20 ― 遺されたモノたちの手紙 ―
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[…幼子たちの話だ。
人類が施設の外の世界に適合できなくなった頃、
人々は、せめて、次代を生きる子供たちに、
外の世界で生きられるチャンスを与えようと、
その稚すぎる魂と身体に祝福を付け加えた。
外敵のいない試験管の中で育てられた幼子たちは
人類とよく似て、やはりどこか違っていて
無垢な魂と、清らかすぎる身体は、
外の世界には不釣り合いだった]
…それでも君たちは
本当に、たくましく、育ったな
[そんなハンデを乗り越えて、彼らは大きく成長した
試験管を出て、24の年月が立った頃、
月のよく輝いたあの日、彼らは新たな土地を目指し
後継を残すことなく飛び立っていった]
(61) 2024/05/11(Sat) 22:29:33
[彼らだって生きていた。
君たちだって愛し合っていた。
私達だって、きみたちのことを。
…今はどうなのだろう。
君は、外の世界で…美しいものを、見れたかい?]
(62) 2024/05/11(Sat) 22:37:57
ICQCQ ICQCQ
応答せよ、応答せよ
…君たちは、いまどうしてる?
外の世界で無事、楽園にはないものを見つけられたかい?
好きな場所は、好きなものは、好きな人はできたかい?
君たちが生きてきた中で、
愛してきたものは…君の中で生きているかい…?
どうか、どうか君が…
新しい楽園にたどり着いていることを願う
今日も『楽園の花園』は…花が咲き乱れているよ
いつでも帰ってきていいんだよ
愛するものが、君の世界にありますように
(-48) 2024/05/11(Sat) 22:44:39
碇星魄 インダラクス から 焉命愛 マリールア へ、秘密のやり取りが行われました。
[夜鷹の思考が、電気信号へと変わる
それは流れ流れて、ノイズを含み、ざらつき…
それでも、絶えることなく、無数の空へと飛び立つのだ]
(63) 2024/05/11(Sat) 22:46:24
お手紙をくださったあなたへ
はじめまして、「墓守」殿。
個体としての名は与えられておりますが
お返事の中では 「J」 と名乗ることにいたします。
その呼称の方が、己を表す名として納得がゆくようになったからです。
貴方の境遇をお聞きし、言葉にならない気持ちでおります。
静寂の中、長い刻をひとりで過ごす
その心持ちはわたしにも覚えのあるものですから。
しかし、こうも思うのです。
ひとり、またひとりとお仲間を喪い
独りになってしまったあなたの孤独は
機械人形としての生において仲間を持たないわたしのそれと
同じではないのかもしれない……と。
(-49) 2024/05/12(Sun) 07:08:41
月季天 ジブリール から 火葬想 イサリビ へ、秘密のやり取りが行われました。
人類が居た頃から、
わたしと同じ任を担うモノはおりませんでした。
特殊な役目を担う機械人形であるからこそ
同じ職務に従事するモノが
もう一人二人居ても良さそうなものですが
過去も、そして現在も、わたしは独りです。
同じ仕事を持つ“ヒト”はかなりの数、居たのですけれどね。
彼等はいのちの短い種ですから。
同じ企業で造られた機械同士の相性が良いように
ココロを持たないとされるモノであっても
同胞意識や親愛の『情』を抱く。
仲間、同胞がいらしたのであれば
あなたの孤独の深さは
わたしのものより
よほど深いのかもしれない。
(-50) 2024/05/12(Sun) 07:09:20
月季天 ジブリール から 火葬想 イサリビ へ、秘密のやり取りが行われました。
……いや、どうでしょうか。
思い返せばわたしにも関わり深い収監者はおりました。
折に触れて思い出すヒトもおります。
ただ、彼や彼女は“ヒト”であるので
機械人形と同列で考えたことがなかったのですが。
貴方は、機械人形とヒトとの間に
情は成り立つと思いますか?
また、その情に名を付けることは
できると思われますか?
―――
思いのまま綴ってしまい
非情に長いお手紙になってしまいました。
なにせここ■■年、他者と話すことも
なかったものですから。
(-51) 2024/05/12(Sun) 07:10:35
月季天 ジブリール から 火葬想 イサリビ へ、秘密のやり取りが行われました。
そして、ここまで書いておきながら
任についての説明を綴るのを忘れていました。
わたしは■■■年前より
昼が長く、夜の長い国で刑務官をしております。
これまで沢山の収監者の死に触れ
彼等の弔いを依頼してきました。
墓守殿のいらっしゃる場所と
そうした繋がりがあったかまでは定かではありませんが
どうかこの空が貴方の居る空と
繋がっているよう。
貴方の孤独がこの手紙で
少しでも紛れますよう、祈っております。
夜の果てから J
(-52) 2024/05/12(Sun) 07:11:21
月季天 ジブリール から 火葬想 イサリビ へ、秘密のやり取りが行われました。
/*
平日よりも週末に時間がおすとは思っていなかった
ギリギリの駆け込み失礼致します
皆様のロールが素敵で拝んでいるのですが
わたしときたら長くて重いお手紙になってしまいました
ちょくちょく誤字っててァァァ
風→封
非情→非常 あと何かあった気がするのですがどうか心の目で…
(-53) 2024/05/12(Sun) 07:23:37
[ 書き終えたものを慎重に転送処理し、
ふうっと嘆息に似た『息を吐く』。
無論、機械人形に呼吸機能は存在せず
搭載された空気清浄機能がその代用となる。
いわゆる「 God bless 」だ、などと
こうした無駄な機能のひとつひとつを
スラング交じりで喜ぶ収監者も嘗ては居たことを
重要度ゼロのフォルダに在る
無数の記録を探れば見つけられるのだろう。
彼あるいは彼女
―― 文字列からは相手の形状や
ヒト型であれば男女無性の別は読み取れない ――
からの手紙を今一度読み直し 『思う』。 ]
(64) 2024/05/12(Sun) 08:06:34
はーいアルバート、今日もありがと〜!
このお手紙、元軍用機の勘で
なんかイイ感じの機械に届けるか託すかしちゃってねえ〜。
あっ手紙開けるなよ? スキャンするなよ? なんてね〜。
でさー、石工できる機械はまだ見つからない感じ?
あっ あとさ! 年代物お宝ウィスキーの情報求ム!
もう本土でもウィスキー生産しなくなったらしいけど
おばさんへのお供えでやっぱり欲しいんだ〜。
それとね〜あとダニーん故郷のお花とー…
ああ、それとさ〜そうそう! SAW-
(65) 2024/05/12(Sun) 08:16:35
「オマエさあ、もういい加減、
島を出ちまっていいんじゃねェの?」
(66) 2024/05/12(Sun) 08:16:55
……………言ったでしょ。
ボクの役目はまだ続いている。
ボクは「墓守」のシリーズ機。
ヒトの死を弔い、眠る場所を守る役目。
ボクは、ボクの守る墓所から離れてはいけない。
墓所を荒らす悪い人間なんて、もう
来ないだろうし、いないだろうってのは解ってるよ。それでも。
人間の消失とともに役目を失った
他の機械とは、違うんだよ、ボクは。
(67) 2024/05/12(Sun) 08:26:07
「……、そういうトコだけ正常に稼働しやがって。
聞いたオレがバグってたわ、悪ィ」
そういうこと〜。
それにさー、本土の港町って、
重機組織と軍用機組織のワルいやつらが
オイルでオイルを洗う戦争を毎日続けてるんでしょ?
こわ〜い! か弱いボクは上陸できないし〜!
「しれっとフェイク発信するんじゃねェこのポンコツ!!」
[ 実際のところ、イサリビは本土の件の街について、
「治安はそこまで悪くないらしい」と認識している。
解った上で、元軍用機を相手にこのような
性質の悪いジョークを生成し発話していた。 ]
(68) 2024/05/12(Sun) 08:48:27
「あー、で、話変わるがよ。
オマエが言ってた花らしいモン見つかったわ。
……花っつっても、球根だけどよ」
球根? あ、ホントだ。
で、なんの花? これ。
「ヒガンバナ、って言われてたかね。
奴さんの国じゃァ墓場で植える習慣があったんだとか。
こっちの土壌と気候で育つかは知らねェけどな」
へー、そんな花あったんだ?
ありがと! 寝てから植えてみる〜!
(69) 2024/05/12(Sun) 08:57:40
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