になりふらふらし始めた感じがした。
地面が揺れているのは寝不足なのに走ってきたからだろう。

気づくのが遅すぎた。
シュクルを放っておく男がいるわけがねぇよなぁと納得できないまでも飲み込もうとする。
これが大人になることか。

ぐう、と唸るとそれでももう一度、シュクルの幸を祈ろうとして片手をあげたところでそれを留められるように毛皮を摘ままれて動きを止めた］

呪術師 ライト

え？　……期待……う、うん。


［瞳が潤んでいて顔が赤い。
呼応するように頬が熱く、いや、既に暑かった。
でも覗き返してくるのはずるいと思う。
視線を逸らすことなんてできやしない女の子の必殺技だ］


お……。


［何と言っていいのか咄嗟に思い浮かばない中で閃いた言葉が零れてる］

呪術師 ライト

お姫様は……期待してなんぼじゃないでしょうか。


［謎の方言と丁寧語が混ざり合った言語で伝えるのが精一杯だった**］