氷室詩音

ー　後日談　ー

　
[あの合宿から数日。
年の瀬を迎える瞬間は家族と過ごしていたけれど、その中で夢助との事も聞かれたでしょう。
その時に私は、「大丈夫。上手くいってるわ。」なんて穏やかに応えることが出来ていたわ。
以前の私の状態を知ってる婆やがそっと涙ぐんでいたのは……もう、過保護なんだから、とそっと肩を抱いて慰めて。
お蕎麦を食べて、床について。でも、いつもどこかで夢助のことを考えている自分がいる。
でもいつものような焦燥感に駆られている感じじゃ無いわ。
穏やかな気持ち。時々赤面してしまう事も思い出すけど……ふふ、私やっぱり幸せね。
　
新年の挨拶を家族でした後には少しお腹を満たしてから待ち合わせ場所へ。
ううん、待ち合わせ場所より市川家に向かったかもね。だって、これからお世話になる家だもの。
振袖を着て、髪飾りをつけて。少ししっかりめにお化粧をしてもらって、夢助のところに向かうわ。]
　

氷室詩音

　
あけましておめでとうございます。
今年もよろしくお願い致します。
　
　
…ふふ、どうかしら？
　
　
[畏まってご挨拶をした後は、袖を広げてくるりと回る。
成人式の時は可愛らしい色！と、自分の髪の色に似た空色にピンク系の花が散りばめられたものをを選んだけど。
今回は深い青に大きめの白い花が目立つデザインのもの。髪は前髪を編み込んでひかえめの飾りをつけているわ。
　
あの時は可愛いって言って欲しかったけど。
今は、きっと似合うって素直に言ってくれるわよね。
　
ああ、私なんて幸せなのかしら。
指先を絡めて歩いて、二人で初詣。
ああ、神様。]
　

氷室詩音

　
[祈るだけじゃなく、これからも努力するわ。
　
私、夢助と幸せになります。
だから見守っていてくださいね。]**