花屋 フローラ

『大きくなったら、お兄ちゃんのお嫁さんになってあげる』

　

花屋 フローラ

［小さな子どもは。周りの目なんて何も気にせず。
笑いながらお兄ちゃんにそう告げた。*］
　

花屋 フローラ

[当時。微笑ましい目で見詰めていた村の人たち。
この季節になると揶揄われるの。少し恥ずかしい。］


も〜〜〜。それは小さい頃の話しでしょ？！
私だって今年で１８歳なんですよ。


［だからだよ。って揶揄ってくる村の人。
お兄ちゃんにまで被害が及んで無いと良い。］


私は村をお花で飾りつけるのに忙しいんです〜。
綺麗な花冠を作りたかったら。
是非。『花屋　フローラ』にお越しください。


［私はそういうとスカートを翻して。
村を飾り付けるための花籠をもって。
弾むように歩み去った。**］

花屋 フローラ

［『お兄ちゃん。』

幼い頃呼んでいたその呼び方を。
もうその人にする事はなくなった。
私は少し大人になって。
孤児院で守られている子どもでは居られなくなった。

街の人たちみんなを名前で呼んだ。
その方が親しみを感じてもらえるし。
子ども扱いされたらお仕事も上手に出来ない気がして。］

花屋 フローラ

［私のお仕事はお花屋さん。

土をふかふかにして。花を育てるの。
この時期は切り花やアレンジメントも売ってるけど。
鉢植えのお花や緑のプランターも売ってるのよ？
私の育てたお花や緑が。
誰かの家を彩っている。
それって想像すると素敵じゃない？］

花屋 フローラ

[最初にお花を育てる事に興味を持ったのは。
本当に小さい頃の冒険譚。
村の外れのお屋敷で。
シルヴァンに出会ったの。
その頃の彼の薬草園は小さな物だったけれど。>>20
物知りの彼は私の知らないたくさんの事を教えてくれた。

見たこともない綺麗で繊細な色付きの絵が描かれた。
『図鑑』と言う物も見せてもらったの。
彼は草花の効能についても話して聞かせてくれあけど。私は図鑑に描かれた花の美しさに夢中になった。

『きれい』と呟いた。
『私にも育てられるかな？』

まだ字も満足に読めなくて。
図鑑を読んでもらってたような私に。
シルヴァンはなんと答えたのだったかしら。*］

花屋 フローラ

［お花屋さんをすると決めた時。
花壇を作るのを手伝ってくれたのは、アロイスだった。
孤児の私にまともな土地は引き継がれて無くて。
岩だらけの土地を鍬で耕して。
雑草を根切りして。土をふわふわにして。
そんな作業をするのは大変だった。

それでも嫌な顔一つしないで。
手伝ってくれて。
土がふかふかになったら。
石組みの花壇を作ってくれたの。

私だけの秘密の花園。
これからお花を育てて行く場所。
何ももたない私に。花を育てる柔らかな土と。
育てた花を彩る。綺麗な石造りの花壇をくれたのは。
アロイスだった。*］

花屋 フローラ

［コウセツはお菓子屋さん。
お菓子屋さんってとても素敵だと思う！
お花屋さんと同じ。

だって。
食べた人の事を少し幸せにしてくれるでしょ？
お花を見た人が、少し幸せになるように。

お店が開いた時にお祝いのお花をもっていって。
そんなことを話したの。
たくさん修行してるの知ってたから。
その間に私も異国の花の苗や種を取り寄せて。
育ててみた。彼のお店の彩になったらなって。
プレゼントしたアレンジメント。
気に入ってくれたかしら？

気に入ったなら。是非次はお店で買ってね。
育てられるように鉢植えもあるのよって。
私は笑って営業までしちゃった。*］

花屋 フローラ

［ライトは私と同じ年なのに。
とても難しいお勉強をしてる。

でも彼の天気予報はとっても頼りになるの。
雨が降って欲しい時。尋ねに行ったり。
嵐が来そうな時は。事前に花壇を保護したり。
”ジジ”は優しくて。
時々頼まれてハーブを持って行った。

何に使っているのか分からなかったけれど。
薬草茶をご馳走してくれた時はあったはね。
その時は、”ジジ”とライトと３人で。
お土産のお菓子と一緒にお茶を飲んだわ。
……”ジジ”が居なくなったライト。
淋しく無いといいな。時々顔を出して。
『欲しいハーブはありませんかー？』なんて。
押し売りにおしかけたりしたの。
赤い熊さんとはすっかり馴染んでもう仲良しよ。**］

花屋 フローラ

幼い私が見た夢

［６つも年上のシルヴァンは。
あの頃の私にとって。
本当に何でも知ってる物知りのお兄ちゃんだった。
大冒険の末に迷い込んだお屋敷に。
何回も足を運んではお話やご本を強請った。

初めて会った時はお庭だったけど。
時折咳き込む時は、お部屋に招いてくれて。
『図鑑』を見せてくれた。

孤児の私に、お屋敷の人がどんな印象をもってたか。
当時の私には分からなかったけど。
お兄ちゃんは何時も私を歓迎してくれて。］

花屋 フローラ

［私の口から零れた小さな呟き>>69に。

『フローラなら、できるよ。』>>79

と。大喜びで答えてくれた。
私より私の事信じてくれてるみたいで。
いっぱい背中を押してもらえて。
その時、私の将来の夢は、お花屋さんになった。

難しい事は分かってた。>>94
それでも幼い頃に教えて貰った図鑑で知った。
異国の花の種を取り寄せて貰ったりして。>>71
今も私は花屋を続けている。

それはあの日の。
確信めいた強い言葉が。何時も私の背中を支えてくれていたからだった。］

花屋 フローラ

［お兄ちゃんはあまりお外に出なくて。
でも。もうすぐお祭りがあるし。
年に一度のお祭りだし。
せっかくだから。一緒にお祭り行こうよ。って。
幼い私はお兄ちゃんをお祭りに誘った。
もこもこのお兄ちゃんと村を歩いて。
綺麗な首飾りを贈る男女に周りの人が笑ってて。
お祭りで結ばれた２人は結婚するだよって教えて貰って。私は本当に無邪気に。］


『大きくなったら、お兄ちゃんのお嫁さんになってあげる』


［と。笑っていた。
教えてくれたおじさんがくれたふわふわのお菓子>>66が美味しくて。私は更ににこにこ笑顔になったんだ。
楽しい楽しいお祭りの思い出。*］

花屋 フローラ

［私が皆を名前で呼び始めたのは。
お兄ちゃんが王都にお勉強しに旅立った後からだった。

もう。甘えちゃいけないと思ったから。
お勉強頑張って欲しかったから。
大好きなご本いっぱい読んんで欲しかったから。

笑って送り出して。
頑張ってねって手を振った。
見えなくなるまで見送って。］

花屋 フローラ

[そしたら、シュクルが。

『はい。あなたにあげる。』>>9

と。飴をくれた。
甘い甘い飴は。美味しくて。本当に勇気が出るみたい。
シュクルが飴に『勇気が出る飴』>>10って名前を付けた時。私は『ぴったり！！』と笑ってた。

お菓子には人を幸せにする力があるねって。
私に教えてくれたのは、シュクルだよ。*］

花屋 フローラ

回想：アロイスと『花屋フローラ』

［アロイスが思ったような感想は。>>94
きっと村の皆も思ったような感想だっただろう。
もっと。他の仕事はたくさんあった。
それこそ薬師に弟子入りしても良かった。
お針子や、食堂や、住み込みで働ける場所もたくさん。

それでも私はお花屋さんを選んで。
一から花を育てる事を選んだ。

まだ年若さの残る細い腕で。
岩を掘り起こして土を耕す姿を見て。
それでも…………
手を貸してくれたのは、アロイスだけだった。］

花屋 フローラ

［しかも最後まで付き合ってくれる根気強さ。
見放さないでいてくれたのは嬉しかったな。


『…俺ができるのはここまでだからな。』
『まあ、やるだけやってみな。』>>95


そんな少しぶっきらぼうな言葉に。
『うん！頑張るね！！』と笑って答えて。
私は今日も、花籠をもって祭りの会場を歩いていた。**］

花屋 フローラ

回想：『花屋さんの押し売り』

［ライトは天気を読むだけじゃなくて。
天気を少し操る事も出来て。
力の加減が出来なくて怒られてる時は笑ってしまった。
でも。嵐の到来を教えてくれて。
お花のために呪術をかけてくれて。>>87
本当に頼りになる幼馴染だ。

ライトが”ジジ”になって。>>88
時折押し売りに行くと。何時もお茶を淹れてくれる。
『今日は肌が綺麗になる薬草茶』］


嬉しい。土弄りは、手が荒れるの。
いっぱいお茶のんじゃお。


［笑ってお茶を飲みながら。広げたお菓子は。
コウセツのお土産>>119のお裾分け。］

花屋 フローラ

［喜んでくれたコウセツ嬉しかったな。
あれからもお店に通ってくれて。
貰ったお土産を幼馴染への押し売りに持参する。
小さなお茶会の完成だ。
違うのは３人が２人になったことくらい。

ライトが気紛れに花を髪に刺してくれる。
『……ありがとう。』>>88
そんなライトの言葉に微笑んで。］


私こそありがとう。


［髪に刺さった花に手を添えて微笑んで見せた。
それから。『お花のお値段はこちらになりま〜す。』
そう言って笑うと。
『今日もお買い上げありがとうございました。』
『また来るね。』そう笑って。
髪に花を揺らしながら。彼の家を後にした。**］

花屋 フローラ

現在：お祭りの会場にて

［私は花籠をもって歩いている。>>38
それは村の人に。花飾りを配るため。
花屋を営み始めてから、毎年回っているから。
声をかけてくる人も多い。

お祭りの日は、女性は布や生花の髪飾りを着ける人が多い。
男性はシャツやズボンに、華やかな上着やベスト。
でも中には、タイの代わりに胸ポケットに花飾りを刺す人も居る。

既に恋人同士の二人が。
お揃いの花の髪飾りと胸の飾りを着ける事も。
実は私がこっそり恋人達にお勧めして広めた最近の風習だ。
独り身以外の恋人同士にも。
楽しみがあって良いでしょう？
それこそおじいちゃんとおばあちゃんでも。］

花屋 フローラ

［この日の私はお金は受け取らない。
もう花が開ききって。
売り物としては店に出せないけれど。
とても綺麗な見頃の花で飾りを作るから。

そうして。声をかけてくれた人に選んでもらって。
花の髪飾りや花のチーフをプレゼントする。
お祭りが幸せな日になるように願って。

私にとってお祭りは。
とても楽しい思い出の詰まった日だったから。
村の皆んなにも幸せのお裾分け。
それからお花が気に入ったら。
是非『花屋フローラ』にいらしてくださいね？］

花屋 フローラ

［会場で花を飾り付けながら。
何か話している。ラヴェーナとコウセツをみかけた。
ラヴェーナに花飾りを尋ねるのは後にしよう。

まだ少し遠慮がちな。
リトリコにも花飾りを贈れたら良いんだけど。
そうすれば自分も。お祭りの一員だって。
この村の人間だって。思えるかもしれない。
それに綺麗なお花は純粋に楽しいもの。

何時も『勇気が出る飴』を贈ってばかりの。
シュクルにも贈りたい。
もらった勇気が無かったら。
一人では耐えられなかったかもしれないから。］

花屋 フローラ

遠い空を思って。

［シルヴァンは今頃どうしてるかしら？
今も王都で勉強に励んでるのかしら。
狭い社会だけど。お屋敷は村の外れにあって。
シルヴァンもほとんど外出しないものだから。>>20
私は彼が帰ってきている事を知らなかった。
彼だって私の花屋には来てないもの。
あんなに分かりやすく『フローラ』なんて名前まで付けた花屋なのに。
（お菓子屋さんには通ってたらしいわね？）

だから私は広場を歩いて。
当時もう１８歳だった>>20
あの頃とあまり変わらぬ彼の姿を目にして。
驚きに目を丸くした。］

花屋 フローラ

［彼が重労働をしてる姿を初めて目にする。
小さくくしゃみをする姿が目に入った。>>22］


シルヴァン。


［思わず声をかけてしまったけれど。
呼び名はもう『お兄ちゃん』では無かったし。
当時１２歳の私は今は１８で。
すっかり様変わりしてしまっていたものだから。
私だとは。気付かなかったかもしれないわ。**］

花屋 フローラ

回想『押し売りと忠告』

［コウセツからもらったお菓子を、少し癖のある薬草茶でいただきながら。］


平気よ。お菓子もお茶も美味しいもの。


［気にする幼馴染に笑ってみせて。>>140
髪に刺された花に喜んで。代金を請求したら。
『良いお嫁さんになるよ、ほんとに。』
ですって。］

花屋 フローラ

[私は髪に刺された花を揺らしながら。
わざと大袈裟に嘆いてみせた。］


女の子の髪に花を挿して。
『良いお嫁さんになれるよ』だなんて。
ライトはいったい何時からこんな口説き上手になったのかしら。それも”ジジ”から教わったの？


［わざと下からすくいあげるように見て。］


天然なのか。わざとやってるのか。
どちらにせよ。あまりたくさんの女の子に気を持たせ過ぎちゃダメよ？
もうすぐお祭りで。私たち今年から１８歳よ？
ほどほどにしとかないと〜〜〜……


［じーっと見詰めて。くすっと笑って。］

花屋 フローラ

女の子に刺されちゃうかも。

　

花屋 フローラ

［ちょっとおどろおどろしくそう言った後。
声を挙げて楽しそうに笑った。］


でもありがとう。
１８歳になってからの初めてのお祭り。
お互い楽しみましょうね？


お代もありがとうございます。
『花屋フローラ』をこれからもどうぞ御贔屓に。

本当にまた来るわ。
今日も可愛い熊さんがお見送りしてくれるの？


［笑いながら。立ち上がって。
赤い熊さんの毛並みを撫でて。『いつもありがとう。』と村の守護のお礼を言ったら。今度こそ『またね』と立ち去った。
心配なんてしなくても。本当にまた次も来るわよ。
私の幼馴染は少しおばかさんね。**］

花屋 フローラ

再会

［１８歳になって。コウセツと入れ替わるように、村から旅立ったお兄ちゃん。
シルヴァンが時折村に帰ってきているらしいとは。
何時も彼が旅立った後で、風の噂で知るのが常だった。
私の中ではすごく仲良しで。
村の人たちの中でも、”ジジ”と同じかそれ以上に。
一番可愛がってくれた人だったのに。

都会に行ったら。
私のことなんて忘れちゃうんだって。
酷く淋しかった。

コウセツの口からシルヴァンの近況を聞くたび。
元気でやってるんだって喜びと共に。
何時も人づてにしか話が聞けない事がすごく不満だった。
別にお土産なんていらないから。
手紙くらい書いてくれたって良いのに。
私だってもう。字の読み書きが出来るのに。］

花屋 フローラ

［そんなシルヴァンとの思いがけぬ再会に。
彼が漏らした言葉。>>150>>151
眩しそうに目を細めて笑う彼は。
相変わらず私より６歳年上の大人の男性で。
私はいくら背伸びしてみても、小さな子どもみたい。
胸が思わずむかむかして。つい。言葉が責める響きを帯びた。］


そうね。フローラよ。
誰だか分からなくなって見違えるくらい。
長く会って無かった。フローラ。

シルヴァンは元気そうで何よりだわ。
素敵な誉め言葉をどうもありがとう。
王都には。
さぞかし綺麗な人がたくさんいるんでしょうね。


［自分の言葉が嫌味たっぷりに聞こえるのは分かってるけど。止められなかった。思わず興奮に顔が赤らんで。
何時も浮かべてる笑顔を浮かべるのも忘れてしまった。］

花屋 フローラ

［こんな醜い自分の姿。
シルヴァンには見せたく無かったのに……。］


…………もう行くわ。


花飾りを配って歩いてるの。
…………

シルヴァンもお祭り楽しんでね。


［『私お花屋さんになったのよ。』
そんな言葉も。今言ったらきっと嫌味にしか聞こえない。
大変な事だってたくさんあったけど。
何時も笑顔を浮かべてきた。
私の背中を支えてくれた大切な記憶。
そんな思い出まで。自分で汚したくなくて。
足早にその場を立ち去ろうとした。**］

花屋 フローラ

『”ジジ”と幼馴染の思い出』

［村の人たちの中でも、ジジは私に親切だった。>>169
そうして優しい老婆との思い出は、常にライトと共にあった。

ライトの反応>>175に満足して。くすくす笑ったら。
早速、御贔屓の注文をくれたわ。>>176
”ジジ”が毎年頼んでいたお花。
それは『赤いガーベラ』だった。

『赤』には魔除けや厄除けの効果もあって。
それは植物にも当てはまるのだと。
赤い熊の毛皮を被って教えてくれたのは”ジジ”だった。>>42
私はお花には少し詳しかったけれど。
呪いには無知で。でもその話しを聞いて。
『赤』には少し特別な意味が出来た。

だからかしらね。
赤い熊さんもちっとも怖くないわ。
だって悪い物から守ってくれるんですもの。］

花屋 フローラ

［『赤いガーベラ』を頼まれて。
私は”ジジ”に尋ねたの。］


恋のお祭りなら、チューリップや薔薇の方が良くないかしら。
『愛の告白』や『愛情』や『告白』って花言葉もあるのよ？


［この時期に咲く赤い花を思って。
素直に”ジジ”に尋ねてみたら。
呪いの話しをもう少しだけしてくれた。
呪いは本来の効果を引き出したり強めたり、後押ししてくれる物らしい。>>42>>87>>172>>185
少なくとも今よりまだ幼い私はそう感じた。

『赤いガーベラ』の花言葉は『神秘』や『チャレンジ』それに『常に前進』
なんとなく。”ジジ”らしいなって思ったの。
”ジジ”とライトの会話>>12は聞いた事は無いけど。
相手の心を動かそうとするのではなく。
お祭りの日と、準備と片付けの日の晴天を願い。
前に進む切欠を与えてくれる呪いなのだと。］

花屋 フローラ

［だから私は素直に頷いて。
その年から毎年”ジジ”に『赤いガーベラ』を届けている。

でもまだ慣れない最初の年に。
一輪のガーベラが萎れてしまっていて。
思わずしょんぼりしてしまったら。
ライトが呪いをかけて。
花を綺麗に咲かせてくれた。>>42
そうして元気になったその花を、私の髪に挿してくれた。>>174
しょんぼりしていた私は嬉しくなって。
満面の笑みで。］


ありがとう。


［そう。ライトに笑ったの。］

花屋 フローラ

［そう言えば。そんな思い出もあったわね。>>174
ライトに言われて思い出したら。
一人でふふって笑ってしまった。］


お花。ありがとう。
それから毎年。ありがとう。

また今年も届けに来るわ。
頼りにしてるわね。ライト。


［今年初めて”ジジ”として祭りを迎えるライトだけれど。立派な呪い師だって。何度も助けてもらって知ってるもの。］

花屋 フローラ

次もまた。美味しいお茶を期待してるわ。
いつもお呪い>>172ありがとう。


［２人の間でたくさんのありがとうを交わして。>>88
それから後日。彼にお花を届けたら。
お祭りの前日は快晴の空が広がっていた。**］

花屋 フローラ

『”ジジ”ともう一人の幼馴染』

［そんな思い出があったから。
私はシュクルが飴に『勇気が出る飴』と名付けた時。
殊の外喜んだ。>>110

もちろん。シルヴァンを見送ってくれた私に勇気をくれたのは嘘じゃないけれど。
シュクルがお祭りの前に配る飴が。
『恋が叶う飴』とか。そういうのではなくて……
『勇気が出る飴』と言うのが。とっても。
とっても嬉しかったの。

それは”ジジ”が私にくれた大切な思い出にも似て。
毎年届ける『赤いガーベラ』にも似ていた。
快晴の空。きっと明日のお祭りもお天気。
今年から１８歳の私たち。

シュクルに花飾りをプレゼント出来たら良いなって。
勝手に一人で思ってた。**］

花屋 フローラ

再会

［『僕のことをお兄ちゃんと、呼んでくれる子はいなかったよ。』>>244


そりゃぁそうでしょうよ！！


でも違う！そうじゃない！！


あんまり腹が立って。惨めで。
私は真っ赤な顔でそれ以上何も言わずくるりと振り返ってその場を立ち去ろうとした。］

花屋 フローラ

［今は怒りで誤魔化してるけど。

気を抜いたら泣いちゃいそう。

どんな時だって。笑顔を絶やさず。
泣かないようにしてきたのに。
本当に。どんな時だって……。

心の中に雨が降りそうだったから。
本当にその場を逃げ出そうとしたら。
腕が伸びてきて。手を掴まれた。>>246］

花屋 フローラ

［思わず振り返って。ぽかんとシルヴァンを見上げてしまった。
手を掴む力は強くて。>>247
ああ。男の人なんだなって思った。
シルヴァンが私をお祭りに誘ってくれて。
楽しかった思い出が。一気に蘇って来た。>>108］

花屋 フローラ

［でも私は素直に頷けなくて。
少しだけ俯いてしまった。
王都にはいろんな人が居るんですって。
お兄ちゃんと呼んでくれる子は居なかったんですって。
だから私は俯いたまま。］


…………私。今年もう１８歳になったのよ。


［ポツリとそう呟いた。
シルヴァンのお誘いは。
何の意味も無いかもしれないから。
なんだか胸がしくしく痛んで。
顔を上げられなかった。**］

花屋 フローラ

ほんのちょっぴりの羨ましさ

［誰かを失って涙を流せる人が。
ほんの少しだけ。羨ましかった。

こんなこと。誰にも言えやしないけれど…………］

花屋 フローラ

［お父さんを亡くして憔悴しきってたラヴ。
お義母さんの一言で捜索騒ぎを起きたシュクル。
押売に家に押し掛けたライトが時折涙を拭っている。

そんな３人の幼馴染を。間近で見て来たはずなのに。
その心の深い傷を。悲しみを。私は見て来たはずなのに。
心のどこかで、微かに羨ましいと思ってしまう私は。
きっと。酷く友達甲斐が無くて。
きっと。酷く淋しい子どもだった。］

花屋 フローラ

［私はシュクルのように、村の皆が良い人ばかりだなんて思う事は出来ない。
リトリコを必要以上に歓迎出来ない。
花飾りは。貰って欲しいと。心から思うけど。
でもそれが。打算から来ていないと。
自分自身でも言い切れない……。

私は孤児で。誰の庇護も受けて無くて。
たった一人で。花屋を営んでいる。

そうするとね…………
男の人から言い寄られる事も。増えるのよ。
若い男性だけじゃない。時には結婚してる人からもね。］

花屋 フローラ

［アロイスのお母さんが。
時折アロイスをお遣いに出してくれるのは。>>134
きっとそういうことにも気付いてるからだわ。
年が近くて、力では誰も勝てない男の人。
さりげなく守ってくれてるのは。
組合の親方>>14の奥さんなんて。
目端が利いて、気配りが出来る人だからかも。

私は村で味方を作る必要があったの。
お店を維持していくためにも。
いざと言う時。守ってくれる人を作るためにも。

だから恋人達のお揃いの花飾りなんて考えた。
ご年配のご夫婦にも配って歩いた。
お祭りだからって理由をつけて。
この日だけは赤字覚悟で無料で。］

花屋 フローラ

［誰かに嫌われるわけにはいかなかった。
だから何時も笑顔を崩さなかった。
皆本当に困った時は。
自分と自分の大切な人から守る。
それは至極当然の事で…………

その人の傍に居たら。
安心出来て。守られてる気がして。
ただ無邪気に笑っていられる。

そんな人は。もう。私には居なかったから。］

花屋 フローラ

［失って。涙を流せるほどに。大切な人。


それは私の切実な憧れだった。


幼い私は。その人の事を。『お兄ちゃん』て呼んだ。
今はもう。私にお兄ちゃんなんて居ない事は分かっている。
私は一人で。生きる道を探して行かなきゃいけないんだって。*］

花屋 フローラ

お祭りのお誘い

［そう。思って生きてきたのに。
シルヴァンは再度私を誘ってくれるから。>>274>>275
繋がれた手が離れた時。>>276
少しだけ淋しかった。
『鬼ごっこ』だなんて本当に子どもみたい。
私と遊んでくれてた時だって。
本当はもうシルヴァンはそんな年じゃなかったのに。

はにかんだような笑顔に。
思わず胸の奥が暖かくなって。］


ふわふわのお菓子>>66を売ってるお店を見付けたら。
その近くに隠れてるかもしれないわ。


［そう言って。小さく笑ってヒントをあげた。］

花屋 フローラ

［なんだかその場から立ち去るのが名残惜しくて。］


また明日ね。


［と。小さくはにかむと。
今度は少し照れくさくて。
その場から身を翻して走り去った。*］

花屋 フローラ

［少し離れて落ち着くと。
ふぅ。と息を吐いて。空を見上げた。
青い空が広がっていた。


急に。不安が襲ってくる。
そんな意図。どこにもなかったらどうしよう。
私もしかして。とても恥ずかしい事を言ったのかも。


ふわふわのお菓子をくれたおじさんは。
今日だって私を揶揄って来たおじさんだ。>>38
そんなお店の近くで彼を待つなんて……
正気の沙汰とは思えない。］

花屋 フローラ

［でも………………

小さく聞こえた声>>274に。
少しくらい期待しても良いでしょう？

もしかしたら。私にも…………
お花屋さんになる夢が叶ったように。
もう一つの夢だって。叶う日がくるかもしれないって。**］

花屋 フローラ

あなたにもお花をあげましょう

［村の中心部でリトリコをみかけた。
アロイスと何か話してるみたいで。
ふふ。と。笑みが浮かぶ。
声をかけるのはまた後にしましょう。

花飾りを配りながら歩いていれば。
先程、コウセツと共に居たラヴの姿が目に入って。>>235］


ラヴ。お店に帰るところかしら？


［笑いながら声をかけた。
今は一人で店を切り盛りしている。
いくら魔法や伝手があるとはいえ、大変だろう。
その苦労の幾許かは、分かるつもりだ。］

花屋 フローラ

［よくよく見れば。手元には黄色いミモザが揺れている。>>235>>254
思わず花籠を見詰めて。
余計なお世話だったかしらと思いながら。
小さく笑った。］


もしも良ければ、明日のお祭りで髪を飾る。
花飾りをいかがって思ってたんだけど……

もう綺麗な花を持ってたのね。

気に入った花飾りがあれば選んでくれてもいいわよ？
でも。無理して選ばなくても良いわ。


［花籠を差し出して。］

花屋 フローラ

［黄色いミモザに目を細めた。
私はお花屋さんだから。
花の名前も花言葉もしっている。
けれど問われなければ答える事はせず。］


楽しいお祭りになると良いわね。


［それだけは微笑んで伝えて。
彼女と二言三言話したら。
もっと会話したい人の元へと放してあげるつもり。
『シュクルを見なかった？』とは。尋ねただろう。**］

花屋 フローラ

臆病な幼馴染に

［ラヴはどこか不安気な顔をしてかぶりをふる。
彼女がお祭りで着飾らなかったのは知っていた。>>298
お祭りに対して、どこか斜に構えて居る事も。
幼馴染だから。家庭の事情もある程度しっていた。
それからのラヴの変化も…………

幼い頃のラヴの言葉>>299覚えてる。

それに。去年と今年が同じだとは限らない。
………でしょ？>>302>>303］

花屋 フローラ

［ラヴの言葉に私は微笑んで。］


任せて。


［と。言いながら。うんと悩んだわ。
ラヴの手にあるミモザの花。
先程までコウセツと会話していたのを見ている。>>133
幸いな事に。私は鉢植えでその木を育てて居た。
木の枝に連なる柔らかな白に近いピンクの花。
杏の花が美しく咲いた枝を、丁寧に削って磨いた飾。
リボンの色は白を選んで。可愛く結んで差し出した。

リボンの白は。彼女の服に合わせたのと。
あの日の言葉が記憶にあったから。>>299］

花屋 フローラ

［差し出した杏の花の枝の髪飾り。］


見慣れない花でしょう？
異国の花でね。『杏』って言うの。
この木から実る果実で作るお菓子もあるらしいわ。
コウセツのお店にもあるかもしれないわね。

『桜』と言う花より一足早く。
はにかむようにピンクの花を咲かせるから。
花言葉は『乙女のはにかみ』なんですって。


［可愛らしい謂れよねって。くすっと笑って。］

花屋 フローラ

私は桜は図鑑でしか見たことが無いけれど……
異国を旅したコウセツなら。
目にした事もあるかもしれないわ。
とても綺麗な花らしいの。

でも。この『杏』の花も綺麗でしょう？
淡い淡い白がほんのり色づいたみたいなピンク。
ラヴにぴったり。本当によく似合うわ。
私が選んだ一番よ。もらってくれる？


［そう言って。大切そうに差し出した。］

花屋 フローラ

［杏の花の花言葉。

『乙女のはにかみ』

『疑い』『疑惑』『慎み深さ』
それから『臆病な愛』

彼女の過去を考えれば。
恋や愛を疑ったり、臆病になるのは頷ける。

それでも…………
花飾りを貰ってくれるあなたに。
私から。東国の花の贈り物。
白に近い柔らかなピンクは。
黄色いミモザにも映えるでしょう。**］

花屋 フローラ

頼りになる呪い師さん

［空は快晴。皆の作業も順調で。
お祭りの会場は着々と完成に近づいている。
今夜の雨の心配も無いから。
飾られた花は明日も美しく祭りを彩るだろう。

そんな青空の元で。
声をかけてくれたのはライトだった。>>304］

花屋 フローラ

ライトもお疲れ様。
雲一つ無い大空ね。
さすが頼りになる呪術師さんだわ。>>288


［くすくすと笑いながら。
お花をどうぞと花籠を差し出せば。
幾重にも花弁が重なる。八重咲の美しい。
紫のラナンキュラスをライトが選んで居た。］

花屋 フローラ

［何やらむにょむにょお呪いをするライト。］


今日が晴れたのはあなたのおかげよ。ライト。
でも私の育てたお花が。
少しでもあなたをお手伝い出来たなら。
とっても嬉しいわ。ありがとう。


［そう微笑んで会話していたら。
また髪に花を挿された。

また！あなたは！私の話しを聞いてたの？！

思わず心の中で笑ってしまったけれど。
続く言葉>>305に。温かな気持ちになる。］

花屋 フローラ

［髪に手を当てて。大ぶりの花にかざす。］


ありがとう。似合うかしら？


［ふふっと笑ってみせて。
もらった『幸福』を身に着けて微笑む。

ライトが胸に着ける花飾りの相談をしてくれて。
こちらはもうすぐに決まった。］

花屋 フローラ

［『赤いカランコエ』。リボンももちろん赤。］


『赤いカランコエ』の花言葉は『幸福を告げる』
でも異国の言い回しでは。
『幸せのおすそわけ』ともいうそうよ？
あなたが私にくれた『幸福』のおすそわけ。

それにね？

『カランコエ』自身にも花言葉があって。
『あなたを守る』『幸福を告げる』『たくさんの小さな思い出』『おおらかな心』

全部。あなたにぴったりだわ。ライト。


［ふふっと笑って。］

花屋 フローラ

［たくさんの。小さな思い出を。
思い出すかのように。ライトを見て微笑んだ。
私と同じ小さな幼馴染が。
今では村を守る”ジジ”として。
皆に幸福を告げる青空を齎してくれている。］

花屋 フローラ

［でも最後にこれだけは忘れずに。］


けれどそれだけに囚われなくて良いのよ？


ライトが好きな花。好きな色。あなたの好きなもの。
”ジジ”や、お仕事に囚われ過ぎずに。
あなたの好きな物も取り入れて。選んでね？

もしも気に入ってくれたら嬉しいけれど。
このチーフにだって。
好きな花を足しても良いし。
リボンの色を変えても良い。
全く違う物を新しく選んでも良い。


［微笑みながら。］

花屋 フローラ

本当はあなたの髪と目の色のような。
金色のリボンも似合うかしらと迷ったの。

いつもありがとう。ライト。
紫のラナンキュラスを、ありがとう。


［微笑んで。あなたにも幸福を。
私の願いも。呪いになればいい。**］

花屋 フローラ

乙女のはにかみ

［『…かわいい』>>323
思わずと言った風に零れ落ちたラヴの言葉。
少し狼狽えながらも。
大切に差し出した花飾りを受け取ってくれた。>>324
口元に浮かんだ柔らかな笑みは。>>325
どうみても乙女のもの。］


どういたしまして。
……気に入ってくれて嬉しいわ。


［答える私の声も。何時もの明るさよりも。
穏やかな優しい響きを伴って。眦が細まった。

花を見た人の。幸せそうな笑顔。
『お花屋さん』をやっていて。一番幸せな瞬間。］

花屋 フローラ

［シュクルの行方は知れなかったけれど。
工房で特別割引を受けられるらしい。>>326
なんと１０割引き。］


そう言えば…………


さっきシルヴァンに会ってね。
明日『鬼ごっこ』に誘われたの。
……本当はお祭り一緒に回ろうって。

何か…………
用意しても。変じゃないよね？


［幼い頃の思い出を共有した幼馴染に。
そっと打ち明けて。
もしかしたら後で寄るかもって。
互いに笑ってお別れしたの。**］

花屋 フローラ

可愛くて頼りになる呪い師さん

［どこか安堵が滲むありがとうに。>>341］


そうやって皆に感謝出来るって素敵ね。
そんなライトだからこそ。
私もお手伝い出来て嬉しいわ。

きっと皆も同じよ。


［笑って答えながら。
花籠を差し出した。］

花屋 フローラ

［褒め言葉とお呪い。>>342
やっぱり彼はすこ〜し天然なのかしら？

でも。選んだ花を。心から喜んでくれたのは。
手放しで嬉しかったわ。
その後で。大切な話しを聞かせて貰ったのも。>>343］


髪と瞳の色を贈りたい。
大切な人が居るのね？

教えてくれてありがとう。
どうかライトに。
たくさんの幸福が訪れますように。


［微かに瞼を閉じて祈りを捧げて。
それから瞳を開けるとにっこりと笑う。］

花屋 フローラ

つまりライトは。

髪と瞳の色は特別だから。
私が金色を使わずに『赤』を使ったって。
ちゃ〜〜〜〜んと理解してるって事よね？？？


［にっこり笑って小首を傾げてそう尋ねて。
それからそっと髪の花に触れて。
何時もするように。>>163
わざと下からすくいあげるようにライトを見て。］

花屋 フローラ

それなのに。私に『紫』の花を贈ってくれるのは。
どういう了見なのかしら？

『金色』を贈りたい相手は。
どうやら別に居るらしいのに……

花屋 フローラ

［意地悪そうに。じーーーーっとライトを見上げる。
私の瞳は、時折色を変えるけれど。紫の色をして。
そうしてしばらくライトを困らせるように見上げたら、弾けるように笑い出した。］


あはは！冗談よ。

ライトが花言葉で選んでくれた事くらい。
分かってるわ。
勉強してくれたのよね？

それに贈り物をしたい相手が居る事も。
教えてくれて嬉しかった。
なんだか幼馴染の特別感があるわね。
ありがとう。


［明るく楽しそうに笑って。］

花屋 フローラ

［ライトを見詰めてにっこり笑って。］


でもね？

もし。明日私が髪飾りにこの花を着けて居なくても。
『おおらかな心』で許してね？

もちろんライトは許してくれるわよね。

けれどせっかくかけてくれたお呪いは。>>342
必ず大切にするから。
髪じゃなくても。身に着ける物のどこかに。
この花を飾らせてもらうわ。約束する。

お互い明日を楽しみましょうね。


［笑ってそう言うと。互いにありがとうを交わして。
可愛くて頼りになってちょっと天然な。幼馴染とも別れたのだった。**］

花屋 フローラ

シュクルとお花と飴細工

［お花屋さんを初めてしばらく。
シュクルは一時期ずっと通って、花を愛でてくれた。
観察するようにじっくりと。
でも。美しさを味わうように。>>333

私はシュクルを店先から、店内に招き入れて。
お茶を淹れながら、より近くで花を見せてあげた。
そんなある日。シュクルに尋ねられた一言。>>334

私は少し考えて。
お店の切り花ではなく。
少し奥まったところに置いてある鉢植えを。
シュクルの前のテーブルまで持ってきた。
土に植えられた。緑の葉っぱより小さな。
白い花がたくさんならんで咲いていた。］

花屋 フローラ

［テーブルの向かいに座って。
シュクルに微笑む。］


何のお花だと思う？


［本当はお花は全部好きって言えば良いのかな？
でもシュクルに嘘は吐きたくなかったから。］


これはね。苺のお花。
これから花が散って実がなると。
私たちが何時も食べたりジャムにしてる。
赤い苺が実るのよ。

……これが私の一番好きなお花。


［鉢植えの中の小さなお花。］

花屋 フローラ

［飴細工を花を模して作るなら。>>335
私はその鉢植えを、シュクルに渡した。］


完成したら。是非食べさせて？


［小さくて可愛いお花だから。
もしかしたら余計作るのが難しかったかもしれない。
隣で試作品をがじがじ食べるシュクルを見たりして。
完成したお花の飴を見た時は。一瞬言葉を無くした。
小さくて。可愛くて。寄り添ってる。］


可愛いのに。綺麗。食べるのがもったいないくらい。


［キラキラ輝く飴細工。
うっとり眺めて。
それからシュクルに満面の笑みをみせた。*］

花屋 フローラ

［そんなシュクルを探して。
お祭り会場を歩いて居たら。
背後からぽんぽんと肩を叩かれた。>>336］


ひゃっ。……シュクル！探してたの。


［笑いながら。シュクルに向き合って。
お花の飴はその後何種類もの花が再現されたから。
私もシュクルに。『どの花が一番好き？』て。
聞いた事があった。
彼女はなんと答えたかしら？］

花屋 フローラ

［くぅ。と。
お腹が歌ってる音が聞こえた気がして。］


一足早く。屋台で何か買い食いしちゃう？

もしよかったら。
花飾りを受け取って欲しいと思ってたの。
何時も勇気をくれるあなたに。
私からの贈り物よ。


［微笑んで。もし買い物に成功したならば。
ベンチに腰掛けて。花籠を広げてみせた。**］

花屋 フローラ

おおらかな心の村の守り手

［深読みし過ぎて。
勘違いしてたのは、わたしかもしれないわ。
純粋に私の『幸福』を呪いに込めてくれたライト。

本当は苺の花を身に着ける気で居たの。
一番好きな花だから。

でも帰りはラヴの工房によろう。
可愛らしい布やリボンに。
苺の花を縫い留めて。
ブーケのように真ん中に紫のラナンキュラスを飾ろう。

私だけの髪飾りを。
私の幸福を呪い。祝福してくれる人のために。
自分自身の手で作ろう。

私は今までそうやって生きて来たから…………］

花屋 フローラ

［ライトにもう一度だけ。］


ありがとう。


［と。告げた。何に対してとは言わずに。
明日がどんな日になったとしても…………

きっと赤い熊さんは。
この村ごと。皆を守ってくれるでしょう。
守る誰かを選ばなければならないくらい。>>281
本当に怖い事など起きないわ。

そう。信じられたから。
少しだけ張り詰めた気を抜いて。
安心した穏やかな微笑みで。
贈り物はまだ何も思い浮かんで居ないけれど……
花飾りの構想だけは。頭の中で進んでいったの。**］

花屋 フローラ

苺の飴と睡蓮の花

［苺の飴細工を作るシュクルは。
一切の妥協を許さなかった。
味を聞かれたら。苺で作ったジャムを振舞ったり。
長い時間かけて実がなった時には。
実際食べてみてもらったりもした。

彼女がそれだけ大切に扱ってくれている事が分かって……
嬉しかったぁ。本当に。
しかも完成した苺の飴は。
私だけにしか作らない特別製の飴になった。>>387

だからその時決めたの。
彼女が『白い睡蓮』>>388を指さした時。
今度は私が応える番だって。*］

花屋 フローラ

［大量の食べ物が一瞬で消えて行く。
魔法で飴を作り出すには。
それだけ食べ物が必要なのかもしれない。
”ジジ”が天気を操るのに。
『赤いガーベラ』を必要とするように。

食べ終わったシュクルに尋ねられて。>>388>>389
私は『白い睡蓮』の花飾りをそっと取り出した。
箱に入れて潰れないように。
大事に花籠に入れていた花飾りを取り出してみせる。］


良かったら。明日着けてもらえないかと思って。


［清廉な睡蓮を髪に留められるよう。
土台にもラヴの力も借りて気を配った花飾り。］

花屋 フローラ

［水連は。本当は５月の半ばから咲く花だ。
シュクルが指さしたあの日も。
もう少し汗ばむ季節になっていた。

でも私は諦めたくなかった。
私たちが１８歳になるまで。
まだ数年の月日が残されていた。

それから毎年睡蓮を越冬させる度に。
わざと部屋の温度を上げた部屋を一室作って。
少しずつ少しずつ。根気強く。お花を騙して来た。

もうあなたは咲く時間だよ？
花開いてごらん。お外は暖かいよ？

そうやって。
１８歳になるこの年に。
お祭りのあるこの時期に。
睡蓮の花を咲かせることに成功したの。］

花屋 フローラ

［そっと取り出した白い睡蓮の花の髪飾り。］


シュクルのためだけの。特別な髪飾りよ。
１８歳のお祭りまでに、間に合ってよかったわ。


お花にずっと言い聞かせてきたの。
もう咲く時間だよって。
なんとかこの時期に咲いてもらえた。

これからも毎年作るわ。
あなたのためだけの花飾り。


［そう言って微笑んで。そっと差し出す。
『苺のお花の飴のお礼よ』って。
いつもありがとう。本当に嬉しかったのって。
微笑みを浮かべながら。大切に。**］

花屋 フローラ

花は毎年咲くのだから

[寂し気なシュクル>>423に。
私は一言だけ。真っ直ぐに笑って告げた。］


間違えないで。シュクル。
私は『毎年作る』>>409と言ったのよ。

花は毎年咲くのだから。


［何も罪悪感等覚える必要はない。
私は最初から。１８歳で成人したら。
今年も来年も再来年も。
それこそシュクルがおばあちゃんになっても。
花飾りを作るつもりだったのだから。

好きな人が居ても居なくても。
恋人が居ても居なくても。
お祭りの日には、あなたのためだけの髪飾りを。**］