菓子屋 コウセツ

[ 食べようと言ってくれる彼女に頷いて、
　私はケーキ用のフォークを食器入れから取り出した。
　
　綺麗なナイフでケーキを食べやすいサイズに切り取ると、
　一切れを皿に乗せてそっとフォークで一口分を掬う。]
　
　どうぞ。お姫様。
　
[ そう言うと、丁寧に乗せられたケーキを
　彼女の口元に差し出してみようか。

　あえてプレーンのスポンジには、
　オーソドックスな苺とクリームが挟まっていて。
　上に乗せられた焙じ茶とさくら味の飾りが、
　ふわりと異国の香りを漂わせるだろう。 ]

菓子屋 コウセツ

[ せっかくの特製のケーキだ。
　ただ並んで食べるだけで居るつもりはなくて。 ]
　
　もしも美味しくできていたら、
　姫から何か褒美を貰っても？
　
[ そんな風に首を傾げ、ふざけて見るけれど。

　こうしてフォークを差し出すだけでなく、
　更なる褒美を強請るなど…少し欲張りだろうか。** ]

先生 リトリコ

広場→学校

　

……、う。


［初めに話題を切り出したのは紛れもなく、私のはずなのに。
　いざ、彼の口から伝えられると 云うよりもやっぱり、恥ずかしくて。でも、———それ以上にこみあげる情感が胸中を巣食っていく。
　返される言葉から熱されていく頬を冷ますように空いている手を頬に宛がい。>>63
　もう片方は、それでもしっかりと彼の指先に絡ませつつ きゅうに握り締め離さなかった。>>60］


も、もうすぐ着きますね。
一人で歩くよりも、短く感じたかもしれません。


［先に歩き出す彼へと小走りに追い付いてはその羞恥を紛らすかのように、言葉を並べていく。
　繋がっているこの手のひらから、この脈打つ心臓の鼓音が伝わらなければいい。］

先生 リトリコ

学校

［公園までもう間近というところで道を逸れたその先には見馴染んだ小さな学校が其処にあった。校門の傍の木蓮は蕾から今にも花を咲かせようと少しばかり開いた状態で此方を見詰めている。］


持っていきたいものがございまして。
少々、此処でお待ち頂いても宜しいでしょうか。


［ごめんなさいね、と背を向けて 雇い人から貰った校舎の合鍵を使って そろりと開けていく。何時も通りの渡り廊下は静けさを保っていて、まるで別世界のよう。その先の扉を開けば其処は、教室だった。丸つけや質問を丁寧に聞く場所でもある、先生の机へと足を向けて 引き出しの奥に隠したロケットペンダントを取り出した。薄らと輝く金製のチェーンはこの場所に来る前からずっと、持っていたもので。手の中の首飾りをきゅうと握っては 布袋にそれを入れて その場を後にした。］


……すみません、お待たせいたしました。
それでは、本当に公園へと向かいましょうか。


［姿を現した自身に、一見特に変化が見られなかっただろう。が、淡い薄桃色の布袋が下がった手で、彼の手を取って 先程と同じく 一緒に歩いていった。］

先生 リトリコ

公園

どうでしょう、アロイスの仕事場よりも見えているでしょうか。


［広場からの道のりに対して、学校から公園は瞬く間に辿り着く。
　此処迄来るのに聊か時間がかかったからか、少しばかり日の光の名残が残っていた空とは異なって 濃紺の夜空を月だけでなく、彼方此方にと数多に瞬く星々が私たちを迎え入れていた。
　子どもたちが思い切り遊ぶことができることができる拓けた場所の先にあるベンチへと彼を誘い、一緒に腰掛けた。］


……一人で考えごとをしたいときに、此処に来るんです。
昼は子どもたちの声で賑やかなのですが、ほら村の少し外れたところにありますから。
夜は殆ど人が来ないんです。だから、一人になりやすくて。


［しんと静まり返っている周囲に彼と自身の声だけが響きながら、ふいと彼の方へと向いて。］

先生 リトリコ

実は、……その。

此処に一緒に来たかったのは星を見たかったのもそうなのですが。
それよりも、アロイスに渡したいものがあって、来ていただいたんです。
お返しの、プレゼントといいますか。


［なんて苦笑を帯びながら、手に取ったのは手首に掛けていた薄桃色の布袋。その袋から、金製のロケットペンダントを取り出して 手のひらに置き。］


此処に来る前からずっと、これを持っていたんです。ただ中身はこの村に来た時に破いて捨て去ってしまったのですが。

代わりに、アッシャーの祝祭の話を伺いまして
……それで、毎年中身を入れては変えての、繰り返しで。

今年も、首飾りとして……中身を作ってみたんです。
開いて、見てくださいませんか。

先生 リトリコ

　
［彼の指先が、もしそのロケットへと伸ばされて 中を見ようとしてくれるのなら。］


……私、本当は画家になりたかったんです。


［其処には砂に色を塗した砂絵が施されており、砂はこの村の風土と異なるさらさらしたもののように窺えるだろう。
そして、その砂絵には私の好きな色である澄み切った空に燦燦と瞬く太陽の絵が其処に埋め込まれていた。* ］
　

石工 アロイス

学校

[小走りに追い付いてきた彼女に指を絡めて握りしめながら、さらに先へ。
そういうところも、なんだかかわいくて仕方がない。

彼女の心音は>>83よく気を付ければ早くなっているのに気付けたかもしれない。
でも、それよりも俺自身の鼓動の方がずっと早かった。]

そうかもしれない。昔は毎日ここまでの歩き道、長く感じたのにな。
今日は、もっと長くてもいいのにって思ってしまってる。

[そんな事を呟くうちに、小さい頃から慣れ親しんだ学校に辿り着いた。俺の背は伸びて色々な事が変わっても、木蓮の花はあの頃のまま。]

石工 アロイス

じゃあ、ここで待ってるよ。
中は暗いだろうから気を付けて。

[そう告げて、リトリコの後姿を見送って、その場にしゃがみこみながら月を見上げていた。向こうの明々と燃える火を後目に、驚くほど静かな月夜。

月は綺麗に出ているけれど、星も見える。
あの三角は何座だったかな。
そんな事を考えるうちに、彼女が戻ってきたら立ち上がった。]


はは…大丈夫。むしろ結構早かったかなって。じゃ、行きますか。

[手にした袋の中身に目を落とし、反対側の手を握って再び歩き出した。]

石工 アロイス

公園

うん、こっちの方がやっぱり良く見える気がする。

[学校の傍の公園は、小さい頃暗くなって星が見えだすまでよく遊んだ場所だ。
月と星だけが見守る中、二人してベンチに腰を下ろす。]

へえ…リトリコ、ここに一人で来てたんだ。
全然知らなかった。ここは石切場からちょっと遠いから…　なかなか普段は来ることもなくて。

来てみればよかったな。
…あ、でもそれだと考え事ができなくなっちゃうか。

[ふっと笑みをこぼし、その手が袋から取り出すものに目を落とす。
金色のロケットがついたペンダント。中身を破いて、というのが少し気になったが。]

石工 アロイス

じゃあ、開けるね。

………………？？

[受け取って、壊さないように気を付けて開こうとしたときに聞こえたのは、彼女の夢の事。>>87その顔を見て、ペンダントの中に視線を落とした。]

これは…太陽…　もしかして砂で描いてる？

これを、俺に？


[絵から、彼女の顔に視線を移し、戻して。ぎゅっとペンダントを握りしめた。]

ありがとう。…すごく嬉しい。
なんだろ、…本当に、言葉にできないくらい嬉しい。

ありがとう、リトリコ。

[二人、触れ合うほどの近くに寄ってリトリコの手をペンダントともに握り、それからふと尋ねた。]

石工 アロイス

そう言えば、リトリコは美術も子供たちに教えてたんだったっけ。

……

[中身を破いたというのはどういう事だろう。
何か事情があるのだろうか。
そしてそれは、俺の前でようやく口にできる事のはずだ。
どう尋ねればいいだろう。少し考えてから、口を開いた。]


いい絵だと思う。
それでも、……画家には、ならなかったの？**

呪術師 ライト

自室

［悪いことを少しだけ良い方向へ。
良いことも少しだけ良い方向へ。
日々そうして積み重ねていくのが呪術師"ジジ"のお呪いだ。
一つ一つは効果が弱くても>>76積み重ねていくと奥深さも出てくる。

>>77ふにゃふにゃ笑うのも可愛いなともっと抱きしめたくなってしまう。
最早可愛い成分の過剰摂取だがもっと浴びていたい。

したいことが沢山ある。
今日が始まりの日でこれから二人でやりたいこと言い合って、一つ一つ楽しんでいきたい。
シュクルと一緒ならきっと何でも楽しいし幸せになれるだろう］

呪術師 ライト

［>>78贈った首飾りを気に入ってくれているようで嬉しい限りだ。
真なる水に精霊を多重に宿ってもらいタンク分全てを圧縮して結晶化したもので、撫でられると嬉しそうに明滅するのはそこに精霊がいるからだ］


うん……はい、座って。


［外を歩いた服でも今は気にならなかった。
むしろシュクルが気になるならいろいろと準備をするのだけれど。

ベッドの上に正座してくれて待ってくれているので同じようにベッドの上にあがりこむ］


えっと……よろしいでしょうか。


［問いかけてよければ一度ベッドに横になってから合わせられている太腿の上に頭を乗せようか**］

錬金術師 ラヴェーナ

[コウにいがボクの為に作ってくれたとっておきのケーキ。
早速食べようと促せば彼がフォークとナイフを出してきてくれて。
綺麗に切り分けられたケーキがボクの口元に運ばれる。]

へっ、あっ、…ありがと、

[お、お姫さまって！
そりゃ昔はそういうの憧れてたりもしたけど
今言われるとなんだか恥ずかしい。

けど、冗談めかしたコウにいは妙に様になってて。
顔を赤くしながらも、あーん、と口を開けようとする。]

錬金術師 ラヴェーナ

……ええっ！？褒美！？
って今そんなこと言うのずるくない！？
美味しくないわけないでしょこんなの！

[いやだってこんなの何度も何度も試行錯誤を重ねて
満を持して今日ここで出してるに決まってるんだ。
もう食べる前から負けてる勝負（？）じゃん！

楽しそうなコウにいを、むうう、と半目で見たけど。
いつまでもそうしてるわけにもいかないから。
大きく口を開けて、ぱくり、とケーキを口にする。]