呪術師 ライト

祭前日の帰り道/シュクル

［>>5本当は当日の朝に何食わぬ顔をしながら迎えに行くつもりだったのだから、察するのはそもそも至難だったろう。
悩んでいたのも誰を誘うかではなくて、首飾りをどのタイミングで、どこで渡すのかということだったのだからそれはすれ違っても仕方がない。

意地悪かと言えば、そうなのだろう。
熱いものに触った時に耳朶を借りて怒られたこともあったけれど、あの頃の意地悪さと割と根本は変わってはいない］

呪術師 ライト

……焦ったんだよ。


［フローラも何かありそうだったし、ラヴはもうわかりやすく何かありそうだった。
何のことはない。
自分がシュクルを意識しているから他の者も意識しているであろうという理屈で気になる人とかがいたりアプローチされてないか聞いていじけた目をさせてしまった。

ダメと言われたのもそういう相手が出来たのだろうなと考え至ったわけで――］


……恐ろしく独り善がり、でした。
ごめんな、シュクル……うん。


［>>6見つめられて立ち去ることなんてできないわけで、引くも何もどちらかと言えば前に一歩出たい気分だ］

呪術師 ライト

……その仕草も可愛すぎる。
明日の朝、迎えにいくから。
待ってて、また明日ね。


［別れ際に見えた顔にわかりやすく耳まで熱くなると赤毛熊の毛皮を深々と被り両手を振って――いや、家まで送ろう。
家の前で別れてから我が家に帰り、夕食を食べて明日の準備をして――寝不足のあまりお日様が沈んだ辺りで意識を失った**］

呪術師 ライト

アッシャー祭当日

［目覚めはそこそこ早くお日様が出る頃合いだった。
たくさん寝たので目の下のクマも消えていてすっきりした気分だった。
身体の疲労感も残ってはいないので調子は良い。

寝床から起きて、朝ご飯を食べて身嗜みを整える。
アッシャー祭では特別な衣装を身に纏うことになっている。
自分が――ではなく、"ジジ"が用意してくれていたのは汚れのない真っ白いシャツとズボンに鮮やかな色の糸で刺繍をしてくれているものだった。
精霊や呪いに使う花やハーブが刺繍されていて賑やかな感じがする。
その上から刺繍が隠れないように上着を羽織るのだが今日は赤毛熊の毛皮は家の軒先でお留守番だ。
骨合成獣に着せておいて代わりに見張り番をしてもらう。
用意してもらった上着はサーコートで蒼空のような色合いの生地に金糸で縁を刺繍されているものになっている］

呪術師 ライト

［やや派手な気がするけれど大人になったような気分になれるのは、本当にそれを祝って繕ってくれていたからだろう。
腰にウェストポーチをつけてお金やらを入れて、蓋つきの木箱を収納すると最後にフローラが選んでくれた『赤いカランコエ』を左胸に飾ると家を出た］


行ってきます。


［誰もいないけれど、"ジジ"に伝わるように家の中に声をかけて扉を閉めるとシュクルの家へと向かう。

道中、人とすれ違うと珍し気に視線を向けられたけれど今年になってからは赤毛熊の毛皮を被っていたからだろう。
久しくまともに素顔を見せていていつもよりもお日様が眩しく感じるくらいだ。

空を見上げれば今日もよく晴れている］


いい日になりますように。


［村の皆へとお呪いの言葉を口にして歩み続け、
目的地に到着すると扉をノックして声をかけた］

呪術師 ライト

シュクル、迎えにきたよ**

菓子屋 コウセツ

─ 祝祭当日 ─
[ きっと良い祭りになるだろう。
　そう感じさせてくれるほどの、澄み渡った青い空だった。
　
　この祭りのための衣装に袖を通す。
　シャツには故郷の鳥が刺繍してあり、
　羽織る上着は鮮やかな朱だ。
　
　歳の割に派手すぎないかとも思ったが、
　淡い色よりこの色のほうが自分に合っているような気がした。
　
　ポケットには、飴を包んだ布を。
　その中のひとつ、勇気の出る飴を口にすれば
　優しい甘さが口の中で解けていく。]
　
　
　（……来て、くれるだろうか…。）
　
[ 予定はないと言っていた。
　だが、来てくれるかどうかはまた別の話だ。 ]

菓子屋 コウセツ

[ 面と向かって誘えばよいものを
　手紙と菓子で誘うという回りくどいそれは、
　一種の願掛のようなもの。
　
　誘う行為ひとつとっても意味を持たせたい等というのは、
　どこか女々しすぎただろうか。
　
　手紙を見た時の彼女の反応が見れなかったのは、
　私にとっても非常に惜しむべく所だった。>>0:465 ]

菓子屋 コウセツ

[ 鏡の前で、何度も何度も髪を整える。
　普段会いに行くとき以上に、
　どこか変な所はないか、シャツはよれていないか、
　あちこちを気にしたあとに
　胸に差すのはベゴニアの花。
　いくつも重なる丸い花びらは、
　私の衣装にも違和感なく合っていたから。]

　……よし…。
　
[ 最後の甘い欠片を飲み込むと、
　私は店を出る。
　
　色とりどりの花で飾られた広場の門で、
　彼女のことを待つために。 ]

菓子屋 コウセツ

　
[ ふらふらと視線を彷徨わせ、
　どこか立ち姿を気にするような、落ち着かない出で立ちで。
　
　広場の門の前、
　一人の女性を待つ男の姿がそこにはあっただろう。** ]

錬金術師 ラヴェーナ

―　アッシャー祭・当日　―

[結局夜遅くまでなかなか寝付けなくて、
うとうとして気付いたらもう日が昇っていた。

窓を開ければ柔らかな春の陽気。
ライトが頑張ったおかげで
絶好のお祭り日和だってのに
朝食の後で手紙と一緒に貰ったお菓子を食べながら
ボクは往生際悪くうだうだしていた。

別にあんな手紙、無視したっていいんだ。
してもいいけど……]

錬金術師 ラヴェーナ

「何も言わずに終わっちまう方が……」
「いいなって思ってた奴がとっくに知ってるやつと付き合ってて…」

[いつかのアロイスの言葉がぐるぐる頭の中で回る。>>0:348

正直気持ちの整理とか全然ついてないけど、
ボクが仮にここで行かなかったとして……
待ちぼうけ喰らって傷心のコウにいは
どっかの女の子に誘われて踊ったりするかもしれないってことでしょ。

よくよく考えたらあの見た目だもん。
ボクが知らないだけで狙ってる子とか居るのかもしれないし
それはボクよりずっとかわいい子かもしれない。
そんでなんかいい感じになってさらーっと結婚しちゃったりして……
…な、なにそれ！腹立つ！！！女の子ならだれでもいいわけ！？

彼からすればあまりに理不尽極まりない言い分で
一人で勝手に妄想して勝手に憤って百面相するボクだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ああ、そうだ。
そう言えばアロイスは。
「大事にしろよ」とも言ってたっけ。

ほんとに余計なお世話だよ。
ちゃんと分かってるよ。

きっと勇気を出してくれたのであろう、真面目なお誘いを。
こんな、こんなしょうもない意地と弱虫で
無碍にしていいわけないことくらい。]

錬金術師 ラヴェーナ

[まあ、あれこれ考えてみても
所詮は悪あがきでしかなくって。
手は慣れた様子で髪を梳いて
勝手に準備を整えていた。

いつもは動きやすいように
二つ結びにしている髪を背まで下ろして
杏の花の髪飾りとミモザの花を丁寧に編み込んでいく。

髪の結い方は、
出てく時に自分の家財道具とか
なんもかんも持ってっちゃった母さんが
ボクに残してくれた数少ないものの一つ。

母さんは髪を結うのが上手で
ボクはそうして貰うのが好きだったな。
術の才能はからきしの母さんだったけど、
それはまるで魔法みたいで。
本当にお姫様になったみたいだった。]

錬金術師 ラヴェーナ

……はあ。


[鏡に映る自分は何とも言えない顔してる。
世の乙女はデートの前って
もっとウキウキしてるんじゃないのかな？？
なんか考えすぎてよく分かんなくなってきたな。

もういいや。取りあえず顔を見てから考えよう。って
変な開き直りの境地に達しつつあるボクだ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[ところで母さんは出ていく時に
粗方持って行ってしまったと言ったね。
つまりどういうことかというと
ボクは伝統衣装なんてもの持ってないわけだ。

錬成しようと思えばできるのかもしれないけど
ボクの服飾のデザインなんて出来ないし
そもそも当日にやるには遅すぎる。

仕方ないので普段着……の中で
何か使えそうなものがないかを探していると、
……見つけた。]

錬金術師 ラヴェーナ

[本当にボクが小さなころに
お祭りで着てた伝統衣装。

勿論サイズは子供のものだけど、
これなら錬金術でちょっと背丈を弄れば行ける。
デザインも白基調に刺繍が入ったシンプルなワンピースだし、
大人が着てもそんなにおかしいものじゃないだろう。

そんなわけで準備を整えて、靴を履いて、家を出た。
そんなことやってるとそれなりに時間がかかったので、
きっと待たせてしまったことだろう。

…が、待ち合わせ時間を書いてない方が悪いんだ。
ボクは謝らないぞ。]

錬金術師 ラヴェーナ

[開き直ったつもりだったのに、
広場の門に近づくにつれてだんだん足が重くなる。

やっぱ何もかも間違いだったりしないかな。しないよな。
なんて思いながら歩いてると門が見えて来て、
その人の姿が目に入って。>>21]

（……う、）

[門の近くにはそれなりに人がいるのに
一発で見つけてしまった己の目が憎い。

なんかいつもと違って洒落た服着て、
いかにも人待ってますって感じで
落ち着かなそうにきょろきょろしてて、
あー、あーーー！もーーー！！

立ち止まって、一度すう、と深く息を吸い込んで、
ずんずんとそっちに向かって歩き出した。]